2019年2月28日更新
モンスターを相手に剣と魔法で立ち向かう、古典的なRPGの世界観での冒険物語。
エルフ、人間、ドワーフなど、異種族が社会に混ざり合って暮らす、ハイ・ファンタジーといわれるジャンル。
モンスターに襲われた冒険者、敵国に捕まった兵士など、その悲惨な末路を容赦なく描き切る。
著者:アンドレイ サプコフスキ 訳者:川野靖子 訳者:天沼春樹
本作のタイトルにもなっている存在『ウィッチャー』は、人に害を与える怪物(モンスター)を狩るために、魔法や薬物によって常人を超える力を手に入れた「モンスタースレイヤー」の部族のこと。
主人公“リヴィアのゲラルト”は、<白狼>の異名を持つ腕利きのウィッチャー。
彼を中心に、亡国の姫“シリ”を巡って、広大なファンタジー世界を股にかけての物語が描かれます。
『ウィッチャー』の世界観はダークかつハード。
戦闘シーンに限らず血や内臓が描写されますし、楽しい酒場での会話ですら、死や性に関することばかりだったりと、かなり殺伐としています。
さらに舞台が沼地や鬱蒼とした森林が多いので、文章から湿気が漂っているような気さえします。
そんなダークで静謐な雰囲気からは、ライトなファンタジーにはない、大人っぽさをひしひしと感じられることでしょう。
全世界で3,000万本以上売れたゲーム版の方が、最近は有名かもしれませんが、根幹をなすストーリーの面白さは原作小説が持たらしたものです。
ファンタジー小説が一般化していく中で削ぎ落としていった、大人っぽい要素を色濃く残すダークファンタジーの傑作をどうぞお楽しみください!