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『福永武彦 電子全集(文芸・小説)』の電子書籍一覧

1 ~20件目/全20件

  • 若き日の福永の苦悩の日々を綴った『戦後日記』『新生日記』に加え、晩年の画文集『玩草亭百花譜』と年譜等を収録した最終巻。

    『福永武彦戦後日記』は2011年、没後32年を経て刊行され、1945年、46年、47年の日記が収録されている。
    45年は終戦後、疎開先の帯広から職を求め上京する生活、46年は妻と息子の待つ帯広への帰郷と教職へ就くさま、47年は結核に侵され帯広療養所での病中日記が記されている。
    翌年に刊行された『福永武彦新生日記』は、1949年と1951~53年の日記が収録されている。
    49年は東京清瀬の療養所での病中日記であるともに、家族生活の崩壊の兆候が記され、51~53年の日記では、妻と協議離婚後の入院最後の病中日記。
    両日記を通じ、福永作品読解のための様々な材料を見つけ出すことができる貴重な資料である。
    『玩草亭百花譜』は全3巻からなり、1975年夏以降、亡くなる直前までに福永自身が描いた草花を中心に構成された画趣溢れる画文集。
    他に単行本や全集に未収録のエッセイ、解説文、対談・座談などを収録。

    附録として、自筆書庫図、初刊版『塔』印税支払い通知画像に加え、「福永武彦年譜」も掲載。
  • 敗戦直後の日本文学へ警鐘を鳴らす評論集として大きな反響を呼んだ『1946文學的考察』等、外国文学への評論を纏めた一巻。

    『1946文學的考察』は、マチネ・ポエティクの同志・中村真一郎と加藤周一の共著。敗戦直後の日本文学へ警鐘を鳴らす評論集として大きな反響を呼んだ。当巻では、福永が記した作品のみを収録。
    また、『福永武彦作品 批評A』からは外国文学に関する評論、解説文16篇も収録。
    さらに、学習院大学仏文科での講義録『二十世紀文学論』では、二十世紀の作家が二十世紀の西欧小説の企てとして類のない貴重な一冊であると同時に、福永文学のへの手引きともいえるものでもある。
    翻訳作品としては「早春」(作・ヴァレリー・ラルボー)、「悪魔のソナタ」(作・ジェラール・ド・ネルヴァル)、「アンドレ・ジイド」(作・ロジェ・マルタン・デュガール)の3篇を収録。
    附録として、福永武彦自筆ノート「世界文学の主流」、福永武彦自筆草稿「椋鳥通信 小引」等を収録。
  • 日本の近現代文学について、作家の目線から「文学作品」として生み出された評論文の数々。「群像」での創作合評も見逃せない。

    随筆とエッセイを明確に区別していた福永武彦。彼のエッセイは、小説の実作者としての立場から切実な問いかけをもって対象(物)に迫り、多様な資料を駆使しつつも、対象を自らの文学観と切り結ぶ線上で一刀両断に論じていきながら、文学(作品)であることを意図し、作品として自立しているものである。
    収録した『意中の文士たち』や『福永武彦作品 批評B』は、近・現代の日本文学における作家論または作品論等の評論文ではあるが、すべてが「作品」として意図されている。
    『意中の文士たち』では鴎外、漱石、荷風、芥川、谷崎、川端、梶井基次郎、中島敦、堀辰雄、萩原朔太郎、室生犀星に言及し、上巻では「鴎外、その野心」と「鴎外、その挫折」で森鴎外、下巻では堀辰雄への言及が三編と、各巻の集中の柱となっており、福永の両作家への傾倒ぶりが垣間見られる。
    加えて雑誌「群像」での創作合評を、1955年から1969年まで6期間計18回分を収録。“盟友”中村真一郎、加藤周一は言うに及ばず、荒正人、本田秋五、平野謙等の文芸評論家たちとの熱の籠もった合評は大変興味深い。他に「人物評、解説」、「書評」、「新人文学賞寸評」などを収録。
    附録として、『福永武彦作品』の企画が記された直筆手帖、普及版『堀辰雄全集』(新潮社)構成案、「末世の人」直筆構想原稿、『ある靑春』扉の自筆詩篇等を収録。
  • 一高在学時代の詩篇・俳句から、代表作『ある靑春』、晩年の『夢百首 雜百首』まで、詩人・福永の創作物をすべて網羅。

    “詩人・福永武彦”による詩篇、短歌、俳句、漢詩の創作物に加え、ロオトレアモン、ボオドレイル、マラルメ等の訳詩等を一同に会した一巻。

    1章は、一高・帝大在学時に発表された詩篇を中心に構成。詩篇「幻滅」「湖上愁心」「火の島 ただひとりの少女」等を収録。
    2章は、戦後、文芸誌等に掲載された詩篇(1945年~1966年)で構成。「晩い湖」「詩人の死」、長篇詩「死と轉生Ⅰ~Ⅳ」等、「マチネ・ポエティク」(日本語によるソネットなどの定型押韻詩を試みるために始まった文学運動)の一員として活躍していた頃の作品を中心に収録。
    3章は詩集『ある靑春』『マチネ・ポエティク詩集』『福永武彦詩集』『櫟の木に寄せて』、句集『夢百首 雜百首』を収録。
    4章と5章は訳詩にて構成。ロオトレアモン「マルドロオルの歌」、マラルメ「エロディアド」、ボオドレイル「忘却の河」等の詩篇に、訳詩集『象牙集』の初刊本と新版を収録。

    附録として、普及本『ある靑春』扉の自筆詩篇、初刊本『福永武彦詩集』扉の毛筆による自筆詩篇、普及本『夢百首・雜百首』扉に記された短歌と献呈署名、「夢百首」自筆草稿等を収録。
  • 福永文学の集大成・長篇『死の島』と、その原型ともいえる短篇「カロンの艀」。晩年の「海からの聲」「山のちから」を収録。

    雑誌「文藝」に1966年1月から1971年8月まで、断続的に計56回連載された超大作『死の島』。
    初出版は、雑誌連載原稿を底本とし、単行本で削除された「幕合の口上」や「梗概」も完全収録。
    ベックリンの絵とシベリウスの曲から示唆を受け、4人の主要登場人物が複層的に絡み合い、カットバック的に時間が交差し、3つの結末をもつという複雑な構成を持つ『死の島』は1972年、第4回日本文学大賞を受賞した福永武彦の集大成ともいえる作品。
    関連して「死の島」ノオトやインタビュー記事等に加え、1953年に記された「死の島」その原型ともいえる短篇「カロンの艀」(単行本未収録作品)と、『死の島』に言及した篠田一士氏と菅野昭正氏との対談も併録する。

    さらに福永晩年の小説作品として、あえて旧字旧かなで記された「海からの聲」と、遺稿となった作品「山のちから」の未定稿と決定稿2種を収録する。

    附録として、『死の島』の本文主要異同表と章題異同表、『死の島』、「山のちから」の創作ノート、1952年に認めた自筆手帖等を収録している。
  • 師・堀辰雄の「父」を検証した『内的獨白』、愛書家として記した書物エッセイ集『異邦の薫り』『絵のある本』等を一同に収録。

    1976年「文藝」に連載されたエッセイ『内的獨白』は、江戸時代以来の考証随筆の手法を駆使し、福永が青春時代より敬愛し続けてきた堀辰雄をめぐり考察したエッセイ。堀の生い立ちの秘密(実父と育ての父が別人物だったこと等)について、堀自身の認識、文学仲間や研究者の証言、調査、論文などに綿密な考証を加え、師・堀辰雄の人間像に迫った福永晩年の問題作。
    『異邦の薫り』は、『於母影』から『神曲』まで13冊の、福永好みの翻訳詩集について言及したエッセイ集。「訳文と原文」、「訳文と他者訳」を各々抄出、対照、校合して、日本語への独自の寄与と文学的意義、訳文の特色等を具体的に指摘したものである。
    ほか、編纂本として、「堀辰雄・福永武彦版『我思古人』」、「堀辰雄『菜穂子』創作ノオト及び覺書」を収録。
    また、雑誌「ミセス」に連載され、没後に単行本化された『絵のある本』は、福永の書物愛に満ちたエッセイ集で、「読むにも宜しく見るにも宜しく、撫でたりさすったりしたいような本」16冊がセレクトされている。

    附録として、『内的獨白』装幀案、自筆訂正入り『異邦の薫り』「索引」校正刷、自筆手帖より『絵のある本』掲載検討書目等を収録。
  • 過去現在を交錯させ愛の運命を描いた『海市』と、福永自身「小説くさい小説」と言わしめた後期を代表する短篇6篇等を収録。

    巻頭を飾る『海市』は、『廢市』と並んで最も読者に歓迎された作品として、著者生前に26刷りを重ねた、福永武彦後期を飾る代表作のひとつ。伊豆の海岸で主人公・渋の前に突然現れ、海市(海上に現れる蜃気楼)のように消えた女性・安見子。やがて二人は逢瀬を重ねるようになるが、なんと彼女は渋の親友の妻だった……。講評をした川端康成をして「一人称の『私』と三人称の『彼』との特異な使いよう、過去現在の時の特異な組み合わせなど(中略)、私は二度読んで、二度目に見出したものも少なくなかった」と賛辞を送られた。

    「後期六短篇」は、福永をして「小説くさい小説を狙った」と言わしめた作品群(「傳説」「邯鄲」「風雪」「あなたの最も好きな場所」「湖上」「大空の眼」)で、小説の手法として「内密な雰囲気」、「空白な部分への読者の参加」、「時間的感動」という三つの特質を指針に創造されている。
    そのほか、書下ろし作品『海市』とほぼ同時期に、翻訳作業を行ったマロ作の少年少女文学“不朽の名作”『家なき子』を収録。

    附録として、『海市』と「後期六短篇」の本文主要異同表、『海市』と後期短篇のうち「邯鄲」「風雪」「湖上」の創作ノート、「大空の眼」の自筆草稿等の資料写真を収録している。
  • 『古事記』『今昔物語』等の現代語訳版に加え、王朝エンターテインメント小説『風のかたみ』を含む“古代ロマン”に満ちた一巻。

    巻頭を飾る『風のかたみ』は、「今昔物語」を素材とした王朝ロマン風作品。女性誌に連載されたエンターテインメント性の高い作品で、ラジオドラマ、映画、舞台化もされた異色作。加えて『風のかたみ』の前奏曲ともいえる未完作「野風」を自筆草稿から今回、初めてテキスト化した。
    『古事記』では、現代語訳版に加え、少年少女を対象とした『古事記物語』と、「古事記」を素材とした物語の草案「妣の国」を収録している。
    そのほか「日本書紀」、「風土記」、「琴歌譜」、「神楽歌」、「催馬楽」、「風俗歌」に加え、敬愛する先輩・神西清の逝去により翻訳を引き継いだ「今昔物語」、『宇治拾遺物語・お伽草子』から「文正草子」、「浦島太郎」、「福富長者物語」の現代語訳と関連文を網羅。
    附録として、『風のかたみ』の本文主要異同表、『風のかたみ』創作ノート、「今昔物語」を素材とした小説創作ノート等の資料写真を収録。
  • 雑誌連載「十二色のクレヨン」を収録した随筆集『夢のように』や『書物の心』、最後の随筆集となった『秋風日記』を収録。

    第四随筆集『夢のように』(1974年刊)から、第五随筆集『書物の心』(1975年刊)、最後の随筆集となった第六随筆集『秋風日記』(1978年刊)を中心に、単行本未収録随筆9作や、雑誌「波」による最後のインタヴューとなった「病気のこと 仕事のこと」を収録。
    『夢のように』には、雑誌「ミセス」に連載された「十二色のクレヨン」(抄録)ほか、美術、音楽、身辺雑記等の随筆が収められている。うち「十二色のクレヨン」の連載途中に発生した隣家の違反建築騒動に巻き込まれた「違反建築の話」は、単行本には収録されなかったもので、福永の能動的な姿や実行力を垣間見ると同時に、執筆当時の世相を伝える意味でも貴重なレポートといえる。
    『書物の心』は交流のあった作家、文学者との思い出を記した随筆と、59本の書評からなる一冊。
    最後の随筆集となった『秋風日記』は、『死の島』刊行で、自らの文業に一区切りをつけた福永の“文人意識”で貫かれ、随筆集で唯一旧字旧かなで記されている。
    附録として、『夢のように』に収録された「シベリウスの年譜」や、『内田百閒全集』推薦文の自筆草稿等を収録。
  • 師・堀辰雄との交情を記した初随筆集『別れの歌』をはじめ、『遠くのこだま』、『枕頭の書』等の随筆に、対談集『小説の愉しみ』を収録。

    福永武彦による初の随筆集『別れの歌』(1969年刊)から、第2随筆集『遠くのこだま』(1970年刊)、第3随筆集『枕頭の書』(1971年刊)を中心に、単行本未収録の随筆13作に加え、対談集『小説の愉しみ』から中村真一郎、丸谷才一、遠藤周作らとの対談、鼎談等10本を収録。
    福永においては、エッセイ(評論)と随筆とは明確に区別されていた。彼にとって一文の主役が対象(物)であるエッセイ(評論)に比して、主役が福永自身である随筆は「自らにとっての真実を伝える」ための文章であった。
    『別れの歌』は、若き日の回想を綴った作品を中心として編まれ、特に文学上の師匠とも呼べる堀辰雄との交情を描いた「別れの歌」や、堀と出会い、後に自身が長期滞在することになった「信濃追分だより」、徴兵検査に向かう不安神経症の症状や、清瀬の療養所での足かけ7年に及ぶ入院生活の日々を描いた「日の終りに」等の随筆が収録されている。
    旅、絵画、音楽、映画、日常生活に言及した『遠くのこだま』、自身の読書遍歴が垣間見られる『枕頭の書』とともに、福永の内面に写った真実を感じ取るのに恰好の作品集である。
    附録として、『別れの歌』に収録され、作家・室生犀星との思い出を綴った「文士の本懐」の自筆草稿、福永自筆の内田百閒著書註文書簡等も収録。
  • 愛の挫折と不在に悩む家族5人の葛藤を描いた『忘却の河』、“幼くして失った母”の原風景を描いた『幼年』、童話作品等を収録。

    『忘却の河』は、過去の事件に深くとらわれる中年男、彼の長女、次女、病床にある妻、若い男、それぞれの“独白”7章から成る作品。孤独な魂を抱えて救いを希求する彼らの葛藤を描く中で、各人の言動にリアリティが生じ(=社会性を獲得し)、大人の読者が入り込みやすい作品となっており、円熟した文章表現と相俟って福永武彦作品への入門として、最適な作品と紹介されることが多い。

    『幼年』は、福永自身「それはどうしても書かなければならない作品の一つに属してゐた」と記しているように、“幼くして失った母”の原風景を描きながら、主観的記憶尊重の作品として、自我の原型を純粋記憶をもとに探求しようとした重要な作品の一つである。

    そのほか、童話作品として、『幼年』と併行して執筆していた「猫の太郎」(未完)と、古事記をリライトした「おおくにぬしのぼうけん」、『幼年』創作の準備として翻訳したエッセイ「玩具のモラル」を収録する。

    附録として、『忘却の河』、『幼年』の本文主要異同表、未発表の『幼年』構想メモ等の資料写真なども収録。
  • ゴーギャン作「かぐわしい大地」に圧倒され、終生追い続けたゴーギャンの謎。『藝術の慰め』など藝術評論も完全網羅。

    構想から完成まで6年の歳月を費やし、1961年、第15回毎日出版文化賞を受賞した評伝『ゴーギャンの世界』と、作品解説をした『世界の名画 ゴッホ/ゴーガン』を通して、福永が傾倒したゴーギャンの藝術とその謎を解き明かしていく。

    また、藝術評論として雑誌「芸術生活」で連載された『藝術の慰め』は、ピカソ、シャガールなど欧州及び米国の画家22名の絵画を巡ったエッセイで、多角的な視点から一人の画家の個性を描き出している。『意中の画家たち』は日欧のまさに“意中”の画家作品に言及したエッセイ集で、親交があった岡鹿之助の作品は象徴詩的であると、自らの文学観と切り結ぶ線上で論じ、晩年の執筆で福永没後に出版された『彼方の美』や、クラシック音楽に言及した評論「私の内なる音楽」、毎日出版文化賞受賞時のインタビューなども収録している。

    附録として、福永自筆のヘンリー・ミラー絵画のラフな模写や、『ゴーギャンの世界』刊行時に友人に配付された30分限定の小冊子等の資料写真を収録。

    ※この作品はカラー画像が含まれます。
  • 福永の“もうひとつの顔”「探偵小説作家・加田伶太郎」の作品を中心に、推理小説、エッセイ、翻訳作品などを収録。

    収録作品は、福永武彦の別のペンネーム、加田伶太郎名の探偵小説等、推理小説を巡るエッセイ『深夜の散歩』(中村真一郎、丸谷才一共著)、推理小説に関する雑文、解説、および翻訳作品など全49篇を収録。
    名探偵・伊丹英典が活躍する探偵小説「完全犯罪」、「幽霊事件」、「温室事件」、「失踪事件」、「電話事件」、「眠りの誘惑」、「湖畔事件」、「赤い靴」8篇に加え、「女か西瓜か」、「サンタクロースの贈物」、「素人探偵誕生記」、船田学名で記したSF作品「地球を遠く離れて」等を初刊版、決定版の2種ずつ収録している。
    探偵小説においては著者の加田伶太郎は文学作品の創造を目指しておらず、「筋とトリックと推理」を本質的要素として、エンターテインメント性を追求している。推理小説作家・都筑道夫いわく「日本推理小説史上でもユニークな地位をしめる本」と讃した“福永武彦のもうひとつの顔”である。

    また、知的愉楽としての大好きな探偵小説の名作に言及したエッセイ集『深夜の散歩』のうち福永執筆分を完全収録。その他、推理小説への関連文、乱歩、清張作品集への解説文のほか、翻訳作品としてメースン作『矢の家』等を収録。

    附録として、福永武彦直筆署名の入った本『完全犯罪』、『加田伶太郎全集』と、「湖畔事件」「サンタクロースの贈物」の創作ノート等を収録する。
  • 中学、高校時代の時代の校友会雑誌に寄稿した小文、未完作『獨身者』等、戦前に書かれた“青春の軌跡”をたどる。

    収録作品は、戦前の文業(散文)として5分野に分け全92篇を収録。

    「中学時代までの作品」として、1924年2月2日「九州日報」掲載の童謡「ネコトイヌ」を筆頭に、開成中学校「校友会雑誌」に掲載された小文等7篇。「第一高等学校時代の作品」として、「草の花」体験を垣間見ることができる小文「ひととせ」「絶望心理」他の
    小説評論等10篇(うち小説作品は旧字版も併載)。
    さらに、初めての長篇小説『小説風土』の執筆が頓挫している間に構想された小説『獨身者』は、1944年に若者達の“栄光と悲惨”を
    第11章まで綴ったものの未完に終わった作品で旧字版と新字版を併載。
    「映画評論」は1937年から1940年にかけて、主に雑誌「映画評論」に掲載され、全68篇を収録。ペンネーム北原行也名で投稿された作品も多い。
    フランス映画への言及が最も多く、ジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャック・フェーデの作品等を、作品が藝術的であるか否かに
    引き絞って厳しく論評したものが多い。
    また戦前の翻訳作品として『北緯六十度の戀』等6篇を収録している。

    附録として、福永武彦名を紙誌で確認できる最も古い「ネコトイヌ」が掲載された
    「九州日報」1924年2月2日夕刊面、福永自筆家系図、『獨身者』創作ノートなどを収録。

    ※この作品はカラー写真が含まれます。
  • 詩人・福永武彦が、自己の作詩体験に裏打ちされた“憂愁の詩人”ボードレール詩篇の分析と翻訳、解説、小伝等を収録。

    収録作品は、“憂愁の詩人”ボードレールの詩篇の分析、評論、随筆、年表からなる研究書『ボードレールの世界』、パスカル・ピアが記し、福永が翻訳した小伝『ボードレール』、同じく福永が翻訳した、ボードレールの作品集『悪の華』初版と再版と「新・悪の華」、『パリの憂愁』。
    さらにボードレールの作風に影響を受けながらも、「偶然」を排した完全・完璧な美しい詩を書いた、フランス印象派の代表詩人マラルメの作品7篇の翻訳も収録。 戦中よりマチネ・ポエティクの同人として詩篇創作に刻苦していた福永が、戦後「自ら詩を書く者でなければ覗き得ぬ深淵、自らコスモスを持つ者でなければ感じ得ない神秘」を、刻み付けるように記した著作『ボードレールの世界』は、福永初の単著でもあり、同時にフランス文学者としての福永の横顔が垣間見れる重要な作品といえる。
    初刊『ボオドレエルの世界』「序文」の中で福永は「僕は年来ボオドレエルを愛讀してゐるうちに、詩人としての立場、自ら創作する者としての立場から、小さなボオドレエル論を書いてみたいと思ふやうになつた。ボオドレエルの詩作には、自ら詩を書く者でなければ覗き得ぬ深淵、自らコスモスを持つ者でなければ感じ得ない神秘が、多くあるやうに思へた」
    と記している。
    附録として、初刊本『ボオドレエルの世界』自作短歌入り署名本、ボードレール「旅への誘ひ」翻訳過程のメモ等を収録。

    ※この作品はカラー写真が含まれます。
  • 退廃的な田舎町での“青年のひと夏”を描いた「廢市」、ある大学教授の内的独白と死を描いた「告別」等、中短12篇を収録。

    収録作品は、収録順に「廢市」、「沼」、「飛ぶ男」、「幻影」、「樹」、「風花」、「退屈な少年」、「告別」、「形見分け」の小説9篇と関連エッセイ等に加え、新潮社全集未収録作品「高原奇聞」(未完の滑稽小説)、「発光妖精とモスラ」(中村真一郎、堀田善衛と共作。福永パートは[中]、「四人の小妖精見世物となる」)、「もう一度行きたい所」(短文)、「時の雫」(NHKラジオドラマの脚本)で構成される。

    北原白秋の「おもひで」序文から借りたと福永自身が語る「廢市」は、“ロマネスクの追求”ともいえる叙情性に満ちた中篇。後に白秋の郷里・柳河で撮影した大林宣彦監督の映画「廃市」でも知られる作品。また「魂」と「意識」が二分された病で動けない男を描いた「飛ぶ男」、福永には珍しい自伝的作品「風花」、マーラーの交響曲をモチーフに、ある大学教授の内的独白と死を描いた「告別」等の中期の重要な作品を収録。

    怪獣映画として名高い「モスラ」の原作として、映画化を念頭に書かれた「発光妖精とモスラ」(1961年「週刊朝日」別冊に中村真一郎、堀田善衛との共作として掲載)は、福永等の遊び心に満ちた一篇である。

    附録として「廃市」、「飛ぶ男」、「樹」、「風花」、「告別」の本文主要異同表に、少年雑誌に掲載された「大怪獣モスラ」の表紙等を収録。

    ※この作品はカラー写真が含まれます。
  • 詩篇のような短篇集『心の中を流れる河』、『世界の終り』とそこから発展した長篇『夢の輪』を収録。

    詩篇のような味わいをもつ短篇集『心の中を流れる河』、『世界の終り』と、短篇作品「心の中を流れる河」を換骨奪胎し、別の作品として発展展開した未完の長篇『夢の輪』を収録。

    収録作品は、収録順に「夢みる少年の昼と夜」、「秋の嘆き」、「風景」、「幻影」、「死神の馭者」、「一時間の航海」、「鏡の中の少女」、「心の中を流れる河」、「夜の寂しい顔」、「未来都市」、「鬼」、「死後」、「影の部分」、「世界の終り」、「夢の輪」の計15作品。
    純粋小説として生の本質を切り取ろうとした福永の短篇作品の多くは、記されたコトバに刺激された読者の想像力を、日常生活と別次元の現実へ誘うものが多く、詩篇と同様の味わいをもつ。

    多様なテーマをもつ各作品中、SF的色彩の濃い「未来都市」、古典『今昔物語』を題材とした「鬼」、福永自身が気に入っている作品と公言している「心の中を流れる河」と、それが発展した『夢の輪』等、意識の深い底に横たわる揺らぎを凝視した福永武彦の小説世界が味わえる。

    附録として「夢みる少年の昼と夜」、「鏡の中の少女」、「心の中を流れる河」、「夜の寂しい顔」、「死後」、「影の部分」の本文主要異同表と、各作品の創作ノートを収録。

    この作品の容量は、26.8MB(校正データ時の数値)です。

    ※この作品はカラー写真が含まれます。
  • “暗黒意識”を主題にした『夜の三部作』、愛と孤独の様相を正面から描いたエッセイ『愛の試み』。福永文学の精髄に迫る。

    人間の奥深い内部で不気味に蠢き、内側からその人を突き動かそうとする“暗黒意識”を主題に書かれた「冥府」、「深淵」、「夜の時間」からなる『夜の三部作』。死後の世界を舞台にした「冥府」、敬虔なクリスチャンの女性教師と野獣のような男との奇妙な愛を描いた「深淵」、
    男女の三角関係を過去と現在の二重時間軸構造で描く「夜の時間」は、それぞれに福永の死生観が滲み出た先鋭的かつモダニズムに満ちた中篇作品である。
    福永が長期療養生活から復帰して間もない時期に続けざまに発表された作品群ではあるが、それぞれのストーリーに繋がりはない。
    また、ほぼ同時期に発表された短篇「水中花」、「時計」、「遠方のパトス」、「河」も併録。

    一方『愛の試み』は、愛と孤独についての一切の妥協を排して思索した足跡を綴ったエッセイ集で、愛と孤独の様相を正面から論じると同時に、自作小説の自解の側面も持つ重要な作品である。エッセイのほかに9篇の挿話(掌小説ともいえる)から成る。そのうち「愛の終り」は新潮版の文庫版や全集に未収録の作品。

    附録として、「冥府」、「深淵」、「夜の時間」、「遠方のパトス」の主要異動表のほか、「冥府」初刊本扉に記された未発表の自筆俳句、東京療養所入所時の自筆メモ等の貴重な資料も収録している。

    この作品の容量は、35.2MB(校正データ時の数値)です。

    ※この作品はカラー写真が含まれます。
  • 福永自ら処女作と呼ぶ『小説風土』を初出版から決定版まで全4種を完全収録。対照により筆者苦心の手入れ痕も確認できる。

    福永自ら処女作と呼ぶ長篇『小説風土』は、1941年から起筆され、完全版として全貌が発表されるまで16年の歳月を経た作品。
    関東大震災と第2次世界大戦という2つの歴史的大事件に挟まれた16年間。世界が激しく揺れ動いたこの時代、日本という風土に生まれ育った画家・桂の思索、苦悩、そして、片時も忘れえなかった昔の恋人・三枝夫人との再会、その愛の悲劇を通して人生の深淵に迫った力作。若き頃より親しく読み込んだ内外の小説の中でも、特に日本の小説に強い不満を抱いていた福永が、「自ら一つの實驗を試み」として書き始めたものであった。

    今巻では、紙版の全集では不可能な、電子全集ならではの特徴を生かし、『小説風土』の以下の4種の本文を省略なしに全文完全収録している。しかも、附録として収録した「本文主要異同表」により、初出→省略版→完全版という各版の本文異同から各本文を対照することにより、福永苦心の手入れ痕を確認できる特別な構成となっている。

    ・雑誌初出文:「方舟」(1948.7-9)と「文學51」(1951.5-9)
    ・初刊版:第2部全体を省略した通称「省略版」(1952.7)
    ・完全版:初刊版に第2部を増補した「完全版」(1957.6)
    ・決定版:1968年刊の当作品を「決定版」と称するが、当電子全集では、最終手入れのある新潮社刊「福永武彦全集 第1巻」(1987.9)本文を「決定版」とする。

    その他、付録には、「風土構想ノート」や「直筆手帖1948」より「小説 風土」関連メモなども収録している。

    ※この作品はカラー写真が含まれます。
  • 福永の出世作『草の花』を中心に、初めて単行本化された短篇集『塔』、学生時代に書かれた書簡など、作家・福永武彦の出発点とも言える、貴重な初期作品を完全収録。

    第一高等学校3年、18歳の福永が「校友會雑誌」第355号に発表した「かにかくに」、肺病治療のため入院していた清瀬の療養所で、1949~1950年にかけて書かれた「慰霊歌」の収録2篇は、戦後に書かれた最も美しい青春小説のひとつ『草の花』(初刊版と決定版2種を収録)の原型となった作品。

    収録した関連作品の中で、詩篇「戸田の春」と冊子「平野和夫君を偲びて」収録の俳句2句は、単行本、全集等未収録の貴重なもので、随筆「病者の心」は、療入所中に自身の心の推理変転を具体的に描き、『草の花』冒頭の章「冬」に繋がっていく重要作品である。

    また、『草の花』「冬」の章と同じ精神的風土を表出し、福永自ら「小品」と呼ぶ4作「晩春記」、「旅への誘い」、「鴉のいる風景」、「夕焼雲」も併録。

    一方、1948年に福永初の単行本と初刊が発売された『塔』からは、詩の精神を小説に定着させようとした実験的小説「塔」、「雨」、「めたもるふぉおず」を、初刊版と決定版の2種を収録。

    作家・福永武彦の“文学の嚆矢”を理解する上で絶対欠かせない、ファンはもちろん、研究者も必見の第1巻である。

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