2014年夏、首都圏で覆面作家として活動しながら1Fでの職を探す竜田(たつた)のもとに急な電話。ふたたび廃炉作業員として働く次の職場はなんと1号機原子炉建屋だった。あと10メートルのところにある格納容器本体。竜田は未知の「最前線」に足を踏み入れる。
各660円 (税込)
「メディアが報じない福島第一原発とそこで働く作業員の日常」、そして「この先何十年かかるともしれない廃炉作業の現実」を、あくまでも作業員の立場から描写。「この職場を福島の大地から消し去るその日まで」働き続ける作業員たちの日々を記録した、いま日本に暮らすすべての人たちに一度は読んでいただきたい「労働記」です。
2012年秋、竜田(たつた)は6次下請け企業からの脱出を図り、念願の建屋内作業の職に就く。2012年末、一旦首都圏に戻り覆面漫画家としての活動を始めた竜田だったが、実は彼は2014年夏、ふたたび作業員として1Fで働いていた。作者が見てきた「福島の現実」に賞賛、反響続々!! NHK「クローズアップ現代」や朝日新聞「プロメテウスの罠」などで特集され、今も世界中から取材依頼が殺到する話題作!!
2014年夏、首都圏で覆面作家として活動しながら1Fでの職を探す竜田(たつた)のもとに急な電話。ふたたび廃炉作業員として働く次の職場はなんと1号機原子炉建屋だった。あと10メートルのところにある格納容器本体。竜田は未知の「最前線」に足を踏み入れる。
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実働は1時間。2時間の昼寝もついて日給2万円。ただし、被ばく量の関係でその仕事ができるのは年間20日もない。さて、これは高い?安い?
著者の竜田一人氏は「いちえふ」こと、福島第一原子力発電所にて震災後、作業員として働いていたという異色の経歴の持ち主である。執筆開始後も現場で働いたという。
ここで描かれているのはフクシマの最前線にいる「普通の人達」の毎日である。出勤してから現場に入るまでの一連の検査や装備、休憩所の運営管理まで。
余計な感情は入れず、淡々と作業員の日常を追う描写はまるでドキュメンタリー番組を見ているかのよう。
一部のメディアは福島では過酷で劣悪な労働環境のもと、大勢の人が重労働を強いられているかのように報道されているが、氏によると『メディアが好んで取り上げるようなセンセーショナルな事実やドラマチックな出来事などそうそうない』。読む限り安全管理はされているし、環境も改善してきている。
実際に、作業員達の『自分たちがやらねば』という気概はしっかりと伝わってくる。いまだかつてない特殊な現場と、時には摩訶不思議な組織構造に振り回されながらもそこにいる人たちは懸命に、黙々と「収束」にむけて進んでいる。
福島第一原子力発電所では、実際のところ何がどうなっているのか。それを色眼鏡なしに描いた本作品はとても貴重。多くの方に読んでほしい。
2016/03/31