『17、片岡義男、分冊版を除く(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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初めて好きになった女性は、スクリーンを経由して……
季節は夏であり、登場人物はまだ幼さの残るハイティーン。そして両親は離婚もしくは死別している、という共通点を持つ短篇を集めた『夏と少年の短篇』に収録された一篇。この作品の鍵は、異母姉だ。ある男の前の妻と二番目の妻、それぞれの娘と息子という関係の4人は極めて仲が良いが、しかしこの息子と娘は兄弟でありながら他人でもある。そのことに対する隠れた意識に、17歳の男子は母親の故郷の映画館の、スクリーンに映った一人の女優の姿を経由してようやく気づくことになるのだが……
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
「見つけたい」「なりたい」と彼は言った
今日的な用語を持ち出せば、性同一性障害、となるだろうか。男性として生まれながら、女性になりたがっている彼。そこには彼自身の意志だけでなく、彼の生き方に理解があり、それどころかあまりの美しさに半ば女の子として育てた母親と姉の存在があり、さらに父親の不在まで付いてくるのだから念が入っている。ただしかし、うまくいかないことが一つある。口紅だ。男性であることを捨てて女性になるのではなく、男性であるままで女性にもなる、というその存在のジャンプに見合う口紅は果たして見つかるのか。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
オデンを経由して、やがてみんな写真に収まる
作者と同じ、「ヨシオ」という音のつらなりを持つ17歳がいる。
カタカナのヨシオだ。ヨシオは高校の卒業に際し、大学には行かないことを選択する。
両親は離婚し、母親が女手一つでヨシオを育てた。
その母親が経営するのがオデン屋だ。
ここに、様々な来歴や関係を持ったそれぞれ魅力的な人物たちが訪れる。
中には国境を超えて来る人物までいる。
それぞれの困難を抱えながら、全員が「生きかたを楽し」んでいる。
片岡義男によってヨシオ同様、「オデン」とカタカナ表記される場所を媒介として
それらの魅力が交錯する。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
すべてが終わること、写真を撮ること
17歳。人生で最も輝かしく、また不安定な年齢だ。
誕生日を終えたばかりの彼女は、ふと家を出て
バスに乗り、海岸にまで足を延ばす。
焦燥感のような、鬱屈した気持ちのような
そんな壊れそうな気持ちの中に、突然、凧を持った少年が現れる。
凧揚げを手伝う、という他愛もない時間を共に過ごしたことが
彼女にとって決定的な時間になる。
極端に観念的な理想と、あざやかな目の前の現実が
ピタリと一致する奇跡の年齢。
しかしもはや、それは「永遠に失われた」。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
17歳の個人教授
17歳。人生で最もまぶしい年齢だ。
高校を卒業する少し手前の時間。そこには
後の人生にはない、その時だけの体験がふさわしい。
17歳の女性であれば、自らの欲求を満たしてくれる相手の男を
見つけ出す時に、好ましい対象であることはもちろんとして
それが恋愛であるかどうか、には必ずしも頓着しない、
ということがあるかもしれない。
そして男のほうには、同級生ならざる年齢の女性・・・
そうだ、つまりこういう場合、年上の女性の存在がつきものなのだ。
17歳男子は、こうして1つ、人生のレッスンをこなしていく。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
1つのサーフボードが記憶していること、彼女に思い出させること
15歳の誕生日に、忽然と現れた赤いサーフボード。
波乗りを知っている人にはなじみの、昔のロングボードだ。
そこに刻まれた傷は時間そのものであり、記憶そのものだ。
今ではもう失われてしまった、海岸に出て行くための
お気に入りの道順までも、そのサーフボードと共にある。
そして、父親の禁を破って、夜の海に出た17歳の不思議な体験。
それらを今、37歳になった彼女がもう一度、反芻する。
自分の生きてきた時間が、海のその地点が、いま、ここにある。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
5枚のスナップ・ショットは、ポーカーのカードのように
これは『恋愛小説』(角川文庫)に収められた一篇であり、
同じ本に収録された別の短篇「と、彼は思った」と似た構造を持っている。
不意に発見されたスナップ写真を見ながら、夫婦が思い出を語るという構造だ。
そしてこの短篇では男性より女性が多数だ。
そしてオートバイに乗っていたこと(今は乗らなくなっている)、
オートバイに乗ることを教えたこと、が重要なポイントになっている。
そしてよく読むと、2つの短篇には、赤い花、という共通項もある。
読み比べてみるのも一興。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
人はなぜこれほどたやすく17歳に戻ってしまうのか?
再会があった。45歳、という中年の男女の再会。
実に28年ぶり、ということは、かつて二人は17歳だった。
人生における最も輝かしい年齢。その時初めて二人は「女」になり、「男」になった。
この小説の冒頭は、47歳から始まる。
つまり、再会からさらに少し時を経て、デートを重ねた地点なのだ。
女性から男性に贈られるプレゼントと、彼女から打ち明けられた話は30年の時を超えて彼を狼狽させる。
美しく、そしてどうしようもない狂おしい思いがそこにある。
いったい二人はこれからどうなるのか?
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
2人と2人で4人。男と女で性別が2つ。17歳の夏は今この時だけ
本作の最後に付いている「著者との会話」では
「オートバイは十七歳にもっとも似合うと、ぼくは思っているからです」
という言葉がある。その言葉通り、男2人は17歳で
女性の1人も17歳、もう1人の女性は留学期間があるため18歳だ。
人をくったようなタイトルに関連するシーンはラストに現れ、
同じく「著者との会話」で「ストーリーの中心」とされているが
読者にはこの言葉を真に受けない自由がある。
4人とはいったい何か。それが真の主題だといったらおそらく野暮になるが間違いではないはずだ。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
あざやかさとは無縁のそのラスト・シーンが、生きていることの証し。
17歳、夏休みの高校生。
いくら眠っても眠気の取れない若い肉体が
平穏な眠りをむさぼっている時、
届いた一通のありふれた絵葉書が事態を急転させる。
同じ17歳の少女から届いたその葉書は
実は3通存在し、なぜその3人に届いたのかもわからないまま
ひたすら受け身の動揺の中にたたきこまれながら
少年たちは必死にオートバイを走らせる。二度、走らせる。
その2回のラスト・シーンは果たして・・・・・・ -
記憶の中にも、ジャンプ!
短篇集『ボビーをつかまえろ』に収録された作品。
同年齢の異性の誕生日に豪勢な花束を持って現れ、しかも2シーターでドライヴまで敢行する。
こんなことが17歳で可能か? というユートピア性とこんなことは17歳という年齢以外ではムリだろう、という奇妙な説得力が、作品世界を支配する。
そして極めつけのラストシーン。
さてこのあとはどうなるのか? と懸念したくなる「現実」は小説の知ったことではない。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
その海の波を体験することを通して彼女は彼を理解しようとする。
物語は悲劇から始まる。
道路まで大きく浸入してくる巨大な波に
1人の、17歳のライダーが飲み込まれたのだ。
彼の仲間たち、とりわけ恋人であった彼女は
自らも750CCのオートバイに乗り、
あの日と同じ波を自分もくらうことを強く望む。
そして1年後。その日はやってくる。
そこで彼らと彼女の身に起きたことは?
彼女はかつての恋人に、はたしてどう向き合うのか。 -
個人教授か身勝手か。いずれにせよ、ルールは自分が作る。
主人公は、オートバイの虜になってしまった17歳の高校生。
オートバイのために転校し、そしてまた出戻ってきた彼は
校則を破り、平気でオートバイで通学をする。
しかしそれは若者特有の反抗のための反抗ではなく
オートバイの外側に価値を置かないことから来る必然である。
そこにもう1人、女性教師が登場する。
教師としては破格の彼女は、さて、どんな仕方で
未成年に何を「教え」るのか。 -
1980年、夜、霧の中の別れ。さて今日は、何曜日だろう?
片岡義男の短編小説では、男女の出会いは路上で起きる。
それが再会、としての出会いであれば
しかも完璧に偶然のそれであれば、
物語はめまぐるしく時をかけめぐる。とりわけ、過去の方へ。
路上での、偶然の、実に17年ぶりの邂逅。
2人には、これもまた偶然に、通りかかった友人によって
あの日のスナップが残されていた。
それを所持しているのは女のほうだ。
しかし時はとまらない。男はオートバイ、女はマーキュリーで1人を生きる。
やがて、あたりを取り囲んだ濃い霧の向こうに去っていく。 -
見る前に翔べ、と悪い星がささやく。
ティーン向けのレーベルであるコバルト文庫に収録された一編。
冒頭、朝の新宿駅のシーンに象徴されるように
17歳の女子高生2人は、朝のラッシュ・アワーで怒涛のように流れてくる人波に逆行し、そこから外れて生きる存在として描かれている。
通常のヘテロセクシュアルからの逸脱。死への傾斜。
生まれてくるべき星は、ここではなかったのかもしれない。
だから、「翔びなさい」と別の星が言う。
しかし彼女は、この星の現実の中でしか、飛ぶことはできないのだ。 -
20年後の因縁のスコア
お盆の季節。都会に出た多くの人々が帰省し、
旧交を温めるタイミングでもある。
集まったのが、かつて甲子園にも出場したことのある
野球小僧の男たち、ともなれば、大いに盛り上がるのは必至だ。
しかし、なにしろかの栄冠は20年前だ。
輝ける17歳は、今や中年の入口の37歳となった。
そしてなんと、このお盆の時期に、
かつて彼らにあこがれていたという女子チームと対戦することになった。
さて、その結果やいかに?
そして今、「花」はいったい、どのあたりにあるのか?
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
あの過去は現在のために
男と女の、極めて印象的な再会のシーンから始まる長篇小説。
二人は高校の同級生であり、17歳だったあの頃から
15年の時を経て今は32歳だ。
偶然の再会は、今まで意識していなかった、あるいは無意識下に押し込んでいた
気持ちを浮上させる。そのあり方は男と女で違うが、
見ている未来の方向は違っていないようだ。
そしてここには二人だけでなく、他の同級生、故郷の町、
男が離婚したかつての妻までが動員され、過去が検証されながら、
そのことが二人にとってどのように「現在」であるかが描かれる。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
存在しないボールは、いつまでも到達しない
いま37歳の人間にとって、ちょうど20年前の17歳は、はるかな過去だろう。しかしそれは同時に、もうそんなに経ってしまったのかと、唖然とするような事態でもあるはずだ。実家の建て直しの前に家族全員が集まることになり、久々に故郷の町に帰ってみると、実家よりいち早く街は大いに市街化し、通っていた高校の建物は跡形もなく消え去っていた。かつて野球部員として上がったマウンドも、今は記憶の中にしかない。そして再会した女性との2ショットも、どんどん遠ざかる過去になる。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
2つの約束は、真夏の空の下で果たされる。
17歳、盛夏。青春の真っ只中の時間に、ボビーと呼ばれる少年は2つの約束を果たすためオートバイに乗って西へ向かう。
1つはオートバイを売却するため。
もう1つはそこからの帰路、同級生の女の子に会うためだ。
2つの約束のために、2つのよくできた略地図が役に立ち、約束は首尾よく果たされる。
しかし、まぶしいほどの夏の光の中に1つの闇があったことをボビーは少女に話さない。
2人の頭上には、ホースから無限にあふれてくる水と真っ青な夏の空が広がっているばかりだ。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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