【Ⅰ】戦時中、藤田嗣治や猪熊弦一郎など名立たる画家たちが日本軍の戦う様を描いた「戦争画」を目にする機会は少ない。いずれも戦意高揚という単純なものではなく、写真以上の臨場感で生命の本質を伝える名作ぞろいである。ところが戦後、これらの絵を描いた画家たちを「戦犯」であるかのように批判する者が現れた。芸術批判の名を借りた政治闘争の闇と、「戦争画」の真実がいま明かされる。【Ⅱ】近現代史研究家による「戦争画」シリーズ第二弾。そもそも「戦争画」という呼称自体、確かな筆致と構想力で戦場の情景を描いた「絵画の力」をイデオロギーの枠内に押し込め、芸術性を奪い去ってしまうものである。筆者は戦争画を「戦中記録画」と呼び、共産主義の影響を色濃く受ける「赤い美術界」から画家の名誉を回復しようとする。長きにわたり美術界に君臨していたボス・土方定一が行なった恣意的な選択とは何か。一次史料をもとに解明する。※本コンテンツは月刊誌『Voice』2015年9月号・10月号掲載記事を改題し、電子化したものです。
(C)水間政憲/PHP研究所
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