『角川文庫、梶山季之(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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一匹狼が恃むのは己の才覚のみ。『夜の配当』姉妹編
銀座に、堂々とトラブル・コンサルタント(示談屋)の事務所を構え、いろんな揉め事処理にアイデアを貸している伊夫伎亮吉。がっぽり稼いで、快楽的な人生をおくる一匹狼だ。某大手繊維会社の専務が腹上死した一件をヒタ隠しにして、その会社の内紛を未然に防いだのも彼の卓抜したアイデアだった。資金繰りに悩む一流宝石店から時価2億円のダイヤの秘密換金を依頼されたり、流行作家のご夫人連に、重税からのがれるための抜け道を伝授する。法律の盲点を衝く彼の仕事はおもしろいように大繁盛。ちょっぴり背徳的で飄々とした魅力のある伊夫伎亮吉大活躍!『夜の配当』の姉妹編。
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徹底した取材はコチラの方面でも。余慶にあずかろう
著者は“スペインの蠅(スパニッシュ・フライ)”と呼ばれるものが何なのか、大いに興味を持った。媚薬らしいのだが正体がわからない。そして、とうとうスペインに出かけ、カンタリスという甲虫の一種であると突きとめた。この粉末は飲んでよし、塗ってよしの催淫剤で、あのマルキ・ド・サドも用いたという。これがまた量を間違えると死に至るという猛毒だけに、実によく効くらしい。ところがスペインにも実物はない。それから7年、著者は執念の探索の末、ついに東南アジアで実物を手に入れる。そしてその効果は――? 生前、性豪作家として知られた著者が、その旺盛な好奇心と取材欲によって集めた、セックスにまつわる古今東西の逸話をサービス満点に語る。
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『黒の試走車』から5年。熾烈な企業競争を描き切る
自動車レースの中で、ラリーほど苛酷な競技はない。スピードを競うだけでなく、人間の限界を越える耐久力と高度な運転テクニックがなければ勝ち抜けない。しかも勝負は、自動車会社の売上げにそのまま影響するのだ。それだけに舞台裏では、さまざまな策謀がめぐらされる。その日、タイガー自動車第四実験課長であり、〈ラリー男〉の渾名を持つ古葉鋭二が感じていた不安は、最悪の形で現実となった。モンテ・カルロ・ラリーに参加した自社チームが、コース途中の山道で行方不明になったのだ。しかも二人の出場選手の凍死体が、コースから遠く離れた雪原で発見された。だが彼等の乗っていた車は、遂に見つからなかった。事故か、それとも……。国際市場を舞台に展開する激烈な企業競争の暗部に迫る傑作情報小説。
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王朝ならぬ現代のプレイボーイ一代記。笑えます
24歳になる美知子は職業柄、男性が下着を脱ぐとすぐ草叢に視線がいく。それもそのはず、彼女は、ソープランド〈桐壺〉のベテラン風俗嬢で“美知子の真空斬り”というと、客の間でも評判だった。預金500万円、千人斬りを目前にして、いま個室に変な客が来ている。何をやっても反応がなく、怒張もせず悠然としているのだ。手のほどこしようがない。美知子はカーッとなった。この不感症男め! 眼許涼しく鼻筋が通り、色白の源田光彦と名物風俗嬢・美知子の初めてのお手合わせ。美男の光彦に言い寄る猛女、今様ひかる源氏・桐島総業の秘書室長の快進撃、痛快おもしろ長編!
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あえて夫婦の愛にまつわる奮戦記をご紹介いたします
渡辺喜一郎は35歳。平凡なサラリーマンであり、平均的ニッポン人である。子供こそいないが、妻の淳子との夫婦仲もまずまず円満であった。ところが結婚7年目にして異変が起きた。喜一郎がインポになったのである。最近は喜一郎から手を出すことはまったくない。淳子が奮闘しても途中でグニャリ、である。28歳、女ざかりの淳子としては大いに不満なのだ。なんとかしなければ…そうだ、フォアグラをとるガチョウのように、精力のつく食べ物を強制的に詰めこんでやったらどうだろう。かくしてスタートした夫と妻の性なる戦いはやがてとんでもない方向へと発展してゆくのだが――。 -
小豆相場を題材に、著者の筆名を不動にした代表作
小豆は天候に左右されやすい穀物の代表だ。天候不順の年の小豆値は、信じられないほどのバカ高値をよぶ。一攫千金を夢みる人たちは、ダイヤモンドに魅せられるかのように、〈赤い魔物〉の小豆にすい寄せられる。ソロバンづくで生きてきた木塚慶太は、“アメ横”を根城にして活躍するブローカーだ。金儲けができるところには嗅覚を働かせ、ひょっこり現われるのでトランパー(不定期船)のあだ名がある。その慶太が商売に大失敗、大借金をかかえた。28歳の素頓狂な慶太の人生もこれで終り。遺書を書いて、住みなれたアパートを後にしたのだが……。著者会心の痛快長編小説の最高傑作。 -
魅力は武器となる。二人の女性の一種痛快な生き方
演劇担当のジャーナリスト篝英吉は、40歳にもなるがいまだに独身。だが、新人発掘のベテランとして、映画人の間でも名前が売れている。ある日、大学の合同演劇祭で好演した二人の女子大生に興味がわき、映画界入りをすすめた。小柄だが眉が濃く、右頬に小さな深いえくぼができる徳大寺艶子と、下ぶくれで美人ではないが、目のあたりに何ともいえぬ色気がある桂千代子である。千代子のほうは率直に女優志願を表明したが、艶子は「芸者になりたい」と、突拍子もないことをいいだした! 若い娘が、文字どおり体を張り、女の最高の武器を活用して、一人は映画界で、一人は花柳界で活躍する現代の悪女・強い女の魅力ある生き方。 -
全方位型アイデアから生まれた傑作海外シリーズ
大西鉄五郎は、9歳の時、サーカス一座にさらわれ、アジア各地を転々とした後、渡米興業ですっかりアメリカが気に入ってしまった。その後一座を脱走したが、さすがサーカスにいただけに、いろんな特技を身につけ喧嘩には滅法強い。いつも朴歯の下駄をつっかけているが、これが凄い武器になる。懐には小型ピストルをしのばせ、10メートル先に立てた絹針を射落としたことから“ガン鉄”の渾名があった。この男が、1930年代のアメリカの闇の帝王――酒の密造、売春宿、賭博場の経営、殺人など、犯罪をほしいままにしたギャング、アル・カポネを大いに手こずらせる。痛快傑作小説の決定版! -
“女性”を主題にサスペンスあふれる佳作5篇を収録
女子大生のナツ子は英会話に堪能なことから、アメリカの石油王の若き未亡人リンダを軽井沢へ案内することになった。未亡人とはいえ、まだ28歳の容姿抜群の女性だ。リンダは、軽井沢には知人もいないはずなのに、電話をかけどこかへ出かけて行ったまま、2日目の夜になっても帰ってこない。もしや、誘拐されたのでは? 表題作や、特殊な訓練を受けた“女中”が家庭の平和をみだす「女中仮面」。ほかに「背徳の老嬢」「ラッシュ・アワーの天使」「恋は曲者」を収録。 -
常識を無力化するバイタリティの爽快感。傑作4篇
その年は梅雨が長く続き働きにでられないから、“ドヤ街”もなんとなく殺気だっていた。オレは、安ベッドでひっくり返り古新聞を読んでいると、チンチロリンという渾名の片眼の50男が近づいてきて、“いい仕事”があるという。連中のいい仕事とは、ヤバイ仕事に決まっている。オレは、一瞬ためらったがとにかく金がほしい。思わず承知してしまった。その翌日、“チンチロリン”に連れられて、浅草田原町の地下鉄入口に立っていると、一台の黒塗りの外車がやってきて、すーっと横づけになった……。あとで考えると、この決断が、オレをどん底から這い上がらせてくれるキッカケになったのだ。痛快傑作小説。 -
風俗の鮮やかな断面。著者の多才を示す傑作6篇
英文科3年の女王的存在だった古園洋子が失踪した。5日も続けて学校を休んでいる。作家志望の洋子は、さまざまな人生体験をしようと、ホステスばかりが住んでいるアパートに引っ越したのだ。洋子の安否を気づかう私は、アパートへ出かけてみた。同じアパートの住人で、ちょっと蓮っ葉な感じのホステスに話を聴くと、洋子は「帰ってきたら、おもしろい話をしてあげる…」といって出かけたらしい。以来、洋子の姿を誰も見ていないという。なおも行方を追ったとき、私は奇妙な人物に行き当たった。表題作ほか「愛情の領収」「真昼の孤独」「不倫三重奏」「事件の夜」「恋の代償」の傑作6篇。
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発表は開通の前年。国家事業の暗部を遠慮なく抉る
小さな事件の背後に、とてつもない大がかりな犯罪が隠されていることがある。――ひんぱんに料亭に出入りし、芸者と昵懇(ねんごろ)になった〈新幹線公団〉の一課長補佐が逮捕された。官公吏にありがちな、実直そうな顔だちの小柄な五十男で、わずか3万円の収賄罪の疑いだった。厳しい追及に耐えかね、この男がうめきながらもらしたことが、実は、用地買収にからむ大汚職事件発覚の糸口となった……。政界の実力者がからんだ“現代の黒い疑惑”を鋭くついた会心の長編推理。
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