都内でただ一軒残っていた寄席が焼失。燃え盛る炎から救い出された八雲(やくも)は、なんとか一命を取り留めた。それから幾日が過ぎ、東京に訪れた春のある日。与太郎(よたろう)こと三代目助六(すけろく)は、小夏(こなつ)に宿った新しい命を知る。満開の桜の下、小夏が初めて八雲に伝えた感謝の言葉を、ラジオから流れる助六の「野ざらし」が温かく包む――。落語を愛し、落語とともに生きた八雲と助六の物語、ついに完結!!
各759円 (税込)
満期で出所の模範囚。だれが呼んだか名は与太郎(よたろう)。娑婆に放たれ向かった先は、人生うずまく町の寄席。昭和最後の大名人・八雲(やくも)がムショで演った「死神」が忘れられず、生きる道は噺家と心に決めておりました。弟子など取らぬ八雲師匠。惚れて泣きつく与太郎やいかに……!? 昭和元禄落語心中・与太郎放浪篇、いざ幕開け!!
惚れ抜く八雲(やくも)師匠の芸だが、オイラにゃできねぇ……そう気づき始めたこの与太郎(よたろう)。小夏(こなつ)の父ちゃん・亡き助六(すけろく)のすげぇ落語に取りつかれ、迎えた師匠の独演会、やっちゃいけねぇヘマをした。破門と言われた与太郎と、与太郎をかばう小夏の二人に、師匠が語る約束の噺(はなし)たぁ……!?与太郎放浪篇から八雲と助六篇へ。「長ぇ夜になりそうだ――」
昭和最後の大名人・有楽亭八雲(ゆうらくてい・やくも)が弟子の与太郎(よたろう)に語って聞かせる、亡き友・助六(すけろく)との約束の噺とは。貧乏どん底二人暮らしの菊比古(きくひこ/後の八雲)と助六。遊び暮らしてるのに冴えた芸をみせる売れっ子の助六に菊比古の焦りは募る。ところがそんな菊比古にも、芸の目が開く時やって来る。そしてついに二ツ目から真打へ。上り調子の芸とは裏腹に菊比古と助六の関係は変わっていく。また菊比古とみよ吉(みよきち)の間にも!?
ついに助六(すけろく)、破門となった。落語をやめるな、師匠に詫びろ、必死にくどく菊比古(きくひこ)に、それでも耳を貸しちゃくれねぇ。あげくに身重のみよ吉(みよきち)と、手に手を取っての道行きだ。独り落語に打ち込む菊比古に、今わの際の七代目、明かした「八雲(やくも)」と「助六」の巡る因縁話たぁ……!? 八雲と助六篇、核心!!
落語を捨てた助六(すけろく)が、暮らす田舎の温泉街。愛想尽かしたみよ吉(みよきち)は、子供を置いて出たっきり。「八雲(やくも)を継いで 落語なさい」。言って聞かせる菊比古(きくひこ)に、助六、ひねくれ駄々こねる。引っ張り出された場末の高座。それでも演れねぇはずがない。娘・小夏(こなつ)を笑わせて、も一度あの日の夢を見る――。八雲と助六篇、完結! そして物語は再び与太郎(よたろう)のもとへ――!
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