『KADOKAWA祭 ゴールデン、松本清張(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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教育界の知られざる闇と人間の強い欲望。昭和の巨匠が描く社会派長編。
日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学生時代の友人の妻などに浮気心を働かせていた。教科書出版社の思惑にうまく乗り、島地は自分の欲望のまま人生を謳歌していたのだが……社会派長編。
※本書は昭和四十一年一月十日初版の角川文庫を分冊、改版したものが底本です。 -
教科書販売に於ける過熱競争の行き着く先とは。清張の鋭い正義感が光る傑作
ついに教授になった島地には、妻の他に、二人女がいた。教科書出版社の売り込み競争に踊る、醜悪な人間像が次第に浮き彫りになっていく。昭和の巨匠が満を持して挑む、教育界の闇とその行く末とは。
※本書は昭和四十一年一月十日初版の角川文庫を分冊、改版したものが底本です。 -
実話に基づく放火殺人事件を題材に警察のずさんさを突く表題作ほか傑作短編集
10年前、日光市におこった一家無理心中事件に疑惑!土地の一住職の熱心な懇願により、警察はついにこの事件の再捜査に踏み切った。10年のブランクのため難航する捜査。事件直後、現場から消失した小切手の行方は? 捜査線上に浮かび上がった謎の朝鮮人は?終戦後の混乱期にみられた警察の強引な捜査に、鋭い批判の目を向けた表題作ほか「情死傍観」「特技」「山師」「部分」「厭戦」「小さな旅館」「老春」「鴉」を収録。松本清張の傑作短編集! -
悪妻からの解放を思い続ける画家が考え出した殺人方法は、イタリアの小説がヒントだった!
こめかみに青筋をたて、矢沢辰生のアトリエに飛び込んできた妻。「殺してやる!」と喚いた彼女は、画架のそばにあった揮発油を奪うと、いきなり彼の頭から振りかけた。その手にはいつの間にかマッチが……。画家の矢沢は、美術記者から聞いたイタリアの作家ピランデルロの小説「死せるパスカル」に激しい共感を覚えた。主人公と同じ妻の異常な嫉妬に悩む彼は、自分も小説のように妻から解放されたいと強く願う。そしてある日……。 歪んだ夫婦の心理に鋭いメスを入れた傑作!「六畳の生涯」を併録。 -
死体で発見された業界紙記者。病院経営をめぐる黒い霧と謎の連続殺人
深夜の路上に毒殺死体で発見された元新聞記者島田は、「シュウ」と記する不思議な紙片を持っていた。タクシー運転手三上は、その死体を目撃した折の客の挙動に不審を抱き、客が都厚生局職員山中であることを突き止めた。そして山中はまた、不二野精神病院事務長飯田、都議岩村ともつながりを持つことを知った。(三人の関係に何かがある!)と三上は思った。……病院経営をめぐる黒い霧と謎の連続殺人を描く、巨匠の長編社会派推理。 -
巨富を握る闇の実力者と戦時中の隠匿物資の謎。要人殺人犯の罠に落ちた青年が真相を追究する
男は、心臓を鋭利な刃物で刺され、右胸の皮膚を円く抉ぐられていた。新緑の四月初め、場所は、東京西方の田園を流れる川のほとり。……警察の捜査は、男が愛知の硯職人で、死の前、甲州の山あいの一鉱山を訪れたことを突きとめたが、続いて起こる、二つの殺人。被害者は、旧日本軍憲兵の前歴を持つ浮浪者と、東南アジアR国から秘密の目的で来日した一外国要人。謎の渦中に巻きこまれた若者崎津の前に、事件は、意外な拡がりと様相を示して展開する。――巨匠松本清張の、野心的推理長篇! -
病院関係者を次々に襲う殺人事件、思いもよらぬ犯人の出現!
タクシーの運転手は寡黙だ。その内側に、客に対する様々な心理や感情を働かせていても、それを語ることがない。言わば〈無言の観察者〉である。この存在は、作家の興味をそそる。生身の欲望を秘める人間が他人の生命を預かる病院、これは興味以上に、無気味である。『地の指』とは、土地が暗示する真相を意味している。(「作者のことば」より)巨匠の長編社会派ミステリー。全2冊完結篇。 -
昭和27年、三原山に墜落した日航機「もく星」号事件の真相に迫るドキュメント・ノベル
昭和27年4月9日、羽田を離陸した大阪経由福岡行の日航機「もく星」号は伊豆大島の三原山に激突、全37名の命が奪われた。米人パイロットと米軍管制官の間にどんな交信がなされたのか。全員救助の報が絶望に変わる一夜の間に、米占領軍で何が画策されたのか。犠牲者のひとり、ダイヤ密売の美女は何者なのか。世を震撼させた事件の謎に迫り、「40年目の真実」を明らかにした、完結した長編としては巨匠生前最後の作品となった渾身作。 -
山陰とウィーンを飛び交う大胆な構想と緻密な計算が行き届いた、巨匠の傑作長編推理。
負債をかかえて逃避行をする谷原は、同宿の設計士と“計算狂”の美女についての話をするうち、大金儲けのヒントを得る。それは、石見銀山坑内発掘と高圧線下の細長い土地の利権にかかわるからくりであった。早速、電力会社から1億2千万円の補償金を獲て、さらに勝負に出ようとする。しかし往年の殺人疑惑が谷原殺しを引き起こし、その接点には、「数字のある風景」があった……。巨匠の傑作長編推理。 -
一つの利権をめぐって対立する師弟関係の結末など珠玉のサスペンス短編集
教授の職を追われ故郷へ身をひいた恩師を訪ねた玖村は,大学への復帰を恩師に依頼される。師弟の立場の転倒から生じた秘かな優越と侮蔑。しかし玖村のその肚の中の愉しみは、ふとしたことで覆えされる。表題作ほか「鬼畜」「喪失」「二階」「発作」「一年半待て」「捜査圏外の条件」を収録。 -
嫉妬の炎に包まれて、地位を悪用する役人と無実の罪人など、戦国時代に取材した力作5編
佐渡金山奉行所への転任を上役からこわれた時、寺社奉行所役人黒塚喜介の頭の中を不意によぎるものがあった。2年前、妻との仲を疑い、八丁堀与力を動かして伝馬町の牢へ送った無頼者弥十。その赦免が間近いのだ。いっそ、金山の暗い坑の底で、地獄の苦しみを彼に味あわせたい。……喜介の胸に、どす黒い憎しみと嗜虐心のほむらが一気にふき上げて来た。表題作「佐渡流人行」ほか、直木賞候補作「西郷札」など秀作短篇4作を併わせ収める。 -
罪を犯した人間の不安感に苛まれる妄想の日々など、人間の深層心理を捉えたスリリングな恐怖推理小説集
井野良吉は味のある役者として人気が出、映画出演も決まり幸先のよいことであったが、その幸運は、破滅へと近づくことでもあった(「顔」)。出張先から帰らない夫の身を案ずる信子は、従弟の俊吉から思いもかけない“夫の裏切り”を聞かされる(「白い闇」)。平凡に穏やかに続く日常生活という仮面をはぎとると、欲にのまれた人間たちの罪と罰がみえてくる。人間の深層心理を捉えたスリリングな恐怖推理小説集。 -
野武士集団に身を投じる主人公。愛と誇りを守るため果敢に戦う男たちの、友情とロマンにみちた長編冒険小説
関ヶ原戦の一年後。信州高島藩の若侍、伊助と家老、兵部はある約束をかわす。伊助が主君の敵、丹後を討てば、その報酬として、兵部の美しい娘、美世を嫁にもらうというのである。が、命懸けで豪傑丹後を暗殺したというのに、兵部は約束を無視しようとする。伊助は、復讐の念に燃え、無法の野武士集団に身を投じる――。強靱なパワーと意志力とそして寡黙なやさしさをたくわえて、愛と誇りを守るため果敢に戦う男たちの、友情とロマンにみちた、長編冒険小説! -
河越の古戦場に埋れた長年の怨念を重ねた、緻密な大型長編推理
山内上杉家の末裔の事業家山内定子が創った八王子郊外の結婚式場「観麗会館」は、その高級感がうけて大変な繁盛ぶりだ。経営をまかされている小心な婿養子善朗はある日、口論から激情して定子を殺し、死体を会館の名所である「断崖」に埋め込んでしまう。門出を祝う式場が奇しくも墓場となり、その上空を不吉なカラスが飛び交い、新たな事件が発生する……。河越の古戦場に埋れた長年の怨念を重ねた、緻密な大型長編推理。 -
名将武田信玄の初陣から無念の死まで、波乱激動の生涯をたどる迫真の長編小説
戦国乱世のただ中に、天下制覇を目指した名将武田信玄。その初陣から無念の死まで、波乱激動の生涯をたどる迫真の長編小説である。大国の当主同士が一騎打ちを演じた唯一の合戦として名高い川中島の戦い、軍師山本勘助の巧妙な活躍ぶりなど、歴史の転換点、名場面の仕組みを周到な時代考察をふまえて、鮮やかに描いていく。虚々実々のかけ引き、壮大な勇気、そして決断のあり様などに魅きこまれるうちに、今を生きる私たちの処世や対企業組織の活路が見えてくる。巨匠による、異彩をはなつ歴史読物。 -
小学生の殺意?――眼に見えない運命に操られ、破滅へと導かれる男女を描く連作推理集
仮眠から目覚めると、私の横に健一がいた。その手に出刃庖丁が握られている。私は危うく声を上げかけた。……夫を亡くし保険の集金人をする小磯泰子と二十年振りで出会った私は、妻の眼を盗んで家に出入りし、密かな逢瀬を楽しむようになった。が、その一人息子で6歳の健一は何故か私に親しまず、その異常な挙動に私は自分への殺意を感じた。少年の殺意。――私にはそれを否定し切れぬ過去があった。「潜在光景」ほか「典雅な姉弟」「万葉翡翠」「鉢植えを買う女」「薄化粧の男」「確証」「田舎医師」を併載。眼に見えぬ運命の糸に操られ、破滅へと導かれる男女を描く連作推理集。 -
男たちの醜い欲望にもまれながら健気に自立の道を求めるヒロインの美しき挑戦
東京の女子大学を卒業してR新聞社資料調査部に働く順子は、ある日外国要人の写真を係に取り違えて渡し、その日の夕刊の写真誤用は社内に大きな波紋を呼んだ。部長末広と次長の左遷。――責任を感じた順子は編集局長川北に辞表を提出するが、川北は意外にも彼女を銀座のクラブに誘う。二人の接触は、川北に恨みを抱く末広により、スキャンダルとして暴露された。社内に激化する醜い派閥争い。職場への夢を失った順子は、一夜川北から財界の怪物海野を紹介されるが…。人生の確かな手ごたえを求めてさまよう、一女性の心と行動を鮮やかに捉えた巨匠の長編現代ロマン。 -
失踪した大学教授の死体をめぐる謎をはじめ、素材、テーマ別に多彩な変化を見せる推理短編6編
Q大理学部の中年教授が大学からの帰途に失踪、赤坂のマンションの一室で首吊り死体となって発見された。自殺か、他殺か?当人が一度も口にしたことのない場所で死んでいたこと、カバンの中にしまう習慣の手帖が洋服のポケットにあったこと、などの不審点から他殺説が浮上。教授と若い女の話し声を耳にしたという隣室夫婦の証言で、捜査の的は、謎の女の追求に絞られたが……。表題作ほか「額と歯」「やさしい地方」「繁盛するメス」「春田氏の講演」「速記録」を収録。素材、テーマに多彩な変化を見せる推理短編集。 -
1965年、実際に起きた邦人殺人事件を謎解くドキュメント・ノベル
19××年8月末の夕方、アムステルダム市内の運河に浮かんでいた、銀色のジュラルミン製トランク。――その内部には、血まみれの下着と共に、首と手首と脚を切断された、男の胴体があった。オランダ警察は、下着の文字と黄色の皮膚から、被害者は日本人と判定、身元は、ベルギー駐在の一商社員と知れた。……国際犯罪を描く、巨匠松本清張の本格推理小説!「セント・アンドリュースの事件」併載。 -
松本清張がつむぐ、軍師・黒田官兵衛の波乱にみちた生涯。
天正三年、羽柴秀吉と出会い、軍師・黒田官兵衛の運命は動き出す。秀吉の下で智謀を発揮して天下取りを支えるも、その才ゆえに不遇の境地にも置かれた官兵衛の生涯を描いた表題作ほか、二編を収めた短編集。 -
1953年芥川賞受賞表題作など清張最初期の短編集
史実に残っていない小倉在住時の森鴎外の足跡を10年の歳月をかけてひたむきに調査する田上耕作とその母。病、貧乏、偏見、苦悩の中で、衰弱が進んでくる(「或る『小倉日記』伝」)。自らの美貌と才気をもてあまし日々エキセントリックになるぬい。夫にも俳句にも見放され、「死」だけが彼女をむかえてくれた(「菊枕」)。昭和28年芥川賞を受けた表題作ほか、孤独との苛酷な戦いをテーマにした、巨匠の代表作品集。 -
スリルと緻密な時代背景。松本清張の時代短篇は光っている!
花莚問屋の主人庄兵衛は報恩講の席で、娘婿への相続を発表し、仕合せの中にいた。しかしその夜、店の蔵で、雇人が殺された――「蔵の中」。中風の夫のために信心詣りを欠かさない袋物問屋のお房が落ちた罠――「西蓮寺の参詣人」。穀物問屋大黒屋に出入りする厄介者留五郎が惨殺され、その死体には大八車の轍の跡があった――「大黒屋」。わずかな手がかりをもとに岡っ引きが真相に迫る、スリリングな時代短篇集。
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浮気、出世欲、金儲け……昭和30年代、転がるように堕ちていく男女の愛憎劇を描いたミステリー短編集
戦後の窮乏生活が遠のき、古来の慎ましさと新しい欲望が錯綜する昭和30年代――。高度成長直前の時代の熱は、地道な庶民の気持ちをも変えていく。浮気・出世欲・カルト宗教・金儲けにはまり、やがて三面記事の紙面を賑わす殺人事件へ。武蔵野の自然や駅前の町並みなど旧き良きニッポンの風景の中で堕ちていく男女をテーマにした短編を厳選。オウム事件を予言するような怪ミステリーを含む5編を収録する。
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