『日本文学、文春文庫(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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人生にあるいくつかの大事な分岐点。そして私は今ここにいる。
――8作からなる短篇小説集、待望の文庫化!
ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。
同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。
鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告白。
スーツを身に纏いネクタイを結んだ姿を鏡で映したときの違和感――。
そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 驚きと謎を秘めた8篇。
「一人称単数」の世界にようこそ。
※この電子書籍は2020年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
【逝去直前まで推敲を重ねた津島文学の到達点】
「津島さんはまだこの小説の中に生きていて、読む私たちとともに、奮闘している」――星野智幸(解説)
でもあのことばだけは消え去らない。
忘れていたはずなのに、ひどいことばを聞かされたという感触だけは残されていた。
その痛みだけは忘れられなかった。(本文より)
15歳で早逝したダウン症の兄との思い出、ヒトラー・ユーゲントの来日。
「あこがれ」、障害、病気、戦争、差別、「不適格者」……大家族二世代の物語はこの国の未来を照射する。
『火の山―山猿記』で第34回谷崎潤一郎賞・第51回野間文芸賞を受賞した著者による、絶筆長編。
※この電子書籍は二〇一六年八月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
美しく驕慢な女に無条件でひれふす男達の姿は宗教的法悦境にあるかのよう。絢爛な文体と鮮やかな風俗描写、小説の神髄に酔いしれる。
※この電子書籍は1966年4月に文藝春秋より刊行された『現代日本文学館 16 谷崎潤一郎 I 』に収録された作品の文庫版を底本としています。 -
ここ数年、惑いに流されている北町貫多。あるミュージシャンに招かれたライブに昂揚し、上気したまま会場を出た彼に、東京タワーの灯が凶暴な輝きを放つ。その場所は、師・藤澤清造の終焉地でもあった――。何の為に私小説を書くのか。静かなる鬼気を孕む、至誠あふれる作品集。「芝公園六角堂跡」とその続篇である「終われなかった夜の彼方で」「深更の巡礼」「十二月に泣く」の四篇を収録し、巻末に、新たに「別格の記――『芝公園六角堂跡』文庫化に際して」(18枚)を付す。
※この電子書籍は2017年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
100年前の日本人は、疫病とどう戦ったのか? 文庫オリジナル!
マスクをし、うがいをし、できるだけ外出をしない……あの文豪だって感染対策をしていた。
スペイン風邪が猛威をふるった100年前。作家の菊池寛は恰幅が良くて丈夫に見えるが、実は人一倍体が弱かった。
そこでうがいやマスクで感染予防を徹底。その様子はコロナ禍の現在となんら変わらない。スペイン風邪流行下の実体験をもとに描かれた短編「マスク」ほか8篇、心のひだを丹念に描き出す傑作小説集。
【収録作品「マスク」あらすじ】
見かけは頑健に思われているが、実は心臓も肺も、胃腸も弱い。そんな自分に医者は「流行性感冒にかかったら、助かりっこありません」と言う。だから、徹底的に感染予防に努めた。でも暖かくなったある晴れた日に、黒いマスクの男を見かけて――。
※この電子版には辻仁成氏の解説は収録していません。 -
日本文学を代表する天才作家の名作11篇!
没落貴族の家庭を背景に、滅びゆく高貴な美を描く「斜陽」。太宰文学の総決算ともいうべき、小説化された自画像「人間失格」。ふたりの若者の信頼と友情を力強く表現した「走れメロス」。家族の幸福を願いながら自らの手で崩壊させる苦悩を描き、命日の呼び名となった「桜桃」など、11篇を収める。
奥野健男氏のくわしい年譜、臼井吉見氏のこまやかな作品案内と作家評伝付き。
<収録作品>
斜陽
人間失格
ダス・ゲマイネ
満願
富嶽百景
葉桜と魔笛
駈込み訴え
走れメロス
トカトントン
ヴィヨンの妻
桜桃 -
世界最古の大恋愛小説のストーリーを追いながら、個性あふれる王朝の女性たちのキャラクターを分析した、源氏物語の入門書。
1997年4月から6月の3カ月間、NHK教育テレビ「人間大学」で「源氏物語の女性たち」という番組を書籍化した作品です。この番組は寂聴さんが毎回、源氏物語ゆかりの地に出かけていき、語るという内容。作者の紫式部をはじめ、光源氏が最も愛した紫の上、男を虜にした魔性の女・夕顔、誇り高くインテリ女性・六条御息所、情熱的で官能的な朧月夜など、光源氏を取り巻く女たちをわかりやすく解説しています。
「紫式部は仏教に帰依してもなお物語を書きつづけたことで、救われていたのではないでしょうか。『源氏物語』の底には、女人成仏の悲願がかく流れているように私には思われてなりません」
といった具合に、寂聴さん独自の見解が満載です。 -
一冊で芥川賞まるわかり。芥川賞の全歴史とエピソードが一冊に。
市井の愛好家が、愛と外からの冷静な目で著した芥川賞“非公認”本を、文春文庫から堂々刊行。
賛辞も非難もすべて盛り上がりの血肉にしてきた恐るべき文学賞・芥川賞。
1935年の創設から八十余年、第1回から第155回まで、受賞者、選考委員、候補者、マスコミが繰り広げてきた壮大なドラマを、著者独自の愛と棘ある視点で描き、「日本一有名」なこの賞の秘密を解き明かす。
いちばん面白くて読みやすい芥川賞史。
事件上等!文運隆盛!の八十余年
・「新人賞」なのに世間では破格の扱い。
・派手な受賞は叩かれる。地味な受賞は嘆かれる。
・太宰治の怒り、車谷長吉の「五寸釘」!?
・そして「火花」の250万部突破――
「文藝春秋がなぜこの本を文庫にしようと思ったのか、いまだによくわからない。
もしかしたら、これが芥川賞の恐ろしさなのかもしれない」(著者) -
歴史と文学をこよなく愛する著者が、探偵眼を光らせつつ、飛鳥から河井継之助の長岡まで、日本史の争乱6つの舞台を訪ね歩く第1部。第2部では視点を文学にうつし、芭蕉、漱石、荷風、司馬遼太郎、藤沢周平ら5人の作家・7作品の世界を散歩する。眼光いよいよ冴えわたり、深まる思索が普遍の真実に肉迫する。著者直筆のイラストも楽しい、紀行文と街上エッセイ。
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