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『講談社学術文庫、1001円~、半年以内(実用、画集)』の電子書籍一覧

1 ~21件目/全21件

  • 劇場のように華やかな装飾。高い天窓からふり注ぐ陽光。シルクハットで通勤するしゃれた従業員。乗合馬車で訪れる客を待つのは、欲望に火を付ける巨大スペクタクル空間!
    帽子職人の息子アリステッド・ブシコー(1810-1877)と妻マルグリットが、様々な施アイデアで世界一のデパート「ボン・マルシェ」を育て上げた詳細な歴史を、当時を描く仏文学作品や、19世紀初頭のデパート商品目録など稀少な古書から丹念に採取。
    パリの世相や文化が、いかに資本主義と結びつき、人々の消費行動を変えていったのか、
    仏文学者にして古書マニア、デーパート愛好家の著者だから描けた、痛快・ユニークなパリ社会史!


    内容紹介)
    客の目をくらませてしまえ!世界だって売りつけることができるだろう!

    「白物セール」のときには、それぞれの売り場が白い生地や商品だけを優先的に並べたばかりか、上の階の回廊や階段の手擦りを白い生地で覆いつくし、造花も白、靴も白、さらに家具にも白のレースをかぶせるなど、全館をすべて白で統一し、
    1923年の「白物セール」では、「北極」というテーマに従って、アール・デコ調にセットされたシロクマやペンギンが、ホールに入った客を出迎えるようになっていた。
    ようするに、ブシコーにとって、店内の商品ディスプレイは、〈ボン・マルシェ〉という劇場を舞台にして展開する大スペクタクル・ショーにほかならなかったのである。
      ――第二章「欲望装置としてのデパート」より

    *本書は『デパートを発明した夫婦』(講談社現代新書 1991年11月刊)に「パリのデパート小事典」を加筆し、改題したものです。
  • 1,375(税込)
    著:
    今道友信
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    哲学の勉強に、なぜ西洋哲学史全般の知識が必要なのでしょうか。哲学も学問である以上、勉強の仕方というものがあり、少なくとも哲学で使う概念がどのようなものかを、哲学者たちに教わる必要があります。本書は、一冊で完結する西洋哲学通史として、重要な哲学者の、それも必要不可欠と思われる考えに絞り、古代・中世・近世・近代・現代の区分に従って問題の展開が論理的に理解できるよう書かれています。(著書「まえがき」より)
  • 森と石、都市と農村が展いた後発のヨーロッパ文明は、どのようにして世界史の領導者になったのか。戦争・飢餓・疫病、ルネサンス・宗教改革・大航海を経てきたその歴史に建設と改新、破壊と停滞のリズムを読み取り、文明を一つのシステムとして通観する。西洋史の泰斗による格好のヨーロッパ入門!
  • 「あの世の闇」すら光り照らす猫の目を敬い、蛇の脱皮する姿に「復活」を想起し、糞玉を押す黄金虫に太陽を運ぶ神を想う……。ナイルの恵みで農業国として繁栄したエジプト中王国ー新王国時代。時に神と崇め、時に恐れ敵対した動物たちとエジプト人との関係や、動物ミイラの作り方、当時の社会や宗教観まで活写した、異色歴史書!

    内容一部紹介
    ◎古代エジプト人と猫の暮らし◎
    *夢に大きな猫が出たら吉兆。大豊作になる。
    *猫女神バステトは出産の神。新婚夫婦は欲しい子供の数だけ、護符に猫の絵を描く。
    *火事になったら火を消すよりも猫を助けよ。
    *飼い猫が死んだら家族全員、眉を剃って喪に服す…等

    序 文 
    第一章 猫
    世界最古の家猫図/オシリス神話/女神バステト/猫の聖地ベニ・ハッサン/パケト信仰/猫のミイラと棺/闇を退治する目/ネフルよ、ネフルよ/ブバスチスの「猫王」/バステトの祭り/猫の墓/エジプト人の愛猫心
    第二章 犬
    アヌビス信仰/西方の者/絵画と彫像/『二人の兄弟の物語』/エジプト犬のミイラ
    第三章 蛇
    二つのエジプト/『難破船水夫の物語』/悪蛇アポピス/翼ある蛇
    第四章 ライオン
    大スフィンクス/王たちとライオン/ライオン狩り
    第五章 黄金虫
    スカラベと太陽神/『死者の書』の図像/記念スカラベと印章スカラベ/護符スカラベ
    第六章 鰐
    ナイルの暴れん坊/ソベク神殿/オシリスを救う神
    第七章 ハゲワシ
    白い女神ネクベト/王冠飾りと棺の飾り/ハヤブサとトキ
    第八章 牛
    雄牛の神/雌牛の神
    第九章 驢馬、馬、駱駝
    砂漠と不毛の神/夷狄のもたらしたもの/洗浄の主役/奉仕のみの動物
    学術文庫版解説・・・・・・・ 河合 望(金沢大学古代文明・文化資源学研究所所長 金沢大学新学術創成研究機構教)
    古代エジプト略年表 

    本書は『古代エジプト動物記』(文藝春 1984年刊)を改題したものです。
    現在では差別的とされる表現が含まれていますが、本書が執筆された時代環境を考え、また著者が故人であることから、そのままにしてあります。差別の助長を意図するものではありません。
  • 昨今、仏教研究は進展を見せ、従来の常識は大きく書き換えられつつある。
    「日本仏教」とは何かから説き起こし、古代から中世の仏教の思想と歴史の流れを、聖徳太子・空海・法然・親鸞・道元・日蓮などをキーに解き明かしていきます。
    そして、明治維新以降、西洋の文明に触れて大きな変貌を遂げた日本仏教が、日本の近代社会の中で果たしてきた役割を改めて問い直します。廃仏毀釈に始まり、日清・日露戦争を経て、大正デモクラシー、日中戦争から第二次世界対戦を経験する中で、仏教は重要な位置を占めています。戦後復興、そして大震災などに対して、実践としての仏教があらためて登場しつつある現状の意味を問うていきます。
    また、日本仏教の深層にある思想的、歴史的な背景を読み解いていきます。葬式仏教にどのような意味があり、どのような思想を背景にしているのか。日本仏教のおおきな特色となっている「大乗仏教」の起源を探ります。また神と仏の関係を、中世の神仏習合に遡って、読み解き、仏教が日本の思想や哲学に与えた影響を検証していきます。
    本書を読めば、日本仏教の思想と歴史の概観と肝要なポイントがすべてわかる、格好の入門書です。

    *本書は、『日本仏教を捉え直す』(放送大学教育振興会)を底本に、大幅な加筆(第二章 1最澄の生涯と思想)と改稿をし、改題しました。

    【目次】
    はじめに 「日本仏教」という問題
    第一章 仏教の展開と日本 序説
    第二章 仏教伝来と聖徳太子 日本仏教の思想1
    第三章 空海と最澄 日本仏教の思想2(頼住光子)
    第四章 法然・親鸞と浄土信仰 日本仏教の思想3
    第五章 道元と禅思想 日本仏教の思想4
    第六章 日蓮と法華思想 日本仏教の思想5
    第七章 廃仏毀釈からの出発 近代の仏教1
    第八章 近代仏教の形成 近代の仏教2
    第九章 グローバル化する仏教 近代の仏教3
    第十章 社会活動する仏教 近代の仏教4
    第十一章 日本仏教と戒律 日本仏教の深層1
    第十二章 葬式仏教 日本仏教の深層2
    第十三章 神仏の関係 日本仏教の深層3
    第十四章 見えざる世界 日本仏教の深層4
    第十五章 日本仏教の可能性 まとめ
    学術文庫版あとがき
  • 本書の著者クラウス・リーゼンフーバー神父(1938-2022年)は、フランクフルトに生まれ、1958年にカトリックの修道会であるイエズス会に入会したのち、1967年に来日して長年にわたり上智大学で教鞭を執りました。ドイツ哲学に深い造詣をもつばかりか、西田幾多郎をはじめとする日本の哲学思想に通じていた著者は、西洋中世の哲学・神学について研究し、あるいは教育するとともに、一般向けの講座を精力的に行って多くの日本人に親われました。
    しかし、専門論文が多いこともあってか、一般向けの著作はほとんどなかったと言わざるをえません。古代から現代に至る西洋哲学全体に対する該博な知識と透徹した理解に基づいた知恵の結晶を多くのかたに触れていただく機会になることを願って、ここに学術文庫オリジナルの精選論文集をお届けします。
    以下の目次にあるように、本書で中心的に選ばれたのは、著者にとって重要な研究対象であるトマス・アクィナス(1225頃-74年)をめぐる論考です。「言語」、「存在」、「神」という哲学にとっても神学にとっても最重要の概念を正面から取り上げ、トマスの論を精緻にたどるだけでなく、独自の読みを加えることで、そこに潜む可能性を最大限に引き出す――「思惟」というものの醍醐味がふんだんにつまった論考群は、読むたびに発見に満ちた宝と言えるでしょう。
    惜しまれながら2022年に逝去したリーゼンフーバー神父の偉大な遺産を本書を通して知っていただけることを心から願っています。

    [本書の内容]
    中世思想における至福の概念
    トマス・アクィナスにおける言葉
    トマス・アクィナスにおける存在理解の展開
    存在と思惟――存在理解の展開の可能性を探って
    トマス・アクィナスにおける神認識の構造
    神の全能と人間の自由――オッカム理解の試み

    解 説(山本芳久)
  • 藤原道綱母が告白する、貴族たちの愛憎劇。

    美貌と歌才をもち、権門藤原氏に求婚された才媛が、人生の苦悩を赤裸々に告白する、平安王朝の代表的日記文学。漁色癖のある夫への愛憎をはじめ、家族との別れ、子供の誕生と成長、旅行、参籠といった結婚生活のなか、自らのはかない身の上を書き連ねた日本初の私小説でもある。

    作者の道綱母は、藤原道長の父・兼家のもう一人の妻である。一夫多妻制の時代に生きた彼女の日記は、竹のカーテンに閉ざされた上流夫人のありのままの生活であり、これが書かれなければ、『枕草子』や『源氏物語』などもあるいは生まれなかったともいわれる。近代以降も、数々の小説家が惚れ込み現代語に訳してきた、女流文学の先頭に立つ作品である。本書は原文、現代語訳、語釈、充実した解説に加え、地図や年表を備えた決定版である。

    【目次(抄)】
    まえがき
    凡 例

    上 巻
    天暦八年
    天暦九年
    天暦十年
    天徳元年
    天徳二年
    応和二年
    応和三年
    康和元年
    康保二年
    康保三年
    康保四年
    安和元年

    中 巻
    安和二年
    天禄元年
    天禄二年

    下 巻
    天禄三年
    元延元年
    天延二年

    巻末歌集
    補 注
    系 譜
    地 図
    年 表
    解 説

    *本書は、1980年に講談社学術文庫から刊行された『蜻蛉日記』上中下巻を一冊にまとめ、新版としたものです。
  • ◇暴走する独善的正義 その思想的起源を暴く!◇

    善意に基づく使命感。時としてテロリズムへと人を導いてしまう心性は、陽明学と水戸学が交錯しながらこの国の精神に組み込まれたものであった。
    大塩平八郎にはじまり、井上哲次郎、三宅雪嶺、新渡戸稲造、そして山川菊栄と三島由紀夫へと至る系譜をたどりながら、日本の近代特有の屈折を読み解かんとする、新鮮にして驚くべき視点による思想史探究。

    スマッシュヒットとなった選書メチエ版に、近代日本における朱子学・陽明学というより俯瞰的な視野による「増補」を加え待望の再刊なる!

    【本書の内容】
    学術文庫版序文
    プロローグ―靖国「参観」の記
    エピソードI 大塩中斎―やむにやまれぬ反乱者
     1 「乱」と呼ばれて
     2 陽明学ゆえの蜂起?
     3 知己頼山陽
    エピソードII 国体論の誕生―水戸から長州へ
     1 藤田三代の功罪
     2 『大日本史』の編集方針
     3 自己陶酔する吉田松陰
    エピソードIII 御一新のあと―敗者たちの陽明学
     1 陽明学を宮中に入れた男
     2 陽明学を普遍化させた男
     3 陽明学をキリスト教にした男
    エピソードIV 帝国を支えるもの―カント・武士道・陽明学
     1 明治のカント漬け
     2 武士道の顕彰
     3 陽明学の復権
     4 白い陽明学、赤い陽明学
    エピソードV 日本精神―観念の暴走
     1 ある国家社会主義者のこと
     2 西洋思想で説く東洋の革命
     3 碩学か幇間か
    エピソードVI 闘う女、散る男―水戸の残照
     1 水戸の血と死への美学
     2 「青山菊栄」の戦後
     3 「その日」まで 
     4 その日 
     5 アポロンが演じたディオニュソス 
     6 それから 
    エピローグ 
    増補
     I 近代における朱子学・陽明学
     II 亘理章三郎と西田幾多郎の陽明学発掘作業
     III 中江兆民の自由論
     IV 渋沢栄一の自由論
    主要参考文献 
    あとがき 
    主要登場人物略伝 
    本書関連年表 
    索引

    *本書の原本は、2006年に講談社選書メチエより刊行されました。
  • 発音も不明な謎に満ちた文様――エジプト聖刻文字、楔形文字、ヒッタイト文書、ウガリット文書、ミュケーナイ文書。主要古代文字が解読されるまで推理、仮説、検証を重ねた、気の遠くなるような忍耐と興奮の軌跡を、言語学と旧約聖書研究の泰斗が、平易かつ正確に描写。数千年を超えた過去との交流を先人とともに体感できる、心躍る書!(解説・永井正勝)

    まえがき
    第一章 言語と文字 高津春繁
    第二章 エジプト聖刻文字の解読 関根正雄
    第三章 楔形文字の解読 関根正雄
    第四章 ヒッタイト文書の解読 高津春繁
    第五章 ウガリット文書の解読 関根正雄
    第六章 ミュケーナイ文書の解読 高津春繁
    学術文庫版解説 永井正勝(人間文化研究機構人間文化研究創発センター特任教授)
    索引
    地図

    内容紹介
    両者の解く古代文字解読の世界は、解読当時の学者達や社会の常識を踏まえつつ、解読者の心境を代弁するかのような語り口でなされている。そこに時折加えられる古代社会の記述も相まって、読者は解読当時の様子をこの目で見ているかの如く本書を読み進めていくことができる。(略)本書の魅力は、文化に対する深い理解と愛を持った卓越した研究者の手になる部分が大きい。         ――――――「解説」より

    *本書の底本は『古代文字の解読』(岩波書店 1964年10月刊)です。文庫化にあたり読みやすさに配慮して、旧字を随時、常用漢字に置き換え、送り仮名も新字対応とし、ルビの追加を行い、明らかな誤植は訂しています。
    経年などにより説明が必要と思われた箇所は、編集部註として[ ]で補足いたしました。「最近」「現在」などの表記につきましては、原本が出版された一九六四年時点の時制といたします。
    本書には現在では差別的とされる表現も含まれていますが、著者が故人であることと差別を助長する意図はないことを考慮し、原本刊行字の文章のままとしております。
  • 辛い現世を終えて、来世こそは阿弥陀仏のすまう極楽浄土に生まれたい――貴賤を問わず日本で幅広く、長きにわたって信仰されてきた浄土思想。すべては平安時代、一人の僧によって著されたこの書物から始まった。源信なくしては、法然も親鸞もない。
    『往生要集』の訳・校注で知られる著者が、歴史的背景に始まりゆるやかに『往生要集』の構成に沿いつつ、親しみやすい現代語訳を随所に示しながら、源信の教えの真髄を平易に解き明かす。

    「予が如き頑魯(がんろ)の者(わたしのような愚かなもの)」と自らを顧みた源信(942-1017年)。智慧や才にめぐまれた一握りの人ではなく、自身を含む多くの罪深い「悲しき者」が救われる道を模索した『往生要集』が、日本の思想・信仰に与えた影響ははかりしれない。
     往生を目指すべき理由として描かれる等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、阿鼻地獄など数々の地獄も、経典と源信自身の言葉を交えながら、恐ろしい責め苦が生々しく描き出され、それに対応する極楽の姿、そして現代人の想像をはるかに超える仏の姿もあざやかに示される。地獄、極楽、さらに仏の姿は、信仰のみならず、のちの思想、文学、芸術にも大きな影響を及ぼした。『源氏物語』や『栄華物語』、『梁塵秘抄』など、のちの文学作品にみられる『往生要集』の影響も示唆される。
     『往生要集』は「集」というその名が示す通り、『無量寿経』、『観無量寿経』、『阿弥陀経』の浄土三部経をはじめ数多の経典や経典の注釈書の引用によって、往生の要諦を説いたものである。膨大多岐にわたる出典についての解説は、仏教学の泰斗たる著者ならではのものであり、源信が数々の経典のなかから何を重要としていたのかが、次第に浮かび上がってくる。
     仏の姿を念じる「観相の念仏」を自らの思想の核とした源信が、「南無阿弥陀仏」と仏の名を口で称えるいわゆる「念仏」、「称名の念仏」に託したものとは何だったのか――。浄土思想の原点に触れる一冊。(原本:『悲しき者の救い――源信『往生要集』』筑摩書房(仏教選書)、1987年)

    【本書の内容】
    はしがき
    第一章 『往生要集』の成立
    第二章 迷いの世界
    第三章 浄土へのねがい
    第四章 正しい念仏
    第五章 悲しき者の救い
    源信略年譜
    あとがき
    付 参考文献について
    選書版あとがき
    解 説(岩田文昭)
  • 1,375(税込)
    著:
    辻惟雄
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    古代から近代まで、人々の暮らしや心情を映し出す風俗画は、壁画、絵巻、屏風、浮世絵、漫画、落書など、様々な形で残されてきた。中国の影響から独立、展開し、近世に花開くその歴史は、高松塚古墳壁画から鳥獣戯画、洛中洛外図屏風、見返り美人図、北斎漫画までをも包み込む。古代の落書の精神は平安時代の絵巻に昇華し、仏教的な厭世観(憂世)は刹那主義的な現世肯定の精神(浮世)に受け継がれている。
    日本美術史の第一人者が語り尽くす、類いまれな戯画全史。カラー図版多数掲載!

    【目次】
    第一章 風俗画の東西
    第二章 唐美人の移入
    第三章 やまと絵の風俗画
    第四章 鎌倉、室町時代
    第五章 戦国から桃山へ
    第六章 桃山風俗画の満開
    第七章 初期風俗画の爛熟
    第八章 風俗画としての浮世絵
    あとがき
    学術文庫版あとがき
    参考文献
  • 紀元前338年、ギリシャ敗戦! その後「民主政」はどうなった?
    教科書に載らない歴史の真実を明かす、第一人者によるアテネ「亡国」のドラマ。
     *
    紀元前338年、アネテやテーベを中心とするギリシア連合軍は、フィリポス2世とアレクサンドロス率いるマケドニア軍に歴史的な大敗を喫した。アテネが誇る民主政はしかし、それを契機にかつてない平和と繁栄を謳歌する――。デモステネスら政治家たちの闘いの跡を追いつつ、アレクサンドロス躍進の陰で「黄昏」と呼ばれたアテネの実像を明らかにする、第一人者による画期の書!
     *
    [目次]
    はじめに
    序章 「黄昏のアテネ」に迫る
     1 「黄昏のアテネ」とデモステネス
     2 「政治家」と「政治グループ」
    第1章 決戦へ
     1 デモステネスの生きた時代
     2 デモステネスの前半生
     3 反マケドニアの政治家として
     4 「宿敵」アイスキネスとの対立
    第2章 敗戦――マケドニアの覇権
     1 戦後処理
     2 デモステネスの活躍
     3 アレクサンドロスの時代の幕開け
     4 マケドニアの傘の下で
    第3章 対決――「冠の裁判」
     1 裁判が始まるまで
     2 「弁論家の戦い」
    第4章 平穏――嵐の前の静けさ
     1 デモステネスの隣人たち
     2 アテネ民主政の姿
     3 動乱の前ぶれ
    第5章 擾乱――ハルパロス事件
     1 ハルパロス事件とは
     2 事件当時のアテネの情勢
     3 ハルパロス裁判
     4 裁判の背後の人間模様
    第6章 終幕――デモステネスとアテネ民主政の最期
     1 民主政アテネの最後の闘い
     2 愛国者たちのそれぞれの最期
    終章
     1 デモステネスの遺したもの
     2 「黄昏」の民主政
    史料について
    主要参考文献
    関連年表
    あとがき
    学術文庫版へのあとがき
  • 1,320(税込)
    著:
    中村元
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    インド最古の聖典『リグ・ヴェーダ』にはじまり、世界的にも類がないほど深遠な思想を生みだしてきたインド。ウパニシャッド、ジャイナ教、仏教、マハーバーラタ、正統バラモンの六派哲学、ヒンドゥー教から、近代のガンジーやタゴールに至るまで、3000年以上にわたる複雑で多様な思想の全領域をコンパクトに大観する。
    アーリヤ人の侵入や農村社会の成立、王朝の興亡など、それぞれの時代の社会変動の影響も踏まえつつ、各思想大系の特質を明らかにすることで、〈解脱〉をもとめてやまない人類の思索の歴史が描き出される。
    世界的なインド哲学、仏教学者であり、比較思想の開拓者でもあった著者による、半世紀以上にわたって読み継がれてきた不朽の概説書。原本:『インド思想史 第2版』岩波書店、1968年)

    第一章 アーリヤ人の侵入とリグ・ヴェーダの宗教
    第二章 農村社会の確立とバラモン教
    第三章 都市の興隆と自由な思索の出現
    第四章 国家統一と諸宗教の変動
    第五章 統一国家崩壊後における諸宗教の変遷
    第六章 クシャーナ帝国時代における新思想
     第一節 時代の趨勢
     第二節 仏 教 
     第三節 ジャイナ教 
     第四節 南インド文化の開花
    第七章 集権的国家における諸哲学学派の確立
     第一節 正統バラモン系統
     第二節 仏 教 
     第三節 ジャイナ教 
    第八章 諸王朝分立時代における諸学派の継続的発展
     第一節 バラモン教およびヒンドゥー教 
     第二節 仏 教 
    第九章 回教徒の侵入と思想の変化
     第一節 中世的宗教の発展 
     第二節 近代的思惟の発展 
    第十章 外国資本主義制圧下における思想運動
    第十一章 〔附論〕科学思想
  • 本書は、激動する19世紀フランスに生きた社会思想家ピエール=ジョゼフ・プルードン(1809-65年)の初期の主著である。
    スイスとの国境に近いフランス東部のブザンソンに生まれたプルードンは労働者階級出身であり、向学心旺盛でありながら学業を断念せざるをえなかった。そうして働き始めた印刷所での日々は、のちの社会思想家を生み出す養分を提供することになる。すなわち、校正作業を通じてヘブライ語を習得したほか、聖書や言語学をはじめとする学的関心を養うとともに、同郷の社会思想家シャルル・フーリエの著書を校正することで、現実とは異なる社会を構想する動機を与えた。さらに、印刷工として働く傍らでフランス各地を巡行して印刷所の現場監督を務める中で労働者の境遇を身をもって知り、これが「社会の構成単位は仕事場である」という発想を導くことになった。これらの成果が結実したのが本書にほかならない。その冒頭には「最も数が多く最も貧しい階級の物質的、道徳的、知的境遇を改善する手段」を見出すというプルードンの動機が明確に宣言されている。
    本書は第一章で提示される「所有とは盗みである」という警句によって物議をかもした。これは「奴隷制とは殺人である」という命題を「変形させただけ」だと言われるとおり、「所有」とは合法化された「盗みの権利」にほかならない。ならば、それが奴隷制につながらないための線引きを担保する必要がある。その方策を実現するものこそ、プルードンが構想した理想の社会だった。
    紛れもない社会哲学の古典である本書の邦訳は1971年になされたあと半世紀以上、新しいものは登場していない。本書は、気鋭の研究者が清新な日本語で作り上げた新訳であり、格差が激化する今こそ熟読したい1冊である。

    [本書の内容]
    ブザンソン・アカデミー会員諸氏へ

    第一章 本書が従う方法論――革命という観念
    第二章 自然権とみなされる所有について――所有権の始動因としての先占と民法について
    第三章 所有権の始動因としての労働について
    第四章 所有は不可能であること
    第五章 公正・不公正の観念の心理学的説明および、統治と法の原理の確定

    訳者解説
  • 復讐に取り憑かれた伍子胥、人心を操り権力に固執した王莽、女のために国を売った呉三桂……。極め付きの裏切り者たちが行き着く先は? 『史記』『戦国策』『三国志』『世説新語』等の史料から、歴史を動かした個性溢れる悪漢たちを描き切る。春秋時代から明末清初まで、二五〇〇年にわたって興亡の絶えない中国をかき回した反逆者たちの数奇な人生。

    中国古典の第一人者・井波律子氏による評伝集にして、中国史・中国文学のファン必携の一冊。

    【主な登場人物】
    ・母国の君主に父兄を殺され、敵国の呉に奔った伍子胥(ごししょ)
    ・品行方正を装い、世論を操作して王朝を簒奪した王莽(おうもう)
    ・三世代かけて国を滅亡させた諸葛亮のライバル司馬懿(しばい)
    ・貴族に出し抜かれ、皇帝になりそこなった繊細な桓温(かんおん)
    ・反乱を引き起こすも、夢半ばで息子に殺された安禄山(あんろくざん)
    ・英雄を処刑したため、中国史上最も忌み嫌われた秦檜(しんかい)
    ・恋人を奪われて激怒し、身を売り国をも売った呉三桂(ごさんけい)
    ほか、呉起、始皇帝、商鞅、張儀、蘇秦、趙高、則天武后、楊貴妃、項羽、劉邦、諸葛亮、永楽帝、朱元璋、李自成など多数。


    【目次】
    はじめに
    第1章 復讐の鬼――伍子胥
    第2章 自立するコスモポリタン――戦国時代のパフォーマー
    第3章 頭でっかちの偽善者――王莽
    第4章 持続する裏切り――司馬懿
    第5章 気のいい反逆者――王敦と桓温
    第6章 危険な道化――安禄山
    第7章 極め付きの「裏切り者」――秦檜
    第8章 恋に狂った猛将――呉三桂
    年表
    参考文献
    あとがき
  • 1,375(税込)

    【幕末に「志士」たちを生み出した最重要思想書、その全貌を読む!】

    ―臣ここを以て慷慨悲憤し、自から已む能はず、敢えて国家のよろしく恃むべきところのものを陳ぶ―
    「序論」「国体」「形勢」「虜情」「守禦」「長計」からなる全篇の本文読み下し。平易な現代語訳・懇切な語釈を掲載。
    さらに参考資料として、正志斎がのちに開国政策を提言した『時務策』を併載!

    文政八年(1825)、幕府は異国船打払令を出し、日本近海に接近する外国船全てに対して砲撃を加え、排除することを決定した。会沢正志斎が『新論』を完成させたのは、まさにその直後のことである。
    一読するとわかるように、その内容は西洋諸国と直面をせまられ始めた日本全体の、今後の政策を提言するものである。だが、水戸藩主を通じて幕府を動かそうという正志斎の期待は実現されることもなく、また異国船打払令も徹底されずに、沿岸には外国船が自由に航行することが常態化した。
    しかし本書は、正志斎の関係者から友人へ、その友人から別の友人へと筆写が重ねられ、日本全国へと広まっていくこととなる。それは匿名の著作ではあったけれども、人々を引きつける何かがあったのは確かであろう。天下太平と呼ばれた時代にあって、その裏にあった言いしれぬ不安というべきものを明らかにした、という理由もあろう。結果的にこの書は、全国の志ある多くの人々を目覚めさせることとなった……


    *本書は訳し下ろしです。
  • 1,265(税込)
    著:
    若林正丈
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    経済発展と民主化を達成し、ますます存在感を高めている「台湾」は、どんな歴史を歩み、どこへ向かうのか。2024年1月の総統選挙を控えて、その歴史と現在を知る文庫版。
    その歴史は「海のアジア」と「陸のアジア」がせめぎ合う「気圧の谷間」が、台湾という場所を行ったり来たりした歴史だった。その動きから生じる政治・経済の国際的な激動の中で、多様な人々が織りなしてきた「複雑で濃密な歴史」を見つめることなしに、現在の台湾を理解することはできない。
    はるか以前から、さまざまな原住民族(先住民族)が生きていた台湾島が、決定的な転機を迎えたのは17世紀のことだった。オランダ東インド会社が初めて「国家」といえる統治機構をこの島に持ち込んだのである。短いオランダ統治の後、明朝の遺臣・鄭成功ら漢族軍人の時代を経て、清朝による統治は200年に及ぶが、1895年、日清戦争に勝利した日本の植民地支配が始まる。そして1945年に始まった中華民国による統治は、当時の民衆に「犬が去って、豚が来た」と言われるものだった。その中で、本省人・外省人の区別を超えて「台湾人」のアイデンティが育まれ、1990年、直接選挙による第1回総統選で「初の台湾人総統」李登輝が登場する。
    『台湾――変容し躊躇するアイデンティティ』(2001年、ちくま新書)を、大幅増補して改題し、文庫化。

    目次

    はじめに――芝山巖の光景
    第一章 「海のアジア」と「陸のアジア」を往還する島――東アジア史の「気圧の谷」と台湾
    第二章 「海のアジア」への再編入――清末開港と日本の植民地統治
    第三章 「中華民国」がやって来た――二・二八事件と中国内戦
    第四章 「中華民国」の台湾定着――東西冷戦下の安定と発展
    第五章 「変に処して驚かず」――「中華民国」の対外危機と台湾社会の自己主張
    第六章 李登輝の登場と「憲政改革」
    第七章 台湾ナショナリズムとエスノポリティクス
    第八章 中華人民共和国と台湾――結びつく経済、離れる心?
    第九章 「中華民国第二共和制」の出発
    結び
    補説1 総統選挙が刻む台湾の四半世紀――なおも変容し躊躇するアイデンティティ
    補説2 「台湾は何処にあるか」と「台湾は何であるか」
    学術文庫版あとがき
    参考文献 
    台湾史略年表
    索引
  • 日本人はなぜ、いつ、「読者」になったのか? そして何を、どのように、読んできたのか?
    出版資本と鉄道による中央活字メディアの全国流通、旅行読者の全国移動、新聞縦覧所と図書館という読書装置の全国普及――官・民による、これら三つの全国的要素の融合から、明治期に活字メディアを日常的に読む習慣を身につけた国民、すなわち「読書国民」が誕生してくる過程を、出版文化研究の第一人者が活写。私たちの読書生活の起源がここにある!

    [目次]
    はじめに
    ■第一部 流通する活字メディア
    第一章 全国読書圏の誕生
    第二章 「中央帝都の新知識」を地方読者へ――新聞社・出版社による地方読者支援活動の展開
    ■第二部 移動する読者
    第三章 車中読者の誕生
    第四章 「旅中無聊」の産業化
    ■第三部 普及する読書装置
    第五章 読書装置の政治学――新聞縦覧所と図書館
    第六章 図書館利用者公衆の誕生
    あとがき
    学術文庫版へのあとがき

    [主なトピック]
    ○暴力沙汰まで! 「東京vs.大阪」新聞市場争奪戦争
    ○過疎地域を開拓せよ! 新聞社・出版社による地方読者支援活動
    ○駅は戦場! 漫画雑誌の隆盛はここから始まった
    ○お部屋訪問! 温泉地の貸本屋
    ○「情報にお金を払う」習慣を生んだ新聞縦覧所
    ○自由民権運動は下からの「読書国民」の創出
    ○読書の価値を再発見した日清戦後の一等国意識
    ○まるで監獄……帝国図書館の規律空間
    ○樋口一葉も友人と……女性が一人で行けない図書館
  • 急成長を遂げた周辺国からの侵略恐怖、増加する貧窮移民の不安、友好国へのぬぐいがたい不信、新たな感染症の脅威……「ドラキュラ」の恐怖と魅力の源泉には、黄昏を迎えた大英帝国の外国恐怖症があった。ゴシック・ホラーの金字塔に織り込まれた、ヴィクトリア朝イギリス社会の闇を描き出す!

    世界でもっとも有名な吸血鬼「ドラキュラ」。
    数ある吸血鬼作品のなかでも特権的な地位を得て、現代に至るまで映像化が繰り返され、日本では吸血鬼の代名詞にもなっています。
    そのドラキュラの恐怖と魅力の源泉には、19世紀末イギリス社会に蔓延する深刻な外国恐怖症がありました。
    「太陽の沈まぬ帝国」、「世界の工場」と謳われた栄光は過ぎ去り、軍事・経済ともに急成長を遂げつつある周辺国からの侵略恐怖、増え続けるユダヤ人など貧窮移民への不安、搾取してきたアジアの植民地から入ってくる新たな感染症の脅威……。
    落日の大英帝国に生きる人々は心の奥底で何を恐れ、そしてドラキュラは生みだされたのか。
    『パンチ』などに掲載された風刺画をふんだんに使いながら、ゴシック・ホラーの金字塔から読み解く世紀末ヴィクトリア朝の社会!

     イントロダクション
    第1章 ドラキュラの謎
    第2章 ドラキュラの年は西暦何年か
     帝国主義の世紀末
    第3章 侵略恐怖と海峡トンネル計画の挫折
    第4章 アメリカ恐怖と「栄光ある孤立」の終焉
     反ユダヤ主義の世紀末
    第5章 ユダヤ人恐怖と外国人法の成立
    第6章 混血恐怖とホロコースト
     パストゥール革命の世紀末
    第7章 コレラ恐怖と衛生改革
    第8章 瘴気恐怖と細菌恐怖
    おわりに――ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究
    増補 もうひとつの外国恐怖症――エミール・ゾラの〈猥褻〉小説と検閲
    学術文庫版あとがき
    引用史料一覧

    コラム
    吸血鬼の系譜/シャルコーの催眠術/一八九三年一〇月二日のピカディリ・サーカス/ダイヤモンド・ジュビリー/火星人/海峡トンネル・パニック/ベアリング銀行の投機失敗/ロスチャイルド一族の結婚/ロンドンとテムズ川の汚染……ほか
  • 【平安最大の権力者は何を“後世に残すべきだ”と考えたか】
    大河ドラマ『光る君へ』時代考証者が徹底的に読み解く! 原本写真多数掲載。

    豪放磊落な筆致、破格の文体、そして抹消された箇所……平安時代最大の権力者は、自らの手で何を書き残したのか。
    「披露すべきに非ず。早く破却すべき者なり」と道長が記したのはなぜか。
    「望月の欠けたる事も無しと思へば」はいかなる場で詠まれたものだったか。
    摂関期の政治、外交、儀礼の生々しい現場から家庭生活と精神世界までを描く世界最古の自筆本日記を、第一人者が徹底的に読み解き、宮廷社会の実像をさぐる。

    原文写真・翻刻・現代語訳・解説がそろった、決定版!

    【本書より】
    『御堂関白記』独特の面白さがある。また、『御堂関白記』を記した藤原道長自体、日本史上でめったにいないほど、面白い人物である。それらの楽しみを、原本の写真とともにたどることは、他の史料ではちょっと味わえない面白さがある。
    この本では、その日の記事に何が記されているかに加えて、その日の記事がどのように記されたのか、また、どのように書写されたのかに視座を据えて、記述のてんまつ、また書写のてんまつを明らかにしたい。本来、歴史学というのは、史料を読み込んでいき、それを読み解くというのが基本的な姿勢である。世間では古代史というと、好き勝手な推論を積み重ねている
    ものと思われているかもしれないが(実際、『御堂関白記』や道長についてもトンデモ本が流布しているらしいのは嘆かわしいかぎりである)、史料にどう向き合うかという姿勢を伝えることこそ、歴史学者の本来の使命であると考える。
    結果的には、自分が楽しんだだけではなかったかと恐れているが、自分が楽しいことはきっと楽しんでくれる人もいるはずであるという思い込みに支えられて、この本を世に出す。

    【本書の内容】
    序 章 『御堂関白記』とは何か
    第一章 権力への道 ――政権獲得、彰子入内・立后など――
    第二章 栄華の初花 ――敦成親王誕生、一条天皇崩御など――
    第三章 望月と浄土 ――摂政就任、威子立后、出家など――
    番 外 『御堂関白記』自筆本の紙背に写された『後深心院関白記』
    終 章 再び『御堂関白記』とは何か
    年譜/略系図/主な登場人物紹介/関係地図を掲載

    *本書の原本は、2013年に講談社選書メチエより刊行されました。
  • 古典的学識に通じ『哲学の慰め』『算術教程』などを著した「最後のローマ人」ボエティウス。その著作群は大きく4つに分けられる。数学的諸学科に関する教育的作品、アリストテレス、キケロ、ポルフュリオスなどの著作の翻訳と注釈、キリスト教神学の哲学的考察、そして最後に『哲学の慰め』。『音楽教程』は第一期に属するもので、ピュタゴラス以降の音楽理論を総覧し詳述しており、後世とくに中世~18世紀までの西洋音楽理論に絶大な影響力を維持していた。「協和・不協和」「音程と旋律」「オクターヴ」「5度」「4度」「全音」「半音」など、音の性質を体系立てたことの意義は大きい。オクターヴの完璧さは何に由来するのか、5度、4度の協和が「完全」である理由は何なのか、また、半音は本当に全音の「半分」なのか、あるいは、旋法の構造はどのようなものなのか。
    聴覚に甘美に響くことが音楽の起源ではあるにせよ、そこに判断のすべてを任せる姿勢を批判し、強調されるのは最終的な完全性と認識は理性に存するという一点である。そのうえで探求されるのは、音程あるいは協和音に関する数学的解明であり、モノコルドの弦長を二分割、三分割、四分割……と計算を尽くす方法で「数比」の重要性を明確にし、音程の根拠を示すこと。1500年ほども前に形作られたこの理論の骨子は、音響科学などの知見をもって近代の音楽理論が挑んだ刷新の試みにも完全に克服されたとは言えず、いまだに西洋音楽の基盤をなすものである。
    本書は、19世紀のラテン語版刊行物を底本とし、英・仏・独・露語版を参照して翻訳した初めての日本語版である。

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