『松尾スズキ(文芸・小説、マンガ(漫画))』の電子書籍一覧
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悲劇と喜劇はいつも表裏一体だ。
寂しさが頂点に達したとき、私は、
マンションの前を通る
電車に手をふったりする。
歳を追うごとに私の親切には
コクが出てきている、はずだ。
私は、親友というものをもてない。
母と海を介して
いまだにつながっているのだ。
心の中の感傷のドアを閉じる技だけ
歳をとるほどうまくなる。
わかっているのは、まだまだ
途中なのだということだけなのだ。
有史以来、そして、永遠の謎。
人生の謎を、丸裸にすべく挑んでいたら、
おのれが丸裸になっていた…。
松尾スズキ、渾身のエッセイ。 -
演出家、劇作家、俳優、映画監督、小説家とマルチに活躍する松尾スズキ、三年ぶり待望の新作小説。
放送作家見習いの「俺」は、十年間師匠と仰いでいた人物が自殺した日、映画館で偶然出会った女・スミレにいきなり結婚を申し込む。スミレは離婚したばかりだった。
することのない俺とスミレは、酒浸りの日々を送るようになる。
そんな中、俺を捉えて離さないのは、師匠が手首に入れていた矢印形の刺青のことだった――。
次々と地獄の扉が開いていくような男女の転落物語でありながら、どこかに人間存在を見つめる苦い笑いがにじむ松尾ワールドの真骨頂。
(本文より)
今、自分に必要なのは、人生をなめている女だ。
酔っぱらってくれ、俺のそばで。
あと一時間でもいい。一五分でもいい。
いや、今わかった。
俺には俺より酔っ払ってくれている人間が、隣に、必要なのだ。
もう、ずっとそうだったし、きっと今日からもずっと。 -
20人の漫画家、20の「東京」。
【収録作品】(著者あいうえお順)
浅野いにお [TP]
安倍夜郎 [我が心の新宿花園ゴールデン街]
石黒正数 [密林食堂][もしも東京]
石塚真一 [Tokyo Sound]
市川春子 [TOKYO20202 GOURMET/SPOT/HOTEL]
岩本ナオ [海が見える大井町]
太田垣康男 [the next day]
大童澄瞳 [East East]
奥 浩哉 [東京フィレンツェ化計画]
小畑友紀 [願い]
黒田硫黄 [天狗跳梁聖橋下(てんぐのあそぶはひじりばしのした)]
咲坂伊緒 [星の王子さま]
出水ぽすか [ここにいる街]
萩尾望都 [江戸~東京 300年マーチ]
昌原光一 [江戸×東京 ジオラマ合戦]
松井優征 [東京の脅威とギンギンの未来]
松本大洋 [東京の青猫]
望月ミネタロウ [丹下健三の東京計画1960]
山下和美 [世界は変わっても生活は変わらない、という夢]
吉田戦車 [好きな東京]
特別寄稿
角田光代 [私だけの東京]
ジェーン・スー [これも東京2021]
鈴木敏夫 [東京物語]
松尾スズキ [出会いたい人に、すべて出会って]
向井 慧(パンサー) [東京]
山崎洋一郎 [新・東京物語]
写真
佐藤健寿 -
第134回芥川賞(2006年)候補作。
恋人との大喧嘩の果て、薬の過剰摂取(オーバードーズ)で精神病院の閉鎖病棟に担ぎ込まれた明日香。そこで拒食・過食・虚言・自傷など、事情を抱えた患者やナースと出会う。普通と特別、正常と異常……境界線をさ迷う明日香がたどり着いた「場所」とは一体、どこなのか?
悲しくて笑うしかない、絶望から再生への14日間を描いた本作は2007年、松尾スズキ自身の監督・脚本で映画化された(主演・内田有紀)。
解説・枡野浩一 -
松尾スズキの自伝的要素を含んだ初の長編小説がついに電子化!
巨頭の少年フクスケは15歳にして生家を追われ、未知の大都会東京へと旅立つ。そこで出会った男のいざこざに巻き込まれ、伝染病が蔓延する中、死体の供養をしながら混乱と衰退と過剰が支配する日常を過ごしていた。そして、25歳になったフクスケは、『劇団大人サイズ』を結成する。
純愛・絶笑・神様! 因果の禍にまみれたフクスケの、文学史上類を見ない純愛冒険奇譚がいま始まる。 -
第142回芥川賞(2009年)候補作。
コメディ映画だけが救いの若きマッサージ師・金子堅三は、客として出会った映画監督・海馬五郎に「弟子入り」することに。はじめての撮影現場は、北九州のさびれたシャッター商店街だった。そこでスタッフやキャストが退屈しのぎにはじめた賭けは、78歳にして初主演の老優・小関泰司のNG回数を当てるというものだった……。
賭けねば、へたれだ。逃げ場はない! 北九州のシャッター商店街が心ない賭博のワンダーランドと化す──。映画撮影に打ち込む人々の心の黒さと気高さを描く爆笑&涙の小説。
解説・ケラリーノ・サンドロヴィッチ -
宮藤官九郎、阿部サダヲ、星野源…大人計画の秘密にせまる!
演劇界の常識に囚われない超・俳優集団を作った松尾スズキ。何に触れ誰と出会いどのように劇団を強固にしていったのか――。 -
浮気がばれて、パリへ逃げた。そこに悪夢が待っていた。
もう笑うしかない……松尾スズキ、衝撃の最新小説!
二年間の浮気が、キレイにばれた。別れたくない。二度目の結婚で、孤独な生活はこりごりだ。
妻の黒いヒールスリッパの鼻先に、海馬五郎は土下座するしかなかった……。
無条件降伏として、仕事場の解約と、毎日のセックスを、妻から宣言された。
性に淡白な海馬五郎は、追い詰められて、死すら望むものの、死ねるはずもなく、がんじがらめの日々を過ごしている。
半年ほど息苦しい生活を味わった頃、海馬五郎は、フランスのエドルアール・クレスト賞の受賞を知らされる。
「世界を代表する5人の自由人のための賞……?」
胡散臭いものだが、パリへの旅費と一週間の滞在費を支給してくれるらしい。
飛行機が嫌いで、外国人が怖い海馬五郎も、一週間は妻とのセックスを休めるというので、その誘いにのった。
これが悪夢の旅になったのである。
表題作『もう「はい」としか言えない』の他、海馬五郎の恥ずかしい少年時代をヴィヴィッドに描いた『神様ノイローゼ』をカップリング。
天才・松尾スズキのシュールでエンタテイメント精神にあふれる、まったく新しい小説世界へようこそ!
〈著者プロフィール〉
一九六二年、福岡県出身。
一九八八年に「大人計画」を旗揚げする。主宰として多数の作・演出・出演を務めるほか、エッセイや小説の執筆、映画監督など、その活躍は多岐にわたる。
一九九七年、岸田國士戯曲賞受賞。二〇〇一年、ゴールデン・アロー賞演劇賞受賞。二〇〇六年、小説『クワイエットルームにようこそ』が芥川賞にノミネート。二〇〇八年、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の脚本で、日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。二〇一〇年、小説『老人賭博』が芥川賞にノミネート。
二〇一八年、「大人計画」は三十周年を迎えた。 -
「つまらない男がいつもいだくのは突飛な人への憧れだ。突飛に関しては子狐クラスの小動物の私は見逃さない。そしてつっこみ続ける。しかし、それは憎しみや嘲りではない。なににせよ、愛であり、憧れの裏返しである。この本はそんな愛ある私の突飛探しの旅の記録である」(「まえがき」より抜粋) 奇才の激烈人間賛歌。
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「私は大人だ」今、この日本でいったい何人の大人が、そう胸をはって言い切ることができるだろう。(中略)大人らしさとかでなくて。しがらみから独立した「大人」という素朴な生き物になること。私がもくろむのはそれだ。(本文より)話題の劇作家が、「子供失格」だった人から「大人と呼ばれたい」人々までに贈る爆笑エッセイ。
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「僕、51歳、福岡出身。M子、31歳、茨城出身。東京で出会った」
東京で家族を失った男に、東京でまた家族ができた。
夫は、作家で演出家で俳優の51歳。妻は、31歳の箱入り娘。
東京で出会って、東京で夫婦になった。
ときどきシビアで、ときどきファンタジーで。
東京の夫婦はたくさんいる。そのどれにもドラマがある。
これも一つの東京の夫婦のストーリー。
「大人計画」を主宰し、
作家、俳優として活躍する松尾スズキさん。
2014年に「普通自動車免許を持った一般の女性」
(著者twitterより)と再婚した松尾氏が
その結婚生活を綴ったエッセイ「東京の夫婦」
(雑誌GINZAで2015年より連載)が単行本化。
松尾氏ならではの諧謔的で赤裸々な描写に笑いつつ、
ときに本質を鋭く見据えた視点からあぶりだされる
「今の社会に漂う閉塞感や歪み」に共感させられる、
多面的な魅力を持つ作品となりました。
「今までの著作の中で最も文章を練り上げて書いたものの一つ」と著者も認める、
34の「結婚」の像。
「この本には、僕が大好きな松尾さんがたくさん詰まっています」
(帯コメント・星野源) -
「恋っていうんですか? そういう境地」
経営難の小さな印刷会社を営む若き2代目社長カズシは、
工員のノボルが機械で指を切断して以来、数奇な運命に呑まれていく。
少年時代の封印された記憶がフラッシュバックするなか、
謎多き魔性の女・ミツコと出会い……。
様々な伏線がダイナミックに収斂していく松尾スズキのストーリーと、
繊細かつ妖艶な山本直樹の筆致が融合するコラボレーション。
傑作コミック、待望の新装・新編集版。
【目次】
#1 世界はひとつの舞台、人間は男も女もみな役者。
#2 どんなことでも来るなら来るがいい。どんなに荒れた嵐の日でも時は流れる。
#3 恋とは何?恋とは明日のものではない。今が楽しいのなら今笑えばいい。先のことなど知るものはない。
#4 君を夏の一日にたとえようか。君はさらに美しく、さらに穏やかだ。
#5 前兆など気にするものか。たった一羽の雀が落ちるのにも、神の特別な摂理がある。……覚悟がすべてなのだ。
#6 この世の営みの一切が、なんと浅ましく、忌まわしく、味気なく、無意味なものに思えることか!
#7 芝居はしまいまでやらせてくれ。 -
正義とは、サディスティックなものである。芸術とは、美しくあってはならない。「偽善」とは「善の快感」を自覚していること。イヤイヤやるからこそ仕事なのだ。「わかりあえない」のが人間のデフォルトの状態。野蛮人とは、心がなにものにも縛られていない人のこと――演劇界のガラパゴス、超人気劇団「大人計画」を生んだ松尾スズキ。この世界でちょっとだけ生きやすくなる方法を考えたミニッツブックの人気連載の新書化!
野蛮人とは、心がなにものにも縛られていない人のこと。友達は不要。偽善で上等。演劇界のガラパゴス、超人気劇団「大人計画」を生んだ松尾スズキが、この世界でちょっとだけ生きやすくなる方法を考えてみた。「ミニツツブック」の人気連載が新書になりました!
目次
・あなたの心の中にも野蛮人はいる
正義とは、サディスティックなものである/芸術とは、美しくあってはならない/わたしの中にいる野蛮人/やさしい偽善のすすめ
・偽善だっていいじゃないか
「偽善」とは「善の快感」を自覚していること/親孝行は「親切」と「偽善」を学ぶための勉強/偽善の目的は「自己肯定」と「世界平和」
・友達なんていらない
「キャラ」という幻想に縛られて/パンチ社会に溶け込めなかった高校時代/仲間がいれば、友達はいらない
・大人だって子供なのだ
大人になれば楽になれると信じていた/「子供ごっこ」へのアンチだった「大人計画」/子供はもはや大人に憧れを抱いていない
・仕事は死ぬまでの暇つぶし
「やがて死ぬ」という負け戦から逃げ続けてきた人類/理不尽な世界で、うつはもはや日常/イヤイヤやるからこそ仕事なのだ
・それでも笑っていたいんだ
服を着る人間の根源的おかしさ/弱いものを食べてしまわないように人は笑う/日陰者に無理やり光を当ててきた「大人計画」/
・宇宙は見えるところまでしかない
我々は、常に途中までしか見ていない/「わかりあえない」のが人間のデフォルトの状態/かっこいいことは、なんてかっこ悪いのだろう
■松尾スズキ(まつおすずき)
1962年12月15日、福岡県生まれ。88年「大人計画」旗揚げ。作家、演出家、俳優、映画監督、脚本家。
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「わたしの作品を観たり読んだりした人はすぐ感じるでしょうが、もちろんわたしの心の中にも野蛮人はいます。かなり凶暴なほうだと思います」(本文より)。タクシーの運転手さんに文句たれたり、まずいラーメン屋に悪態ついたりできないやさしいあなた。「正義」や「善」を武器のように使ってしまうサディスティックなあなた。誰の心にも野蛮人はいる。ならば、飼いならしてみようではありませんか。【読了時間 約16分】
「わたしの作品を観たり読んだりした人はすぐ感じるでしょうが、もちろんわたしの心の中にも野蛮人はいます。かなり凶暴なほうだと思います。(中略)わたしの作品は、抑圧されたもう一人のわたしの姿です。心の中の野蛮人が巨大化していくのです。だって、心の中では、なにしたっていいんですから」(本文より)。
タクシーの運転手さんに文句たれたり、まずいラーメン屋に悪態ついたりできない、やさしいあなた。
「正義」や「善」を武器のように使ってしまう、サディスティックなあなた。
この世は「清濁併せのむ」ではございませんか。
心は果てしなく自由です。誰の心の中にもきっと野蛮人はいる。ならば、飼いならしてみようではありませんか。
松尾スズキがやさしく説く、「心の中の野蛮人と共に生きる」入門。イラスト・松尾スズキ【読了時間 約16分】
◆目次
野蛮に生きてみませんか?
正義とは、サディスティックなものである
俺にまで良識を求めるのか?
藝術とは、美しくあってはならない
わたしの中にいる野蛮人
親という既得権益を疑う
やさして偽善のすすめ
◆松尾スズキ・まつおすずき
1962年福岡県生まれ。作家、演出家、俳優、映画監督、脚本家。1988年「大人計画」を旗揚げする。1997年、「ファンキー! ~宇宙は見える所までしかない~」で第41回岸田國士戯曲賞、2001年、第38回ゴールデンアロー賞・演劇賞を受賞。2008年、映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」で、第31回日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。「クワイエットルームへようこそ」(第134回)、「老人賭博」(第142回)は芥川賞候補となる。
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