身体にやさしい新しい放射線治療の最前線を紹介する。
現在、放射線治療は、手術をできるまでに癌を小さくしたり、再発予防も含め、多くの癌に幅広く用いられている。
本書『奇跡の放射線治療』では、放射線治療の基本的解説と、治療実績のあるエックス線を使いより副作用が小さい「強度変調放射線治療(IMRT)」を詳しく紹介。保険適応で、癌に集中的に放射線を照射し、正常部位への放射線量を抑制して、癌の治癒率を高めた最新技術である。
一回の治療が15分くらい、それもほとんどがセットアップの時間で、実際に照射されているのは5分くらい、癌ができた部位によって違うが、約6~8週間かけて照射するという。
この他、エックス線以外の陽子線や重粒子線を使った新しい放射線治療の長所・短所や、放射線でなぜ癌が治るのか、被曝のリスクといった基本的な疑問にも、分かりやすく回答している。
インタビューした東京医科大学放射線科主任教授・徳植公一医師は、東京大学工学部産業機械工学科卒業後、大阪大学医学部に入学、医学の道に進み、卒業後、国立がんセンター放射線治療部、筑波大学陽子線医学利用研究センターを経て、2008年に東京医科大学放射線科主任教授に就任。癌の放射線治療のエキスパート(日本医学放射線学会放射線治療専門医)である。
<はじめに>より引用
放射線治療の進歩は目覚ましい。以前は癌の三大治療の一つとして補助的な役割であったものが、最近は手術と同等の治療実績をあげている。すでに欧米では癌患者の半数以上が放射線治療である。
放射線治療が世界的に増えた理由は単純明快で、身体への負担が圧倒的に少ないためだ。放射線の副作用も当然あるが、外科手術で全身麻酔をした上、臓器を切ることに比べれば、痛みが少なく身体の回復も早い。時代がより低侵襲治療に向かう中でいま、放射線治療がさらに発展していくことは間違いない。
放射線治療といっても、種類や方法が増え、より専門的になっている。今回、徳植公一医師には、患者の立場から、「そもそも放射線とは何か、なぜ放射線で癌が死滅するのか」という基本的な知識から話を伺った。そして、安全でより有効な新しい治療法である『強度変調放射線治療(IMRT)』について解説をお願いした。
IMRTは今までの治療よりも、患部(腫瘍)だけに放射線を集中させ、他の部分には極力放射線を当てないようにできる、画期的な治療法である。
(c)Sakuranohana Shuppan Publications Inc.2016
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優れた「ドクターG(総合診療医)」が、あなたの苦悩をすっきり解消!
早期発見、早期治療。近くでいつでも受診できる、個人的な事情にも配慮してくれる、そして、何より的確に診断し、病院探し、原因探しの毎日から救ってくれる。そんな未来がやってくる。
その実現のため、今、国家プロジェクトとして、医療改革が進んでいる。ドクターG(プライマリ・ケア)の第一人者が、日本医療改革ばく進中だ。
大きな病院は常に患者でいっぱいで、何時間も待って受けるのは5分診療。
いつも癌の不安におびえ、今の不調の原因はいつまでたっても分からない。病院回りに時間を費やすのではなくもっと有意義な人生を送りたいと、日本の高齢者の多くが思っている。日本は、高度な医療を国民皆保険で受けることができる、世界でも稀有な国なのに、なぜか人々の医療に対する満足度は低い。
そこで、日本の総合診療改革の中心的存在、竹村洋典教授(三重大学医学部附属病院総合診療科)に、インタビューした。
早稲田大理工学部から防衛医科大卒業後、米国テネシー大学家庭医療レジデントを経験し、アメリカ家庭医療専門医の資格を持つ竹村医師。
家庭医先進国アメリカで、多彩な研修を経験し、のちに日本型総合診療医の構想を構築する基礎を学んだ。今、日本の医療の改革の中心にいる人物だ。
<はじめに>より一部引用
総合診療医が注目されているのは、日本の医療システムを変える可能性があるからだ。そこで、日本の総合診療医の中心的存在である竹村洋典医師にインタビューした。そこから見えて来たのは、日本が目指すべき医療の明瞭なヴィジョンだった。
それは、新しい日本型の家庭医が地域にしっかりと根付き、初期診断と治療、健康管理を指導する体制である。重症者や各臓器の専門医の対応が必要と判断すれば、地域の基幹病院、大学病院に患者を紹介する。そうすることによって、大病院に患者が集中することを避けることができるし、専門病院は本当の重症者に集中することができる。
この竹村医師のインタビューは広範囲に及んだ。忙しい診療の合間に竹村医師は、ある患者の診断例から国家の医療政策まで熱く一気に語ってくれた。その中で見えてきたのは、高齢化社会と医療費の問題を解決するためには、総合診療医育成こそが鍵ということである。
患者にとって「総合診療医」こそが、本当に必要な医師であるのだ。
国立がん研究センターによると、日本人が最も多くかかる癌が肺癌で、2016年の統計予測では、日本人の77300人が肺癌で死亡すると予想されている。
肺癌治療は、手術・放射線治療・抗癌剤の組み合わせの妙が、寿命を決定する。
癌の大きさ、リンパ節転移、遠隔転移などによって、さまざまな治療法が検討される。
今、放射線治療や抗癌剤など、新しい治療法が次々と報道されているが、何をどう選択したら良いのか? ニュースや通常の解説本では指針が見つからない。
そこで、困難な肺移植で日本一の執刀数があり、肺癌治療の最前線に立つ、京都大学医学部附属病院呼吸器外科教授の伊達洋至医師に現状を聞いてみた。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」番組(2010年10月18日放送「絆を、最高のメス」)に出演した、肺癌治療、また、高度な技術を必要とする肺移植の第一人者である。患者に代わって、率直に疑問をぶつけて、解答を貰った。
手術には、大きくわけて「拡大手術」と「縮小手術」の二つがある。拡大手術とは、転移などの可能性を考え、臓器を大きく切り取るものである。縮小手術とは可能な限り臓器を残し、身体の負担を少なくするものである。
大きく切り取り転移の可能性を低くするか、できるだけ今後の人生の質を保つことに重点を置くか、患者にとって極めてシビアな選択である。
癌治療の画期的な薬として、免疫チェックポイント阻害薬の「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」が登場し、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、2016年8月に、根治切除不能または転移性の腎細胞癌に対して承認を取得した。今後、さらに適応が広がっていくと思われる反面、副作用も報告されている。
本書では、癌治療と合わせて、肺癌の予防法や基本的な検査方法についても、紹介している。
肺癌の原因の第一は、なんといってもタバコである。周囲に漂う副流煙は、喫煙者自身が吸う主流煙よりもさらに健康に悪いことが分かっている。主流煙を1とした場合、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍にものぼる。
自分がタバコを吸わないからといって、肺癌にならないとは限らない。
手術できない膵臓癌に対して唯一の治療法「不可逆電気穿孔法」(通称ナノナイフ治療)
これからは、「筋肉量が寿命を決める」と言っても過言ではない時代である。周囲の人に「急に最近何か姿勢が悪くなったみたい」と言われたら、要注意!
最近特に増えている「成人脊柱変形」は、年相応の加齢による変化かな…と放置してしまいがちだが、背骨が曲がり始めると、筋肉で支えきれなくなり、6カ月から1年くらいで急激に悪化する場合があるので、専門医への受診が必須だ。
現在、75歳以上の人のほぼ3人に1人は、要介護認定者となっているが、要支援・要介護になる人の25%は運動器の障害で、脳卒中や痴ほう症より多い。
超・高齢化社会の中、寝たきりの未来にまっしぐらにならないために、本書紹介の『ノルディック・ウォーキング』をはじめ、筋力をつけて、いつまでも生き生き健康な人生を送ろう!
インタビューした久野木順一医師(日本赤十字社医療センター・整形外科センター長)は、脊椎外科手術のスペシャリストである。だからこそ、どうしたら手術しないで済むか、自分の足でずっと歩き続けることができるかなど、明快な解答が返ってきた。
腰痛の原因は15%しか分からないというデータがまことしやかにささやかれるが、優れた脊椎整形外科医は、痛みの原因9割以上を特定できるという。
骨盤と背骨のバランスは個人で違い、整形外科分野は想像以上にオーダーメイド治療を必要とし、名医は個人差を見極めることができる。整形外科分野で、何を指針としたら良いのか、その核心を聞いた。
平成19年に日本整形外科学会が提唱した言葉「ロコモティブシンドローム(ロコモ:運動器症候群)」は、加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまうなど、そのリスクの高い状態を表す言葉である。
寝たきりリスク7つのチェックポイントとは?
車椅子の人でも、指導を受ければ、手術せず歩けるようになる場合もあるという「ノルディック・ウォーキング」も紹介する。
手術できない膵臓癌に対して唯一の治療法「不可逆電気穿孔法」(通称ナノナイフ治療)
ナノナイフといってもメスではなく、開腹しない治療法で、開腹のような体力の低下が起きない。その膵臓癌に対しナノナイフ治療という最先端治療が、2015年4月よりやっと日本で始まった。先陣を切って治療を行なっている森安史典医師に、この最先端治療について、インタビューした。
森安史典医師は、東京医科大学病院消化器内科主任教授として長年消化器癌治療に携わり、今年3月退官後、4月より山王病院で精力的にナノナイフ治療を行なっている。
現在、肝細胞癌の標準的な治療として位置づけられている「ラジオ波焼灼術」も、日本で最初に始めた医師の一人。「森安先生が認めて導入した診断法や治療法は、10年後には必ず日本の医療現場で主流になる」と言われているという。
<はじめに>より引用
2016年1月、国立がん研究センターが癌患者の10年生存率を初めて公開した。胃や乳癌のステージIでは9割以上が10年以上生存していることに対し、膵臓癌はステージIの患者でも3割以下しか生存できない。膵臓癌は自覚症状もなく進行し、早期発見も極めて難しい。癌が発見された時にはすでに手術不可能である場合が多く、患者に突然の余命宣告する「難攻不落の癌」といわれている。ゆえに患者は一刻も早く新たな治療法が開発されることを待ち望んでいる。 この最も困難な膵臓癌に、『ナノナイフ』と呼ばれる全く新しいアプローチで挑んでいるのが森安史典医師である。その詳細は本書で解説するが、ナノナイフという電極針を癌患部まで刺し、高圧電流で癌細胞を撃退するというものである。切除不可能の膵臓癌に対し、残された最後の望みといえる最新治療である。 この治療の画期的な点は、第一に開腹手術ではなく、皮膚から数本の針を刺すだけで身体への負担が少なくて済む点である。第二に電流が流れた場所の癌は細胞死するので癌の取り残しが極めて少ないことである。癌が複雑に血管に絡みついて、数年前までは打つ手がなかったような膵臓癌に対しても、このナノナイフで治療が可能になった。欧米では、わずか3日後に退院するほど画期的な治療法である。 ナノナイフ治療は日本ではまだ始まったばかりである。森安医師は、膵臓癌以外にすでに肝臓癌へのナノナイフ治療を実施しているが、今後、さらに適応範囲は肺癌・乳癌・胃癌・大腸癌・前立腺癌と広がることが期待される。
心臓などで使われる、細い管状の器具を足などの血管から挿入して行なう「カテーテル手術」が、脳血管外科の分野でも使われるようになり、未破裂動脈瘤を開頭しないで治療する選択肢が加わった。
最新治療の最新ステント「フローダイバーター」について、兵庫医科大学病院 脳神経外科教授 吉村 紳一医師に尋ねた。
岐阜大学医学部卒業後、国立循環器病センター、ハーバード大マサチューセッツ総合病院、チューリヒ大学で腕を磨いた吉村医師は、開頭手術もこの最新カテーテル治療も両方スペシャリストの、日本でも世界でもごく限られた脳外科医であり、現状を熟知する最適な医師である。
寿命は自分で作る時代となった。健康なうちに読んでおきたい本である。
<はじめに>より引用
医師が患者に長時間の大手術をして誇る時代は終わろうとしている。脳の血管や心臓に病気が見つかった場合、傷が小さく短時間で終わるカテーテルという血管内治療が現在では主流になりつつある。
例えば、脳の血管にできるこぶ、脳動脈瘤がある。最悪の場合、血管が破裂して、くも膜下出血を起こす。患者は小さな脳動脈瘤があると診断されただけでも、いつ破裂するかわからない危険の中で生活をしなければならない。その精神的な負担は本人も家族にとってもとても大きい。その対処法として医師から外科手術を薦められても、「開頭手術」と聞いただけで恐ろしくなってしまい、決断ができずに結局は放置してしまう患者が多い。
しかし、それはもう過去のことである。カテーテル治療は手術することなく、足や腕の血管から、細い管を通してくも膜下出血などを未然に防ぐものである。近年、日本でも急激に治療実績が増え、安全性が立証されて、現実的な選択肢となった。現代の医療は数年後さえも想像できないほど、凄まじいスピードで進歩している。
今回、インタビューした吉村紳一医師は、そのカテーテル治療と従来の開頭手術の両方を操る、日本ではまれなハイブリッド脳外科医だ。両方の利点・欠点を熟知する脳外科医として、この治療法の解説を訊くのに最適な医師である。
今の医療現場では、いかに患者の身体に負担をかけずに、治療を終わらせるかということがテーマとなっている。その流れがついに脳血管外科まで及んできたということである。病気になっても慌てることなく、できるだけ身体の機能を温存して、医療の進歩を待ってから治療を選択するのも一つの方法である。
優れた「ドクターG(総合診療医)」が、あなたの苦悩をすっきり解消!
早期発見、早期治療。近くでいつでも受診できる、個人的な事情にも配慮してくれる、そして、何より的確に診断し、病院探し、原因探しの毎日から救ってくれる。そんな未来がやってくる。
その実現のため、今、国家プロジェクトとして、医療改革が進んでいる。ドクターG(プライマリ・ケア)の第一人者が、日本医療改革ばく進中だ。
大きな病院は常に患者でいっぱいで、何時間も待って受けるのは5分診療。
いつも癌の不安におびえ、今の不調の原因はいつまでたっても分からない。病院回りに時間を費やすのではなくもっと有意義な人生を送りたいと、日本の高齢者の多くが思っている。日本は、高度な医療を国民皆保険で受けることができる、世界でも稀有な国なのに、なぜか人々の医療に対する満足度は低い。
そこで、日本の総合診療改革の中心的存在、竹村洋典教授(三重大学医学部附属病院総合診療科)に、インタビューした。
早稲田大理工学部から防衛医科大卒業後、米国テネシー大学家庭医療レジデントを経験し、アメリカ家庭医療専門医の資格を持つ竹村医師。
家庭医先進国アメリカで、多彩な研修を経験し、のちに日本型総合診療医の構想を構築する基礎を学んだ。今、日本の医療の改革の中心にいる人物だ。
<はじめに>より一部引用
総合診療医が注目されているのは、日本の医療システムを変える可能性があるからだ。そこで、日本の総合診療医の中心的存在である竹村洋典医師にインタビューした。そこから見えて来たのは、日本が目指すべき医療の明瞭なヴィジョンだった。
それは、新しい日本型の家庭医が地域にしっかりと根付き、初期診断と治療、健康管理を指導する体制である。重症者や各臓器の専門医の対応が必要と判断すれば、地域の基幹病院、大学病院に患者を紹介する。そうすることによって、大病院に患者が集中することを避けることができるし、専門病院は本当の重症者に集中することができる。
この竹村医師のインタビューは広範囲に及んだ。忙しい診療の合間に竹村医師は、ある患者の診断例から国家の医療政策まで熱く一気に語ってくれた。その中で見えてきたのは、高齢化社会と医療費の問題を解決するためには、総合診療医育成こそが鍵ということである。
患者にとって「総合診療医」こそが、本当に必要な医師であるのだ。
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