『BCCKS、乾 隆、1円~、2017年7月11日以前(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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灼熱の砂漠。6人の若い労働者が穴掘りに精を出す。地面に突き刺さるスコップ。ひとすくいずつ砂は穴の外に捨てられる。したたり落ちる男達の汗水は地面にしみ込むまでもなく蒸発していく。彼らは全員で1つの穴を掘る。透明なビニールに包まれた女が掘り返される。女はすぐに息を吹き返す。労働者を見ると突然、爆発するように泣き出す。錯乱して、泣き喚く。まるで赤ん坊のように。穴はより深く、深く、掘り進められていく。掻き出される砂とともに、穴を掘る者達の感情が明かされていく。2007年に東京・阿佐ヶ谷で上演された戯曲作品。
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例えば、透明なカッターで切り取られたような立方体の空間。愛しあう女どうしが暮らしている。外の世界には怒鳴り合って会話をするオトコ達がウジャウジャと歩き廻り、不潔なものに触れたがる。ふたりの女は同時に泣き出す。轟々と大声で泣く。抱き合って泣く。涙が涸れるまで、泣く。まるで水の中にいる時のような、冷たいやさしさに満ち溢れた世界。彼女達だけの世界。純粋で、滑稽で、恐ろしく脆く、美しい。上演後に大きく加筆。戯曲の枠を超えた、もはや舞台化不可能な純文学シナリオ。
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わたしが昔、住んでいた町。通りかかった空き地で、同い年の美しい「有実」に出会う。降ったり止んだりの俄か雨みたいな蝉の声が降り注ぐ、真夜中の空き地。当時近所で起きた凄惨な少女の死。今はもうなくなってしまった黄色い道。ピンク色のビーチサンダル…。絶望的な真実を思い出すまでの、つかのまの物語。2004年京都で上演された戯曲に加筆。読み物として楽しめる「純文学シナリオ」へとリニューアルしました!
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針金の蔓に、アルミ箔の花びら。銀色の植物で埋め尽くされた小さな裏庭。大切な人を失い、自分だけが生き残った小春は、銀色の植物を増やしつづける。見守る大学生の弟と、その友人や彼女。ある日、小春が亡くした「大切な人」の娘・菜津が、銀色の庭を訪ねてくる。父の死の真相を知るために。現実の中にある美しさと悲しみを描いた、日常の物語。2002年に京都で上演された戯曲作品。
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