信玄の病は篤い。命、旦夕に迫っていた。武田軍は一刻も早く上洛を果たさなければならない。だが信長誅殺の難題が立ちはだかっている。連合軍を率いる勝頼は、ついに関ヶ原の突破を決断。上杉景勝に援兵を要請し、近江に信長を追い詰め、京めざして最後の進撃を開始する。一方、病臥の信玄は、人生最後の戦略を構想していた。
(C)工藤章興/学研
各836円 (税込)
都に旌旗をひるがえして天下に号令する――。西上を開始した信玄は三方ヶ原で家康を打ちのめす。だが信玄の病は篤い。しかし、たとえ我が身は滅んでも、と作戦を続行。三河・吉田城を包囲し、信長の出方を窺う。驚倒した信長は家康救援を決意、秘策を胸に岐阜を発つ。岡崎城外で対峙する武田軍と織田・徳川連合軍。智謀の限りをつくす両雄の初対決が今始まる。
信玄の信長包囲網は急速に絞り込まれてゆく。京都・摂津・河内・近江・伊勢で反信長勢力が蜂起。本拠地岐阜城は長島一向一揆勢らに包囲され孤立した。もはや信長の撤兵は時間の問題、と思われていた。だが信長は小豆坂から一歩も動かない。逆転攻勢を目論む信長は神略をめぐらす。ターゲットは勝頼。血気にはやる荒武者は……。
三河・小豆坂で大敗したのち、二俣城で再西上の準備を進めていた信玄のもとに“謙信、上野に進入”の凶報が飛び込んできた。もちろん謙信の行動は、信長の差し金である。信玄は二俣城を山県昌景に託し、長駆の北上を決意する。“甲斐の虎”と“越後の龍”、宿敵同士の戦いが上野・利根川河畔を舞台に繰り広げられる。
大逆襲の嵐を巻き起こした信長軍団は、長島一向一揆の殲滅を目論み、北伊勢に侵攻。片や信玄は、富士山麓の樹海の中に、秘密兵器工場と鉄砲訓練場を建設。3000人の鉄砲隊と騎馬隊による精強軍団を構成し、信長打倒策を着実に推し進めようとする。はたして信玄の戦略は結実するのであろうか?
再び西上作戦を開始した信玄は、本拠地を駿河・駿府城に移した。東海道筋を突き進もうと企図しているのだ。最初のターゲットは、家康の領国、遠江。総大将・勝頼は、堅城高天神城を兵糧攻めする。功城することほぼ3か月、だが落とせない。苦悩する勝頼のもとに父・信玄が訪れるのだが……。
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