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『文芸・小説、著者センター、◉(mandara2025)、分冊版を除く』の電子書籍一覧

1 ~2件目/全2件

  • 本書は、仏教を否定しない。教義を批判するための書でも、思想史的に乗り越えるための書でもない。むしろ本書は、きわめて率直な問いから出発する。仏陀が語った縁起と無我は、本当に最後まで生き切られただろうか。仏教は二千五百年にわたり、「固定した自己は存在しないこと」「すべては関係の網の目として生起していること」を繰り返し語ってきた。縁起、空、無我、涅槃――これらは思想史上、きわめてラディカルな洞察である。世界を実体から解き放ち、存在を関係と運動として捉え直す視座は、いまなお人類の到達点のひとつと言ってよい。しかし同時に、この洞察は長い時間の中で、理解される対象へと変質していった。縁起は説明される理論となり、無我は信じる教義となり、空は概念として把握され、涅槃は到達すべき境地として固定された。(本文序章より)
  • 「文明構造ノンフィクション I」は、文明を思想や評価から切り離し、制度・指標・技術の配置変化を観測記録として整理した書である。外部参照型文明の形成と限界、進歩時間の低速化、崩壊も革命も伴わない静かな運用移行を描く。

    「文明構造ノンフィクション I」は、人類文明を思想・理念・価値判断から切り離し、「どのような構造で運用されてきたか」を観測記録として整理した書である。本書は、文明を進歩や退行として評価せず、制度・指標・技術・慣行がどのように配置され、接続され、変化してきたかのみを扱う。近代以降の文明は、価値や判断の基準を外部に置く「外部参照型構造」として形成された。比較による評価、成長指標の標準化、資本と知性の合流、技術と管理の結合は相互に強化され、文明は最大化を目的とする自己加速モデルへと進んだ。この構造は時間を「進歩として消費する」運用を内包し、医療・保険・法制度における死の制度化も含め、文明全体を一つのコード化された運用体系へとまとめ上げた。一方で、本書はこの外部参照文明が示し始めた限界を、AI・アルゴリズム、評価経済、最大化モデルの事例を通じて観測する。特定の国や主体を断定的に批評することはせず、制度の集中点や指標の変化を事実として並置する。後半では、日本を中心に、進歩時間モデルが低速化・停止した社会の記録が提示される。2016年以降の制度運用を通じ、成長を前提としない日常が例外ではなく定常として成立している状況が観測される。この状態は理念的選択の結果ではなく、非選択の積み重ねとして現れたものである。本書の結語は明確である。文明の崩壊も革命も起きていない。ただ、運用が静かに変わった。本書は答えや指針を与えず、読者に判断ではなく照合を残す。文明はすでに日常として移行しており、本書はその過程を記録したにすぎない。

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