『ダイレクト出版、酎ハイ呑兵衛(ライトノベル)』の電子書籍一覧
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鬼対人間どっちが強いのか!
その夜は、月が血のように真っ赤に滾っていた。風は無く、夏だというのに、空気は妙に冷たく感じられた。空は赤い月明かりで照らされて、真っ赤な雲で覆われていた。血の色のような赤が、空一面ににじんでいた。草原に虫も鳴かず、田んぼにも畑にも、森にも土や植物の臭いすらなく、用水路に流れる水の音も聞こえなかった。上空にも風がないのか、雲の動きも見ることが出来なかった。音も無く、ただ漫然と時間だけが過ぎて行く。いや、その時間さえも止まっているようであった。赤い月明かりに照らされた建物や木々の影は、赤黒く見えていた。ねっとりとした密度で、その場の空気が淀んでいる。そんな空間に、少しばかり場違いとも思える声が、辺りに響いた。「こんな時は鬼が出るぞ!」どこからともなく現れた老人が、真っ赤に照らされて血に染まったように見える身体をよじりながら、ゆっくりと月を見上げる。誰に言ったのか、誰も居ないその場所で、独り言だったのか、それを聞きつけた者が居た。これもまた、どこからともなく現れて、老人の3メートルほど後ろに立つ若者の姿があった。 -
冷蔵庫の中から消えたあるものを追って、少年の推理が炸裂する!
冷蔵庫の事件-冷蔵庫から消えた消えた-1話
オレの名前は齋藤隆(さいとう たかし)13歳。
市内の中学校に通う中学1年生だ。
性別は男性だ。
上に失礼な高校一年生の姉がいるが、こいつに言わせると、あんたにつ・い・て・いるのが不思議でならないのだとか。
オレとしては姉の方にもつ・い・て・いないのが不思議なくらいなのだが、それを口にしたらオレの命が保証されないのでやめておこう。
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元いじめられっこの戦いが今!始まる!
わたしは子供の頃から周りの人々に変わってるって言われ続けている。どこが、どの辺が変わっているのか自分ではわからないから、人に尋ねてまわった事もある。そういう所が変わっているんだよって言われたが、どういう所だよって、一向にわからなかった。わたしはたいていの時間1人で過ごしていた。本を読んでいる事が多かったが、ボッとしてラジオやテレビに見入っている時もあった。一緒に遊んでくれる友達も居たが、あまり多くは無かった。虐められていた時もある。女だてらに反発して、青あざをこしらえて帰ったこともあった。何が人と違っているのだろうって、いつも思っていた。どうして自分が、どうして自分だけがって思って、でも家には財力もなくて、ぐれることも出来なかった。ぐれて暴れ回るのは、中流以上の特権だって、いつも思っていた。わたしを虐めていた同級生達も、皆、お店の子だったり、収入の多い家の子が多かった。わたしが反発したら、わたしの身体が大きいものだから、5人がかりで押さえつけられて、反対に青あざを作る羽目になった。自分の身体が大きいのは別に気にならなかった。むしろ虐めてくる奴らに抵抗できる武器だと思っていた。わたしはいつか奴らを殺してやろうと、ポケットにはカッターナイフを持ち歩き、空手の道場へ通い、身体を鍛えていた。それが中学の卒業まで続いた。
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