『夜行、ボイジャー(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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寝静まった時刻のサイレント・アクション。目撃者は誰もいない。
パッとしないバンドのリード・ギタリスト。
彼につきまといながらも、彼という存在を、彼の音楽を
正当にこきおろす美人の女。
ドサまわりのような形で夜行に乗って北へ向かう二人をのぞいて
乗客はみな寝てしまったようだ。
その時、唐突にアクションがやってくる。
たまたま手にした道具によって。あっけなく。争いもなく。
誰も見ていないし、聴いていない。
この列車の中で、ブルースを聴いているのは果たして誰か? -
波が呼んだら、どこまでも行く。
幸雄と貴志。波乗りを何よりも愛する2人は
そのあいだに麻衣子、という気になる存在をはさみながらも
常に海を、波を第一に考えることにおいて共通している。
ある時2人は、小さな町の映画館で、ポルノ仕立ての安い映画を観た。
そこに彼らが観たものは、他の観客がまるで目にとめないもの、
画面を横に抜けていく完璧なチューブ波だ。
素朴すぎる情熱と手段で、
彼らはその波が生起する場所を、ついに見つける。
あとはもう、いつまでもそこに留まるだけだ。 -
ピカピカのステーション・ワゴンは、宇宙からやってきて、やがて海に還っていく。
福音館書店発行の雑誌『子どもの館』(1980年)に発表された短編。
自動車をテーマにした片岡義男ならではの一編だが
ここでは12歳の少年が主人公であり、
少年がスクールバスという、少年にとって戦場のような社会の中から
光り輝くステーション・ワゴンを目撃する視点がおもしろい。
やがて彼は、大胆にもそのステーション・ワゴンのハンドルを握るのだが
およそ現実離れしたその乗り物は、
意外な、いや、もしかすると必然的にそうなるしかない、
というような結末を迎えることになる。 -
別れ話は3度。そして空には、ブルー・ムーン。
女と男がいる。
女が「終わりにしたい」という。男は「なぜ?」と聞く。
人類が、これまで無限に繰り返してきた行為だ。
いったい、平行線ではない別れ話というものが、あるだろうか?
終わりにすることと嫌いになることは違う、という言葉がそこにあり、
しかしその言葉は2人のあいだで共有されない。
されないまま、しかし2人は3度、話すために会う。
一度目と二度目は雨。しかし三度目は晴れた。
すべてを終えて、窓から見えるのは、きれいなブルー・ムーン。
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