『文芸・小説、ふらんす堂、801円~1000円』の電子書籍一覧
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◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ
◆第五句集
2012年以降の作品から360句を収録した第5句集。
句集名の『朝晩』は、文字通り朝と晩であるとともに、いつも、常々、日々の暮らしの中で、という意味合いが込められている。
◆自選一二句より
妻来たる一泊二日石蕗の花
雪降るや雪降る前のこと古し
葬送の鈸や太鼓や山笑ふ
夕空は宇宙の麓春祭
レタス買へば毎朝レタスわが四月
飯蛸やわが老い先に子の未来
松蝉の声古釘を抜くごとし
月涼し配管老いし雑居ビル
めらめらと氷にそそぐ梅酒かな
ひぐらしや木の家に死に石の墓 -
◆必読入門書
俳句はこうして生まれる。
欲しかった一冊。
初句索引に加え、「私を育ててくれた人々」を書きおろしています。
入門書としては必須アイテムのシリーズです。
◆001
晩夏光もの言ふごとに言葉褪せ
昭和四十一年、大学入学と同時に「慶大俳句」に入会した。クラブ活動は短歌か俳句と心に決めていたが、当時短歌研究会はなかったので、おのずから俳句研究会へ導かれた。新入生歓迎会は明治神宮吟行。近くの喫茶店で生まれて初めて句会というものに参加した。現役よりOBの方が多い句会だったが、何句か先輩達の選に入った。それでやみつきになったが、やがて自分の言葉の貧しさにも気づかされた。
(『夏帽子』昭和四一年) -
◆第二句集
香水を一滴をんな取り戻す
美音さんの句はかなり大胆な試みのもとにあることがわかる。
いままでの美音さんの句全体を見渡してみると必ずしも試みが成功しているとは言えないものもあるのだが、そうした不成功を怖れないところが美音さんの特徴とも言える。
むしろ、ここからまた何か新しいものが生まれるのではないかという期待が生じてくるのである。
序より・大輪靖宏
◆自選十二句
連山を統べ大阿蘇の野火走る
この先は獣道かや山桜
荷風忌やソーヌゆつくり蛇行して
ときめきは晩年に来よ桃の花
国境は青き海なりつばくらめ
もう少しで星を摑めるハンモック
美しき刻を重ねて滴りぬ
あるがまま溺れてみたき芒かな
十六夜のしづかに潮の引きにけり
アサギマダラ色なき風に抗はず
家系図に一人加ふる春隣
初夢や手には届かぬ北極星 -
◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ
◆第二句集
水鳥に会ふときいつも同じ靴
三十代までに十数回の転居をしましたが、
気が付くと、今の住居での暮らしが十九年ほどにもなります。
都会でもなく、本当の田舎でもない、
当地での生活にいつしか馴染んだようです。
(あとがきより)
◆作品紹介
一〇〇〇トンの水槽の前西行忌
自宅から土筆の範囲にて暮らす
雉の駆け込みし玉ねぎ小屋の裏
県庁と噴水おなじ古さかな
甘藍に囲まれ天使幼稚園
歌仙巻く女たちみな素足かな
集まらぬ日の椋鳥の楽しさう
初鴨の油の抜けしやうな顔
かいつぶり毎日無理をしてゐたり
水鳥に会ふときいつも同じ靴
水仙の先へ廊下を継ぎ足せる
法螺貝の素の音の出る春隣 -
◆待望の一冊!
廃園から楽園へ。
(正岡豊)
のほほんと、くっきりと、あらわれ続ける言葉の彼方。
今ここをくすぐる、花の遊び。
読んでいる私を忘れてしまうのは、
シャボン玉のように繰り出される愉快のせいだ。
(鴇田智哉)
◆収録作品より
あたたかなたぶららさなり雨のふる
ミモザちる千年人間のなきがらへ
日々といふかーさびあんか風の羽化
うららかを捧げもつ手の手ぶらかな
さらばとは聞かで消えたるのどかさの
春てぶくろにおぼつかなくも棲む海か
きのふより少し古風な木に出会ふ
鳴る胸に触れたら雲雀なのでした
ひきはがす東風とペーパーヒコーキを
朧夜がなにもない巣を抱いてゐる -
◆リトアニア語対訳詩集
あさはやくに書かれた
たくさんの新しいひびきの名前。
読まれていない本をめくろう
東から西まで。
あさはやくに白い魔女たちが
わかいわたしの幸せを決めた;
そして予言し運命づけた
永遠にわかくいることを。
黄金の時間をあさはやくに
太陽がたくさん注いだ。
あさに金いろで書かれた
わたしの名前をそこで見つける。
(「あさはやくに」より)
◆目次
(あさはやくに)
あさはやくに/わかいきみに/青春/白い路上で/復活祭のあさに
(夕べのヴァイオリン)
こどく/夕べのヴァイオリン/たびだちに/海のおはなし/十字路よ/暗くなるとき/日没
(黄いろの旗)
黄いろの旗/風/秋の太陽よ/たいへん/秋の日々/孤児のよる
(銀のこどく)
銀のこどく/たそがれの来客/待合室に/哀悼/森によって/黒い客/白の山脈/おうちから
(大地が燃える)
春に/海にて/春の酔い/踊り子たち/窓ごしに/一瞬のあいだの
(なみだなしに)
宵/ついていく日に/ものごい/パイェーシスよ -
ふらんす堂ホームページ上で連載の「昼寝の国の人――田中裕明全句集を読む」が一冊に!俳誌「ゆう」連載の田中裕明のエッセイも掲載。
●執筆者
高柳克弘/神野紗希/杉本徹/中村夕衣/冨田拓也/相子智恵/鴇田智哉/黒瀬珂瀾/村上鞆彦/手塚敦史/小田涼子/マブソン青眼/中尾太一/小島なお/小笠原鳥類/斉藤斎藤/日下野由季/永田紅/庄田宏文/如月真菜/彌榮浩樹/佐藤成之/田中亜美/佐藤郁良/石川美南/佐原怜/鬼野海渡/藤原安紀子/橋本直/杉浦圭祐/永田淳/田中裕明
●田中裕明略歴
1959年(昭和34年)京都生まれ。1977年(昭和52年)に波多野爽波に師事し、早熟な才能を発揮。1982年(昭和57年)22歳で角川俳句賞を受賞。最年少の受賞者となり、俳壇のニューウェーブとして活躍。2000年(平成12年)に俳句結社誌「ゆう」を創刊、主宰した。2004年(平成16年)12月30日、骨髄性白血病による肺炎で永眠。享年45歳。句集に『山信』『花間一壺』『櫻姫譚』『先生から手紙』『夜の客人』。
2007年7月7日『田中裕明全句集』刊行。(『田中裕明全句集刊行委員会』編集) -
◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ
◆第三句集
一瞬にしてみな遺品雲の峰
前の句集を出してから、思いのほか長い月日が過ぎた。途中、母の死をきっかけに句稿を何とかまとめたが、その二週間後に東日本大震災が起きてしまった。今思えば、あの震災は自分の作品を再び見つめ直すための厳しい機会だったのかも知れない。
◆収録作品より
南風吹くカレーライスに海と陸
さまよへる湖に似てビヤホール
簡単な体・簡単服の中
帰心とは水引草にかがむこと
いちじくの火口を覗く夜なりけり
風呂敷は布に還りて一葉忌
海流のぶつかる匂ひ帰り花
病棟は海鳴りのなか神の留守
しばれると皆言ひ交す夜空かな
大空に根を張るつららだと思へ
第57回俳人協会賞受賞!
第10回小野市詩歌文学賞受賞!
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