『歴史、グーテンベルク21、その他(レーベルなし)(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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いわゆる「建武の中興」とよばれる新政権の成立とともに、護良親王と足利尊氏の対立が表面化する。公家らと、倒幕運動に参加した武士階級との利害の対立が原因であった。この争いは尊氏の勝利に終り、後醍醐天皇は吉野に行宮をかまえて、南北朝時代という天皇並立時代が現出する。両者の対立は新田義貞と尊氏の、武士の棟梁権をめぐる争いに発展し、まず湊川の合戦で楠木正成が戦死する。のち義貞も都へ還れぬままに無惨な死をとげ、吉野山中で後醍醐天皇も崩御する。高師直の北朝軍は四条縄手の合戦で楠木正行の南朝軍を破り、正行は弟と刺し違えて果てた。
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動乱の南北朝時代を描いた軍記物語。この巻は後醍醐天皇による鎌倉幕府を倒す計画から始まる。全国の群小武士の蜂起によって倒幕の気運が高まり、足利高氏(尊氏)の参加によって京都における幕府政務の中心、六波羅探題が亡びる。続いて新田義貞を中核とする関東武士中心の勢力によって九代におよぶ北条政権は一挙に崩壊する。宮方の実質的統轄者である護良(もりよし)親王、楠木正成の活躍も語られる。天皇側近の俊基(としもと)朝臣の東下りの道行文の名文も巻二に収められている。太平記はとくに江戸時代には「太平記読み」によって武士・庶民のあいだに盛行した。
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武蔵を討ち取るべく、吉岡一門は総がかりであった。一乗寺村下り松で、迎える吉岡方は七十余人。武蔵には、百にひとつも生き残る道はない。疾風の如き敏捷さで、敵線を突破するだけだ。一方、魔神の燕斬りを会得した佐々木小次郎は…
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三歳にして眼前で両親を殺された幼き武蔵。三尺の小さな躰に、憎しみと怒りがみなぎる。敵を討つためには、強くならねば…。幼少にしてすでに兵法者の資質を持った彼は、想像を絶する修業に挑む。仇敵を倒し、新当流の使い手有馬喜兵衛と対侍して斬ってとる。この時わずか十三歳であった。果てることなき決闘者としての修業が続く…
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江戸には、十指にあまる剣豪が道場を構えていた。これらの一流の強者に挑戦するのが、武蔵の宿命であった。けれども、その前に宍戸梅軒を斬らねば。但馬守宗矩の柳生流を破り、佐々木小次郎と雌雄を決せねば。武蔵の血汐は湧きたつ。小次郎を余人の手で斬らせはしない。仕留めるのはこのおれだ。そして迎えた船島の朝…
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江戸時代、諸大名の家には多種多様なお家騒動があった。それぞれの騒動は、その藩独自の事情、武士の気質、関係諸人物の個性、そのときの時勢等の要素がからみあって出来した。海音寺潮五郎は鋭い人間観察、博い学識と精確な考証とを駆使して、どこまでもその真実の姿を追求する。この下巻では、越後・仙石・生駒・檜山・宇都宮・阿波の諸騒動をとりあげる。
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江戸時代、諸大名の家には多種多様なお家騒動があった。それぞれの騒動は、その藩独自の事情、武士の気質、関係諸人物の個性、そのときの時勢等の要素がからみあって出来した。海音寺潮五郎は鋭い人間観察、博い学識と精確な考証とを駆使して、どこまでもその真実の姿に肉薄する。上巻では、島津・伊達・黒田・加賀・秋田・越前の諸藩の騒動をとりあげる。
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幕末動乱の時代、勤王か佐幕か、攘夷か開国か、それぞれの立場は異なっても、激変する世相の中であくまでも己が志に忠実であろうとした維新期の人物群像を活写。その苛烈な生き様を、著者は極限まで潤色を排した筆致で鮮やかに描き上げる。上巻では有馬新七、平野国臣、清河八郎、長野主膳、武市半平太、小栗上野介の6人を、下巻では吉田松陰、山岡鉄舟、大久保利通のほか、田中新兵衛、岡田以造、河上彦斎の3人の刺客を取り上げる。綿密な実証に基づく海音寺潮五郎の「史伝」文学は、司馬遼太郎を始め多くの後進作家に大きな影響を与えた。
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幕末動乱の時代、勤王か佐幕か、攘夷か開国か、それぞれの立場は異なっても、激変する世相の中であくまでも己が志に忠実であろうとした維新期の人物群像を活写。その苛烈な生き様を、著者は極限まで潤色を排した筆致で鮮やかに描き上げる。上巻では有馬新七、平野国臣、清河八郎、長野主膳、武市半平太、小栗上野介の6人を、下巻では吉田松陰、山岡鉄舟、大久保利通のほか、田中新兵衛、岡田以造、河上彦斎の3人の刺客を取り上げる。綿密な実証に基づく海音寺潮五郎の「史伝」文学は、司馬遼太郎を始め多くの後進作家に大きな影響を与えた。
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おなじみ神田お玉が池に住まいをかまえる人形佐七に焼き餅焼きの女房お粂、手先をつとめる辰と豆六。どれを読んでも絢爛と繰り広げられる横溝正史の世界!
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おなじみ神田お玉が池に住まいをかまえる人形佐七に焼き餅焼きの女房お粂、手先をつとめる辰と豆六。どれを読んでも絢爛と繰り広げられる横溝正史の世界!
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おなじみ神田お玉が池に住まいをかまえる人形佐七に焼き餅焼きの女房お粂、手先をつとめる辰と豆六。どれを読んでも絢爛と繰り広げられる横溝正史の世界!
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おなじみ神田お玉が池に住まいをかまえる人形佐七に焼き餅焼きの女房お粂、手先をつとめる辰と豆六。どれを読んでも絢爛と繰り広げられる横溝正史の世界!
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「親分ッ」飛込んで来たのは、ガラッ八の八五郎でした。「何というあわてようだ。犬を蹴飛ばして、ドブ板を跳ね返して、格子をはずして、――相変らず大変がびっこ馬に乗って、関所破りでもしたというのかい」平次は朝の陽ざしを避けて、冷たい板敷をなつかしむように、縁側に腹ん這いになったまま、丹精甲斐のありそうもない植木棚を眺めて、煙草の煙を輪に吹いておりました。…平次とガラッ八との絶妙なコンビが織りなす江戸の風物詩。「捕物仁義」「禁制の賦」「忍術指南」「二人浜路」の4編を収録。
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「仏《ほとけ》喜三郎」「桐の極印」「浮世絵師」「お舟お丹」「針妙《しんみょう》の手柄」の5編を収める平次シリーズ続編。「親分、変な奴が来ましたよ」ガラッ八の八五郎は、長《な》んがい顎《あご》を鳶口《とびぐち》のように安唐紙へ引っ掛けて、二つ三つまたたきをして見せました。「お前よりも変か」なんという挨拶でしょう。平次はこんなことを言いながら、日向《ひなた》にねそべったまま、粉煙草をせせっているのです…「桐の極印」より。
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「親分、凄いのが来ましたぜ。ヘッ」「何が来たんだ。大家か借金取りか、それともモモンガアか」庭木戸を弾《はじ》き飛ばすように飛び込んで来たガラッ八の八五郎は、相変らず縁側にとぐろを巻いて、閑々《かんかん》と朝の日向を楽しんでいる銭形平次の前に突っ立ったのです。「そんなイヤな代物《しろもの》じゃありませんよ。その辺中ピカピカするような良い新造」「馬鹿だなア、涎《よだれ》でも拭きなよ、みっともない、お客様なら大玄関から通すんだ。いきなり木戸を開けて、バァと長んがい顎《あご》を突き出されると、肝《きも》をつぶすじゃないか」……お馴染み平次とガラッ八。
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作者の岡本綺堂は半七老人のことを「江戸時代における隠れたシャーロック・ホームズであった」と書いた。「半七捕物帳」は日本の探偵小説、時代推理小説の正真正銘のルーツである。本巻には「かむろ蛇」「河豚太鼓(ふぐだいこ)」「幽霊の観世物」「菊人形の昔」「蟹(かに)のお角(かく)」の5編収録
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「いやもう、驚いたの驚かねえの」八五郎がやって来たのは、彼岸過ぎのある日の夕方、相変らず明神下の路地いっぱいに張り上げて、走りのニュースを響かせるのでした。「なにを騒ぐんだ、ドブ板の蔭から、でっかいミミズでも這い出したというのか」平次は昼寝の枕にしていた、三世相大雑書を押し退けると、不精煙草の煙管《きせる》を取り上げます。「そんな間抜けな大変じゃありませんよ、いきなり頭の上から、綺麗な新造が降って来たらどうします、親分は?」「ヘエ、不思議な天気だね、三世相にも今年は新造や年増が降るとは書いてなかったが…」
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「二人(ににん)女房」「白蝶怪(はくちょうかい)」の2編を収録。後者は全作品69編の掉尾をかざる最も長い重厚な作品である。
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「御免」少し職業的に落着き払った声、銭形平次はそれを聞くと、脱いでいた肌(はだ)を入れて、八五郎のガラッ八に目くばせしました。生憎きょうは取次に出てくれる、女房のお静がいなかったのです。「ヘッ、あの声は臍(へそ)から出る声だね」ガラッ八は頸(くび)を縮(すく)めて、ペロリと舌を出しました。「無駄を言わずに取次いでくれ」…お馴染み平次とガラッ八。
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「親分、何をしていなさるんで?」ガラッ八の八五郎は、庭口からヌッと長んがい顎を出しました。「もう蟻《あり》が出て来たぜ八、早いものだな」江戸開府以来と言われた名御用聞き、銭形平次ともあろう者が、早春の庭にしゃがんで、この勤勉な昆虫の活動を眺めていたのです。…この「買った遺書」ほか、「痣《あざ》の魅力」「雪の精」「くるい咲き」の4編を収録。
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「八、遊びに行こうか」平次もたまにはこんなこともありました。お小遣いはふんだんにあり、差し迫っての仕事はなし、隅田川を渡って、堀切あたりの菖蒲《しょうぶ》でも眺め、ヨシキリの声でも聴いて、田園趣味にでも浸ろうかと思ったのでした。相棒には八五郎があり、帰りに一杯きこし召せば、それで文句を言う八五郎ではありません。「そいつはありがたいが、親分、大変なことが始まったんで」八五郎はまだ朝飯前と見えて、寝ぼけた顔を二階から差しのぞかせました。「お前の大変が来ないので、江戸は淋しくてかなわないよ、どうしたんだ八」…平次とガラッ八との絶妙なコンビが織りなす江戸の風物詩。
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日本の探偵小説、時代推理小説の正真正銘のルーツ。本巻には「青山の仇討(かたきうち)」「吉良(きら)の脇指(わきざし)」「歩兵の髪切り」「川越次郎兵衛」の4編を収録
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「ヘッヘッ、親分、今晩は」ガラッ八の八五郎、箍《たが》のはじけた桶《おけ》のように手のつけようのない笑いを湛《たた》えながら、明神下の平次の家の格子を顎で平次に言わせると開けて入るのでした。それは両の手で弥蔵《やぞう》をこしらえて、格子をまともに開けられるはずはないからだというのです。五月のある日、爽《さわ》やかな宵、八が来そうな晩でしたが、お仕着《しき》せの晩酌を絞って、これから飯にしようという頃になって、ようやく個性的な馬鹿笑いが、路地の闇をゆさぶるのでした。
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「おっと、待った」「親分、そいつはいけねえ、先刻待ったなしで行こうぜと言ったのは、親分の方じゃありませんか」「言ったよ、待ったなしと言ったに相違ないが、そこを切られちゃ、この大石(たいせき)がみんな死ぬじゃないか、親分子分の間柄だ、そんな因業(いんごう)なことを言わずに、ちょいとこの石を待ってくれ」「驚いたなア、どうも。捕物にかけちゃ、江戸開府以来の名人と言われた親分だが、碁(ご)を打たしちゃ、からだらしがないぜ」…この 「名馬罪あり」のほか、「幽霊の手紙」「庚申横町」「迷子札」を収録。
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「八、なんか良い事があるのかい、たいそう嬉しそうじゃないか」「ヘッ、それほどでもありませんよ親分、今朝はほんの少しばかり寝起きがいいだけで――」ガラッ八の八五郎は、そう言いながらも湧き上がってくる満悦《まんえつ》を噛み殺すように、ニヤリニヤリと長んがい顎《あご》を撫で廻すのでした。「叔母さんからまとまったお小遣いでももらった夢をみたんだろう」「そんなケチなんじゃありませんよ、はばかりながら濡れ事の方で、ヘッ、ヘッ」「朝っぱらから惚気《のろけ》の売り込みかい、道理で近頃は姿を見せないと思ったよ」…この巻には「雪の夜」「雛の別れ」「娘の役目」「子守唄」「権三は泣く」の5編を収録。
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作者の岡本綺堂は半七老人のことを「江戸時代における隠れたシャーロック・ホームズであった」と書いた。「半七捕物帳」は日本の探偵小説、時代推理小説の正真正銘のルーツである。
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大久保彦左衛門の武士の心意気、堀部安兵衛をめぐる赤穂浪士異聞、ご落胤天一坊、ゆすりで名高い旗本河内山宗俊、有馬の猫騒動、五代将軍綱吉物語など、徳川三百年の歴史をいろどった武士と庶民の暮らしを描いた柴錬ならではの12話。
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神田錦町(にしきちょう)の古い呉服屋「甲州屋」の番頭喜兵衛が佐七のもとを訪れた。甲州屋の二十歳になる総領娘「錦町小町」のお松が身重になったので隔離しているところだが、その相手がだれかを捜してくれという奇妙な相談。それもそのはず、喜兵衛の話では、肝心の本人も、相手がどこのだれだかわからないのだという。この「くらやみ婿」のほか、「化け物屋敷」「雷の宿」「鶴の千番」「団十郎びいき」の5編を収録。
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夜遅く、深川の八幡前までの使いからの帰り道、辰と豆六は永代橋の上で点々とつづく血のしたたりを見つける。あとを追ってみると、ふらふらとおぼつかない足取りで行く籠から垂れている血だとわかり、酔っ払った籠かきを呼び止めて調べてみると、籠には匕首で胸をえぐられた年増女が乗っていた。…「鬼の面」より。
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佐七一家が近所に越して来た俳諧の師匠に弟子入りして連句をひねりはじめた。だが師匠の家にある池の中に鏡らしきものがあり、しかも幽霊が出るという。やがて師匠が殺されているのが見つかり、池の中からは千両箱と何者かの死体があがる…連句には謎がこめられていた…この「お玉が池」のほか、「ふたり後家」「三日月おせん」「狸ばやし」「若衆かつら」の5編を収めた。
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佐七は寄り合いの帰り道、「鶴亀」という比丘尼宿(びくにやど、売春宿)に御用聞き仲間と一緒にひやかしに立ち寄る。だがお姫という十七、八のきれいな女が「明晩、ひょっとすると大川端で人殺しがあるかもしれない」と佐七にささやく…この「比丘尼宿」のほか「万歳かぞえ唄」「神隠しばやり」「吉様まいる」「お俊ざんげ」の5編を収める。
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作者の岡本綺堂は半七老人のことを「江戸時代における隠れたシャーロック・ホームズであった」と書いたが、この「半七捕物帳」は日本の探偵小説、時代推理小説の正真正銘のルーツである。
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私はテレビや映画の時代劇で作られた誤った江戸のすがたを、本来の、ありしままの江戸に戻したい…時代考証の第一人者がつづる「江戸の面影」。上野・谷中・湯島・根津から御徒町・入谷・根岸の里まで。数多くの気の利いた川柳、俳句をちりばめた好個の読み物。
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人形店の老舗(しにせ)山形屋の店先にあらわれた奥女中は、もう売れてしまった五体の五月人形をどうしても欲しがった。そして同じ作者の手になる人形で最後に残ったものが目の前で大工の女房に買われてしまったのを知ると、そのおかみのあとを追い、譲ってくれと談判したが断られる。だがその夕方、大工の女房は、人形がなくなっているのを知って、あくる日、佐七に相談に来た。そこへ飛び込んで来たのが辰と豆六、その通報によれば、別の人形店鱗形屋(うろこがたや)で五月人形が盗まれ、二人の盗賊のうちの一人が死んでいたという…佐七は思わずぎくっとした。この「武者人形の首」のほか、「春姿七福神」「血屋敷」「女虚無僧」「狸御殿」の5編を収録。
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近所に引っ越してきた美男美女のお茶の師匠夫婦。そのご新造が、亭主の留守にこれも最近引っ越してきたばかりの色男の浪人と石見銀山入りの酒を飲んで死んだ。その酒には「いもりの黒焼き」が入っていた…この「好色いもり酒」ほか6編を収める。
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作者の岡本綺堂は半七老人のことを「江戸時代における隠れたシャーロック・ホームズであった」と書いたが、この「半七捕物帳」は日本の探偵小説、時代推理小説の正真正銘のルーツである。
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江戸きっての色若衆「梅若」が浅草雷門前の雪だるまのなかから、全裸死体となって発見された。だが、それは矢つぎばやに起こった殺しの発端にすぎなかった。…この「梅若水揚帳」ほか、 「謎坊主」「お時計献上」「当たり矢」「妖犬伝」の全部で5編を収録。
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深川の芸者小雪が料亭の見晴台から足を踏みはずして怪死した。それからまもなく竜田屋のお滝、茶屋女のお町が相次いで殺された。これらの女たちの背中には、同じ女刺青師の手になる彫り物が描かれていた…この「女刺青師」のほか、「からかさ榎《えのき》」「色八卦《いろはっけ》」「まぼろし役者」「蝙蝠《こうもり》屋敷」の5編を収録。
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遊び人の紋次の話では、夕べ、お蝶という葉茶屋の娘から道々聞いたとおり、三味線堀のそばに雪だるまがあったという。ところがその目が鬼火みたいに光り、近づくと雪だるまの胸に銀のかんざしが刺さっていた。紋次がそれを抜こうとすると、何者かに突き飛ばされて雪だるまのなかへ頭から突っ込んだ…その紋次がお蝶をかんざしでえぐり殺した下手人として御用聞きに挙げられてしまう…この「雪だるまの怪」のほか、「猫屋敷」「蛇使い浪人」「狐の裁判」「どくろ祝言」「黒蝶呪縛」の6編を収録。
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小雨もようの神楽坂の堀端で、「きつねの宗丹(そうたん)」とよばれている町医者のかごが襲われた。襲ったのは饅頭笠に赤合羽の男だったが、かごの中の死体は、なんと「きつね」だった!…この「きつねの宗丹」ほか、「百物語の夜」「二人亀之助」 「くらげ大尽」「座頭の鈴」の全部で5編を収録。
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「半七」「銭形平次」と並んで三大捕物帳といわれる「人形佐七捕物帳」。その最大の特色は横溝正史ならではの情痴・妖艶・欲望・怪奇・諧謔のからむ物語の面白さと、脇役の活躍の妙にある。主人公はむろん、神田お玉が池の佐七(人形とつくのは人形のように端正な美男であることから)。これに恋女房のお粂《くめ》、「雷ぎらいの」きんちゃくの辰と、「蛇ぎらいの」うらなりの豆六がからむ。とくにひょうきんな豆六は関西弁を駆使する、なくてはならぬ脇役だ。 この巻は、佐七一家の成り立ちを知る絶好の入門編。佐七が初めて名を売ったてがら話「羽子板娘」、辰五郎が船宿の船頭から足を洗って佐七の子分になったいきさつを描く「開《あ》かずの間」、やきもち焼きの姉さん女房お粂と一緒になるきっかけの事件「嘆きの遊女」、上方出の御用聞き志願で佐七に弟子入りし、へっぴり腰で《御用や、御用や》とかしましく立ち回る豆六の登場をえがく「螢屋敷」など6編を収録。
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お玉が池町内の若者たちが集まってひらかれた歌留多(かるた)合戦。そこに江戸一番の人気女形(おやま)嵐菊之助が姿をみせたが…その菊之助が湯島の境内で殺される。死骸の上には一枚の歌留多!…この「小倉百人一首」のほか、「紅梅屋敷」「彫物師(ほりものし)の娘」「括り猿(くくりざる)の秘密」「睡(ねむ)り鈴之助」の5編を収める人気シリーズ。
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佐七夫婦と子分の辰五郎、豆六の4人は連れだって飛鳥山へ花見に。気分よく酒を飲んでいると、茶番の仇討ちが始まったが、なんとそれが本物の殺しに変貌…この「花見の仇討ち」のほか、「日食御殿」「角兵衛獅子」「呪いの畳針 」「艶説遠眼鏡」「水芸三姉妹」の都合6編を収録。
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水戸黄門「徳川光圀(みつくに)」から始まり、遊女高尾斬りで知られる「伊達綱宗(つなむね)」、桜田門外の変に倒れた「井伊直弼(なおすけ)」、ガラシャ夫人で有名な「細川忠興(ただおき)」、作庭でも名を残した「小堀遠州」、将軍家剣術ご指南役の「柳生宗矩(むねのり)」、忠臣蔵の「浅野長矩(ながのり)」など、風流に名を残した17人の殿様を考証。時代小説ファンにも必見の殿様人物伝。
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佐七の幼な友達、巳之介(みのすけ)は男色家で、怪人物大日坊の加持祈祷所(かじきとうしょ)のお小姓銀弥(ぎんや)にほれていた。だが大日坊が毒殺され、銀也は首なし死体で発見される…この「三人色若衆」のほか、「幽霊姉妹」「浄玻璃《じょうはり》の鏡」「生きている自来也」「河童の捕り物」の5編を収めた。
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作者の岡本綺堂は半七老人のことを「江戸時代における隠れたシャーロック・ホームズであった」と書いたが、この「半七捕物帳」は日本の探偵小説、時代推理小説の正真正銘のルーツである。本巻には「金の蝋燭」「ズウフラ怪談」「大阪屋花鳥(かちょう)」「正雪(しょうせつ)の絵馬」の4編を収録。
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この巻では、隅田川を挟んで浅草の対岸にひろがる一帯のうち、江戸の水郷といわれた向島と本所をおもに訪れる。向島では木母寺、百花園、白鬚神社、三囲神社のほか、永井荷風の「墨東綺譚」で有名な玉の井の近辺を、また本所では「忠臣蔵」ゆかりの福厳寺、勝海舟に縁のある妙見堂などを探索・考証、最後には隅田川両岸に起こった有名な事件もとりあげる。
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蔵前の豪商、布袋屋《ほていや》四郎兵衛は鈴ガ森で雲助に襲われていた娘を助けた。娘の背には、彫り物師与之助の手になる、匂うようなみごとな「緋牡丹」が躍っていた。娘はこの事件で気が狂ってしまったが、一通のふみを持っていた。そこには、彫り師から「江戸瘤寺《こぶでら》の和尚」へあてた謎めいた文句が記されていた。…「緋牡丹狂女」より。
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油町の叶屋《かのうや》のひとり娘のもとに忍んできた「マムシ」という異名のある無頼御家人丹野丹三郎が何者かに殺された。そのとき「マムシの丹三」は「合図はとんとんとん…」と書かれた娘の誘いの手紙をもっていた!…この「春宵とんとんとん」のほか、「三河万歳」「蝶合戦」「女難剣難」「まぼろし小町」「蛇性の淫」の6編を収録。
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私はほんとうの江戸を描いてみるつもりであった…時代考証の第一人者がつづる「江戸の面影」続編。浅草界隈と吉原について、一読、びっくりするほどくわしくなれる好個の読み物。「雷門」「四万六千日」「待乳山」「山谷堀」「猪牙舟」「大門」「花魁道中」「おはぐろどぶ」…
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