『文芸・小説、彩流社、広瀬佳司、1円~』の電子書籍一覧
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ユダヤ系文学の原点「父と息子の関係」に光を当てる論集!
ユダヤ民族の族長アブラハムが、神の命に従い一人息子イサクを生贄として捧げる絶対神への信仰心(アケダー)、また疑うことなく父アブラハムの言葉に従うイサクに見られる「父と息子」の揺らぐことのない信頼関係からユダヤ民族の宗教は始まる。本書を手にした読者は、今まで目にしたことのないようなユダヤ系の親子関係の普遍性と特殊性を味わうことになるだろう。
【目次】
第1章 〈怒りの神(父)─息子〉と〈慈愛の母─息子〉(広瀬佳司)
第2章 父と息子を結ぶ光──スタンリー・クニッツの描く父、母、息子(風早由佳)
第3章 アンジア・イージアスカの描く「親子の継承」──『パンをくれる人』から『白馬の赤リボン』への変遷(江原雅江)
第4章 不在の父を求める息子──アイザック・バシェヴィス・シンガー『モスカット一族』を中心に(大﨑ふみ子)
第5章 アイザック・バシェヴィス・シンガー『父の法廷』における父親像──ノア、あるいはモーセ(アダム・ブロッド)
第6章 アイザック・バシェヴィス・シンガーの作品に見る母と息子の絆(今井真樹子)
第7章 父親はラビ、息子は作家──アイザック・バシェヴィス・シンガーの小説(佐川和茂)
第8章 マラマッドの「ある殺人の告白」──そのタイトルの重層的な意味について(鈴木久博)
第9章 「ジ・エンド」をめぐる父と娘──グレイス・ペイリーの「父との会話」(大場昌子)
第10章 父の怒り、息子の涙──『男としての我が人生』における苦悩と失意(岩橋浩幸)
第11章 ポール・オースターの「父と息子」の物語──『孤独の発明』における語りの作法(内山加奈枝)
第12章 父子をめぐる〈虚─実〉のトポス──スピルバーグの『未知との遭遇』から『フェイブルマンズ』まで(中村善雄)
第13章 アーサー・ミラー『セールスマンの死』に見るユダヤ系の父と息子──レヴィンソンとシュレンドルフの解釈を基点に(伊達雅彦) -
1990年代半ば、英国オックスフォード大学へユダヤ文学研究のため留学した著者の記録。40代目前の「中年男」として異国の地へ学びに行く不安と期待。そして、行く先々で出会うユダヤ人とユダヤにかかわる人びととの交流を描く。
誰の人生にも岐路というものがある。私の場合は、イディッシュ語作家
アイザック・バシェヴィス・シンガーの作品との出会いがそれであった。
……イディッシュ文学研究が予想もしなかった方向へと私を導いた。
これも私のバシェールト(イディッシュ語で「運命」の意)であろう。
人生とは分水嶺に落ちた木の葉のようなのかもしれない。
イディッシュ語はイディッシュ語を知る前とは全く異なる世界へと私を導き、
一時は死語になると危ぶまれた言語が、私の人生にパノラマのような視野を
与えてくれたのである。これから記すオックスフォード大学での
ユダヤ学研究こそ私の人生の分水嶺であった。(「まえがき」より)
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