『寒川猫持(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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面白いのである。面白いだけでなくやがて哀しいのである、と山本夏彦氏が絶賛した異色歌集。「尻舐めた舌でわが口舐める猫好意謝するに余りあれども」「出前なし話し相手はさらになしもういくつ寝れば来るお正月」「『ハンサムでおとなしくっていい猫ね』動物はみな飼い主に似る」……。自称「目医者、うた詠み」、妻に逃げられ、猫と暮らす著者が、過ぎし日々と飼い猫にゃん吉への愛を諧謔に託して詠んだ全380首。浜野孝典が描く郷愁あふれるイラストをあわせ、一冊とする。
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朝日新聞に連載した人生相談 「猫持のトホホ相談」として二年間の連載を 新潮社が編集して単行本にしたものの初の電子書籍化である 中嶋らも氏の人生相談の跡を継いだものである 相談にそれぞれ短歌が配されているが 週に一度の連載であったので見出し程度とお考えいただきたい 愛猫にゃん吉との別れを「小説新潮」に書いた 声涙共に下る名文「キチや」を収載 絶唱である挽歌は本文をごらんいただきたい 挽歌のほうは文春ウェブにおいて電子書籍として販売されている 「猫とみれんと」のあとがきにも載っていたと記憶する 朝日新聞の手強い女性読者諸賢にけちょんけちょんに言われながら書いた 聞くも涙語るも涙の人生相談集 こっちが相談したいのである
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好きでなったのではないバツイチや いろんな意味でどん底にあった当時 なんとかして世に出たいともがき 推敲に推敲を重ねて出した歌俳集 この推敲の過程で猫持的短歌が誕生した 朝日カルチャーセンターから自費出版した私家版 神戸のジュンク堂書店が十五冊並べてくれたら 一ヶ月で完売した 手応えを感じたが世の反応は冷たかった 駄菓子菓子 この本で司馬遼太郎先生や多田道太郎先生などに認められる 短歌は安田純生先生の「白珠」 俳句は後藤比奈夫先生の「諷詠」 に所属していたころの作品 わたしの手元には一冊しかない 初の電子書籍化
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なんといってもお聖さんこと田辺聖子先生のあとがきが白眉である お聖さんのあとがきはお聖さんの「楽老抄IV」(集英社)にも収載されているので 併せてお読みいただければ幸甚である 「当世のますらおぶり」がそれに当たる じゃおまえの文章はあかんのかとゆーと どっこいこれまた素晴らしいのである でなければNHKの「ラジオ深夜便」で二週間にわたり朗読され 再放送までされたりしないのである 朝日新聞に書いて異例のファンレター殺到となった「私空間」の一連の文章や 俳句も併載されている 俳句を選んだのは当時の新潮社の担当者であった風車の矢七君であるから わたしの責任ではない もっといい俳句ならいくらでもあったのである 初の電子書籍化 必読の一書
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還暦を目前に宿痾を得て医者にダメだと言われ そんなことあるかいなと思いつつ内心ビビリまくって 必死のパッチで書き下ろした随筆集 バツイチから五年後に再会し訳あって再婚することになった おばはん(細君のこと)が初めて登場する 「面目ないが」に屡々登場した麻酔科の教授くんも健在である 駄菓子菓子(だがしかし)という猫持流の新語が初登場する 装幀は往年の名コンビである浜野孝典画伯にお願いした たとえ十円でもおばはんに残してやりたいという気持ちで書いた にゃん吉亡き後の愛猫めいちまも同様である
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これでダメなら「グッドバイ」という 第三歌集を上木して文学の世界からおさらばしようと 「グッドバイ」の原稿を準備していたら ある日突然山本夏彦のコラムに取り上げられ有頂天になり 「グッドバイ」の原稿を紛失した 損バコイタ 駄菓子菓子 それがために寒川猫持の最高傑作である 「猫とみれんと」(文藝春秋)が世に出ることになった 白状すると本歌集は別れた女房への未練よりも たまたま「アサヒグラフ」で見た某女性歌人へのラブレターなのである われながら豪勢なラブレターであったが見事に沈没した ナミダがちょちょ切れるのである この歌集を編んでいるときは面白いように 天から言葉が降って来た 枕元に鉛筆とメモ用紙を置いて寝たくらいである 世に六百冊しか存在しない歌集である 電子書籍化は今回が初めて なんべんも言うてすまんが 「グッドバイ」が惜しまれるのである
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