極東国際軍事裁判の苛烈な攻防戦も終盤を迎え、焦土の日本に判決の下る日も近い。勝者が敗者を裁く一方的な展開に、言語調整官として法廷に臨む賢治は、二つの祖国の暗い狭間で煩悶する。そして唯一の慰めであった梛子の体に、いつしか原爆の不気味な影が忍び寄る……。祖国とは何か。日系米人の背負った重い十字架を、徹底的な取材により描ききった壮大な叙事詩の幕が下りる。
693円〜825円(税込)
アメリカに生まれ、アメリカ人として育てられた日系二世たち。しかし日米開戦は彼らに、残酷極まりない問いを突きつけた。アメリカ人として生きるべきか、それとも日本人として生きるべきなのか――。ロサンゼルスの邦字新聞「加州新報」の記者天羽賢治とその家族の運命を通して、戦争の嵐によって身を二つに裂かれながらも、真の祖国を探し求めた日系米人の悲劇を描く大河巨編!
合衆国への忠誠を示すため、砂漠の強制収容所から米軍に志願し、欧州戦線に向かった末弟・勇。日本で教育を受け、帝国陸軍兵士として出征した次弟・忠。自らも米軍の語学将校となって南太平洋に配属された賢治は、血を分けた弟と戦場で出会うことを恐れていた。しかし地獄のフィリピンで彼が遭遇した、痩せさらばえた日本兵は……。戦争は天羽一家の絆を容赦なく引き裂いてゆく。
終戦の翌年、極東国際軍事裁判が始まり、賢治はモニター(言語調整官)として法廷に臨むことに。戦勝国と敗戦国、裁く者と裁かれる者、そのいずれもが同胞だった……。重苦しい緊張の中で進行する裁判の過程で、自らの役割に疑問を抱き始める。家庭では妻との不和に悩まされ、次第に追い詰められてゆく賢治は、日本で再会した加州新報の同僚・梛子に、かけがえのない安らぎを感じていた。
極東国際軍事裁判の苛烈な攻防戦も終盤を迎え、焦土の日本に判決の下る日も近い。勝者が敗者を裁く一方的な展開に、言語調整官として法廷に臨む賢治は、二つの祖国の暗い狭間で煩悶する。そして唯一の慰めであった梛子の体に、いつしか原爆の不気味な影が忍び寄る……。祖国とは何か。日系米人の背負った重い十字架を、徹底的な取材により描ききった壮大な叙事詩の幕が下りる。
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