映画も大ヒットした作品と、土佐の女を描いた短篇集を収録。付録は山本一力と川村湊による土佐の女談義!
『鬼龍院花子の生涯』は、土佐一の親分といわれた“鬼政”こと鬼龍院政五郎の任侠道、鬼政を取り巻く女たちの愛憎、愛娘・花子の哀れな生涯を養女・松恵の目を通して描く。宮尾作品初の映画化が大ヒットし、夏目雅子が演じた松恵の台詞「なめたらいかんぜよ」が流行語にもなった。ただし、この台詞は原作にはなく、映画を見た宮尾は仰天したと書き記している。
『楊梅の熟れる頃』は、土佐の13人の女たちから紡いだ13の短篇集。高知の特産品や名所などを絡めながら、苦難に押しつぶされそうな心を奮い立たせ、前を向いて生きる土佐女の強さ、生きざまをあたたかな眼差しで綴っていく。
付録では、宮尾とは舎弟・姉御と呼び合った同郷の作家・山本一力と、当全集の監修を務める文芸評論家・川村湊が“土佐の女”をテーマに対談。宮尾の根底にある土佐の女たちについて語り合う。さらに『楊梅の熟れる頃』に登場する高知の名所がわかる地図も収録。
※この作品にはカラー写真が含まれます。
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日々の暮らしを綴った随筆4作品を収録。付録は筑摩書房元社長と川村湊の太宰治賞談義など!
『つむぎの糸』では、編集者との取材旅行、大先輩の作家・宇野千代の細やかな心遣い、近所に住む孫の話などが綴られている。『わたしの四季暦』は、四季折々の営みを情感豊かに描写。早春の摘み草、夏の強い日差しを遮る懐かしい絵日傘、晩秋の肩掛け、暮れの羽子板市などについて語る。『記憶の断片』は創作、こころ、暮し、思い出の4章からなる。『序の舞』や『藏』などの創作秘話、不安症の悩み、土佐の味覚、満州での体験などを記している。『はずれの記』は移ろいゆく季節を背景に、日常の中での心の機微に触れ、縁の人や豪華客船での旅など忘れ得ぬ出来事を描く。
付録は宮尾が文壇で活躍するきっかけとなった太宰治賞受賞から交流が続いた元筑摩書房社長・柏原成光と、文芸評論家・川村湊が、宮尾の作家人生をテーマに対談を繰り広げる。宮尾の88年の生涯を網羅した年譜・完全版も掲載。
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栄枯盛衰に翻弄された女たちの悲哀も描いた、宮尾本の後半を収録。インタビューは友人の野田弘志画伯にインタビュー!
宮尾の見事な筆致が際立つ、「三 朱雀之巻」では、栄華を極める平家一門の没落への序章が描かれる。その幕開けとなるのは、源頼朝の挙兵だ。幼い安徳天皇を擁して福原に遷都していた平家は、富士川に軍を進めるが、水鳥の音に怯えて敗走。再び都を京都に戻した清盛は、熱病で死去する。時子は清盛の遺言を偽り、平家一門の奮起を促す。しかし北国で木曾義仲が挙兵し、惨敗した平家は西国への逃避を決める。
「四 玄武之巻」では都落ち、一ノ谷の戦い、壇ノ浦の戦いなど、物語の見せ場が展開されていく。幼い安徳天皇と三種神器を戴いて都落ちした平家の女性たちが過酷な運命を辿る中、時子は平家の血筋を皇統に残すため謀を巡らす。乱世に翻弄された女たちの生きざまが胸を打つ最終巻だ。
付録は、宮尾がこの執筆に専念するため、北海道に移住するきっかけをつくった友人、画家・野田弘志さんに宮尾の素顔を訊く。また、2001年に北海道の山荘で収録された、宮尾のインタビューも再録する。
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平家物語への思いを綴った随筆と、数少ない中短篇を収録。少女小説誌に掲載していた“幻の秘蔵作”も本邦初再録!
『宮尾本 平家物語』を脱稿した後に執筆した随筆『平家物語の女たち』は、平清盛を育てた祇園女御、清盛の妻・時子をはじめ平家物語に登場した女性たちの生き様を物語に添って紹介。平家の女性たちに寄せる宮尾の思いを綴っている。もう一つの随筆『義経』は、『宮尾本 平家物語』とともにNHK大河ドラマの原作にもなった史実や伝説などを織り交ぜながら、宮尾の抱く義経像が描かれて興味深い。
中短篇集『影絵』は、昭和37(1962)年に第5回女流新人賞を受賞した『連』、1970年代に発表された『卯の花たくし』『影絵』『夜汽車』の4篇を収録。短篇集『菊籬(きくまがき)』は処女作『村芝居』、『菊籬』『宿毛にて』など初期と円熟期の8篇をまとめた。短篇『舞い扇』は、宮尾が夫とともに高知から上京した昭和41(1966)年に創刊された少女小説誌『別冊 女学生の友』(小学館)に掲載され、今回が初再録となる。
付録は、『平家物語』の朗読や平家の女性たちをテーマに講演を行なっている元・NHKアナウンサーの加賀美幸子さんに『平家物語』の魅力を訊く。また、宮尾が上京間もない頃に、前田とみ子の名で少女向け小説『舞い扇』を書いていた時代をなぞらえながら、川村湊が解説する。
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着物に纏わる随筆2篇と、縁ある人々との対談集2篇を収録。宮尾原作舞台の主演女優・浜木綿子がエピソードを語る!
“宮尾登美子といえば着物”の印象は定着し、その着物姿の優美で凛とした佇まいは多くの人々を魅了した。『花のきもの』『きものがたり』は、宮尾の着物に寄せる愛着と思い出を綴った随筆である。前者は回顧録的な作品で、菊や椿、梅など花模様の着物を取り上げ、その着物に纏わる女性たちの思い出を描いている。後者では、宮尾自身の箪笥にある着物100点以上をオールカラーで一挙公開。羽織や雨ゴート、手作りの帯なども紹介され、着物を巡るエピソードが展開される。
『小さな花にも蝶』は、作家の吉行淳之介、水上勉、加賀乙彦、映画『櫂』他の監督・五社英雄、出演者の緒形拳など、10人の男性との対談集だ。男と女、文学、芸事、旅といった多岐に亘るテーマについて語り合い、宮尾の創作の源泉や日々の生活も伺える。美味しいものに目がなく、故郷・土佐の料理をこよなく愛した宮尾は、台所に立つ主婦でもあった。『大人の味』では、そんな宮尾と茶懐石『辻留』の二代目・辻嘉一が料理談義を繰り広げる。
付録は舞台『寒椿』『陽暉楼』で主演を務め、着物をこよなく愛する女優・浜木綿子が、宮尾の思い出と着物の魅力について語る。小特集では、土佐のもてなし料理、皿鉢料理を紹介する。
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定評ある自伝的随筆5作品を収録。付録は宮尾登美子を取材した、評伝の著者へインタビュー!
波乱万丈の人生を送った宮尾は、自身の人生を小説のモチーフとしただけでなく、随筆にも綴っている。『女のあしおと』には17歳で結婚して満州に渡り、苦難の末に引き揚げてきた体験、病苦、離婚、そして再婚後に上京など、自分が辿ってきた道程を語った「浮き沈み五十年」などが収録されている。『もう一つの出会い』は、儘ならない人生に七転八倒しながらも、文学への志を貫く中で出会った人々、折々の想いを書き留めた作品だ。一方、『地に伏して咲く』では少女時代からの半生に加え、宮尾作品についての背景や登場人物についても触れていて興味深い。『女のこよみ』は四季の移ろいの中での出会いと別れ、高知の農村で暮らした日々などが描かれる。『生きてゆく力』には、幼い頃に一緒に暮らした芸妓娼妓になるための幼女“仕込みっ子”たちの行く末などを、万感の想いを込めて書いている。
付録では、評伝『宮尾登美子 遅咲きの人生』の著者で元・新聞記者の大島信三さんが、取材を重ねた彼ならではの視点で人間・宮尾登美子を語っていく。
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日々の暮らしを綴った随筆4作品を収録。付録は筑摩書房元社長と川村湊の太宰治賞談義など!
『つむぎの糸』では、編集者との取材旅行、大先輩の作家・宇野千代の細やかな心遣い、近所に住む孫の話などが綴られている。『わたしの四季暦』は、四季折々の営みを情感豊かに描写。早春の摘み草、夏の強い日差しを遮る懐かしい絵日傘、晩秋の肩掛け、暮れの羽子板市などについて語る。『記憶の断片』は創作、こころ、暮し、思い出の4章からなる。『序の舞』や『藏』などの創作秘話、不安症の悩み、土佐の味覚、満州での体験などを記している。『はずれの記』は移ろいゆく季節を背景に、日常の中での心の機微に触れ、縁の人や豪華客船での旅など忘れ得ぬ出来事を描く。
付録は宮尾が文壇で活躍するきっかけとなった太宰治賞受賞から交流が続いた元筑摩書房社長・柏原成光と、文芸評論家・川村湊が、宮尾の作家人生をテーマに対談を繰り広げる。宮尾の88年の生涯を網羅した年譜・完全版も掲載。
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