『日本文学、彩流社(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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澁澤の「書く=読む」という行為には、「(仏語の)純粋言語を日本語に
よって救い出す」(ベンヤミン「翻訳者の使命」)という運動が働いている。
そのとき、澁澤という「私(わたくし)」性はどこにあるのだろうか。
澁澤の「書く=読む」という行為は「純粋言語」を救出するとともに、
澁澤という「私」性が消滅するのではないかというのが、
筆者が考える澁澤におけるエクリチュール化した「私」の意味である。
このエクリチュール化した「私」は、消滅するとともに
翻訳行為と同様、他者の「純粋言語」にまとわりつく「純粋思考」をも
かぎりなくとりこんでいく。
そして最後には、澁澤の博覧強記の「書く=読む」という行為は、
澁澤の「私」性が消滅して、エクリチュールに他者、評者(筆者)まで
をもまきこんでいく。
究極的にそこに浮上する澁澤の「思考」とはなにか……それを逐語訳的に
翻訳・抽出していくのが本書の眼目なのである。
【目次】
(第1章)サドの自然
(第2章)『夢の宇宙誌』玩具・天使・アンドロギュノス・世界の終り
(第3章)『エロスの解剖』
(第4章)『胡桃の中の世界』 -
創作童話の世界への誘い!
グリム童話研究者によるユニークな「賢治論」。
今頃、なぜ「宮沢賢治」なのか?
それは、かつて思いがけなくも雑誌「国文学」に掲載された
文章「セロ弾きのゴーシュ」論を読み返したからだった。
もう一つの理由はといえば、かつて、年配の同僚だった日本文学研究者が
「賢治童話はたぶん日本文学だけしかやってない者には手ごわい。
『注文の多い料理店』は良いコメントを書こうとしてもなかなか
うまく料理できないんだよ。」とよく話していたことを想い起こしたからだ。
賢治の作品は、文学のみならず、植物、生物、化学、鉱物、天文学、農学、
音楽、宗教等多岐にわたる。
日本の「創作童話」という狭い檻の中に、それはとても入り切るはずもない。
様々な助言をもらったこの先輩教授が亡くなってはや十年近くが過ぎ去った。
もう一度、賢治童話について考えるきっかけを与えてくれた教授に感謝だ。
本書で取り上げた賢治作品は以前から気になっていた小品だ。
賢治のよく知られた大作に関する評論はごまんとあるから、あまり取り上げら
れずにいる作品にスポットを当てたかたちである。
独文学者による比較文学論的「賢治童話」読解の試み。
【目次】
「ワラシとボッコと奥州と欧州と」(ざしき童子のはなし/
ドイツの視点から)
「夜の川のほとりのゴーシュ」(セロ弾きのゴーシュ)
「クンとフウとツェ」(ねずみ物語)
「虚栄と韜晦と邪教・三つ巴の果て」(洞熊学校を卒業した三人)
「わかっちゃいるけどやめられね~の美学」
(毒もみのすきな署長さん)
「のんのんのんのんの仮面」(ほんたうの神さま/オツベルと象) -
ハルキ・ムラカミの文章はいかにして日本から世界=惑星の隅々まで届くのか。
村上春樹は、日本を舞台に日本語で描かれた作品を、日本から世界へ向けて発信し続けている。その意味では「日本のローカルな」作家ではなく、かといって「米国発のグローバルな」作家でもない。この「惑星的思考」ともいうべき村上春樹の世界観を、国内外の村上春樹/ハルキ・ムラカミ研究者が共に検証する珠玉の論考の集成。
【目次】
はじめに「日本」の村上と「惑星」のムラカミ
◉翻訳◉
第1章 ヨーロッパに浮かぶ二つの月
第2章 村上春樹『国境の南、太陽の西』の新旧ドイツ語訳
第3章 一九八五年の「相棒」とは誰だったのか
◉歴史/物語(hi/story)◉
第4章 『海辺のカフカ』における時空
第5章 村上春樹作品にみる「神話的思考」と物語の構造
◉海外作家◉
第6章 『羊をめぐる冒険』をめぐるゴールド・ラッシュの点と線
第7章 ここは僕の場所でもない
◉紀行◉
第8章 村上春樹の紀行文と小説における相互影響について
第9章 『ノルウェイの森』誕生の地 ローマ・トレコリレジデンス探訪記
第10章 『海辺のカフカ』を歩く
◉村上春樹関係年譜◉
おわりに 加藤典洋「的思考」と村上/ムラカミ批評の未来 -
帝から「歌枕さがして参れ」と命ぜられ、清少納言への恋歌「かくとだにえやはいぶきのさしも草……」との歌を残して旅立った実方中将。各地に遺る実方伝承の解読を通して「歌枕」の意味と実方の実像、『枕草子』成立の謎に迫る。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、予めご了承ください。試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
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トレンディな都市小説として、あるいは喪失の世代の自己治癒の物語として流通する村上春樹の秘密とは? 現実の凹凸にカタカナ言葉というアイロンをかけ、恋人、性、他者に辿りつけない『ノルウェイの森』と、アメリカ文学の差異を読む。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、予めご了承ください。試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
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全共闘運動を素材とした作品群に初めて「全共闘文学」という呼称を付与した著者が、三田誠広、高城修三、山川健一、立松和平、桐山襲、兵頭正俊らの小説及び、永田洋子、大道寺将司らの手記を通して、同世代体験と文学を論じる。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、予めご了承ください。試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
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川端康成、村上春樹、吉本ばなな、山本昌代、尾崎翠の作品を臨床心理学や精神病理学などの学問成果を援用し、解読。従来明らかにされにくかった<自己>像に迫る新批評集。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、予めご了承ください。試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
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