『文芸・小説、中公文庫』の電子書籍一覧
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2021年本屋大賞第1位。待望の文庫化。
【文庫化特典 スペシャルストーリー】
町田そのこさんの書き下ろし小説付き
52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そ
のためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。
〈解説〉内田剛 -
\2024年4月13日(土)~ 今田美桜さん主演でドラマスタート!!/
2024年7月末まで、ドラマ化記特別カバーで配信中。
その日、東京第一銀行に激震が走った。頭取から発表されたライバル行との合併。生き残りを懸けた交渉が進む中、臨店指導グループの跳ねっ返り・花咲舞は、ひょんなことから「組織の秘密」というパンドラの箱を開けてしまう。隠蔽工作、行内政治、妖怪重役……このままでは我が行はダメになる! 花咲舞の正義が自行の闇に切り込む痛快連作短篇。 -
歌舞伎町の一角で町会長の死体が発見された。警察は病死と判断。だがその後も失踪者が続き、街は正体不明の企業によって蝕まれていく。そして、不穏な空気とともに広まる謎の言葉「歌舞伎町セブン」……。『ジウ』の歌舞伎町封鎖事件から六年。再び迫る脅威から街を守るため、密かに立ち上がる者たちがいた。戦慄のダークヒーロー小説。〈解説〉安東能明
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星子は40代のシングルマザー。職業は(あまり売れていない)小説家。
大学受験を控えた娘を見守る日々、娯楽好きの親友と楽しむカラオケやスーパー銭湯、忘れた頃に姿を見せる元夫、
そして20代の男との間には恋が芽生えて!
誰もが知っているあの歌や、たくさんの笑いをちりばめて
大人のふつうの毎日が、幸せに一歩近づく物語 -
武田泰淳没後まもなく行われた深沢七郎との長い対談。互いの若いころの思い出を語りあう吉行淳之介との対談、独り暮らしの日常を語る金井久美子・美恵子との対談、岸田今日子による『富士日記』についてのインタビューなど、生前行われた武田百合子のすべての対談を収める。金井姉妹の語りおろし対談「百合子さんのこと」を増補する。
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「私の生理ってきれいだったんだ」
『おばちゃんたちのいるところ』が世界中で大反響の松田青子が贈る、はりつめた毎日に魔法をかける最新短編集。
コロナ禍で子どもを連れて逃げた母親、つねに真っ赤なアイシャドウをつけて働く中年女性、いつまでも“身を固めない” 娘の隠れた才能……あなたを救う“非常口”はここ。
〈収録作〉
天使と電子
ゼリーのエース(feat.「細雪」&「台所太平記」)
クレペリン検査はクレペリン検査の夢を見る
桑原さんの赤色
この世で一番退屈な赤
許さない日
向かい合わせの二つの部屋
誰のものでもない帽子
「物語」
斧語り
男の子になりたかった女の子になりたかった女の子
〈解説〉小林エリカ -
襲いくる加齢現象を嘆き、世の不条理に物申し、女友達と笑って泣いて、時には深ーく自己反省。アガワの真実は女の本音。笑いジワ必至の痛快エッセイ。
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元式部丞・藤原為時の娘で二十歳の小姫(のちの紫式部)は、創作の腕を評価され、左大臣源雅信の娘・倫子に「物語の女房」として仕えていた。小姫の書いた「光る君」を主人公とする短編は、貴族社会の一部で評判を取り、回し読みされている。倫子の要望に従い次々と執筆しているうちに創作の「種」に詰まってしまった小姫は、ある日、隣家の中流貴族の娘で幼馴染みの月乃に「取材」へ誘われる。女房たちの間で噂になっている七の宮の恋の真相を知るため、宮が女と逢瀬を重ねているという廃院に行ってみようというのだ。月乃の父の荘園を治める荘官の子・鶴丸を供に、廃院に向かった三人だったが……。
若き日の紫式部が、相棒とともに都大路の「謎」に迫る!
【目次】
第一話 六条の廃院
第二話 尋ねゆく幻術士
第三話 あこがれの草子
第四話 車争い
第五話 鳴滝参り -
文政六年、いじめに耐えかねた西丸書院番二番組の新参・松平外記が三名の古参を城中で斬り殺す大事件、いわゆる「千代田の刃傷」が起きた。幕閣が混乱する中、二百二十五石の小旗本で無役の小普請組・北条志真佑は、番士を一新し再編成された二番組に抜擢され、妹の幸や叔父の相模八左衛門とともに喜んでいた。上泉新陰流を使い、十一代将軍徳川家斉の世子・家慶の力にならんと腕を撫す志真佑だったが……。待望の新シリーズ始動!
【目次】
第一章 騒動の後始末
第二章 役付の誉れ
第三章 城中規律
第四章 恨の根
第五章 盾の意味 -
都内の住宅地で人質籠城事件が発生。所轄署や捜査一課をはじめ、門倉美咲、伊崎基子両巡査が所属する警視庁捜査一課特殊犯捜査係も出動した。人質解放への進展がない中、美咲は差し入れ役として、犯人と人質のもとへ向かうが……!? 籠城事件と未解決児童誘拐事件を結ぶ謎の少年、その背後に蠢く巨大な闇とは? 〈ジウ〉サーガ、ここに開幕!!
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ムカゴにシメジに……カックイまで!
どうりで山のいい香りっこがすっと思ってました。
青森県南に座す葵岳。その登山口にあるレストランでは春夏秋冬、様々な事情を抱えるお客様が訪れる。彼らを迎えるのは都会で修業したイケメンオーナー・登磨と、おっちょこちょいで、すっとこどっこいな店員の美玖。彼女の接客は時に奇跡を起こすのだが、美玖自身にもこの山と店の料理にこだわる理由があって……。
青森のご当地食材がじゅわっと染み入る、絶品&感動お料理小説。
『山の上のランチタイム』改題 -
「辻堂ミステリの最高傑作であり真骨頂。
本書で秘密を解くのは探偵ではない。読者である」
先生、聞いて。私は人殺しになります。お願いだから、じゃましないでね?(「教師と児童」)
わたしだって本当の気持ちを書くからね。ずっと前から、ムカついてた。(「姉と妹」)
嘘、殺人予告、そしてとある告白……。
大切な人のために綴られた七冊の交換日記。そこに秘められた、驚きの真実と感動とは?
――この緻密な仕掛けを、是非読み解いてください。 -
この一冊で見渡す作品世界――。
若くして洞察に富むデビュー期の輝き、早すぎる晩年の作ににじむ哀切。
二十年でついえた作家としてのキャリアの中で、フィッツジェラルドが生み出した幾多の小説から、思い入れ深く訳してきた短篇を村上春樹が厳選。「エッセイ三部作」を加えたベスト十作を収録。 -
捜査一課の刑事・朝倉は、陸自の空挺団出身の変わり種。都内で自衛官の首が切断される猟奇殺人事件が起こり、自衛隊の警務官が捜査本部に乗り込んできた。互いの矜恃をかけて捜査を進める男達だが、朝倉は警務官が抱える機密――基地で首を切られて死んだ別の自衛官の存在を知る。さらに米国海軍犯罪捜査局も絡み、事件はより複雑な様相に……「傭兵代理店」の渡辺裕之が描く、新時代の警察小説。シリーズ開幕。
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おちゃめな孫娘と頑固なばあさん
2019年と1963年をまたぐ
二人の冒険の行く先は?
高校入学を目前に、ふとした異変で
昭和にタイムスリップしてしまった菜緒。
時はオリンピック前年。
口が悪く愛想なしの祖母を相棒に
東京タワーから始まる物語は
思わぬ出会いと発見にあふれて――
やがて明らかになる、ばあさんの封印された過去。
取り返しのつかない出来事を、菜緒は覆すことができるのか!?
「ひょお、こりゃ面白くなってきた」「まったく、バカまごといると疲れるよ」
愉快爽快、ラストに涙。阿川佐和子の長編小説。
挿絵 石川えりこ -
「冥途の土産に遺しておくか。俺たちの歴史を。なあ、竜司」楢山は、紗由美と節子、そして警察学校に通う安里真昌を前に、自身の過去を語り始めた。高校時代のある事件をきっかけに、警察学校に入学した楢山は、入学初日に二人の男と出会う。彼らの名は、影野竜司と宇田桐善康――。
影野竜司はいかにして「もぐら」になったか。戦友の楢山や宿敵・宇田桐と出会う警察学校時代を描く、大人気シリーズのエピソード0! -
感受性を全開にして読んでもらえば、おのずから分かる――。ブラックユーモア、思いがけない結末、現実を溶かしていく夢の世界。短篇の名手による、研ぎ澄まされたミクロコスモス。一九六一年の「肥った客」から八二年の「夢の車輪」連作まで、掌篇五十篇を年代順に初集成。文庫オリジナル。〈解説〉荒川洋治
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SRO二代目室長に就任した芝原麗子は、これといった成果を上げられず、重圧に苦しんでいた。人員不足を埋めるべく新たに配属された夏目悠太郎が目をつけたのは、未解決の連続殺人事件。かつての銀幕のスター・鳳翔ルリ子の恐るべき欲望が悲劇を巻き起こす。一方、3年前にテロを企てた大宇宙真理の光教団は、教主・美福門太陽が罪を免れたことで力を取り戻しつつある。さらに、最凶シリアルキラー近藤房子の薫陶を受けた石塚麻友が、非情な殺人鬼へと変貌し――。大人気シリーズの新章が幕を開ける!
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南米コロンビアで凄絶な幼少期を過ごしながらも、マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、幼い娘を伴い来日した。目的はライバル組織に裏切られ、警視庁に勾留されている部下の奪還と復讐、日本での勢力拡大。だが、もうひとつ目的が……。人の心の在処を追い続ける著者の、揺るぎなき原点にして、傑作巨篇。
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「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。
なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」。学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして――荒廃していく世界の中で、人生をうまく生きられなかった人びとは、最期の時までをどう過ごすのか。滅びゆく運命の中で、幸せについて問う傑作。
〈巻末対談〉新井素子×凪良ゆう -
南米コロンビアで凄絶な幼少期を過ごしながらも、マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、幼い娘を伴い来日した。目的はライバル組織に裏切られ、警視庁に勾留されている部下の奪還と復讐、日本での勢力拡大。だが、もうひとつ目的が……。人の心の在処を追い続ける著者の、揺るぎなき原点にして、傑作巨篇。
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「これからつぶやくひとふしは とても悲しい物語……」
保険会社のコマーシャル・キャンペーン《幸せな家族》のモデルに選ばれた中道家。しかし撮影はなかなか進まず、やがて不気味な唄の歌詞にあわせたかのように、次々と家族が死んでゆく――
刊行以来、全国各地の少年少女に衝撃を与えてきた伝説のジュヴナイル・ミステリ長篇、奇跡の復刊。
〈解説〉松井和翠 -
「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」
1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」)
1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」)
二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。
アメリカ南部を舞台に、実験的かつ斬新な小説群を、生涯書き継いだ巨人、ウィリアム・フォークナー。
本作は、「一つの作品の中で異なる二つのストーリーを交互に展開する」という小説構成の先駆となったことで知られる。原著刊行(1939)の直後、ボルヘスによってスペイン語訳され(1940)、その断片的かつ非直線的な時間進行の物語構成により混沌とした現実を表現する手法は、コルタサル、ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、その後のラテンアメリカ文学に巨大な霊感を与えた。
他方、現代日本の小説にも、大江健三郎(『「雨の木」を聴く女たち』)や村上春樹(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)、叙述トリックを用いたサスペンス小説(連城三紀彦は本作を生涯の10冊に挙げている)など、本作の影響は数多見受けられる。
また、ゴダール(『勝手にしやがれ』)、ジャームッシュ(『ミステリー・トレイン』)における言及で本作を知る映画ファンも多いだろう。
その意味では、文学のみならず20世紀カルチャーにおいて最大級の方法的インパクトを与えた、世界文学史上の重要作にして必読の傑作だといえる。
その本作を、『八月の光』『サンクチュアリ』『兵士の報酬』などの名訳によって定評のある、加島祥造訳にて復刊する。 -
「なぜ本書が、(中略)かような一大傑作論考として結実したのかといえば、それは結婚が全部悪いのである。」(あとがきより)
「どうして結婚したんですか?」
この、デリカシーに欠けた、無配慮で苛立たしい“愚問”がもたらしたのは、人はなぜ冒険するのかという「最大の実存上の謎」への偉大な洞察だった!
人生の下り坂に入ったと自覚する著者が、探検家としての思考の遍歴を網羅した傑作エッセイがついに文庫化。
〈解説〉仲野徹(生命科学者)
目次
序 章 結婚の理由を問うのはなぜ愚問なのか
第一章 テクノロジーと世界疎外――関わること その一
第二章 知るとは何か――関わること その二
第三章 本質的な存在であること(二〇一九年冬の報告)――関わること その三
第四章 漂泊という〈思いつき〉――事態について その一
第五章 人はなぜ山に登るのか――事態について その二
終 章 人生の固有度と自由 -
眠る前に読る一編で、毎日、幸せな夢を――。
ちゃんと仕事をして、好きなことにお金を使う。こんな日常に満足だけど、ふとした時、誰かと一緒にいる時間を想像したり……。
「そういえば、恋ってどんなものだっけ?」
無意識に呟いてしまった時、読んでほしい九編を集めました。
なくても困らないけど、あったらより楽しくなるときめき。
『5分でとろける恋物語 ときめきスイート編』改題 -
夏川秋代は、夫を亡くして公団住宅にひとり暮らし。ある日、「(長女の巴と)家族になろうとしている」と語る若い男が突然やって来た。戸惑う秋代をよそに家に上がり込む謎めいた男。彼は本当に娘の婚約者なのか、それとも新手の詐欺なのか――。
秋代には実は、長女だけでなく、二人の息子にも男の来訪について相談できない理由があった。アメリカで未婚のまま娘を産んだ長女、男らしさの抑圧に悩み在日韓国人のパートナーとうまくいかない長男、借金を重ねて妻子に出て行かれた次男……こじれた家族の関係は修復できるのか。
現代文学の最前線を走る作家が、家族のあり方や人々のつながり方を問う渾身の長編。
〈解説〉大前粟生 -
母が事故死した夜から、葵の日々は一変する。遺されたワインバーを継ぐのか。同棲しているのに会話がない恋人との関係をどうするのか。仕事、恋愛、家族――。人生を見つめ直し、傷ついた過去と対峙することになったとき、32歳の葵が選んだもの、そして選ばなかったものは……。第1回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞受賞作。
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謀略に次ぐ謀略!
有力皇族の誅殺、忍び寄る疫病の影――。
藤原家の四子がこの国にもたらしたのは、栄光か、破滅か?
直木賞作家にしてノワール小説の旗手が、古代史上最大の闇に迫る衝撃作。
藤原武智麻呂、房前、宇合、麻呂の四兄弟は、父・不比等の意志を受け継ぎ、この国を掌中に収めるため力を合わせる。だが政の中枢には、不比等が唯一畏れた男、長屋王が君臨していた。
皇族と藤原家。それぞれの野心がぶつかり合い、謀略が交錯するとき、古代史上最大の闇が浮かび上がる――。
〈解説〉木本好信(元龍谷大学教授、奈良時代政治史) -
光子という美の奴隷となり、まんじ巴のように絡みあいながら破滅に向かう者たちを描いた心理的マゾヒズム小説の傑作。他に短篇「蘿洞(らどう)先生」「続蘿洞先生」を収めた。中村明日美子による美麗なカバー画・口絵、挿画十五葉は本文庫版のための描き下ろし。〈解説〉千葉俊二〈註解〉明里千章 附・大正末期から昭和初期の大阪市街地図と蘆屋周辺地図
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これは愛なのか、苦悩なのか……。心を病んだ妻。発病から死に至る足かけ8年、妻を見つめながら書き続けた魂の文学。まさに上林曉を上林曉たらしめた、孤高の私小説集。文庫オリジナル。
◆上林の妻・繁子は、1939年7月に精神に病を発し、46年5月に死去。8年におよぶ闘病中、3度の入退院を重ねた。この間、上林はひたすら自身と妻をモデルに、私小説を書き続けた。
◆この8年は、日米戦争を挟む時期であった。3人の子どもたちを郷里の高知に疎開させ、一家は離散。食べるものにも困窮する日々であった。
◆妻の病は徐々に、しかし確実に蝕まれていった。戦中の栄養失調、行き届かぬ医療、衛生状態の悪化から、視力も失われてゆく。「錠前と鉄格子」のある病院で、妻は孤独に死を待つこととなる。面会も間遠になり、上林が妻の最期を見届けることはできなかった。
◆本文庫では、過去に刊行された「病妻もの」の収録作を軸としつつ、作品を増補し、発病から死去、そして埋葬に至るストーリーを、さながら長篇私小説としても読めるように構成した。
◆収録作:林檎汁/夜霊/悲歌/明月記/命の家/風致区/聖ヨハネ病院にて/遅桜/嬬恋い/庭訓/弔い鳥/聖ヨハネ病院にて -
お江戸日本橋に、ちょっとワケありな旅籠が誕生!?
料理屋「夕凪亭」の娘ちはるは、雇われ人の裏切りで両親と店を失い、長屋でひとり借金苦に喘いでいた。そこに元火付盗賊改の工藤怜治が現れ、借金を清算してしまうと、日本橋室町に新しくできた旅籠「朝日屋」を手伝うようちはるに迫るが、ちはるには素直に頷けない事情があり……。
お腹も心も満たされる「朝日屋」の物語、ここに開店!
●主要登場人物●
ちはる――17歳。いまはなき料理屋「夕凪亭」の一人娘
工藤怜治――28歳。朝日屋の主。元は腕利きの火付盗賊改で熱血漢
慎介――54歳。朝日屋の料理人頭。朝日屋の前身である料理屋「福籠屋」の主で、料理の腕前はピカイチだったが……
たまお――31歳。水茶屋の茶汲み女。外見はおっとりしているが、客あしらいがうまい。過去に悲惨な事件を経験している
綾人――16歳。乙姫一座の女形。かつての奉公先で事件に遭い、怜治に救われた過去を持つ
慈照――27歳。眉目秀麗な「天龍寺」の住職。幼い頃からちはるに目をかけている。甘党
柿崎詩門――24歳。火付盗賊改で、怜治の元同僚。怜治と違い、品のいい優男だが有能 -
77歳、元気ハツラツ!「今日ハオ爺チャン、ネッキングサセタゲマショウカ」――文豪・谷崎が〈老年の性〉を追究した晩年の最高傑作。挿絵・しりあがり寿。
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『ゴリオ爺さん』『谷間の百合』ほか全九一篇、登場人物二〇〇〇人による壮大な「人間喜劇」を構想したバルザック(一七九九―一八五〇)。富と名声を求めて旺盛な創作活動に邁進し、天才と俗物の間を生きた。その彼を終生敬してやまなかった伝記作家が、五一年の生涯を情熱的に描いた遺作にして最高傑作。〈解説〉宮下志朗
目次
第一篇 青春と初舞台
第一章 少年期の悲劇
第二章 運命への早まった問いかけ
第三章 オラース・ド・サン・トーバン小説工場
第四章 ベルニー夫人
第五章 商業的幕間狂言
第六章 バルザックとナポレオン
第二篇 仕事部屋のバルザック
第七章 三十男
第八章 書斎のうちとそと
第九章 カストリー侯爵夫人
第十章 バルザック自己の秘密を発見す
第三篇 小説を地で行く
第十一章 未知の女
第十二章 ジュネーヴ
第十三章 ウィーンの別れ
第四篇 小説家バルザックの栄光と悲惨
第十四章 破局の年一八三六年
第十五章 イタリア旅行
第十六章 転機の年
第十七章 サルデーニャの銀山
第十八章 芝居の投機
第五篇 『人間喜劇』の作者
第十九章 ハンスカ夫人征服の戦い
第二十章 『人間喜劇』
第二十一章 最初の挫折
第二十二章 蒐集家バルザック
第六篇 事の成就と終り
第二十三章 最後の傑作
第二十四章 ウクライナのバルザック
第二十五章 結婚と帰国
第二十六章 おわり -
『ゴリオ爺さん』『谷間の百合』ほか全九一篇、登場人物二〇〇〇人による壮大な「人間喜劇」を構想したバルザック(一七九九―一八五〇)。富と名声を求めて旺盛な創作活動に邁進し、天才と俗物の間を生きた人間の魅力をあますところなく描き切った本格評伝。
【目次】
第一篇 青春と初舞台
第一章 少年期の悲劇
第二章 運命への早まった問いかけ
第三章 オラース・ド・サン・トーバン小説工場
第四章 ベルニー夫人
第五章 商業的幕間狂言
第六章 バルザックとナポレオン
第二篇 仕事部屋のバルザック
第七章 三十男
第八章 書斎のうちとそと
第九章 カストリー侯爵夫人
第十章 バルザック自己の秘密を発見す
第三篇 小説を地で行く
第十一章 未知の女 -
その時分の私たちというのが、なんでも先生の真似をして見ようという、随分馬鹿気きっていた時分なのである。――師・夏目漱石をはじめ、寺田寅彦、鈴木三重吉、森田草平から芥川龍之介まで。漱石山房で、ともに文学談義を交わし、酒を呑み、気焔を上げた人々を、第一の弟子が回想する。文庫オリジナル
〈コミックエッセイ〉香日ゆら
目次より
夏目漱石
休息している漱石/漱石二十三回忌/漱石と恋愛/漱石二題/漱石と読書/漱石と画/漱石と烟草/偽物/注釈/「漱石発狂」の報告者/漱石文庫/漱石半身像/漱石のうちの猫/修善寺日記
寺田寅彦と松根東洋城
『漱石・寅彦・三重吉』序/「寅彦全集」/「破門」/『回想の寺田寅彦』序/漱石と寅彦/寅彦と死相/寅彦と俳諧/寅彦と羽子板/「御髭」/松根東洋城のこと
鈴木三重吉
三重吉の思い出/鈴木三重吉/三重吉のこと/青春記/写真
安倍能成
安倍のこと/眼鏡/アンシュリアム
森田草平と内田百閒
森田草平/『実説草平記』/誤植/誤伝の経路/チョッキのまぼろし/白髪
野上豊一郎
野上の死/野上のこと
芥川龍之介
芥川龍之介の死/一挿話 -
「自動告白機みたいなのがありさえすれば」
『自動失恋慰め機の開発も待たれるな』
陸上部のエースに学園祭で告白したい浩太は、AI端末と夜な夜な計画を練る。一方、さくらは幼なじみの家に自分のコピー人格AIを送り込み、恋愛シミュレーションを図るが……。計算では万全なはずだったのに、現実の壁はあくまでも高い。AIがほんのり照らす不器用な主人公たちの未来。
『それをAIと呼ぶのは無理がある』改題 -
今はもういない者たちの一日一日が、こんなにもいとしい。
傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。
病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、
どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。
――そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。
驚きの手法で描かれる、小さな空間に流れた半世紀。
優しく心を揺さぶる著者最高作。
各メディアで話題を呼んだアパート小説の金字塔
第五二回谷崎潤一郎賞受賞 -
どこかで別れた大切な人を想うとき、相手もまた、あなたを想っているかもしれない。
――宮島未奈(『成瀬は天下を取りにいく』)
磯貝美佐、39歳。妊活がうまくいかず、母親離れができない優柔不断な夫・要一郎との生活に見切りを付けるべく、家を出た。東京の下町・谷中の六畳一間で、アンティーク着物のネットショップ「蔦や」を一人で切り盛りしている。友人は、恋愛対象が男性の美しき骨董屋、関くんだけだ。
ある日美佐が実家の蔵を整理していると、箪笥に大切に仕舞われた、祖母・咲子のものにしては小さすぎる着物を見つける。そして、抽斗の二重底に隠されていた3冊のノートと、見たことのない美少女が写った古写真も……。
この少女はどこの誰で、咲子とはどのような関係だったのか? ノートを読み始めた美佐はやがて、着物と少女の謎を突き止めた。咲子の生涯を懸けた「思い」を知った美佐は、ある決断をする――。ベストセラー『妻の終活』の著者が贈る、永遠の「愛」の物語。
『花は散っても』改題。 -
序章 死をそばに感じて生きる
團十郎の辞世
死生観表出の時代
自然災害のインパクト
どこから来てどこへ行くのか
二つの立場
テクノロジーの進化の果てに
1章 「知」の人の苦しみ
伝統的な宗教の後に
岸本英夫の実践
合理性の納得
頼藤和寛の世界観
はじまりのニヒリズム
「にもかかわらず」の哲学
自由意志の優位と揺らぎ
多田富雄の受苦
人格を破壊から守る
サイコオンコロジー
医療の現場で
ホスピスとデス・エデュケーション
遺族外来、がん哲学外来
禅の否定するもの
「わたし」を「なくす」
河合隼雄の遍歴
ユング心理学と仏教
切断せず包含
2章 スピリチュアリティの潮流
崩れつつある二元論
オルタナティブな知
理解できないものへの態度
時代という背景
第三の項へ
ポストモダンの現象
ベクトルの交わるところ
島薗進の視点
「精神世界」の隆盛
個人の聖化と脱産業化
鈴木大拙の霊性
宗教的でなくスピリチュアル
玄侑宗久との往復書簡
「而今」の体験
「いのち」との関係
潮の満つるとき
海のメタファー
親鸞の絶対他力
生死の中で生死を超える
日本的発現
ゆりかごとしての風土
3章 時間を考える
代々にわたり耕す
柳田国男の「先祖」
個体から集合体へ
つなぐラフカディオ・ハーン
田の神と山の神
時代からの問い
四つの類型
折口信夫の「海の他界」
野という中間地帯
身近な行き来
かのたそがれの国
うつし世、かくり世
帰ってゆく場所
先祖の時間
線をなす時間
層をなす時間
輪をなす時間
自然との親和性
季語のはたらき、リズム
津波を詠んだ句
山川草木悉有仏性
「衆生」の範囲
貞観地震と津波
暴れる国土
山川草木悉有神性
瞬間瞬間にふれる
不動の中心
技法としての行
色即是空
井筒俊彦による視覚化
縁起という実相
根源のエネルギー
式年遷宮
「木の文明」
生の造形
宣長の「悲し」と「安心」
・キャンペーンの内容や期間は予告なく変更する場合があります。
・コインUP表示がある場合、ご購入時に付与されるキャンペーン分のコインは期間限定コインです。詳しくはこちら
・決済時に商品の合計税抜金額に対して課税するため、作品詳細ページの表示価格と差が生じる場合がございます。