『日本文学、池波正太郎(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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ほんとうにうまい大根は、
「ほんとうに、うまいねえ」
むかし、三井老人が、よくいっていたものだ。(本文より)
四季折々の味を慈しみ、土地土地の食を堪能する、たべものエッセイの神髄。
幼き日の海苔弁当の思い出から時代劇の食べもの、卵のスケッチ、そして大根の滋味に目覚めるまで。あるいは東京下町から奥多摩、仙台、湯布院、さらにフランス、スペイン、インドネシアまで――。古今東西の味と人をめぐるおいしい話の数々を、時代小説の大家にして食エッセイの達人が味わい深く描く。
〈巻末対談〉荻昌弘×池波正太郎「すきやき」 -
剣聖塚原卜伝の晩年を描く表題作をはじめ、傑作時代小説集
諸国の剣客を相手に勝利をおさめた戦国時代の剣豪塚原卜伝は、一度も不覚をとることなく、敵を討ち取ること二百余人に及んだという――この卜伝が武田信玄の招きを受けて甲斐の国を訪れたのは、71歳の老境に達した春だった。ここで、六尺豊かな大男の薙刀使いの名人に最後の試合を申しこまれたが…。枯淡の境地に達した剣豪卜伝を描いた表題作ほか、南部藩で鬼目付と呼ばれた侍の人間的苦悩、明治維新の激動期に数奇な運命をたどる青年剣客等、多種多彩な人間と時代を取りあげた著者会心の歴史小説集。 -
ところで私は、東京にいるとき、あまりチキンライスを食べない。
旅の空の下で、チキンライスは、私と切っても切れないものになるのである。
(本文より)
初対面の人びととの接触こそ旅の醍醐味と唱え、自分が生まれた日の父のことばを思い、四季のない町は日本の町ではないと説いて薄れゆく季節感を憂える……。時代小説の大家にして食エッセイの達人が綴る、食、旅、暮らし。
〈巻末付録〉有馬頼義・おおば比呂司・池波正太郎座談会「わたくしの味自慢」 -
関ヶ原の間諜・蜂谷与助、妻を売る寵臣・牧野成貞……他8編。自らの歴史観・人間観をまじえ、歴史に「影」だけを残して消えていった人物を描く。珠玉の歴史エッセイ。
希代の戦術家・真田幸村の手足となってゲリラ戦を展開した奥村弥五兵衛。お家騒動を避けようと二代将軍に秀康を推したがために、土井利勝に失脚させられた本多正純。幕臣の「微衷」から、上野の山にこもり官軍と戦った彰義隊。彼らが生きながら象った歴史の光と影を、著者自身の歴史観・人物観をまじえながら浮き彫りにする、珠玉の歴史エッセイ。 -
天下取り三代の歴史を等身大の視点で活写するとともに、人間とその人間の営みが作り出してきた歴史の意味を見事に語る名篇。池波作品・幻の長篇。
「人間五十年。天下のうちをくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり」と、乱世を疾駆した織田信長。その夢と理想を受け継ぎ天下を統一した豊臣秀吉。そして盤石の幕府組織の確立に取り組み、手にした天下を末永く子孫に伝えた徳川家康。「時代小説の仕掛人」がリレー式に、天下統一をなしとげた三代の英傑の戦いと統治の構図を克明に描き、等身大の視点で生き生きと彼らの人間像に迫る。池波正太郎作品唯一の絶版長編。 -
スクリーンに男と女がめぐり合い、時が流れる。あふれる生活感と隙のない脚本、心打つ見事な演出。さまざまな感懐を胸に、銀座に酒飯して帰る……。どのような映画でも、楽しむ術を知っていた池波正太郎が、息づまる執筆の間に堪能した映画と、面白い身近の出来事をつづった、興趣尽きない好読物。全1巻。
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変わらない食卓の風景。変化する昭和の街角。人生の達人が綴る、豊かなる暮しの情景。
作家として多忙な日々を送る著者が、毎日、楽しみにしていたわが家の夕めし。子供の頃から好きな冷奴に、ついつい食べ過ぎるとろろ飯……。自作が、テレビドラマになったときの感想のほか、瀬戸内寂聴さんに「マジメ人間にして、大淫乱」と評された話など、暮しの達人が多彩な面を垣間見せる、随筆51編を収録。 -
私の秘密、父母、師友。旅や滋味の楽しみ。人生の喜びに溢れたエッセイ。
「私の父は、どこまでも不運であった」。ある晩、別れて久しい父とばったり出合い、「お父さん」と呼びかけるが、泣き出しそうな顔で「お前さんはだれだい?」と返されてしまう(「私の中の日本人」)。ほか、フランスや京都への旅の想い出、今日のごはん、芝居や映画のことなど、66編を収録した珠玉の随筆集。 -
薩摩の下級藩士の家に生まれ、幾多の苦難に見舞われながら幕末・維新を駆け抜けた西郷隆盛。歴史時代小説の名匠が、西郷の足跡を克明にたどり、維新史までを名匠が描破した力作。
「本書によって西郷のみならず明治維新の革命の真相を理解できたと思う」(解説より)――作家・常盤新平氏
近代日本の夜明け、明治維新に燦として輝きを放つ西郷隆盛。「西郷は真の政治家でありながら、世に横行する政治家ではない。西郷は詩人の魂をもった理想家であり教育家であった。芸術家になっても、すばらしい業績をのこしていたろう。そしてさらに、西郷は軍人でもなかったのである」と著者が言い切った男の半世紀の足どりを克明に追った伝記小説。名匠が描いた維新史としても読みごたえ十分の力作。
※本電子書籍は、昭和五十四年四月に刊行された『西郷隆盛』(角川文庫)を底本としました。 -
江戸情緒の残る戦前の下町に生を享けた池波正太郎にとって、娼婦たちは身近な存在であった。昭和三十年代が舞台の本書は、著者には珍しい現代小説であり、その艶笑譚には彼の温かな人間観が見事に表われている。後に著す「仕掛人・藤枝梅安」などの時代小説群にも大きな関わりのある傑作を、ここに復刊。
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魑魅魍魎とび交う江戸暗黒街に名もない人々の生きざまを描く時代長編
盗賊の小頭、雲津の弥平次は、山奥の湯治場で思いもつかない〔ひろいもの〕をする。記憶を失い、何者かに命を狙われていた若い浪人、谷川弥太郎である。凄まじい剣の腕をもつ弥太郎、彼の素性は、そして何のために命をつけ狙われるのか――。時を経て江戸で再会する二人、記憶が戻らぬままに金で人を殺める仕掛人となっていた弥太郎の身を案じる弥平次、しかし彼自身もまた血なまぐさい盗賊の跡目争いに巻き込まれて行くのだった。江戸を舞台に刺客たちの激しい闘いを描く傑作時代長編。 -
抗しえないものと直面する武人たち。直木賞受賞直前の力作6編をおさめた珠玉短編集
西郷隆盛一筋に生きた「人斬り半次郎」こと桐野利秋は、フランス香水をその身にふりかけ、突撃してくる官軍の中へ斬り込んだ(「賊将」)。もはや将軍一個の力でおさえることができないほど強大になった守護大名の力、足利義政は迫り来る戦乱の予感になんら力を発揮できず憂悶した(応仁の乱」)。火付盗賊改の猛士・徳山五兵衛は、持て余した欲望のはけ口を夜毎描く秘画に求めた(「秘図」)。抗しえないものと直面する武人たち、その貌が著者独自の人間解釈の妙によって浮き彫りになる。直木賞受賞直前の力作6編をおさめた珠玉短編集。 -
下級武士から這い上がった、男の半生、剣一筋! 激動の時代に生きる一快男児の半生を描く傑作
「今に見ちょれ。俺はこの腕一本できっと……」。半次郎の口ぐせだった。姓は中村、鹿児島城下の藩士に〈唐芋〉とさげすまれる貧乏郷士の出ながら剣は示現流の名手、精気溢れる美丈夫で、性剛直である。時は幕末、ふとした機縁で西郷吉之助に見込まれ、国事に奔走するが、卓抜の剣技は血なまぐさい暗殺を重ね、〈人斬り〉の異名は、次第に高まってゆく。激動する時代の中に一快男児熱血の半生を描く、傑作小説の前編。 -
織田から徳川に至る激動戦乱の世を、槍一本で豪胆颯爽と生きた男の一代記
“汝は、天下にきこえた大名に仕えよ”との父の遺言を胸に、渡辺勘兵衛は槍術の腕を磨いた。織田信長・信忠父子の甲州攻略に、近江の小城主阿閉(あべ)淡路守家来として加わり、信忠の危機を救う武功で、一躍その名をとどろかせた。だが、勘兵衛は、信忠から拝領した名刀をねだる吝くさい淡路守につくづく愛想が尽き果てる。俺が心から働ける主君はいないのか。戦国の世に「槍の勘兵衛」として知られ、剛胆颯爽に生き抜いてゆく男の変転の生涯を描いた長編力作。 -
「お若えの、お待ちなせえやし」の台詞で有名な幡随院長兵衛、波瀾万丈の生涯
夕立に煙る路上で六人の刺客に襲われた塚本伊織は、息子の伊太郎(のちの幡随院長兵衛)に「からつ」と言い残して死んだ。流浪の末に奉公先を得た二十歳の伊太郎は、父の死の謎を解いて敵を討つため、三千石の大身旗本、水野百助の援助で元唐津藩士だった茂平次を彦根に探し出す。そしてすべてを知ることになるが……。江戸一の〈人いれ宿〉を営む山脇宗右衛門の元に身を寄せる伊太郎。だが、その背後に刺客が迫る。 -
江戸、東海道、京都を舞台にアツい男・安兵衛の青春の彷徨を描く長篇
越後、新発田五万石の城下の春。藩士の子息、14歳の中山安兵衛は、路上で会った山伏に「剣の道に進めば短命」と宣告される。はたして、父の無念の切腹という凶事にみまわれ、安兵衛の運命は大きく変わる。父の死の謎を解くために藩を出奔し、江戸へ向かう途中、魔性の剣をふるう中津川祐見と宿命の出会いを果たすが、その後、女をめぐって対立することになる……。江戸、東海道、京都を舞台に安兵衛の青春の彷徨を描く長篇。 -
忍びとして生きるか、己が信念を貫くか!〈信玄暗殺〉の密命を帯びた主人公の苦悩
甲賀忍者、丸子笹之助は〈信玄暗殺〉の密命を帯びて甲斐に赴く。途中、常陸の鹿島に剣名の高い塚原卜伝を訪ね、その推挙を得て武田家に仕えることに成功する。だが、笹之助は信玄の侍女、久仁に熱い血潮をたぎらせ、密命と恋の板ばさみに陥る。上杉謙信との川中島大会戦前夜、笹之助に課せられた任務を知りつつ、それを許す信玄。その包容力と偉大さに感動した笹之助の背後に強力な甲賀忍者の群れが忍び寄った。 -
病気で視力を失い自暴自棄になっていた井上吾郎は、相撲取り・稲垣との出会いに大いに力づけられた。しかし世間の風は冷たく、実の叔父に遺産を奪われ、大学への進学も難航した。その苦境を乗り越え大きく成長する吾郎の姿を描いた直木賞候補作「眼」ほか、陸上に捧げた青春を描く表題作「緑のオリンピア」など、自らの小説世界を模索していた若き日の池波正太郎の瑞々しい文章が光る現代短編集。(講談社文庫)
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「鬼平」の原点ともいうべき江戸捕物帳・鬼平外伝!
ふた月前の夜、池ノ端仲町の日野屋に賊が押し入り、金を奪って逃げた。あるじ久次郎は奉行所に届け出たが、恋女房のおきぬが犯されたことは隠していた。もう忘れようと夫婦が互いにいたわりあっていた矢先、再び同じ賊が日野屋に押し入る…。火付盗賊改方の頭に就任した長谷川平蔵は、神出鬼没の盗賊団捕縛を命じられ、正念場を迎える。「江戸怪盗記」をはじめ、人の世の哀感を滲ませる、「鬼平」の原点ともいうべき傑作捕物帳。
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