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『中田たか子(実用、文芸・小説)』の電子書籍一覧

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  • 馬車が近づいてきた。サンタンドレ元帥とその娘、そしてギーズ公が乗った。
    ところで、魔女が暗殺されると予言したギーズ公、サンタンドレ元帥、コンデ王子という三人の登場人物の名前に、彼女が暗殺者になると予言したポルトロ・ド・メレ、ボービニー・ド・メジエール、モンテスキューという三人の登場人物の名前を集めてみよう。
    疑いもなく、天の摂理が警告の意味でこの六人を「赤馬」荘に集めたのだが、前者たちにとっても、また後者たちにとっても、いずれも無意味な警告であることは間違いなかった。
  • サッター大尉の蒸気水車で、おそらく世界の様相を一変させるであろう数個の金の粒が飛び散ってから三年が経過しました。カリフォルニアは今日、あらゆる国から二十万人の移民を受け入れ、世界で最も美しく最も大きな湾の近くの太平洋沿岸に、ロンドンやパリに対抗する役割を果たす運命にある都市を建設した。
    そうこうしている間に、スエズ鉄道のおかげ、ニカラグアの運河のおかげで、私たちは十年以内に、三カ月で世界一周ができることになる。友よ、それがカリフォルニアに関するこの本は絶対に印刷する価値があると私が信じている主たる理由です。
              アレクサンドル・ デュマ。
  • ウジェーヌ・スクリーブは歌、音楽、舞踊、曲芸など様々の要素を含んだ喜劇としてヴォードヴィルという演劇形式を作り、1810年頃からヴァリエテ座のために矢継ぎ早に脚本を書き始め生涯で累計244作品を書いた。しかし、今日に至るまで、フランス文学界では全く翻訳されることがなかった。今回、2人の共作者と書いた『熊とパシャ』と『外交官』の2作品がようやく翻訳出版できたので、肩の荷を下ろした思いである。
  • 彼はあなたの偉大な能力を生み出したのです。そして彼はあなたには借りはないと思っているのです。 ・・・ときには自分の父の父にならざるを得ないということは、ちょっと辛くて、 むずかしいことです。このような優れた人物に、どうして変らぬ愛情を抱けないことがあろう。彼は突き出た腹で白いピケのチョッキを支え、そのチョッキの上に大きな金の鎖をぶら下げて、「放蕩親父」に喝采を送っていた。観客たちが作者を歓呼して迎えるときになると、彼は立ち上がってお辞儀をしていた。その嬉しそうな得意の様子は、みんなに向って、「いいですか、この芝居を書いたのは、わたしの男の子ですよ!」といっているようだった。(アンドレ・モーロワ『アレクサンドル・デュマ』より)
  • 本書『ウジェーヌ・スクリーブ演劇に対する批判と擁護』はウジェーヌ・スクリーブの「アカデミー入会演説」、テオフィル・ゴーティエの「フランスにおける演劇芸術の最近25年史」、アレクサンドル・デュマ・フィス「『放蕩親父』序文」、フランシスク・サルセー「演劇40年史(劇評)で構成されている。オギュスタン・ウジェーヌ・スクリーブ(1791年パリ生 - 1861年パリ没)は合計400作品以上を書いて上演させた19世紀を代表するフランスのヴォードヴィル作家、劇作家であり、オペラ台本作家である。しかし、日本では残念ながら、私と妻の二人が最近になって初めて翻訳に手を染めたばかりで、ほとんどどの作品も翻訳されることがなかった。現在我々が翻訳出版したのは、「スクリーブ傑作ヴォードヴィル選 『熊とパシャ・外交官』」、『貴婦人たちの闘い』、『鎖』、『水のグラス』の4冊だけである。こうした状況のなかで、日本でスクリーブを取り上げているのは進藤誠一であり、本書の成立には進藤の『フランス喜劇の研究』がガイドラインになっている。
  • クリーブの頭を占めているたった一点、それは、状況を説明し明るみに出すすべての出来事を状況の周りに展開することである。不意打ちの恐怖、横取りされた手紙、決闘、そして身を隠す女、そしてまた、彼の友人である彼女の夫の心の平安を乱すまいと、心ならずもいつの間にか姦淫の共犯者になった少女の父親。一つの不倫関係が次々引き起こすすべての不都合が、二時間半の舞台にまとめられて、明るみに出されるのである。(フランシスク・サルセー『演劇四十年史』より)
  • Le Verre d’eau『水のグラス』5幕喜劇は、1840年コメディ・フランセーズで初演されるが、翌1841年アレクサンダー・コスマーによってドイツ語に翻訳されるなど、いくつかの言語に翻訳された。最近では、2018年に『女王陛下のお気に入り』(The Favourite)として、イギリス・アイルランド・アメリカ合作の歴史コメディ映画が上映された。これはアン女王とサラとアビゲイルの三人のレズビアン競争のように描かれている。スクリーブの影響は言及がないが、参考にしていることは間違いなさそうだ。
  • 19世紀フランス演劇界はウジェーヌ・スクリーブに明け暮れたと言っても過言ではない。歌って踊るヴォードヴィルという新しい演劇ジャンルを作るとともに、5幕のフランス喜劇を量産するばかりか、グラン・トペラ(本格オペラ劇)の台本を提供した。残念ながら日本ではスクリーブの演劇は全く翻訳されなかったため、『貴婦人たちの闘い』は本邦初訳になる。スクリーブは共作することが多く、この戯曲も女性の権利擁護者であり、劇作家でもあったエルネスト・ルグヴェとの共作である。1817年王政復古下の騒然たるフランスで貴族社会に生きるドートルヴァル伯爵夫人を中心とした王党派とナポレオン派の知恵比べと恋の駆け引きを巧みに組み合わせた「良くできた芝居」になっている。
  • この本の書名La chuteは、かつて「転落」と訳された。転落という語はあまりにも地上的、人間的で、何らかの失敗、あるいは過失が原因で、ある一定の高い社会的地位からその身分を失って、社会的下層に落ちたことを示すだけの印象が強い。キリスト教では、最初の人間が創造主である神(天主、絶対者)に背いて堕落し、原罪を持ち、死ぬ者となったことを人間の堕落(chute)と呼び、神学上は堕落前の世界と堕落後の世界を分けて考える。最初、この翻訳では「堕落」あるいは「堕罪」としようかと考えたが、書名というのは一度翻訳されると定着力が強く、読者が別作品と誤解する可能性を考えると、書名に拘るデメリットの方が大きいことを思い、あえて、『転落』を踏襲した。ただ、「新訳」と冒頭に加えることで、別の訳書であることを示した。
  • 水木みすゞは四十歳で、金沢市寺町のお寺、金蓮寺の娘で女性困り事相談所を運営している。近所では女子駆け込寮として名が通っている。現在、三木美里という現在六十歳で十年間一番長く滞在している元ホステスと、佐島愛という三十歳で駆込寮から通勤しているホステスと西茶屋街で三味線を教えていたが、現役引退で行くところがなく、最近やって来た彩乃七十歳が入居している。父の住職は元大学教授で専攻はフランス文学。愛は片町の高級クラブに勤めているが、新型コロナウィルスのせいで客足が途絶えて、店長からハローワークに行けと言われて困惑している。美里はせっかくもらった招待券が「金沢おどり」がキャンセルになったためにつかえなくなったのに腹を立て、認知症を疑われる。こうした入居者の困りごと相談だけではすまず、みすゞは在宅勤務になった夫とテレワークを巡ってギクシャクし始めた子連れの離婚相談者や、住職が葬式を上げた突然死のレストランのオーナーシェフの残された妻と娘の入居相談まで乗らなければならない。彩乃はボケ防止に美里に三味線と唄を教えることになるが、近所で評判になってたくさんの入門者が押しかける人気になる。みすゞのアドバイスで愛はフェイスシールドの歯科技工士姿で接客に踏み切り、同時に未亡人と娘の仕事の相談まで仕切る始末。自分のことは二の次にしてきたみすゞに、最後に幸せが待っている。
  • 1944年に上演されたアルベール・カミュの3幕ドラマ『誤解』の新訳である。『誤解』はアルジェリアの新聞の雑報で報じられた親族殺人のアルベール・カミュによる解明である。聞き手の誤認に根拠を置く誤解という言葉は、実際には話し手側の誤情報や隠蔽という原因を隠すことがある。「誤解」の世界は単なる親族殺人という事件を超えて、ちょうどサルトルが同年に発表した『出口なし』の示したように、人間社会におけるコミュニケーションの闇をカミュが提示した問題作である。
  • この新訳『ペスト』は、新型コロナウィルスが人類史上初めて全世界に蔓延して、なかなか終息しない中で、アルベール・カミュの『ペスト』が改めて話題になったことが引き金である。第二次世界大戦直後の一九四七年にフランスで出版され、一九五〇年に日本語訳が出た『ペスト』は、当時、戦争やロシア革命やユダヤ人問題といった国家間の対立に背を向けた時代錯誤の小説と思われた。あの当時、東西冷戦や紛争の中に埋没した『ペスト』は、実は、政治思想や体制の異なる国々に、いわば平等に災厄をばらまく病気が蔓延するという未曾有の出来事が起こりうることを予言していた。今日のコロナ禍のなかで、われわれはその先見性に改めて驚いた。原文を最後まで読みすすめると、アルベール・カミュが今、自分たちが見ている世界の現状を予知しているかのような作品を七十三年も前に書いていることに感動を新たにした。今回、この新訳をもって同時代の日本人の皆さんにもう一度『ペスト』を読み返してもらう機会にしていただければ幸いである。
  • オギュスタン・ウジェーヌ・スクリーブとジェルマン・ドラヴィーニュが台本を書き、ダニエル=フランソワ=エスプリ・オベールが作曲した5幕のグランド・オペラLa Muette de Portici『ポルティチのもの言えぬ娘』のフランス語オペラの対訳。
  • 『カリギュラ』は、スエトニウスの『12皇帝列伝』を読んだ後、1937年に書かれた。私はこの劇をアルジェに作った小さな劇場のために書いたが、私の意図は、非常に簡単に言えば、カリギュラの役を作ることだった。駆け出しの俳優たちは無邪気なものだ。それに私はといえばまだ25歳で、自分以外のすべてを疑う年齢だった。戦争のおかげで私は謙虚になり、『カリギュラ』は1946年にパリのエベルトー座で初演された。(1958年の英語版序文より)

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