ブロマンスとは?
ブロマンスとは「Brother(ブラザー)」と「Romance(ロマンス)」を合体させて生み出された言葉です。男性同士の関係を描くジャンルとしては恋愛がメインの「BL(ボーイズラブ)」がよく知られていますが、「ブロマンス」は恋愛以外の幅広い関係を指します。
たとえば「アツすぎる友情」「誰も割って入れない特別な親しい関係」「かけがえのないバディ」「ソウルメイトのような絆」「お互いに高みを目指すライバル」など。唯一無二の関係性や近すぎる距離感、特別な関係であることを匂わせる描写に、引き込まれずにはいられません!
今話題のブロマンス!中国・韓国系のラノベから火が付いた!?
ブロマンスという言葉が浸透する前から、「男同士の熱い関係」という概念を愛する読者は存在していました。
ここへきて「ブロマンス」として話題にのぼるようになったのは、中国や韓国で発表された小説やラノベがドラマやアニメになり、多くの人の目にふれたことがきっかけともいわれています。中国ドラマ「陳情令」や韓国ドラマ「トッケビ~君がくれた愛しい日々」などはその代表作といえるでしょう。
まずは、中華ブロマンスの火付け役とも言える、ラノベを2作品ご紹介します。
天官賜福
疫病神扱いされている神官の謝憐(シエ・リェン)は、下界で信徒を探す途中で三郎(サンラン)という少年と出会う。三郎の正体は花城(ホワチョン)という鬼で、2人には運命と呼ぶべき過去があった。本作は日本でも2021年にアニメが放送されたほか、実写化も発表されています。
天界・人間界・鬼界という三界を舞台に繰り広げられる中華ファンタジー。長い時間を経て紡がれていく謝憐と花城の関係は、まさにブロマンス!2人の関係性がメインながら、キャラクターの多様性や物語のスケールの大きさにも圧倒されます。
王道&超おすすめブロマンス漫画5選!ドラマやアニメ化作品も
「ブロマンスってどういうもの?」「ブロマンスを読んでみたい」なんていうときはまず、多くの人から愛されている王道作品をチェックしておきましょう!ドラマ化やアニメ化された作品も多い王道のブロマンス漫画を5作品ご紹介します。
BANANA FISH
ニューヨークのストリートを根城にするアッシュは、兄を廃人にした「バナナフィッシュ」の存在を追っていた。あるとき日本からやってきた大学生の奥村英二と出会い、ともに過ごすうちに心を通わせるようになっていく。2018年に放送されたアニメも反響を呼び、番外編は「BANANA FISH ANOTHER STORY」として刊行。
これぞブロマンスの王道!人生や価値観を変えるほどの人と出会えたアッシュは弱みを抱えることになりますが、同時に魂が救われていく描写に涙が止まりません。ハードボイルドな世界観と、少年の繊細な感性を融合させたストーリーには、時代を超えて愛される魅力が詰まっています。ブロマンス漫画がどんなものか知りたい人は、まずは「バナナフィッシュ」を読むことをおすすめします。
さんかく窓の外側は夜
除霊師の冷川理人は、霊が見える目を持つ書店員の三角康介を助手として雇う。霊が怖い三角は乗り気でないものの、冷川が三角に触れて行う除霊を気持ちいいと感じてしまい、タッグを組んで事件に立ち向かうことに…。
アニメ化、映画化もされた人気作品。おどろおどろしい幽霊や犯罪が登場する、心霊バディもののブロマンス漫画です。ホラー・ミステリー・ブロマンスという3つの要素にエロティックな描写も加わって、延々とおかわりできる味わいに仕上がっています。冷川と三角は相棒でありながら、ボケとツッコミのようでもあり、クスッと笑えるシーンもあります。
ストレンジ
「女装するゲイと男子高校生」「不良と図書委員」「娘のいるサラリーマンとハワイの青年」など、2人組の男性が登場する6編が収録されている短編集。「このマンガがすごい!2018」ではオンナ編の第8位にランクインしました。
この作品でスポットが当たっているのは、それまで関わることのなかった男性2人の人生が交わる瞬間。そこには思わぬ発見や驚きがあり、丁寧に描かれている感情の変化にも心を揺さぶられます。友情や愛情といった規制の表現には当てはまらない、独特の空気感が漂う名作です。
ブロマンス漫画と言えば2人組のバディ!パートナーから友情モノまで6作品を紹介
バディといえば、普段は空気のような存在でもピンチに陥れば助け合い、強敵にはともに立ち向かい、ときには生死をともにするもの。バディの数だけドラマが生まれるといっても過言ではありません!ここでは、関係性がグッとくる2人組に着目した6作品をご紹介します。
WILD ADAPTER
かつて出雲会の年少組リーダーを務めていた久保田誠人は、右手が獣化している記憶喪失の少年・時任稔を拾い同居を始める。2人は、人間が獣のようになりやがて死に至る謎のドラッグ「W.A」を追うことになるのだが……!?
「最遊記」を手がけた峰倉かずや先生のハードボイルド作品です。時任を「ウチの子」と呼ぶ久保田と久保田に懐く時任は、お互いがなくてはならない存在同士。「W.A」を追ううちにさまざまな危険に遭遇することになりますが、暴力と機転と連携でピンチを切り抜けていきます。さらに、時任と出会う前の久保田のエピソードもほのかなブロマンスで、こちらも必見!
GetBackers-奪還屋-
相手に幻覚を見せる能力を持つ美堂蛮と、体内で発電する能力を持つ天野銀次は、依頼を受けて何でも奪い返す「奪還屋」を営んでいる。非合法の裏家業がまかり通る裏新宿で、依頼人の大事な物を奪い返すべく、奪還屋がド派手なアクションを繰り広げる、アニメ化もされた2000年代マガジンの人気作品。
コンビを組む2人がさまざまな依頼をこなしていく痛快アクションです。見た目も能力も異なる2人の共通点は、情に厚いこと。男が惚れる男たちが、協力して仕事をこなす熱い展開から目が離せません!
ハコヅメ~交番女子の逆襲~
主人公は、交番勤務をする女性警察官の川合麻依と藤聖子。「取り調べ」「補導」「行方不明者捜索」といった警察官の仕事や日常を女性目線で描いた作品で、ドラマ化・アニメ化もされました。
メインのキャラクターは女性2人ですが、取り調べの天才といわれる天然パーマの源刑事と、ペアを組む後輩の山田刑事のブロマンスに注目。一緒にコンパに出たり、グチを言い合ったりする姿には、仲の良さが表れています。さりげないひと言からお互いへの信頼が伝わってくるシーンもあり、刑事モノのバディ好きにはたまりません!
動物のお医者さん
ひょんなことから迎え入れた、シベリアンハスキーの愛犬チョビの医療費を節約するために、H大学獣医学部に入学した西根公輝(通称ハムテル)。一緒に進学した親友の二階堂昭夫や先輩の菱沼聖子、アフリカを愛してやまない漆原教授といった個性派のキャラクターたちや、獣医学部ならではのエピソードがユーモラスに描かれている。
シベリアンハスキーの人気を高めた名作で、ドラマ化もされました。大学生の割に達観した雰囲気のハムテルと、ネズミが苦手にもかかわらずハムテルにくっついて獣医学部に入る二階堂は、お互いにあうんの呼吸で分かり合える存在。2人のまったり感と個性豊かな動物たちから、癒やしと笑いがもらえます。
出会いは宿命!ブロマンスに欠かせないライバル漫画3選
勝負ごとやひとつの道を究めることがテーマの漫画にかかせないもの、それはライバルの存在です。お互いに頂点を目指し、進む道は違っても全力で戦えるライバルは、ある意味仲間よりも貴重な存在といえるのかもしれません。「こいつと戦うために生まれてきた」と思わせるような、ライバルとの関係が熱い漫画を3作品ご紹介します。
ヒカルの碁
小学生の進藤ヒカルは、平安時代を生きた囲碁棋士・藤原佐為の幽霊に取り憑かれ、碁会所で碁を打つことになる。そこで名人の息子であり天才と名高い塔矢アキラと一局交えたことで、2人の運命は大きく揺れ動くことに…。囲碁ブームを巻き起こし、アニメ化もされた囲碁漫画の金字塔。
ブロマンス的な注目ポイントは、幼い頃から囲碁の王道を歩んでいたアキラがヒカルと出会ったこと。そして大きな壁に突き当たり、感情を乱して怒りや絶望を味わい、生き方すらも変えてしまう点です。これぞまさしく運命!の一言。主人公ヒカルの成長も、アキラというライバルなしではなし得なかったでしょう。
ぴんとこな
舞台となるのは、日本の伝統芸能である歌舞伎の世界。歌舞伎の名家に生まれた河村恭之助と、門閥外(歌舞伎とは無縁の家)出身の澤山一弥は、芸の面でも恋愛でもライバルで、舞台の上でも外でも熱い火花を散らしていく…。
2013年にドラマ化された人気作品です。御曹司でありながら歌舞伎への情熱を失っている恭之助と、歌舞伎の世界でトップを目指すべく芸を磨き続ける一弥は、光と影ともいえる存在。お互いに意識せざるを得ないバチバチの関係にときめきます!美麗な絵で描かれる歌舞伎の描写も必見。
青春の汗と涙のスポーツ漫画はブロマンスの宝庫!おすすめ4選
泥だらけのユニフォーム、仲間との友情やすれ違い、そして強力なライバルの存在がつきもののスポーツ漫画は、ブロマンスで外せないジャンルです。青春の汗と涙と感動が詰まっているスポーツジャンルの中から、熱いブロマンスでおすすめの4作品をご紹介します。
しゃにむにGO
中学時代に陸上選手として活躍していた伊出延久は、1つ年上で幕ノ鎌高校テニス部の尚田ひなこに一目惚れ。陸上の推薦を蹴って同じ高校に進学し、弱小と呼ばれるテニス部に入部するも、なぜか天才テニスプレーヤーと呼ばれた滝田留宇衣も入部してきて……!?
「赤ちゃんと僕」で知られる羅川真里茂先生の作品。テニスはド素人ながら、陸上の才能を生かしてメキメキと頭角を現す延久と、レベルの違いを見せつけながらも延久に刺激を受ける留宇衣がいきなりダブルスを組む展開に。高校テニス界のトップを担っていくことになる2人ですが、留宇衣の才能に憧れる延久と、たった2年で追いつかんばかりの延久の成長に脅威を覚えていく留宇衣…、それぞれの葛藤と青春は胸アツです!
テニスの王子様
主人公の越前リョーマは、アメリカのジュニア大会で優秀な成績を修めた天才プレーヤー。帰国後にテニスの強豪校である青春学園(青学)に入学し、個性派の部員たちとともに全国制覇を目指していく。アニメ化やミュージカル化もしたジャンプの看板作品で、続編「新テニスの王子様」も好評連載中。
テニプリの魅力は、意外性たっぷりのテニスの描写と登場人物の多さです。そのなかで、大石&菊丸、鳳&宍戸などのダブルスペア、手塚と跡部、手塚と真田といった他校のライバル関係など、とにかく熱いブロマンスだらけ!どのキャラクターに入れ込むかによって、いろいろな角度で楽しめる作品です。各キャラの決めゼリフも特徴的で、とくに跡部の「俺様の美技に酔いな!」には度肝を抜かされてしまいます。
ハイキュー!!
小柄ながらバレーボールに情熱を注ぐ日向翔陽は、かつて憧れの選手が所属した烏野高校に進学する。そこで出会ったのは、中学の大会で翔陽のチームを大差で負かした北川一中の天才セッター・影山飛雄だった。
本作はアニメ化されており、2023年には劇場版の始動のためのキックオフイベントが予定されています。1人では点を取れないバレーボールでは、セッターとスパイカーの息が合っていることが重要なのは言うまでもありません。超人的な反射神経でどんなボールでも受ける翔陽と、それに応え続ける飛雄。最初は喧嘩ばかりだった2人が、いつしか築かれていく信頼関係にグッときます。
ストーリー&キャラクターの関係性がアツい!おすすめブロマンス漫画6選
予想もしていなかった展開や綿密な伏線回収、あっと驚く結末など、物語に引き込まれる漫画は少なくありません。その中に登場するキャラクターの感情や他人との結びつきには、ブロマンスと解釈できるものがたくさんあります。ここでは、濃厚なストーリーやキャラクターの関係性にブロマンスを見いだせる6作品をご紹介します。
さよならソルシエ
舞台は19世紀のパリ。画廊の支店長を務めるテオドルス・ファン・ゴッホには、画家をしているフィンセントという名の兄がいる。歴史に名を残す天才ゴッホの生涯をテーマに、ひと言では片づけられない兄弟の複雑な関係を描き、「このマンガがすごい!2014年オンナ編」で第1位を獲得しました。
天才である兄に嫉妬しながらもその才能に惚れ込み、自分の命と引き換えにしても構わないというほどに、兄の作品に情熱を注ぐテオ。作品を世に出すために手段を選ばないその激しさは、衝撃のひと言です。ちなみに実世界でも、兄弟はフランスの村の墓地に並んで埋葬されています。“もうひとりのゴッホ”の生涯、兄との愛憎を覗いてみませんか。
アクトアウト
フィギュアスケーターの名雪いばらは、競技に対する情熱を失っていた。そこに元バレエダンサーのヴァシリーが現れ、いばらの振り付けをすると言う。太陽のように熱く眩しいヴァシリーと過ごすうち、いばらは変わっていき…。
いばらとヴァシリーは、実は2人とも家族に問題を抱える似たもの同士。いばらのために怒るヴァシリーと、ヴァシリーを必要とするいばらを見ていると、「出会えて良かった」という思いが湧いてきます。繊細かつ美しい絵柄で描かれる2人の美形っぷりも必見!
ダブル
宝田多家良と鴨島友仁は、ともに劇団に所属する役者。多家良が持つ演技の才能に惚れ込んだ友仁は、1人では何もできない多家良の世話や代役をこなし、2人で1人ともいえる特殊な関係を築いていく。そしてまた、自らも世界一の役者になることを諦めてはいないのだった。
ドラマ化のほか舞台化もされた作品です。30歳の男性同士が時間を共有し、ともに夢を追いかけるというストーリーが新鮮。血縁でも恋愛でもない関係は、こんなにもヒリヒリするものなのか…と教えてくれる名作です。
時代モノでしっとりブロマンスを堪能!おすすめ漫画4選
ブロマンスは、ドキドキハラハラが止まらないハードボイルドの世界や、キラキラと眩しい青春の中でのみ生まれるものではありません。忘れてはいけないのが、時代モノです。ここでは過ぎ去った時代の残り香の中に、しっとりとしたブロマンスを感じられる4作品をご紹介します。
昭和元禄落語心中
昭和から平成までの時代を舞台に、落語に魅入られた男たちを描く。主人公は刑務所の慰問で落語を聞いたことをきっかけに、八代目・有楽亭八雲に弟子入りする与太郎だが、第2部にあたる「八雲と助六篇」では八雲の過去が描かれた。「このマンガがすごい!2012年オンナ編」で第2位を獲得し、アニメやドラマも放送されています。
ブロマンス的には、過去を描いた「八雲と助六篇」に注目。戦前から戦後までの時代を生きた八雲と助六は、何もかも正反対といわれながらもともに落語の腕を磨き、やがて一生忘れることのない結末を迎えることになります。
青のミブロ
幕末の京都、茶屋で働く白い髪の少年「にお」は土方歳三と沖田総司と出会い、世の中を変えたいという志を抱いてミブロ(壬生浪)の仲間となる。聡明で熱い思いを秘めたにおは、激動の時代に何を成し遂げるのか……!?
ブロマンスという言葉が浸透する前から、新選組の隊員たちにまつわるエピソードや作品は多くの人をとりこにしてきました。少年漫画の主人公にふさわしい気概を持つにおのほか、精悍な顔つきの土方歳三や、美形すぎる沖田総司、男前の近藤勇らがともに命を燃やす姿にはときめかずにはいられません!
伯爵カイン
ときは19世紀のイギリス。若くして伯爵家を継いだカインは、さまざまな毒を集める毒の収集家でもあった。強さと儚さをまとう伯爵カインが、類い稀なる知識と知恵で不可解な事件を解決していくミステリー。
人気の“主従関係ブロマンス”作品です。生い立ちが複雑で実の父からは虐待を受けてきたカインと、カインを身近で支え続けてきた執事リフとの関係は、ブロマンス以外の何ものでもないでしょう。カインとリフの関係がクライマックスを迎えるのは最終章「ゴッドチャイルド」で、思いの強さは何にも勝るのだと実感させてくれます。
ブロマンスでもやっぱり異世界・転生・ファンタジー作品が読みたい!おすすめ漫画5選
現実と違う異世界であっても、ブロマンスの魅力は変わりません。むしろ生まれ変わりや異能力があるからこそ、より深い関係性が描かれている作品もあります。ここでは、異世界やファンタジー作品でブロマンスを堪能できる漫画5つをご紹介します。
聖伝-RG VEDA-
旧知の友である九曜の予言に従い、禁を破って阿修羅の封印を解いた夜叉王は、天帝・帝釈天に謀反の疑いをかけられ一族を惨殺されてしまう。夜叉王は幼子の姿をした阿修羅を連れ、帝釈天を倒すという「六星」を求めて長い旅に出るのだった。
聖伝に登場するのは、約束を守るためなら他人の命だけでなく自分の命すら惜しくないといわんばかりの苛烈なキャラクターばかり。それは最後まで阿修羅を信じ抜いた夜叉王だけでなく、悪役である帝釈天も例外ではありません。一つひとつのセリフや行動から、それぞれの強烈な思いを感じる作品です。
ふしぎ遊戯 玄武開伝
渡瀬悠宇先生の代表作「ふしぎ遊戯」のシリーズ・玄武編。大正の世に生きる奥田多喜子は、あるとき「四神天地書」という本の中に吸い込まれてしまう。そこは北甲国という異世界で、多喜子は玄武の巫女として玄武七星士を集め、世界を救うことになり…。
七星士はヒロインに忠誠を誓う存在ですが、その中でも明るい虚宿(とみて)とクールな斗宿(ひきつ)は、幼なじみで特別な関係。誤解から一時はすれ違うものの、力を合わせて困難を乗り越える姿に胸が熱くなります!また、玄武編の後のストーリーである朱雀・青龍編では、200年も前に死んだ2人が肉体を持たない残留思念となって、巫女の神座宝を守っている描写があります。玄武編を知っていると、涙なくして読むことはできません。