2018年5月31日更新
こじらせぼっちの葉月、新学期にクラスに馴染めず引きこもりになったこころ。いつか素敵な友達とあんなことやこんなことしたい…妄想は募るばかり。
変わりたいと願う主人公たちが迷い込んだメルヘンな世界。そこには様々な仲間たちが集う。そして少しずつ、確実に絆を深めていく。
著者:辻村深月
不登校になってしまった主人公のこころ。
日々思い描くのは、ある日みんなが羨む素敵な友達が自分だけに微笑んでくれること。
そんな妄想を抱え悶々とした毎日が続いていく…と思いきや突然“鏡の中”に引きずりこまれる!そして、そこにいたのはリアル狼の仮面をかぶった謎の少女…いやいや怖すぎる!
メルヘンテイストな設定なのに物語のリアルぶりは、正統派ぼっち少女・鍵村葉月の学校が千代田区にあるくらいの衝撃。
学校に行っているはずの時間に鏡の中のお城に集まる10代の男女7人は、童話のようにすぐに仲良くなるということもなく…。
警戒したり、無関心を装ったりしながらも徐々に打ち解け、思いっきりぶつかり、現状から変わりたいと願う彼らの奮闘は切なくホロリとしてしまいます。
そしてお互い本音を言えるようになった彼らにできた確かな“絆”。
10代という儚く貴重な時期を“孤独”と“絆”をテーマに切り取った美しい物語。