『立原正秋、401円~500円(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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仮面舞踏会の夜、下弦の月が照らす庭で出逢った能面の男。放恣で無軌道な青春を虚無とペシミズムで描く
9月初めの仮面舞踏会の夜、下弦の月が照らす広い庭を里子は眺めていた。その時、枯山水の白砂を踏んで、痩男の能面をつけた若い男が近づいた。夢幻能のようなその場面が、北ノ庄浩作との奇妙な出会いであった……。鎌倉の剣道場を破門された浩作は、繁栄と享楽の時代に身を置きながら、そうした自分を冷めた意識で見ていた。陽光溢れる湘南の海辺と街を背景に、70年代初頭の放恣で無軌道な青春の光と影を、虚無とペシミズムの色濃い視線で捉え、鮮かに定着した長編小説。 -
初長編『恋人たち』その後。物語る才能に圧倒される
中町家の三兄弟は一卵性三つ子である。主人公の道太郎は、夜警員をクビになり定収がないまま小説を書き、従妹の信子と暮らしている。次弟の倫太郎は劇作家として成功し、末弟の六太郎は鎌倉で曖昧家を経営しながら、独自の掟の中で誇りをもって生きている。湘南を舞台に、酒と喧嘩と食と女の魅力ある出来事が起こり、鮮烈な青春像が描かれる。この小説には立原文学の原形ともいえる自由気ままな精神とエロスの情念が横溢している。力強い筆致と巧妙なストーリー・テリングで展開される、傑作「恋人たち」の続編。 -
自身を苦しめ育んだ「日本」を訪ね歩く、紀行文集
哀惜されつつ54歳で逝った作家・立原正秋の心に沁みる名エッセイ。金沢、篠山、鎌倉、結城、益子、津和野、松江、倉敷、佐渡、高山、若狭路、大和、飛鳥、吉野、角館、津山、嵯峨野、西山。この国の風土と伝統への愛を秘め、心のふるさとを求めて旅した月々の感懐と批評、流麗、時に力強い筆致でつづった珠玉の日本紀行。 -
一女性の内奥に息づく愛の諸相を練達の筆で描く長編
以前、末乃はよく闇の中で火花を見た。月に一度の逢瀬に38歳の女のからだが炸裂する火花であった。今、末乃は土をそぎ落された崖道の上に立たされている自分を視ている。料亭の女将・末乃は、大学の国文科を卒業してから今日まで、結婚と出産と離婚を経験していた。5年越しの男がいる末乃に、見合いの話があり、その再婚は首尾よく運んだかに見えたが…。人生の流れのさなかに、自らに忠実に生きることしかできない女主人公の転変の愛の歳月を、流麗な筆致で巧みに描いて作者の円熟を示した秀作長編。
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