『葉室麟(文芸・小説、実用)』の電子書籍一覧
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志士とは灯りのない道を照らして行く者だ――。憂国の志士を描く歴史長編。
明治13年、福岡藩出身の内務省書記官・月形潔は、北海道に監獄を作るために横浜を発った。
明治維新以降、新政府の本流となることができなかった福岡藩出身者には、瑣末な仕事ばかりが与えられていた。
洗蔵さんが、いまのわたしを見たら、どう思われるだろうか――
船上の潔の頭に浮かぶのは、尊攘派志士として命を燃やした従兄弟・月形洗蔵の顔だった。
激動の時代、二人の男の矜持が、時代を越えて交差する。
葉室麟が遺した、魂を揺さぶる歴史長編。 -
「日本」の運命は、荒くれ者の青年公卿に託された! 葉室麟の隠れた名作。
どこかに、強い敵はおらんものかな――。平安時代、栄華を極める一門に産まれた藤原隆家は、公卿に似合わぬ荒ぶる心を抱えていた。朝廷で演じられる激しい権力闘争のさなか、安倍晴明と出会った隆家は、国を脅かす強敵が現れることを予言される。やがて花山院と対立し、九州に下向した隆家が直面したのは、熾烈を極める異民族の襲来だった。荒くれ者公卿は、世の安寧を守り抜くことができるのか。血湧き肉躍る戦記ロマン! -
嘉永三年(一八五〇)、九州肥後の熊本藩、御花畑表御掃除坊主の河上彦斎は、師・宮部鼎蔵を訪ね、尊敬する吉田松陰と、生涯にわたり惹かれ合う女性・由依と出会う。彦斎は日本を守るため厳しい県の修行をし、尊攘派の志士として次々と佐幕派の者たちを喪っていく。しかし彦斎の願いむなしく、明治新政府はこの国を西洋に屈服させてしまうように思えた。抵抗した彦斎は……。尊攘派の志士として激烈な活動を行い、「人斬り彦斎」として恐れられた漢・彦斎の苛烈な人生と志を描く、傑作長篇歴史小説。(解説・佐藤賢一)
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坂本龍馬が認めた男・陸奥宗光は、維新後、不平等条約の改正に挑む。日本の尊厳をかけて戦った男を描いた、葉室麟最後の未完の大作。
坂本龍馬に愛され、認められた男・陸奥宗光――。明治新政府では県知事などを務めるも、政府転覆を企てたとして投獄されてしまった陸奥。そんな彼の才能に目を留め、花開かせたのは、時の総理大臣・伊藤博文だった。外務大臣として入閣した陸奥は、日本を欧米列強に伍する国家にすべく奔走し、不平等条約の改正に尽力する。そして、日本の尊厳をかけて強国に挑まんとする陸奥を支え続けたのは、妻の亮子だった。本書は、著者が最期に「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら綴った長編小説。残念ながら未完ではあるが、著者の歴史作家としての矜持を感じ取れる貴重な作品である。陸奥宗光のその後は、解説の細谷正充氏が、連載中の著者の想いは、長女の涼子氏が紹介。坂本龍馬の姉を描いた短篇「乙女がゆく」を特別収録。 -
作家・葉室麟を作った数々の本と人
50歳過ぎてのデビュー時に既に完成されていた“葉室史観”。敬慕され続ける作家を涵養した本、人との出会いが綴られたエッセイ集。 -
江戸に参府するカピタンの宿・長崎屋に生まれた、るんと美鶴。
世界の風に触れて育った彼女達はやがて恋を知る。
時は文政、蘭学に憑かれた人々の熱情が一大疑獄「シーボルト事件」に発展。
愛する男らを姉妹は救えるのか?
間宮林蔵など近代史の立役者も続々登場、極上の歴史ミステリにして清冽な青春小説。
解説・諸田玲子 -
富商の娘を娶り、藩の有力派閥の後継者として出世を遂げる三浦圭吾。その陰には、遠島になってまで彼を守ろうとした剣客・樋口六郎兵衛の献身と犠牲があった。十年後、島から戻った六郎兵衛。だが、二人は敵同士として剣を交えざるを得なくなる……。派閥争いに巻き込まれ、運命に翻弄されていく男たち。彼らは、何を守るために刀を振るうのか。真に大切なものを問う、葉室文学の円熟作。(解説・島内景二)
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私は西郷隆盛を一番書きたかった!
西郷隆盛は薩摩藩主の島津斉彬に仕え、天下のことに目覚め、一橋慶喜擁立のため暗躍するが、安政の大獄により全てを失うが……。
※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
幕が下りるその前に見るべきものは、やはり見ておきたい。歴史作家は故郷を離れ、古都・京都に仕事場を構えた――。先斗町のウオッカバーで津田三蔵の幻を追い、西本願寺の〈司馬さんのソファ〉に新撰組の気配を感じ、四条河原町のレトロな喫茶店で本能寺の変に思いを馳せる。現代人の失くした信念、一途、そして命の尊さを描き続けた著者が遺した、軽妙洒脱、千思万考、珠玉の随筆68篇。(解説・澤田瞳子)
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天領の豊後肥田、私塾咸宜園の塾主である広瀬旭荘は二度目の妻・松子を迎えた。
剛直で激情にかられ、暴力をふるうこともある旭荘。しかし、心優しき詩人である彼の本質を松子は理解し、支え続けた。
だが、江戸で松子は病魔に倒れる。
時は大塩平八郎の決起など、各地が騒然としている激動期。
儒者として漢詩人として、そして夫としてどう生きるべきか。旭荘は逡巡し、ある決断を下す。
動乱の時代に生きた詩人の魂と格調高い夫婦愛を描く著者畢生の書。 -
花を生ける、人を生かす。
まだ悲しみも喜びも知らぬ少年僧の、四季折々の花に彩られた成長物語。
物語の舞台は文政13(1830)年の京都。
年若くして活花の名手と評判の高い少年僧・胤舜(いんしゅん)は、ある理由から父母と別れ、大覚寺で修行に励む。
「昔を忘れる花を活けてほしい」
「亡くなった弟のような花を」
「闇の中で花を活けよ」
次から次へと出される難題に、胤舜は、少年のまっすぐな心で挑んでいく。
繊細な感受性を持つ少年僧が、母を想い、父と対決していくうちに成長をとげていく、美しい物語。
解説・澤田瞳子
※この電子書籍は2017年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
建仁寺の「雲龍図」を描いた男・海北友松。武士の子として、滅んだ実家の再興を夢見つつ、絵師として名を馳せた生涯を描く歴史長篇。
建仁寺の「雲龍図」を描いたことで知られる海北友松(かいほう・ゆうしょう)は遅咲きの絵師だが、山水図屏風、竹林七賢図、花卉図屏風、寒山拾得・三酸図屏風など、すばらしい作品を遺している。しかしそこに至る道は、決して平坦ではなかった。近江の浅井家に仕えていた実家・海北家が滅亡。武士に戻りたくとも戻れず、葛藤を抱きつつ絵師の道を選び取った友松は、明智光秀の片腕・斎藤利三と出会い、友情を育んでいく。その利三が仕える光秀が信長に叛旗を翻す。本能寺の変――。しかしその天下は長く続かなかった。利三の運命は……。武人の魂を捨てきれなかった友松は、そのとき何を考え、どんな行動をしたのか。苦悩の末、晩年にその才能を花開かせ、安土・桃山時代の巨匠・狩野永徳と並び称されるまでになった男の生涯を描く傑作歴史小説。著者・葉室麟が、デビュー前から書きたかった人物を、円熟の筆で描き上げている。解説は、作家の澤田瞳子氏。 -
九州、豊後、坪内藩の城下町にある青鳴道場。先代の死から早一年、道場は存亡の危機にあった。跡を継いだ長男の青鳴権平はまだ二十歳と若く、その昼行燈ぶりから、ついには門人が一人もいなくなってしまったのである。米櫃も底をついたある日、「鬼姫」と巷で呼ばれる妹の千草や、神童の誉れ高い弟の勘六に尻を叩かれた権平がようやく重い腰を上げる。「父の仇を捜すために道場破りをいたす」。酔って神社の石段で足を滑らせて亡くなったとされる先代の死には不審な点があり、直前には五つの流派の道場主たちと酒席を共にしていた。三人は、道場再興と父の汚名を雪ぐため、まずはその一つ、新当流の柿崎道場を訪ねる――。
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葉室麟が最期に「書かねばならない」と挑んだテーマとは。不平等条約の改正に尽力した明治政府の外相・陸奥宗光を描いた未完の大作。
本書は故・葉室麟が最期に書きたかった「近代」に挑んだ作品。「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら書き続けた物語である。明治新政府で外務大臣として欧米列強と対峙し、不平等条約の改正に尽力した陸奥宗光――。日本の尊厳を賭けて強国に挑んだ陸奥の気概は、どこで育まれたものなのだろう。陸奥が生まれたのは幕末の紀州。坂本龍馬に愛され、海援隊で頭角を現し、明治新政府では県知事などを務めたが、政府転覆を企てたとして投獄されてしまう。そんな不遇の時代を経て、伊藤博文内閣のもとで外交官として、その才能を花開かせる。外務大臣となった陸奥は、日本を欧米に伍する国家にすべく奔走するのだが……。本書は残念ながら未完。しかしながら葉室麟の溢れる想いが感じ取れる貴重な作品でもある。陸奥宗光のその後は、解説の細谷正充氏が、連載中の想いは長女の涼子氏が紹介。坂本龍馬の姉を描いた短篇「乙女がゆく」を特別収録。 -
「わが主君に謀反の疑いあり」。筑前黒田藩家老・栗山大膳は、自藩が幕府の大名家取り潰しの標的となったことを悟りながら、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。九州の覇権を求める細川家、海外出兵を目指す将軍家光、そして忠之――。様々な思惑のもと、藩主に疎まれながらも鬼となり幕府と戦う大膳を狙い刺客が押し寄せる。本当の忠義とは何かを描く著者会心の歴史小説。司馬遼太郎賞受賞。(解説・島内景二)
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両親を亡くした卯乃は、筑前黒田藩で権勢を振るう立花重根に引き取られたが、父の自害に重根が関与したと聞き、懊悩のあまり失明してしまう。前藩主の没後、粛清が始まった。減封、閉門、配流。立花一族は従容として苦境を受け入れるが追及は苛烈を極め、重根と弟・峯均に隻腕の剣士・津田天馬の凶刃が迫る。己の信ずる道を貫く男、そして一途に生きる女。清新清冽な本格時代小説。
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『蜩ノ記』『川あかり』の葉室麟が描ききった、感涙必至の「忠臣蔵」!
諦めず、迷わず、信じた道を一筋に――
謎の刃傷事件を起こした浅野内匠頭。
彼が密かに残した”最期の言葉”とは。
言葉を聞いた勘解由の、秘めたる想いの行方は。
直木賞作家が描く、かつてない「忠臣蔵」!
元禄十四年(1701)十一月。
若くして扇野藩の馬廻り役・中川三郎兵衛の後家となった紗英【さえ】は、江戸からやってくる永井勘解由【ながいかげゆ】という人物の接待役兼監視役を命じられた。
勘解由は旗本であり、幕府の目付役だったが、将軍・徳川綱吉の怒りにふれて扇野藩にお預けの身になったという。
この年、江戸城内で、播州赤穂の大名・浅野内匠頭が、高家筆頭、吉良上野介を斬りつける刃傷事件が起きていた。浅野内匠頭は理由を問われぬまま即日切腹。だが勘解由は、老中に切腹の見合わせを進言し、また切腹の直前、襖越しにひそかに浅野内匠頭の""最後の言葉""を聞いたという。この行いが将軍、徳川綱吉の知るところとなり、機嫌を損じたのだった。
雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、役目を全うしようとするが――。
身分を隠し、勘解由の元を訪れる赤穂浪士。
勘解由のやさしさに惹かれてゆく紗英。
扇野藩に、静かに嵐が忍び寄る。
これまでにない視点から「忠臣蔵」の世界を描き、新たな感動を呼び起こす歴史時代長編!
≪熱き信念が胸を打つ、扇野藩シリーズ≫
※本書は、2015年12月に小社より刊行された単行本を上下に分冊の上、文庫化したものです。 -
2017年12月に急逝した作家・葉室 麟
50歳で作家としてスタートした著者が、歴史小説の主人公たちに託した想いとは……
「死もまた、良し! です。私くらいの年齢になると、フッとそう思うことがあります」
本書は、著者が初めて人生論を語った一冊!
デビュー作『乾山晩愁』、『孤篷のひと』、そして記念すべき50作目となった『墨龍賦』を振り返り解説。
作品を通して、「美しく生きる」とは何なのか、自らの想いを熱く語っている。
また、京都で3年間暮らした京都(洛中洛外)で、小説の舞台となった地や美術作品を鑑賞できる名所スポット約40カ所を収録。
美しい口絵と地図で、京めぐりを楽しめる。
葉室ワールドを、堪能出来ること間違い無し! -
建仁寺の「雲龍図」を描いた男・海北友松。武士の子として、滅んだ実家の再興を夢見つつも、絵師として名を馳せた生涯を描く歴史長編。
デビュー前から、海北友松という男を書きたかった――葉室麟。遅咲きの著者による50作目の記念すべき小説は、武人の魂を持ち続けた絵師を描く本作『墨龍賦』。武士の家に生まれながらも寺に入れられ、絵師になった友松だが、若き明智光秀の側近・斎藤内蔵助利三と出会い、友情を育んでいく。そんな折、近江浅井家が織田信長に滅ぼされ、浅井家家臣の海北家も滅亡する。そして本能寺の変――。友松は、海北家再興を願いつつ、命を落とした友・内蔵助のために何ができるか、思い悩む。迷いながらも自分が生きる道を模索し続け、晩年に答えを見出し、建仁寺の「雲龍図」をはじめ、次々と名作を生み出していった海北友松。狩野永徳、長谷川等伯に続き、桃山時代最後の巨匠となった男の起伏に富んだ人生を描く歴史長編。4月11日から京都国立博物館で友松の大回顧展が開かれることで早くも話題だが、本能寺の変の舞台裏についても、著者自身の推理が端々に光っており、絵師の目から見た戦国絵巻としても愉しめる。 -
惜しまれつつ亡くなった著者の最後のエッセイ集。
透徹した眼力と豊かな想像力で敗者の歴史を丁寧に掬い取った珠玉の名篇。
臨在の「済」の字には「河の渡し場」という意味がある。
中国、唐末の僧・義玄は、現在の河北省の河に臨む場所に臨在院を建てて禅を広めたことから臨在禅師とよばれたという。臨在は「河のほとり」とも読めるのだ。著者の地元の九州、西日本新聞に連載された「河のほとりで」を中心に、西郷隆盛、武田勝頼、真田幸村(信繁)、源実朝ら悲運に倒れた歴史上の人々や、司馬遼太郎、藤沢周平から松本清張まで先達の作家たちを縦横に論じ、山本兼一、安部龍太郎、青山文平、佐藤賢一、澤田瞳子ら大時代作家の文庫解説でエールを送る。
著者の人柄が偲ばれる鋭くも優しい文章たち。 -
父の無念を晴らせるか。日本史上最後の仇討ちを描いた歴史長篇。
時代が変われば、生き方も変わるのだろうか――。
武士の世が終わりを告げたとき、“最後の武士”が下した決断とは。
一生を、命を、そして武士の矜持を懸けて挑んだ、日本史上最後の仇討ち!
日本中が開国と攘夷に揺れる時世。
西洋式兵術の導入を進めていた秋月藩執政・臼井亘理は、ある夜、尊攘派により妻もろとも斬殺された。
だが藩の裁きは臼井家に対し徹底して冷酷なものだった。
息子の六郎は復讐を固く誓うが、明治に入り発布された<仇討禁止令>により、武士の世では美風とされた仇討ちが禁じられてしまう。
生き方に迷い上京した六郎は、剣客・山岡鉄舟に弟子入りするが――。
時代にあらがい、信念を貫いた“最後の武士”の生き様が胸に迫る歴史長篇。
「青空を見よ。いかなる苦難があろうとも、いずれ、頭上には蒼天が広がる。そのことを忘れるな――」 -
生きている限り、人は何事かをなすことができる
伊東甲子太郎を慕い新撰組に入隊、後に伊東とともに新撰組を脱退した久留米藩脱藩隊士、篠原泰之進。
彼の目を通じて見た新撰組の隆盛と凋落。
伊東が近藤たちに暗殺された後、相良総三の赤報隊に身を投じるも、官軍に弊履のごとく捨てられる。
しぶとく動乱の日々を生き抜いた彼の疾風怒濤の半生を描く。 -
全七作からなる歴史小説短編集。
豊臣秀吉による朝鮮征伐の前半・文禄の頃、一通の文箱が博多の津に打ち上げられ、秀吉の許に届けられた。中の手紙は半島に渡った夫を思う妻のものであった。興味を持った秀吉はその女を名護屋に呼び寄せたが……(「汐の恋文」)。
関ヶ原の戦いの前に大坂方の人質になるのを拒み、火を放って果てた細川ガラシャ。その嫁である千代はガラシャと死を共にせず生き残った。細川忠興の嫡男・忠隆は、父の命に背き千代を離縁せずにいたため、遂には廃嫡されてしまう。しかしその後も忠敬は千代と共に暮らし続ける(「花の陰」)。
戦国時代や江戸時代の女性・夫婦の旧来の像に著者独自の新鮮な解釈を投げかける、珠玉の短編集。 -
あのとき桜の下で出会った少年は一体誰だったのか──家同士の因縁がひと組の夫婦を数奇な運命へと導く。“天地に仕える”と次期藩主に衒(てら)いもなく言う好漢・蔵人と“水戸に名花あり”と謳(うた)われた咲弥。二人は夫婦となりながら結ばれぬまま、たった一首の和歌をめぐり、命をかけて再会を期すのだが──。水戸光圀公と将軍綱吉の関係が緊張してゆく時代、思いがけず政争の具となりながら、懸命にそして清々しく生きる武士の姿を描いた力作長篇。
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