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『実用、青弓社』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全662件

  • シリーズ102冊
    1,7601,980(税込)
    著:
    浅見克彦
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    恋愛は所有という罪をもっている。同時に自分自身を過剰に認識し、自我の問題をも生み出す。愛はけっして清らかなものにとどまることはない。愛をめぐる心の動きを小説や哲学・思想のなかにさぐり、自我の実相を一つひとつ確認しながら提示する愛の思想史。
  • 日本人はいつ、どのようにしてヴァイオリンを演奏しはじめたのか。どのようにしてその製作を始めたのか。そして、演奏技術や楽器製作はどのように広まったのか。これまで未知だった日本でのヴァイオリン黎明期を解き明かす。

    いつ誰がヴァイオリンを演奏しはじめたのか――最初に伝習を始めたハリストス正教会、それに続いた洋楽協会、音楽取調掛における伝習開始の経緯や目的、具体的な実践内容をひもとく。指導に当たった外国人の宣教師や音楽教師と日本人の弟子たちとの試行錯誤、日本の音楽教育やオーケストラの萌芽についても描き出す。

    いつ誰がヴァイオリンを作り始めたのか――初めてヴァイオリン製作に成功した職人をはじめとする黎明期の職人について、定説の検証や新資料の発見に基づき新たな説を提示する。また楽譜や教則本が国産されて、消費の対象になる過程にも光を当てる。

    ヴァイオリンは音楽を楽しむ道具としてだけでなく、宗教的・教育的・政治的な意図が折り重なるなかで日本に導入された。緻密な調査により、日本の近代化と歩調を合わせてヴァイオリンが日本人に受け入れられていった当時の熱量を現代に再現する。
  • 現在の韓国で流通する音楽用語は、日本が西洋音楽を受容した際に翻訳した漢語がもとになっているのはあまり知られていない。現在に連なるその源流には、どのような歴史的な背景があるのか。朝鮮半島での西洋音楽受容は、どのような実態だったのか。

    日本による植民地支配下の朝鮮で、日本から持ち込まれた西洋音楽文化が広まったプロセスを、日本人の教員や音楽家の具体的な活動を資料からたどることで明らかにする。また、植民地下の唱歌・音楽教育やクラシック音楽会、総力戦体制期の統制や一元化のありようにも迫る。

    支配国と被支配国という関係のなかで音楽を奏で、教え続けた「在朝鮮日本人」の実践を掘り起こし、朝鮮近代史・音楽史・教育史の視点を交差させて、彼らが植民地朝鮮の西洋音楽受容に果たした役割を浮き彫りにする。日韓の近代音楽史の新たな側面を明らかにする労作。
  • 野球ファンの多くは、テレビや配信、テキスト速報、SNSでプレーを共有しながら楽しみ、勝敗に一喜一憂する。実際にプレーする人や現地観戦する人もいるが、ほとんどのファンはメディアを通して野球を見ている。では、メディアはどのようにして野球を捉え、描き、野球そのものに迫ってきたのか。

    写真やイラストを多用して野球を見る視点を生み出した雑誌、カメラアングルや実況で野球の見せ方に大きく影響したテレビ中継、選手を操作するゲーム、実在の選手をも物語に登場させる漫画……。

    選手のキャラクター化、スローモーションなどの技術による「動き」への着目、メディア間の相互関係などの論点を整理しながら、メディアを通してしか見られない野球の魅力や豊かさを描き出す。スポーツを捉えようとするメディアの試行錯誤や多様性、ダイナミズムに迫る野球視覚文化論。
  • シリーズ2冊
    3,3003,740(税込)

    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    フランスの5月革命が象徴する1968年。世界的に学生の異議申し立てが吹き荒れ、ベトナム反戦闘争が激しさを増し、日本でも東大・日大をはじめとする全共闘の大学闘争、アメリカ軍の後方基地である全国各地の反基地・ベトナム反戦運動が高揚したのが68年だ。

    2015年夏に国会議事堂前で展開された安保法制反対デモとも比較されたように、政治の激変、社会運動の高揚の転換点として語られる68年だが、ほかにも多様な価値観や文化・芸術などに大きなインパクトを残したにもかかわらず、これまでの議論が見落としてきたものは多い。

    本書では、「性と身体」という視点から68年の多様な文化実践を掘り起こし、現代にも続く影響力とそのダイナミズムを明らかにする。具体的には、これまでの68年論が素通りした文芸作品や芸術表現、解放をめざした運動の陰で抑圧されていた女性問題、などを取り上げて、変革のなかで「性と身体」がどのように語られてきたのかを6章に分けて検証する。60年代論の新機軸を提示する論集。
  • 在米コリアンのミン・ジン・リーの小説『パチンコ』とそれを原作にした「Apple TV+」のオリジナルドラマシリーズ『PACHINKO パチンコ』は、海外で大きな反響を巻き起こし、ドラマは第2シーズンが2024年に公開を予定している。

    本書は、『パチンコ』が描く1910年代から80年代までの在日コリアン家族の波乱に満ちた人生を読み解くことで、戦前から戦後までの日本の風景、在日コリアンの苦難や差別、物語に通底する植民地主義の暴力性や記憶を掘り起こす。

    また、『パチンコ』の歴史表象や在日表象から、日韓の歴史認識問題、歴史修正主義の台頭、グローバルなメディア市場で歴史が物語として流通するポリティクスを検証する。

    表象にとどまらず、生産・消費・規制・アイデンティティという5つの文化の回路からドラマ『パチンコ』を精緻に分析して、東アジアでの歴史対話とコミュニケーションの新たな可能性を指し示す。
  • 中国では1979年に一人っ子政策が導入され、2015年に撤廃されたが、一人っ子世代の女性たちは、結婚や出産とどう向き合ってきたのか。

    両家からの結納金や住宅の贈与と後継者獲得の力学、夫側との婚前協定、結婚と父系をめぐる規範、子どもにつける姓の選択、第一子・第二子の出産と親世代との交渉――。中国の一人っ子政策の概要や家族観を押さえたうえで、40人の「一人娘」へのインタビューから中国の女性たちの結婚や出産のリアルを描き出す。

    一人娘家庭が多くなったことで、女性に「嫁」と「跡取り」の両方の役割が求められるようになり、また両家から第二子の出産を要請されることも踏まえて、女性たちが抱く葛藤や子どもをめぐる戦略を照らし出す。世代間交渉の実態を浮き彫りにして、現代中国の家族観にも迫る。
  • 私たちは音楽を演奏し、ダンスを踊り、それら表現を見ることで日々の彩りを豊かにし、ときに癒やされ、励まされもしている。本来、優劣をつける必要がないにもかかわらず、人はなぜコンクールの場を設けて、芸術やパフォーマンスで競い合うのか。

    ショパンコンクールからK-POPのオーディション番組、ダンススポーツ、民謡、伝統音楽、古典芸能、そして学校のコンクール、バレエ教室の発表まで、多種多様なコンクールの事例を紹介して、パフォーミングアーツを競い合うことの多様性と共通点、魅力やダイナミズム、問題点を浮き彫りにする。

    演者や表現者が認められるべく努力し、審査員が真剣な眼差しを向け、観客が歓声を上げ、称賛を送る――コンクールという場で創造される表現の可能性、そこに生じる演者のキャリアや挫折、そして社会的な意義に多面的に迫るユニークな論考集。
  • スポーツは近代以降、国民や文化を統合する役割を果たす一方で、身体を鍛える手段として、あるいは国民を養成する手段として、はたまた娯楽として人々の生活に根づいていった。

    1932年に成立して、日本人、中国人、朝鮮人、ロシア人、モンゴル人など、多様な民族が交差した満洲国では、どのようにスポーツが実践され、どんな役割を果たしていたのか。

    企業スポーツ、女子スポーツ、朝鮮人や台湾人のアスリート、武道界、明治神宮大会やオリンピックなど各種競技会をめぐる動きに光を当て、満洲と内地・中国・台湾・朝鮮の各地域との力学も視野に入れながら、「労働」「民族」「移動」「国際関係」という視点から満洲のスポーツの諸相を明らかにする。

    帝国日本の外縁に位置し、資料の制約から研究が進んでこなかった満洲のスポーツの実態を歴史学や社会学、人類学などの学際的な視点から検証する。満洲スポーツ史から帝国日本や東アジアの近代史を描き出す貴重なプロジェクトの成果。
  • シリーズ29冊
    1,3201,760(税込)
    著:
    榊原和子
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    「愛がある批評」を掲げた宝塚歌劇評論の新シリーズ第1弾。ネット宝塚を考察する特集をはじめ、安蘭けいの魅力を存分に語るスター論、大浦みずきにダンス・歌・芝居を聞くインタビュー、公演評とOG公演評、男役論・女性学・音楽論の連載も充実した一冊。※写真は掲載されておりませんのでご注意ください。
  • 1,540(税込)
    著:
    太田省一
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    アイドル・アーティスト・MC・俳優など、各分野の第一線で活躍して人気絶頂の中居正広。テレビでも見ない日はない、と言っても過言ではない。ファンは、そして私たちは彼の何に/どこに引かれるのだろうか。
    意外にも思える読書家としての顔やメモすることへのこだわり、愛すべきヤンキー性、MCでのトークスキルや笑いの技術、いまも持ち続ける野球少年の心、マイケル・ジャクソンへの敬愛とダンス・パフォーマンス、アイドルとしての恋愛観や結婚観、SMAPメンバーやジャニー喜多川との固い信頼関係、そしてエンターテインメントという仕事への強い思い……。
    「一流の素人でありたい」という中居正広の多彩な魅力に迫り、その真摯な生き方を描き出す。当社ウェブ連載で好評を得た各章に加筆・修正をほどこし、書き下ろし2章分を追加した決定版。
  • 自己責任や競争を推し進める新自由主義の時代にあって、在日コリアンはどのように自身の人生を選択し、この社会に「適応」しようとしているのか。また、在日コリアン内部での格差は、どのように生起しているのだろうか。

    在日コリアン社会へのフィールドワークを通じて得たライフコースに関する語りの分析から、現代の在日コリアンがエリート層、あるいはアンダークラスへと分極化していくプロセスを丹念に描き出す。それと同時に、拡大した格差が在日コリアンのコミュニティ内部に葛藤を生じさせる事態にも迫る。

    新自由主義の原理で満たされた現代を生きる在日コリアンの経験を、人種やエスニシティ、ジェンダー、階級などの複数の要因の絡み合いを想定する「交差性」の視角から読み解き、移民としての背景をもつエスニック集団が直面する複雑化し細分化した社会的不平等の実相を浮き彫りにする。
  • ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    死者10万人の犠牲者を出した1923年の関東大震災と前後して、2つの歌謡曲が大流行する。「船頭小唄」と「籠の鳥」である。同時に、労働運動の高まりを受けて、メーデー歌の「聞け万国の労働者」も大流行する。人々の心情に響く曲と運動を勇気づける曲は、どのようにして全国に伝播したのか。

    復興、歌の大流行、大正デモクラシーが一体になった結果、「歌う大衆」が出現した。その背景にはレコードと蓄音機というニューメディアの普及はもちろんのこと、艶歌師=演歌師の存在があった。街角の演歌師の歌声に加えて、小唄の映画化がさらに人気に拍車をかけた。

    流行小唄と革命歌やメーデー歌を各地で誰もが歌っていた時代を、流行歌を伝播するメディアという社会的基盤と、歌を心の糧としてきた有名無名の無数の人々が構成する受容基盤との関係から浮かび上がらせる。
  • 情報をみずから集め、編集し、新たな価値を創造してそれを発信・共有する――あらゆるシーンで「キュレーション」が注目されるいま、現代美術や芸術を支えるキュレーターの思考が社会に求められている。

    展示、見る順番、作品、来館者、美術館の収集と保存など、現代美術のキュレーションをめぐる10のギモンを設定して、具体的な展覧会や作品を紹介しながら、現代美術のキュレーションの基本的な視点やキュレーターの意義を問い直す。

    美術館や展覧会というメディアがもつ可能性とそれを支えるキュレーターという仕事の重要性を指し示す好適なガイドブック。好評のウェブ連載を大幅に加筆・修正して書き下ろしを加える。
  • ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    戦争の裏で、子どもたちを中心に人々は地方への疎開を余儀なくされた。避難ではなく疎開と呼ばれた銃後の人口移動政策を、敗戦後の文学はどのように語り、位置づけてきたのか。疎開に人々は何を思い、どう記憶してきたのか。

    柳田国男、太宰治、石川達三、「内向の世代」のテクストや映画を糸口にして、疎開にまつわる様々な資料も使いながら、1945年から戦災を経験した子どもが大人になる70年代までの疎開の描かれ方をたどる。その語りは一様ではなく、いつ疎開を経験したのかという世代の違いや、地方/都市の相違が多様な語りを生み出している。

    文学を通して疎開をみたとき、そこに立ち現れるのは敗戦後に突然もたらされた平和な日常への戸惑いであり、幼少期を戦禍のもとに過ごした葛藤である。銃後の記憶を抱えて戦後を生きた人々の思いを照らし出す。
  • 「cakes」の人気連載、芸能人批評「ワダアキ考」がついに書籍化。約50人を厳選し、増補。新たに「堂本剛」「宮崎あおい」ほか5人の書き下ろしを追加。回り道を重ねて芸能人の生態を観察、テレビの向こう側に私たちが感じるわだかまりを力の限りで受け止める。現代社会の「空気」をつかみ取り、テレビと私たちの緊張関係を取り戻す。2015年話題の1冊『紋切型社会』の著者が、放牧された芸能人を苛烈に問い直す1冊。

    中村佑介さん(イラストレーター)
    評論に見せかけた悪口。
    悪口に見せかけた愛。

    能町みね子さん(文筆家)
    芸能人をバッサリ斬…ったらつまらない。
    ネチャネチャと噛みきらずに味わい尽くす快感。

    飯田正人さん(くまざわ書店営業推進部)
    芸能人に表れる現代社会の要請。
    気持ち悪面白い。

    大矢靖之さん(紀伊國屋書店新宿本店)
    喧噪極まる社会のなか、
    僕たちの誠実な代弁者がここにいる。

    花本武さん(ブックスルーエ)
    忙しいのに困る。
    仕事しないでテレビ観たくなっちゃうし。
  • 2,640(税込)
    著:
    若林宣
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    「太平洋戦争下に、男性の代替として鉄道は女性を大量に動員した」ことばかりが論じられてきた女子鉄道員は、実は1900年以前から働いていた。

    明治初期の女性踏切番を皮切りに、出札係やバス・市電の車掌の勤務実態、男性職員との差別的な労働条件を明らかにし、厳しい労働実態にもかかわらず女性車掌を花形職業としてもてはやした当時の社会状況を活写する。
    さらに、太平洋戦争に突入してからの国鉄の女性職員と乗務員をめぐる定説を新聞資料などを丹念に調査して引っくり返し、新たな一面を照らす。加えて、戦争末期には小・中学生まで鉄道員として動員していた事実も明らかにする。

    男性中心の日本鉄道史の陰に追いやられ、物珍しい存在としてだけ扱われてきた女性鉄道員とそれにまつわる出来事を史資料を発掘して紹介し、通説に大きな風穴を開ける。
  • 非婚/未婚/既婚、正規労働/非正規労働、性差別的な売春か/セックスワークか、女性の保護か/男女平等か――。フェミニズムは分断と連帯にどう向き合えばいいのか。
    フェミニズムの議論を骨格に、現場の声にふれた経験に基づき、女性たちが簡単にはつながれない現実を見据えたうえで、シスターフッドとは何かを問いかける。

    女性たちが差別に抗い、不満に共感しあいながらも、ともに声を上げられない現実を、ジェンダーに基づく権力構造による分断だけではなく、考え方や生き方、事情や立場が異なる個人の関係性などの視点から読み解く。

    「分断」を乗り越えることを模索し、「ほどほどに、誰かとつながり、生き延びる」ための女性のこれからを提案して、長年のフェミニズムの場での活動と思索に基づいて女性のつながりのあり方の再考を求める評論。
  • シリーズ3冊
    4,4005,060(税込)
    著:
    リサ・カートライト
    監訳:
    長谷正人
    訳:
    望月由紀
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    19世紀末から20世紀初頭にかけて、生理学や神経学、病理学などの生命科学は、キモグラフやミオグラフなどの装置を使って「生命」を視覚化しようとしてきた。では、医学は「生命」をモニタリングするために、何を、どのように記録しようと試みたのか。医学を支えたそれら視覚技術は、映画などの映像文化とどのように結び付いていったのか。

    ゾウに6,000ボルトの電流を流す瞬間やイヌの拍動する心臓を記録する映画、てんかん発作のような不随意的な身体の動きを追う映像、ウサギの血液循環を顕微鏡で撮影した科学映画、そして、未知の光線で骸骨にされた人体内に再び生命活動を捉えようとするX線映画――。

    映像技術によって「生命」を明視しようとする科学的観察の欲望を、多様な事例と豊富な図版から明らかにする。それら医学の欲望が「生命」を把持し統制しようと格闘した歴史をたどり、現代のCTやMRIなどの画像技術へつながる医学的な映像実践と映画との関係を検証する映画研究・視覚文化論の成果。
  • 現在、地球規模で最も深刻な感染症の一つHIV/エイズ。医療の進展とともに服薬を続ければ死に至らず、ほかの人と同じ生活ができるようになった。だがジェンダーやセクシュアリティ、病いや障がいなど交差的な差別や偏見はいまだに根強い。日本で「HIVとともに生きる」ことはいったいどのようなことなのだろうか。

    ゲイ男性を中心にHIV陽性者百余人と交流し、22人のライフヒストリーを聴き、かれらが書いた手記などの史資料も読み込み、生活史に深く迫る。当事者と支援者がおこなってきた協働的な実践を掘り起こし、周囲に創造的に関わりながら包摂する力を発見していく。

    傷つきとレジリエンス、病いの語り、クィア理論や批判理論など社会学理論から、一人ひとりが苦しみのなかで培ってきた生きる力が、社会とどのように接合し社会を構想できるかを浮き彫りにする。傷ついた生の意味を協働で探り、親密性や共同性を育む「生きるための理論」を探求するラディカルな生活史研究。
  • 「図書館の自由に関する宣言」が1954年に採択されたあとに起きた3つの侵害事件――県立山口図書館蔵書隠匿事件(1973年)と富山県立図書館『図録』事件(1986年)、船橋市西図書館蔵書破棄事件(2001年)をあらためて検証する。

    この3館の「図書館の自由」侵害事件は、国家や警察権力などの公権力の介入によるものではなく、図書館と図書館員自らが犯した侵害事件である。それだけに、図書館界は大きく揺れ、論議を尽くしながらも、対処の仕方にはいまもって疑問符が残っている。
    ひとたび問題に直面すると、「自由宣言」の理念と組織構造との間には対立が生じ、どのように対応すればいいのかの合意形成が困難になる。

    これからも「図書館の自由」を堅守するために3つの事件の実情に迫り、問題点の概要と教訓を導き出す渾身の論集。
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    並木路子が歌う「リンゴの唄」は敗戦後の日本の心象風景を象徴する歌として「敗戦後の人々を勇気づけた歌」「焼け跡のBGM」として扱われている。

    しかし、この曲の作詞・作曲の成立過程、映画やラジオ、レコードを通じて爆発的に流行した社会的な背景、人々がどんな思いで歌ったのか、などの実態については不明のままだ。

    作家や文化人は「リンゴの唄」をどこで聞いたのか、引き揚げ船ではどうやって歌っていたのか、無名の人々の日記にはどう書かれていたのか――NHKの番組履歴も詳細に検証して、「歌と時代」を描き出す。
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    1974年の超能力ブームに始まり、ユリ・ゲラー、ネッシーや雪男、80年代から90年代にかけてのノストラダムス、矢追純一のUFO、心霊写真、霊能力者・宜保愛子、そして2000年代のスピリチュアル・ブーム……。

    1958年の「テレビ放送基準」以来、「迷信は肯定的に取り扱わない」と定めているにもかかわらず、なぜオカルト番組は熱狂的な支持とバッシングの渦のなか続いていたのか。

    「謎」や「ロマン」を打ち出し、視聴者が半信半疑で楽しむエンターテインメントとしてオカルト番組が隆盛を極めたことを掘り起こす。そして、スピリチュアル番組へと移行して「感動」や「奇跡」の物語へと回収されることで、オカルトの内実(真偽)が問われ、終焉へと至った歴史的なプロセスを明らかにする。
  • 1,540(税込)
    著:
    真魚八重子
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    女子にまつわるさまざまな視点から映画作品を読み解き、描かれる女性たちの喜びや性、あるいは生きづらさ、自意識との葛藤、孤独、恋愛の苦しみといった心情を浮かび上がらせる。当社Web連載に5本の書き下ろしと映画解説を加えた決定版。
  • 急激な変化を続ける情報環境に対応し、これからの時代を生き残るために図書館員には何が求められるのか。
    「これからの図書館の役割」「そのために必要な知識とスキル」をテーマに毎年開催しているワークショップ「図書館員の未来準備」。その講座内容をもとに、それぞれの分野で新たな地平を切り開いている執筆陣がそろい、「図書館のDX(デジタルトランスフォーメーション)」「新たな図書館情報サービスの展開」「地域への貢献」の3つを柱に、未来を担う図書館員が身に付けておくべき知識やスキルを伝える。
    Web-APIの技術を取り入れたウェブサービス、国内外の図書館でのAIなどの活用事例、図書館蔵書からウェブ上のあらゆる情報源への視座の転換、国内でも広がりを見せているメーカースペースやファブラボといった第三の学びの場の試み、2022年の法改正で一躍話題になった図書館と著作権法をめぐる問題、まちづくりと図書館の関係、地域や学校との連携などの10のトピックを取り上げ、日々の業務に役立てるための学びの指針を示す。
    付録として、2023年にアメリカ図書館協会が「図書館員が職務を遂行するために必要不可欠な知識・スキル」として発表した「ALAコア・コンピテンス」の翻訳を所収。
  • ベトナム反戦運動や学生運動を背景に、社会批判や反戦のメッセージを込めた関西フォークは、多くの若者を引き付け、強い支持を得た。1969年の新宿駅西口広場でのフォークゲリラにつながる関西フォークはどのように現れ、どのような人々が関わり、何を表現し歌ったムーブメントだったのか。

    本書では、関西フォークの歌詞と現代詩との関わりに着目して、岡林信康、高田渡、松本隆、友部正人などのフォークシンガーの音楽実践を「ことば」を中心に描き出す。そして、歌い手をサポートした片桐ユズルや有馬敲らの文学者・文化人の活動やその意義にも光を当てる。

    関西という地でフォークソングを歌い新たな表現を追い求めた若者たちとそれを支えた文化人の交流の場として関西フォークを位置づけ、「声の対抗文化」として評価する。関西フォークの音楽性や文学運動としての側面を検証する研究書。片桐ユズルへのインタビューも収録。
  • 高度経済成長期に形成された東京都市圏の郊外社会――。当初は批判的に語られた郊外地域は、半世紀がたとうとする現在ではどのように成熟し、これからはどう変化していこうとしているのだろうか。

    そして、郊外に暮らしてきた住民はまちづくりとどう関わり、高齢者はどのような生活を送り、これから迎えるポストコロナ期にライフスタイルはどう変貌するのか……。

    東京都市圏の多摩丘陵に位置する川崎市麻生区をモデルに、住民へのインタビューやウェブ調査などをとおして、まちづくりのあり方や隠れた魅力、近隣の大学とコラボした文化活動、コロナ禍の影響などの郊外の実態を描き出す。

    また、多摩ニュータウンなどの計画的に建設された郊外住宅地と異なり、麻生地域は個別開発の集合体として住民主導の草の根で建設されてきた。その歩みをたどることで、地域の人々の手によるまちづくりの格好の参考事例と今後のあり方を提示する。

    川崎新都心街づくり財団と地元の複数の大学が協力して、多様な調査を元に郊外の持続型モデルを提言する貴重な成果。各自治体の関係部署、まちづくりを実践している市民やNPO、開発をサポートする企業などは必携の一冊。
  • ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    虐待と貧困の連鎖の渦にいながら、助けを求める声を上げられない母親たち=サイレントマザー。

    育児放棄や暴力などの子どもへの虐待、父親の娘への性暴力を見て見ぬふりをする、ついには子どもを殺してしまう……。社会問題にもなった虐待事件のルポルタージュや資料を丹念に読み込み、不登校と向き合う母親、子を愛せない母親、破壊衝動をもつ母親、子を病気に仕立てる母親などの調査事例も多角的に検証する。

    サイレントマザーは夫の暴力や経済的な貧困に苦しみ、自身の子ども時代の暴力経験から心身を害している場合も多いことを明らかにして、「助けて!」を言えずに沈黙・貧困・虐待のスパイラルから抜け出せないと指摘する。児童虐待防止の関係者が「沈黙しないで! 助けを求めて! 自分と子どもの命を輝かせて!」と訴えて、すべての機関・関係者に対抗策・防止策を提示する。
  • 1,980(税込)
    著:
    國府田公子
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    沢田研二――グループサウンズ、ザ・タイガースのボーカルで熱狂的なファンを獲得。「勝手にしやがれ」など次々にヒット作を出してトップアイドルに。70歳代に入ったいまもライブを重ね、ファンを魅了している。

    そのジュリーを追いかけて50年。地方のファンクラブ支部長から始まり、月刊の会報「LIBERTY」は500号を突破、ウェブサイト「Julie's World」の掲示板とブログを毎日更新。ファン同士の交流の場にもなっている。

    ジュリーの半世紀の活動を一冊に濃縮。GS時代から独立してソロに、そしてライブを続ける現在までのコンサート評、テレビドラマや映画などの映像の情報はもちろん、雑誌の記事までももらさずに手際よくまとめる。

    これが沢田研二だ!
  • 2,200(税込)
    著:
    妙木忍
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    全国の温泉地にあった性愛シーンの等身大人形や性にまつわる品々を展示した「おとなの遊艶地」――等身大人形製造文化と日本古来の性信仰と娯楽産業が融合した文化装置を訪ね歩き、「身体の観光化」の視点から成立過程と消費されてきた実態を考察する。
  • 1957年からNHKで放送されたテレビドキュメンタリー・シリーズ『日本の素顔』は、戦後社会で映画とは異なる新たな表現を切り開いた。初期テレビ制作現場に集った人々はどのようにテレビドキュメンタリーを創造し、どのように『日本の素顔』を作り上げていたのか。

    本書では、放送アーカイブを活用して現存する『日本の素顔』を視聴し、当時の資料を渉猟し、関係者へのインタビューを積み重ね、当時の制作現場での試行錯誤や模索、様々な実践に光を当てて、テレビドキュメンタリーという表現形式の独自性を明らかにする。

    具体的には、大阪中央放送局の番組制作の実態、制作現場で立ち上がる規範や葛藤、『日本の素顔』唯一の女性プロデューサーの実践などから、東京中心の初期テレビドキュメンタリー史に東京/大阪、男性/女性、エリート/アシスタントという視点を挿入して、『日本の素顔』の複数性と重層性を浮き彫りにする。

    これまでの初期テレビドキュメンタリー史では十分に記されてこなかった番組制作の営みや、ドキュメンタリーという表現が内包するグラデーションを可視化する労作。
  • 近年、児童虐待が社会問題化している一方で、社会的養護のもとで暮らす子どもへの支援も注目を集めている。これまで援助の「あるべき姿」などを中心に議論されてきたが、現場ではどのような困難が経験され、施設のありようをめぐって何が問題とされているのか。

    本書では、児童養護施設や母子生活支援施設、里親などを対象に、各施設のフィールドワークを積み重ね、関連する政策文書や史料を丹念に読み込む。それらをとおして、児童養護施設で求められる「家庭」のあり方、施設で過ごす子どもや職員が抱える葛藤、愛着概念の変容、発達障害と施設の関係性、母親という規範などを浮き彫りにする。

    医療、教育、ジェンダーなどの多角的な視点から、子どもを養護する現場や制度が抱える規範や規律を照射して、「家族・家庭」と「施設の専門性」の間に生じるジレンマを明らかにする。
  • 「じっとしていられなくて、大声を出したり、走り回ったりする」「いつもひとりぼっちでいる」「整理整頓が苦手」「文字の読み書き、計算が苦手」……。こうした特性をもつ発達障害の子どもに、周りの大人たちはどのように関わり、支援していけばいいのだろうか。

    本書は、発達障害の特性や基本的な知識を押さえたうえで、保護者や教員などの周囲の大人が悩みがちなポイントや子ども自身の困りごと、安心できる環境づくりのヒントを、Q&Aも織り交ぜながらわかりやすく解説する。発達支援教室の代表として発達障害の子どもに長年接してきた著者の実体験から、うまくいったケースやつまずいたケースを多数紹介し、保護者や教員が抱く疑問に答えていく。

    発達障害のネガティブな面ではなくいい面を見る習慣を身につけ、「ユーモア」と「ゆるさ」をもって子育てをしていくための知見を提供する、実践に役立つガイドブック。
  • シリーズ3冊
    2,200(税込)
    著:
    吉井潤
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    情報通信技術の発展によって、図書館も従来のように印刷された「紙の本」を貸し出すだけの場所ではなくなっている。新聞・雑誌記事を検索できるオンラインデータベースや学術雑誌の電子ジャーナル、電子書籍を貸し出す「電子図書館」などの取り組みが広まり、図書館が扱うべき資料の性質は大きく変化しつつある。その変化に対応するため、従来の「図書館資料」よりもさらに広い対象を表す言葉として使われるようになったのが「図書館情報資源」という言葉である。
    それでは、情報資源はどのように生み出され、どのような流通過程を経て図書館に辿り着き、図書館では情報資源をどのように受け入れ、管理して利用者に届けているのか。情報資源にはどのような種類があり、図書館はどのような方針のもとで自館に仕入れるべき資料を選別・収集しているのか。そして図書館員は選書のための書籍や著者の情報をどのようにして得ているのか。公立図書館を中心に、現場への取材に基づいた具体的な事例紹介と豊富な図版・資料から解説する。
  • シリーズ3冊
    2,200(税込)
    監修:
    一柳廣孝
    編著:
    茂木謙之介
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    芥川龍之介や三島由紀夫、村上春樹、川上弘美らのテクストと、天皇制・植民地・ナショナリズムといったテーマが交差するとき、そこには〈他者〉としての怪異が浮上し、私たちを恐怖に陥れる。

    亡霊、ドラキュラ、オカルト、ノスタルジー、出産などの分析をとおして見えてくる近代における文化規範が、怪異と合わせ鏡であることを解き明かす。怪談作家・黒木あるじへのインタビューも充実。シリーズ完結。
  • ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    戦前期に渋沢と今は、日本の生活や民俗を収集・展示して新たな価値観を発信する博物館の設立のために奔走する。その活動は戦後、国公立の博物館設立として結実した。2人の知の巨人が若き日に目指した夢とその道のりを、豊富な資料から浮かび上がらせる。
  • 2022年7月8日に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件。

    これを受けて企画・配信された『ポリタスTV』の「宗教右派と自民党の関係――ジェンダーと宗教」(前篇・後篇)は、5日間限定の無料公開で10万回以上再生され、大きな反響を巻き起こした。

    この配信コンテンツをもとに、全編書き下ろしでジェンダーやセクシュアリティ、家族をめぐる政治、それと宗教右派との関わりをまとめるのが本書である。

    1990年代から2000年代初頭のバックラッシュから、安倍政権以後の家族や女性やLGBTをめぐる政策と右派・宗教との関係までを、具体的な政策や運動、テーマにフォーカスして解説し、フェミニズムの立場・視点から問題点を検証する。

    知られざる宗教右派の実像と1990年代から現在まで続く苛烈なバックラッシュの実態を明らかにする問題提起の書。
  • ダンスホールの閉鎖やレコードの検閲、「健全」な娯楽の推奨などに顕著なように、満洲事変期からアジア・太平洋戦争期に至る戦時期には、政治や経済だけではなく、文化や日常生活が総力戦体制に組み込まれ、統制されていた。

    帝国議会や各種委員会の議事録、文部省、内務省、警視庁、内閣情報部(のちの情報局)の資料、新聞報道などの歴史的な史料やエビデンスを丹念にたどり、国民精神総動員運動や厚生運動の内実、決戦非常措置要綱の狙いや背景などを解説しながら、戦時下の娯楽政策の全容と変遷を明らかにする。

    統制や制約、あるいは自主規制や忖度などが入り交じるなかで、音楽・映画・演劇・文学・美術など、日常に欠かせない娯楽が戦争に否応なく動員され、ダンスホールやカフェなどの飲食業が転廃業や従業員の解雇を余儀なくされた実態を浮き彫りにする。
  • 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の際、海外のアスリートや関係者と地域住民が国際交流を図ったホストタウン事業。1998年の長野オリンピックの際の一校一国運動や、2002年のサッカーワールドカップの際の各国代表チームの事前キャンプ時の住民との交流事業などに着想を得たこのホストタウン・イニシアティヴという計画は、世界に類を見ない日本独自の取り組みとして、全国で展開された。

    スポーツを通したまちづくりにも直結するホストタウン事業の基本知識、ホストタウン事業に取り組んだ自治体の活動状況、コロナ禍がホストタウン事業に与えた影響、オリ・パラ後の活動状況、そして、ホストタウン事業の成果の全体像を多様なデータから明らかにする。

    スポーツ振興、スポーツ合宿、多文化共生、経済交流などの特徴をもつホストタウン事業のほか、行政が主導したタイプ、民間と協同したタイプなどの事例をレポートして、ホストタウン事業に登録した全自治体の取り組みを一覧表にもまとめた、国際交流の全記録。
  • 2,860(税込)
    著:
    大谷亨
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    中国の死神である「無常」。寿命が尽きようとする者の魂を捉えにくるこの冥界からの使者は、日本では無名だが中国ではよく知られた民間信仰の鬼神である。冥界と密接な関係をもつ廟で盛んに祀られ、その信仰は中国にとどまらず台湾や東南アジア各地にまで広がっている。

    「白と黒」のペアで存在することが多い無常は、謎の高帽子をかぶったり長い舌をダラリと垂らしたりと、強烈な視覚イメージで中国人のあいだに根づいている。だがその一方、無常がいつ、どの地域で、どのように誕生して現在に至るのか、なぜ人々は死神を拝むのか、そうした無常信仰に対する客観的な考察はこれまで十分になされてこなかった。

    本書は、2年半に及ぶ中国でのフィールドワークに基づきながら、無常の歴史的変遷を緻密にたどり、妖怪から神へと上り詰めたそのプロセスや背景にある民間信仰の原理を明らかにする中国妖怪学の書。貴重な写真をフルカラーで130点以上収録。
  • 労働人口の減少などを背景に、職務を軸にした雇用が広まりつつある現在、派遣労働者はジョブ型雇用の代表格である。「自由な働き方」というイメージもある彼/彼女たちは、どのような思いで働き、自身のキャリアと向き合い、ライフコースを歩んでいるのか。派遣労働を取り巻く困難や課題はどこにあるのか。

    大きな転換点になった2015年の労働者派遣法の改正で掲げられた派遣期間の制限見直しやキャリアアップ措置、待遇の改善などの実態を、派遣労働者40人や派遣元事業主などへのインタビュー、1,650人へのウェブ調査を組み合わせて明らかにする。

    そして、雇用の安定やキャリアの向上が必ずしも実現しておらず、給与や雇用形態で不安を抱えながら働くことを余儀なくされている現状をあぶり出す。同時に、男女間の格差やハラスメントの実態、コロナ禍での「被害」も浮き彫りにする。

    5年に及ぶ調査から派遣労働の実情を照らし出し、それを通して正社員の労働実態や多様な働き方の可能性も検証する。
  • シリーズ4冊
    3,740(税込)
    著:
    佐々木浩雄
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    「国民よ、体操せよ」――1930年代、野球人気や民間のスポーツ熱、オリンピックへの熱狂が起こる一方で、国民全体への体育の必要性が議論され、娯楽・健康・鍛錬などさまざまな目的で集団体操が考案された。ラジオ体操を筆頭として、建国体操、日本産業体操、大日本国民体操、国鉄体操などが、全国の学校・工場・地域で実践されたのである。
    その後、東京オリンピックの中止、紀元二千六百年の各種イベントに呼応して体操をめぐる議論も活発化し、アジア・太平洋戦争に突入して以降、敗戦までは国民錬成・体力向上の旗を掲げた国家の管理政策に体操は組み込まれていく。そして、「敵性スポーツ」への批判と反比例して、武道とともに体操は国民生活へと広がり、総力戦体制下の日本に根づいていった。
    戦中から敗戦までの体操の実態を膨大な史料を渉猟してあぶり出し、GHQによる体操の「戦争責任」追及や戦後の「復活」までをも見通す。「体操の時代」としての近代日本とナショナリズムを問う労作。
  • ブックオフから考える。
    社会と都市と文化の「つながり」を。

    日本全国に約800店舗を構えるブックオフは、多くの人にとって日常生活に溶け込んだ存在になっている。しかしこのような「当たり前」の存在になるまでは、ブックオフをめぐりさまざまな議論が繰り広げられてきた。あるときは出版業界の革命家として、またあるときは破壊者として、そしてまたあるときは新たなサブカル文化の創造者として……。

    本書は、ブックオフが誕生した1990年代からのさまざまな「ブックオフ論」を整理し、実際に多くの店舗を観察して、「なんとなく性」という切り口から、なぜ人はブックオフに引き寄せられるのか、そして現代社会でどのような役割を果たしているのかを縦横無尽に考え尽くす。

    ブックオフはどう語られてきたのか。またその語りに潜むノスタルジーとは。
    チェーン店であるブックオフが都市にもたらしたある種の「豊かさ」とは。
    ブックオフで「偶然」出合う本の面白さとは。
    ブックオフから生まれた音楽、カルチャーとは。なぜアーティストはブックオフからの影響を語るのか。
    ブックオフが生み出す公共性とは。「文化のインフラ」の内実とは何か。

    チェーンストア論やテーマパーク論で注目を集める新進気鋭の著者が、出版史、都市論、建築論、社会学、政治学、路上観察学など多様な分野の知見を駆使して書き上げたいままでにないブックオフ文化論。
  • オペラは難しそうで敷居が高い? 鑑賞するのに時間がかかる? いやいや、オペラはクラシック音楽や演劇、舞踊、美術などの芸術に関心さえあれば、誰でも理解して楽しめる開かれたジャンルだ!

    日本各地の劇場・ホールで日々多くのオペラが上演され、オペラに接することは以前よりも格段に容易になった。海外オペラハウスが丸ごと来日する引っ越し公演だけでなく、最新オペラ公演の映画館でのライブビューイングやオンライン配信も定着してきた。さらに、DVDなどの映像メディアも充実し、手に取りやすい価格になっている。

    では、オペラのどこに注目して観ればいいのか/聴けばいいのか。オペラ全曲のなかでハイライトはどこにあるのか。
    本書では、これからオペラを楽しみたい人に向けて、オペラ全曲の観どころや聴きどころにフォーカスしてやさしく解説。押さえておきたい「名作オペラの名アリア・名場面」と効果的な見方をガイドする。
    基礎知識がスピーディーに身につき、オペラの見方が面白いほどわかるオペラ鑑賞のための攻略本。
  • サブスクや楽曲配信、動画サービスが全盛を迎え、激変を続けている音楽業界。日々、国内外の無数のアーティストの新しい情報が供給される情報過多の現在にあって、一人ひとりのアーティストの個性やバックボーン、楽曲の魅力を整理して的確に伝える仕事の重要性は増している。

    アルバムレビューやライナーノーツ、ライブレポート、アーティストへのインタビュー、コンサートのパンフレットやフライヤーに寄せるコメントなど、音楽に関するあらゆる文章を書き、楽曲やアーティストの魅力を言葉に落とし込んで多くの人に伝えるのが音楽ライターの仕事だ。

    自主制作のZINEを足がかりに執筆の場を広げ、長年ブルースを中心に執筆を続けてきた著者が、一般のファンと差をつける文章術、インタビューのポイント、音楽を「聴く力」と、それを伝わるように「書く力」を磨くトレーニング方法などを伝授する。

    音楽ライターへの一歩を踏み出したい人、もっと魅力的なレビューを書きたい人への心構えとアドバイスが詰まった一冊。
  • 「世界に輝く 日本の偉さはこゝだ」「日本精神に還れ」……これらは2016年現在の書籍ではなく、80年前に出版されたもの。アジア・太平洋戦争に向けた国民総動員体制をあおる書籍が次から次に出版された。中山忠直『日本人の偉さの研究』、三浦葦彦『神国日本の啓明』、服部教一『日本の大使命』、池崎忠孝『天才帝国日本の飛騰』……こんな勇ましい書名だけではない。平野増吉『日本精神とお墓』、笠原正江『働く婦人の生活設計』、上野摠一『み国のために働く小産業戦士の道しるべ』などの「決戦生活心得トンデモ本」も聖戦を支えた。

    「我が軍」「八紘一宇」などと総理や政治家が平気で公言する現在、ルーツである80年前の「日本スゴイ!」キャンペーンを発掘して、思わず噴き出す陳腐な内容を白日の下にさらす。
  • 1,760(税込)
    著:
    葛山幻海
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

    邦楽だけではなく民謡、オーケストラ、ジャズ、ポップスなど様々なジャンルで演奏され、世界中で楽しまれる尺八の基礎知識から購入法、管理の仕方、演奏上達法、歴史、さらには都山流や琴古流など各流派の楽譜の読み方や音名なども紹介する。図版を多数所収。
  • 女子体操着であるブルマーは、ブルセラブームを契機に批判を受け、1990年代半ば以降に学校現場から急速に姿を消した。消滅の社会的背景はこれまでも断片的には語られてきたが、では、腰に密着して身体の線があらわになる服装が、なぜ60年代に一気に広がり、その後30年間も定着・継続したのだろうか。

    地道な資料探索や学校体育団体、企業への聞き取り調査を通して浮かび上がってきたのは、中学校体育連盟の存在だった。そこから、中体連の資金難、企業との提携などのブルマー普及の背景を解き明かす。また、受容の文化的素地として、東京オリンピックの女子体操が与えたインパクト、戦前から続くスカートの下の2枚ばきの伝統などとの関連も検証する。

    ブルマーは導入当初から性的なまなざしにさらされてきた。にもかかわらず、学校現場でブルマーが存続してきたのは、ブルマーをはく女子の身体に女子修身教育の幻を見る戦前回帰派と、美と健康を見る戦後民主主義派とが思わぬかたちで共謀していたためではないかと指摘する問題提起の一書。
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    自然への感謝を込めて、春夏秋冬、折々に祭りがおこなわれている。人々は、神様に食べ物を供えることで健康や五穀豊穣を祈ってきた。古くから伝わる神様の食事=神饌は、各地でどのように息づいているのだろうか。

    米、酒、塩、餅などの定番、七草、里芋、ウド、鹿肉に鮮魚、どぶろく、お菓子――各地の神饌を訪ね歩き、それぞれ異なる食材や調理法を紹介する。ユニークなお祭りもあわせて取材して、担い手である地域の人々の生き生きとした声とともに信仰の姿を描き出す。

    軽妙な文章とカラー写真で日本全国の神饌を紹介して、それを通して日本の信仰と地域文化を照らす食と民俗のエッセー。
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    モダニズムと左翼思想が隆盛する一方、恐慌や戦争によって不安定な時代に突入した1930年前後。男性の知識人や表現者の活動がこれまで注目されてきたが、同時代の女性たちもまた、多様な闘いの声を上げていた。 
     
    1928年から32年まで発行された雑誌「女人芸術」に集結した女性知識人やプロ・アマを問わない表現者に光を当て、彼女たちの自己表現、階級闘争、フェミニズムとの複雑な関係を浮き彫りにする。

    東アジアにおける展開も視野に入れ、文学・批評・論争などの文化実践、また政治運動における表現活動をとおして、女性の闘争主体/文化生産者としての一面を明らかにする。
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    現在も世界のエネルギー源の約30%を占め、東日本大震災後の電力供給の30%を火力発電が支えるように、石炭はいまなお重要な資源であり続けている。

    日本では高度経済成長という「日本の奇跡」と対比させて、「危険な重労働」「忘れ去るべき暗闇」「古いエネルギー」「ノスタルジー」とイメージされることが多い炭鉱は、しかし、労働・経営のあり方、技術革新、地域社会への貢献など、日本の産業全体に多大な影響を及ぼした。

    戦後日本を作り出した炭鉱の歴史と現在を、企業・自治・家族・女性・産業遺産などの視点から浮き彫りにし、グローバルに展開する世界の炭鉱とも比較して、炭鉱とそこに生きた人々の歴史的意義や炭鉱が秘める現在の可能性を明らかにする。
  • 2,640(税込)
    著:
    関戸明子
    レーベル: ――
    出版社: 青弓社

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    有数の温泉地草津は、いまや国外からの観光客が押し寄せる一大スポットになっていて、いろんな国・地域の言葉が飛び交っている。それほど人々を引き付ける魅力とはいったい何なのか、どうやって知名度が上がったのか?

    豊かな温泉を生み出す草津白根山の自然や、草津の特色である共同浴場の発展と取り組み、明治から大正・昭和初期、戦後までの人口と就業者の変動、草津温泉のイメージとそれを作るメディアを丹念に調べて、温泉地と観光の形成史を立体的に描き出す。

    史料、統計データ、鳥瞰図、地図、紀行文、新聞や雑誌の記事と写真、絵はがきなどの多様な素材を活用して読み解く温泉の歴史。入浴客の男女比、オススメスポットなど豆知識も。
  • 現代の暮らしはあらゆる産業技術に支えられている。子どもの「理科離れ」が進み、大人も日常生活で使うモノの背景に目を向けることが少ないなか、暮らしを支える技術や産業を身近に感じる機会を提供しているのが企業博物館である。
    なぜ私企業が博物館を作るのか。企業は博物館で何を後世につないでいきたいのか。国公立博物館との違いとは――。

    民間企業が自社の歴史や製品を展示・紹介する企業博物館は、実は公立博物館では収集するのが難しい貴重な産業遺産の宝庫だ。船舶や橋梁を造る重工業企業の製品や印刷機、機械の内部に使用されている歯車など、一般ユーザーが目にする機会は少ないものの日本の産業の発展を担ってきた技術資料に直にふれることができる場であり、技術を継承するためのアーカイブにもなっている。
    子どもや学生向けの「社会と科学について考えるワークショップ」開発に携わる著者が、そうした企業博物館の社会的な機能や意義に注目して、運営企業83社を対象にしたアンケートと、企業博物館14館を実際に訪れて実施したインタビューを通じて、企業博物館の実態と可能性を提言する。

    [取り上げるおもな企業博物館] *( )内は運営企業
    東芝未来科学館(東芝)、ニコンミュージアム(ニコン)、シチズンミュージアム(シチズン時計)、ヤンマーミュージアム(ヤンマーホールディングス)、三菱みなとみらい技術館(三菱重工業)、三菱重工業長崎造船所史料館(三菱重工業)、カワサキワールド(川崎重工業)、imuse(IHI)、長岡歯車資料館(長岡歯車製作所)、ミツトヨ測定博物館(ミツトヨ)、アルプスアルパイン未来工房(アルプスアルパイン)、TDK歴史みらい館(TDK)、容器文化ミュージアム(東洋製罐グループホールディングス)、印刷博物館(凸版印刷)
  • 日本による植民地統治下の朝鮮で、国民的女優として活躍した一人の朝鮮人映画女優がいた。

    彼女の名は文藝峰(ムンイェボン)。舞台女優だった彼女は、その自然な演技力と「朝鮮的」な容貌を見いだされ、朝鮮映画に数多く出演し、たちまち国民的な銀幕スターになっていった。
    「朝鮮のマレーネ・ディートリヒ」「3千万人の恋人」とも称された彼女だが、動員の重要な手段として映画が利用された戦時体制下で日本帝国主義の宣伝映画に最も多く出演し、銀幕でイデオロギーを広める最前線に立つことにもなった。

    映画の内容も言語も人材もすべてが日本の支配下に置かれていくなかで、日本への「抵抗」と「協力」のはざまにいた文藝峰。朝鮮の独立後は日本帝国主義に与した映画人として非難にさらされたことで北朝鮮に渡り、そこで再び国家の思惑に組み込まれていく。

    太平洋戦争や朝鮮半島の南北分裂など、時代に翻弄され続けた彼女の人生を、植民地の映画施策と朝鮮映画の表現を精緻にひもときながらたどり、「朝鮮国民女優」の葛藤を明らかにする。
  • ルールを作る、ルールを守る、ルールを破る、ルールに違反する――。行動の不確実性を少なくして、社会を秩序立てるために、私たちの社会にはルールがある。人々にとってルールは「常識」とも言えるかもしれないが、ルールを言語化・可視化して体系的に整備して知識として蓄積することはいかに可能なのか。

    自然法則を対象とする自然科学に対して、社会学は規則=ルールを対象にする学問であると位置づけ、私たちの日常生活や所属する組織にある細かな規則から社会全体のルールまでを評価する視点やその意義を描き出す。

    本書はルールとゲームの関係性など、基本的な視点を身近な事例から確認したうえで、規範理論や機能主義、構築主義、エスノメソドロジーなどの社会学の理論と本書の「ルールの科学」を突き合わせて丁寧に検証する。さらに、差別論や社会学それ自体にこれまでの議論を応用して、ルールの科学の射程を明らかにする。
  • “推し活”ブームの追い風も相まって、近年一層注目を集めている宝塚歌劇団。ファンはステージ上のスターのパフォーマンスや生きざまを見つめ、生徒(出演者)たちもスターダムを夢見て日々奮闘する。

    宝塚歌劇団の上演作品は、座付き作家が芝居からショーまですべての脚本を書き、演出している。
    柴田侑宏、谷正純、木村信司、上田久美子、正塚晴彦、小池修一郎、児玉明子……。
    新作を次々に提供する座付き作家は、世界各国のミュージカルや映画の翻案、小説、漫画などを原作とした作品、他ジャンルとのコラボレーション、そして完全オリジナルの作品まで、幅広いエンターテインメントを作り出している。男役・娘役トップや注目の生徒たちとともに作品としての面白さを追求し続ける作家の奮闘が、宝塚歌劇の長い歴史を支えているのだ。

    本書は、贔屓(推し)を中心に観劇してきた著者が“推し座付き作家”たちを紹介し、作品の特徴、トップの魅力を引き出す演出、「最推し作品」や「さらに味わうポイント」も解説。“縁の下の力持ち”にスポットを当てる。
    宝塚を長年楽しんでいるファンにとっては観劇の新たなスパイスになり、新規ファンにとっても理解を一段と深める道標になる「もう一つの」ガイド本。
  • 夫婦関係に不和を生じさせる存在、倫理にもとるものとして現在ではタブー視されている「愛人」や、かつて「妾」と呼ばれた人たちは、どのような女性だったのか。

    フェミニズムの分野で「妾」や「愛人」が議論の対象にされてこなかったことに疑問をもった著者が、明治期から2010年代までの「妾」と「愛人」にまつわる「読売新聞」や「週刊文春」の記事分析と文学作品の読解を通して、時代ごとに形作られた社会的イメージの変遷をたどっていく。

    森鴎外や尾崎紅葉の小説に描かれる近代男性の妾囲い、有島武郎と波多野秋子などの大正期に新聞紙上をにぎわせた知識人の愛人関係、太宰治「斜陽」で「道徳革命」を成就させる戦後の愛人、「嫉妬する妻」による刃傷沙汰事件、「おいしい生活」を望む女性たちの間で流行した愛人バンク、政治家の「女房役」やハイクラス男性のビジネスパートナーとしての愛人、2000年代以降の政治家のスキャンダルのなかで性的に消費される愛人像などを取り上げ、近・現代日本に現れる「妾」と「愛人」像と、その評価を詳細に検討する。

    一夫一婦制度が確立した明治期以降、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として近代知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。
  • 文明開化以降、外国由来の多種多様な麺と在来の料理法をミックスして独自の発達を遂げてきた日本の麺料理。ラーメン、ナポリタン、カレーうどんなど今日まで残る「成功例」の陰で、跡形もなく消えていった幻の麺料理があった。そのレシピを、明治・大正・昭和の雑誌や料理本から発掘し、実作・実食する検証レシピエッセー。

    大正から昭和初期にかけて、メディアと交通網の発達、台所の近代化、そして現在まで続く婦人・主婦向け生活雑誌の創刊ラッシュによって、爆発的に進化した近代日本食文化。
    過渡期には、パスタ麺や中華麺、ケチャップやホワイトソースといった新しい食材を既存の日本料理と自由に組み合わせた、数々の無国籍麺料理のレシピが生まれては消えていった。
    戦前のナポリタンうどん、カレー餡かけそば、納豆スパゲティ、ラーメンおこし、マカロニのおすまし、元祖ラーメン「豚饂飩」「しなそば」「南京そば」、元祖カレーうどん、など、当時の雑誌に掲載されていた実際のレシピを100点以上所収。

    取り上げるおもな雑誌……「婦人之友」「主婦之友」「主婦と生活」「暮しの手帖」「婦人倶楽部」「婦人生活」ほか多数。
  • 就職活動は、学生と企業が本音と建て前を切り替えながら相手を選ぶ実践である。その就活でお互いを知るための情報ツールである書籍やウェブサービスなどの就活メディアは、どのような役割を担ってきたのか。

    明治期から戦前・戦中、そして戦後までの就職活動の歴史を、各時代の社会状況を押さえながら描き出す。そして、就活本(指南書やビジネス書)を多数紹介しながらその内容を具体的に読み解き、時代ごとに求められる学生像や企業側の姿勢、繰り返される若者批判や学校批判を浮き彫りにする。

    試験対策から学歴主義、縁故、女性の就職、キャリア形成、ソーシャルメディアの影響まで、就活をめぐる多様な議論と実態を時代ごとにたどり、企業と学生の思惑とせめぎ合い、理想と現実のギャップを浮き彫りにする。「就活をめぐる都市伝説」をまとめるコラムも収め、就活メディアの機能を明らかにし、日本社会の変容をもあぶり出す。
  • 江戸期から明治期にかけて、大衆芸能である落語は小説にどのような影響を与えたのか。落語は西洋近代とどのように出会い、どのように向き合ったのか。

    三遊亭円朝の「怪談 牡丹灯籠」「怪談乳房榎」「真景累ヶ淵」「錦の舞衣」のほか、三遊亭円遊、快楽亭ブラック、談洲楼燕枝など、同時代に活躍した噺家による落語も議論の俎上に載せて、明治期の物語の様相や「人情」の語られ方を丁寧に読み解いていく。

    これらの議論を通じて、言文一致をめぐる問題、坪内逍遥の「人情」論を再考するとともに、小説が落語に翻案されるプロセス、物語が小説・落語・講談などのメディアを越境する諸相を分析し、日本近代文学研究、アダプテーション研究の新たな地平を示す。

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