小さな、けれど平穏な踏鞴家給地の日々は永遠には続かない。
ミリシアとピスフィは、本来の目的であった交渉をしに領主館に向かう。
一度は殺されかけた康太もまた、この踏鞴家給地で起こったことを聞くために同行した。
そこで話を聞いた康太は、全てを失った月句のために、
踏鞴家給地の食材を使い、思い出の饗宴でもてなすことを決める。
ぶどう酒色の春。夏にたなびく淡雪。紅に染まる秋。冬は白く、あたたかく。
四季の記憶を料理に起こされ、月句は過去と向き合っていく。
そして、康太も新たな旅立ちを決めていた。
若き居酒屋店主にエルフの娘、夢を見る商人に知識に取り憑かれた少年……それぞれが選ぶ道とは――。
中野 在太(ナカノアルタ):神奈川県在住。本作にてデビュー。
七和 禮(シチワレイ):イラストレーター。
「汐汲坂のカフェ・ルナール 」「転醒のKAFKA使い」
「お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! 」「放課後四重奏」
「探偵失格」他、ラノベ・TCG等のイラストを担当。
(C)Aruta Nakano
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(*詳細)
護民官を僭称し、ヘカトンケイルを恐怖で覆ったナバリオーネは獄死した。
しかし、ヘカトンケイルは未だ危地のただなかにあった。
残桜症――高い感染力と致死率を持つ疫病が尚もはびこる中で、
季節は巡り、冬となった。
降りしきる雪と下がり続ける気温が、史上類を見ない厳冬を物語っていた。
ピスフィやナバリオーネが予見していた通り、凍れる冬がヘカトンケイルを襲ったのだ。
全球規模の寒冷化と未曽有の疫病に苦しめられ、
滅亡めがけて転がり落ちていくヘカトンケイルで、
康太は自分にできることを探し続ける。
釣り糸を垂らして根魚を釣り、おにぐるみの樹液を煮詰め、干潟で青のりを拾い、
移民島の畑で大根を引っこ抜き……
疫病対策で康太が出した結論は――屋台。
「十祭ヘカトンケイル店、本日これよりオープンです。
みなさまのご来店を、心よりお待ちいたしております」
今できることを、今できるだけ。
市民が家にこもり、街が閉ざされ、流通網が麻痺し、
何もかもが凍って朽ちていく世界で、
康太は屋台を牽き、ひとびとを暖める。
ゆたかなれ、と、願いながら。
一方でピスフィの前には、エイリアス・ヌル、
残桜症を世界に放った惨劇の首謀者が姿を現していた。
めおと神のアノン・イーマスとして各地の神話に名を残す白神は、
小さく完璧な世界とそのレシピについてピスフィに語り始める。
「白神にデザインされたこの世界はかつて一度も歴史を持ったことがなく、
あるのは時間の堆積だけです」
凍れる冬の冷厳に、死を招く疫病に、古く強大な白神に、
抗する術など持たないままで、康太たちは力の限り生きて抗う。
全ての夢と呪いと因縁が吹雪の中に収束する、
〝ヘカトンケイル編〟完結巻。
中野 在太(ナカノアルタ):静岡県在住。本作にてデビュー。
七和 禮(シチワレイ):イラストレーター。「汐汲坂のカフェ・ルナール 」「転醒のKAFKA使い」「お嬢様が、いけないことをたくらんでいます!」「放課後四重奏」「探偵失格」他、ラノベ・TCG等のイラストを担当。
638円〜836円(税込)
若き居酒屋店主・紺屋康太が転生したのは、わずかな棚田でお米をつくり、
エルフの娘がどぶろくをかもす、日本の里山みたいな異世界。
ひょんなことから康太は、超先進国からの客に饗宴の席を設けることになる。
ただ、この土地には食材は米と黒豆ぐらいしかなく、
調味料も調理器具も存在しない。
康太は『ないものはない、あるものはある』の精神と
接客技術で饗宴を成功に導く。
そして、エルフの娘の家に転がりこみ、異世界暮らしが始まる。
ある日、康太は傷ついた少年のため、小麦もチーズもない世界で、
ピザをつくろうと走りまわる。
神話を紐とき、失われたエルフの食材を得て焼き上げたローマピザの味は……! ?
異世界に転生した居酒屋店主が、乏しい食材で料理作りに奮闘する。
そんな、ごはんとお酒の物語。
中野 在太(ナカノアルタ):神奈川県在住。本作にてデビュー。
七和 禮(シチワレイ):イラストレーター。
「汐汲坂のカフェ・ルナール 」「転醒のKAFKA使い」
「お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! 」「放課後四重奏」
「探偵失格」他、ラノベ・TCG等のイラストを担当。
若き居酒屋店主、紺屋康太が異世界の住民に受け入れられてからしばし時が流れた。
ある日、異世界の星座に興味を持った康太は、星座について教えてもらおうと、
集落の外れに住む異邦の老ドワーフ、鉄じいさんのもとを訪ねる。
だが、老ドワーフは康太をすげなく追い返した。
鉄じいさんは、他人と関わり合いになるのを避けつづけてきた。
そのせいで、鉄を操る凄腕の魔述師でありながら、ひとびとに疎まれている。
鉄じいさんの昔語りと思わぬ優しさに触れた康太は、
喜んでもらいたい一心で、勝手に饗宴を請け負った。
鉄じいさんの故郷の料理を再現するため、
康太は、またも異世界の里山を走り回るのだった。
中野 在太(ナカノアルタ):神奈川県在住。本作にてデビュー。
七和 禮(シチワレイ):イラストレーター。
「汐汲坂のカフェ・ルナール 」「転醒のKAFKA使い」
「お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! 」「放課後四重奏」
「探偵失格」他、ラノベ・TCG等のイラストを担当。
小麦も豚肉も存在しない異世界で春巻をつくり、よく冷えた蒸留酒の杯を干す。
見目うるわしきエルフの娘さんといっしょに酔っぱらう、異世界の穏やかな午後。
踏鞴家給地での日々を重ねる康太を訪ね、懐かしい客がやって来た。
超先進国ヘカトンケイルの貿易商人ミリシア・ネイデル、
踏鞴家給地にやって来て数十分の康太にクレーム対応を迫った女性である。
彼女に連れられて踏鞴家給地にやって来たのは、
“ピーダーとネイデル、クエリアの会社”の代表人を名乗る少女、
ピスフィ・ピーダー嬢だった。
商売のためこの地にやって来たのだと語るピスフィとミリシアは、
榛美の家に転がり込んだ。
ややこしいことになりそうだと予感する康太だが、案の定、
ピスフィはたちまち踏鞴家給地のひとびとに疎んじられてしまうのだった。
中野 在太(ナカノアルタ):神奈川県在住。本作にてデビュー。
七和 禮(シチワレイ):イラストレーター。
「汐汲坂のカフェ・ルナール 」「転醒のKAFKA使い」
「お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! 」「放課後四重奏」
「探偵失格」他、ラノベ・TCG等のイラストを担当。
小さな、けれど平穏な踏鞴家給地の日々は永遠には続かない。
ミリシアとピスフィは、本来の目的であった交渉をしに領主館に向かう。
一度は殺されかけた康太もまた、この踏鞴家給地で起こったことを聞くために同行した。
そこで話を聞いた康太は、全てを失った月句のために、
踏鞴家給地の食材を使い、思い出の饗宴でもてなすことを決める。
ぶどう酒色の春。夏にたなびく淡雪。紅に染まる秋。冬は白く、あたたかく。
四季の記憶を料理に起こされ、月句は過去と向き合っていく。
そして、康太も新たな旅立ちを決めていた。
若き居酒屋店主にエルフの娘、夢を見る商人に知識に取り憑かれた少年……それぞれが選ぶ道とは――。
中野 在太(ナカノアルタ):神奈川県在住。本作にてデビュー。
七和 禮(シチワレイ):イラストレーター。
「汐汲坂のカフェ・ルナール 」「転醒のKAFKA使い」
「お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! 」「放課後四重奏」
「探偵失格」他、ラノベ・TCG等のイラストを担当。
踏鞴家給地を離れ、
ピスフィたちと共に広い世界へ旅立った康太と榛美は、
世界の資産の八割を独占するという
世界一強大な国家・ヘカトンケイルに到着する。
ヘカトンケイルにはショッピングモールと呼ばれる巨大な施設があり、
まるで現代日本のように物であふれ、とても豊かな環境だった。
あまりの違いにうろたえる榛美と豪華な食事を楽しんでいると、
ミリシアから弟の話を聞かされる。
いつまでもふらふらとしている弟には
生涯をかけた仕事を見つけてほしいと願い、
康太にその手伝いをしてほしいのだという。
頼まれた康太は気づけばなぜか、
ミリシアの弟・パトリトとともに、船に乗って釣りをしていた――。
中野 在太(ナカノアルタ):静岡県在住。本作にてデビュー。
七和 禮(シチワレイ):イラストレーター。
「汐汲坂のカフェ・ルナール 」「転醒のKAFKA使い」
「お嬢様が、いけないことをたくらんでいます! 」「放課後四重奏」
「探偵失格」他、ラノベ・TCG等のイラストを担当。
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