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「汐莉さんのことなんて、信じるんじゃなかった。」
死を願い、もたらされる死を希望に生きてきた少女・比名子と、そんな彼女を欺き、命を守ろうとしていた人魚の汐莉。
真意を伝え死を踏みとどまってもらおうと比名子との対話を試みるも、
彼女の抱える絶望は既に取り返しのつかない域に達していて…。
生きる希望を完全に失くしてしまった比名子が明日を生きる為、
汐莉が下す最悪の決断と、その契りとは――。
各737円 (税込)
「私は君を喰べに来ました。」
突然現れた人魚の少女・汐莉は
海辺の街に独り暮らす女子高生・比名子の手を取り
そう優しく語りかける。
妖怪を惹きつける特別に美味しい
血肉を持つ比名子を求め現れた彼女は、
成熟し、最高の状態を迎えるまで比名子を守り、
そして、
すべてを喰らい尽くす。
遠からぬ未来の理不尽な死を突き付けられ、
比名子の胸に渦巻く想いは――。
「このひとなら私を――…」
「君、なんでそんなに死にたがっているんです?」
人を喰らう人魚の少女・汐莉に本心を見透かされていた、
死を望む孤独な少女・比名子。
家族全員を事故で亡くした日、家族の最期の願いが
比名子を蝕むある呪いをかけていた――。
「家族の分まで、私は――…」
幼い頃から比名子を支えてくれた親友・美胡は「オキツネ様」と呼ばれる人喰いの妖怪だった。
しかし彼女の正体が妖怪であれ、絶望に囚われていた幼い比名子を救ったのは、間違いなく美胡の存在で――。
正体を知ってなお友人として手を差し出す比名子に、突如美胡の鋭い爪牙が迫る。
「そんなだから、悪い妖怪に付け入られるんだよ」
死を希う少女・比名子と、比名子の特別な血肉を喰らいに現れた人魚の妖怪・汐莉。
互いの望みを叶える為だけに共にいるはずのふたりであったが、
次第に比名子は、汐莉にそれ以上の感情を抱くようになる。
捕食者、被捕食者という関係を超えて、自分たちはどういう関係なのか。
思い悩む比名子であったが、そんな彼女に迫る新たな怪しい影があり――。
「自らの身体が円熟したその時、汐莉に喰い殺してもらう」
それが死を希う少女・比名子が人魚の汐莉と交わした約束だった。
しかしある事件をきっかけに、この約束が反故にされかねない
自身の血に隠されたとある秘密を聞かされてしまう。
「汐莉は自分の願いを叶えてくれる存在のはずだ」
そう信じ、血の真相を問いつめる比名子だったが、汐莉から告げられたのは予想だにしない残酷な真実で――。
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