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『文芸・小説、ホラー、山本清流』の電子書籍一覧

1 ~2件目/全2件

  • 299(税込)
    著者:
    山本清流
    レーベル: 山本清流
    出版社: 山本清流

    【女子中学生×サイコパス】※覚悟なしで読んではいけない

    【冒頭】
      関係各所の皆さまへ。
     X県にて中学校教員をしております笹沢高志と申します。
     このたびのX県立H中学校の女子生徒の自殺事件に関しまして、ネット上ではむやみやたらと憶測が飛びかい、その勢いはマスメディアにも及んでいるところであります。
     わたくしの勤める中学校にも、通勤ルートにも、散歩に出かける公園にも、はては自宅にまで、週刊誌やテレビ局の記者が駆けつけるような騒ぎとなりました。
     たいへん息苦しい生活を送っております。
     わたくしだけならまだしも、わたくしの妻や子供にまで、その苦痛は伝播しているところです。
     教育者であるわたくしといたしましても、今回の悲惨な自殺事件につきまして無言を決めこむことはできません。
     わたくし個人としての見解を、学校を通さずに、ここに公開することにいたしますので、その方はご理解いただきたいと願うばかりです。
     さて、早速、本題に入ることにいたします。
     皆さまも周知の通り、七月二日の午後三時ごろ、X県立H中学校のある女子生徒が濁流の河川にその身を投げました。
     それから三時間後、午後六時ごろに、その河川の下流から彼女の身体が遺体となって発見されました。
      水死でした。
     その後の警察の調査により、女子生徒の自宅から彼女の筆跡による遺書が見つかり、その遺書の中で、わたくしの実名が記載されておりました。
     そのことがわたくしの許可もなく、先走って報道されることになった次第です。
     その遺書の内容というのが、六月末、公開授業でH中を訪れていたわたくし、『笹沢』とのネームプレートを下げた教師に対して、『助けて』と記載のある紙切れを手渡したというものであります。
     遺書の中では、詳しく事情を聞いてほしかった、しかし、その教師は無視して、そのことを学校側に告げ口し、学校側からは叱責されることになった、と続けておりました。
     その内容だけを見ると、まるでわたくしが女子生徒のSOSを踏みにじったかのように思われるかもしれません。
     そのことについて訂正させていただきます。
  • 299(税込)
    著者:
    山本清流
    レーベル: 山本清流
    出版社: 山本清流

    【驚天動地のどんでん返し】三百の死体がある館で、いったい、なにが……。

    【冒頭】
     ヘリコプターが車体の一メートル上方にべったりとくっついて付けまわしているかのように感じられるほど、激しい雨だ。バタバタと耳に痛い騒音を出し、車体をあらゆる方向から圧しつぶそうとしているようである。この頑丈なはずの鉄塊をここまで頼りなく思ったことはない。車体は、強風によって右往左往し、危うく木々に激突しそうになるのをこらえながら、なんとか前へ前へと進んでいる。どこかで釘でも踏んだのか、右前のタイヤに異常があるらしく、車体はそれ自身でガタガタと盛大に揺れていた。
    「まだか?」
     剛田は、激しい揺れに耐えるようにシートベルトを強くつかみ、助手席から運転席に声を飛ばした。
    「え、なんですって?」
     運転席に座る神林は、大声で応じて、聞き取りづらかったように左耳を傾けてくる。もともと耳の遠い男だったが、彼のせいというよりは、車体に弾ける雨の轟音で車内がパチンコ店よりも騒々しくなっているせいだろう。自分の言い方を失礼だと恥じたのか、「すみません。もう一度、お願いします」と言いなおした。
    「まだか、って言ったんだ」
    「ま……ってあの、なんですって?」
     ゆとり教育の弊害か、神林には、学習能力が乏しいところがある。彼は、言い滑った生意気な言葉を訂正するように「あの、雨音が」と付言した。
    「まだかかりそうなのか、ってんだよ」
    「あ、あの、ちょっと聞きとれないです」
     申し訳なさそうに目尻を垂らした細面で、こちらに顎を突きだし、ぺこりと頭を下げる。雨粒の数々が車体を襲う音のせいで、助手席と運転席の距離でも満足に会話が成立しない。おそらく、それを重々承知で、すべての非はこの自分にありますとでも言いたげなその顔で剛田の苛立ちを丸く収めようとしているのだろうが、この危険な運転の最中にフロントガラスから目を離すバカがあるか。
    「もう、いい。運転に専念しろ」
     剛田は、毛深くて太い人差し指をフロントガラスに向けた。神林は、またもや、ぺこりと頭を下げ、ハンドルにしがみつくようにして前方に目を凝らした。

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