『グーテンベルク21、11~20冊(文芸・小説、実用)』の電子書籍一覧
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試験管内受精プラス「ボカノフスキー処理」によるガンマー、デルタ、イプシロン階級の創出、すべての階級に向けての厳密な条件反射学習と睡眠学習による行動と思考の動機づけ、家庭・一夫一婦制の廃止にともなう完全なフリーセックスの実現……その究極の目的は「共有・同一・安定」をモットーとする社会の建設であり、それはフォード紀元元年に開始された! SF史上に燦然と輝く古典であり、奇想と機知を縦横に駆使して描かれた「暗いユートピア」は、笑ってしまえる喜劇的未来記でもある。
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サハリン旅行後メリホヴォ村に落ち着いたチェーホフは、「六号室」にはじまる円熟期の多くの傑作を書いた。本巻に収めた「箱に入った男」「すぐり」「恋について」の連作を含む5編はこの時期の最後のもの(1898年、作者38歳)。肺を病んだ作者は翌年、クリミヤ半島のヤルタに転地、「可愛い女」「犬を連れた奥さん」の晩年の傑作はここで生まれた。
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ゴシック・ロマンと呼ばれる「恐怖・怪奇・幻想」小説の元祖。「昨年六月のある朝、私はある夢から目を醒まして、その夢について思い出せるのはどこかの古い城の中にいるように思ったこと、そして大きな階段の一番上の手すりの上に、具足をまとったとてつもなく大きな手が片方載っているのが見えた、ということだけ。そしてその日の夕方私は机に向かって、自分が何を言いたいのか、何を語ろうとしているのかまるで判らぬままに筆をとって書き始めたのです」…これがこの作品の成り立ちである。この一作によって、ゴシック小説は誕生した。
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メアリー・ポビンズというのは、バンクスさんの家にやってきた育児係の女の人です。しかし、それが、ただの人ではないのです、メアリー・ポピンズは、ある日、東風にのってやってくるのです。そして、メアリーのいくところ、さまざまのふしぎなことが、まきおこります。けれど、その秘密を知っているのは、子どもだけなのです。おとなには、メアリー・ポピンズの魔法つかいのような力を見ぬく目がないのですから。ディズニーのミュージカル映画でも知られるファンタジーの傑作。
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1815年10月、ディーニュのミリエル司教の司教館を、46歳の男ジャン・ヴァルジャンが訪れる。1斤のパンを盗んだ罪でトゥーロンの徒刑場で19年も服役していた。司教は温かく迎え入れる。だが、その夜、司教が大切にしていた銀食器を男は盗んでしまう。翌朝、男を捕らえた憲兵に対して司教は「食器は私が与えた」と言い、残りの銀の燭台も差し出す。男の魂は司教の信念に打ち砕かれる。4年後、男はモントルイユ=シュル=メールで別名を名乗り、工場を営んで成功し、市長になっていた。その工場では、ファンティーヌという女性が働いていた。彼女は、3歳になる娘コゼットをモンフェルメイユのテナルディエ夫妻に預けていた。彼女は父無し子がいることを知られ、解雇された。その後、貧困のため前歯までも売ったファンティーヌは、あるきっかけでジャンに救われる。彼は、コゼットを連れて帰ることを母親に約束する。テナルディエ夫妻は「養育費」と称して母親から金をせびり、大きな借金となっていた。だが、コゼットを迎えに行こうとした矢先、ジャンは、自分と間違えられて逮捕された男のことを警官ジャヴェールから聞かされる。彼はその男を救うことを優先、裁判所で自分の正体を明かす。ジャンはファンティーヌの病室でジャヴェールに逮捕され、ファンティーヌはショックで死んでしまう。
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マントリング邸にある《後家部屋》は、ひとりで過ごすと毒で死ぬとの伝説があり、開かずの間になっていた。そこをマントリング卿が60年ぶりに開けて実験することに。入るのはトランプによる抽籤でスペードのAを引いたベンダーだった。彼は夜の10時から2時間の約束で1人で入り、15分ごとに返事をする。ところが、ちゃんと返事をしていたのに、12時になっても出てこない。皆が部屋に入ってみると、どうも1時間前には毒で亡くなっていたらしい! 謎は解けぬまま、新たな犠牲者が――。作者が好きな「密室殺人劇」だが、毒の罠や処刑人サンソンの話など歴史的蘊蓄の披露もあり、時間的にも空間的にもスケールが広がってゆく展開と怪奇趣味を楽しめる。乱歩の好みの作品だった。
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アメリカを逃れてカナダの港町ヴァンクーバーにやってきた謎につつまれた若い美女。彼女につきまとうジゴロ、ホテルのペントハウスに住む独身紳士、殺人課警視。そして、彼女の部屋のバルコニーで発見された男の射殺体。悲劇的な女が投げこまれた華やかな、そして卑しい世界を、見事な台詞と小気味のいい展開で描いたフィルム・ノワールの逸品。ユニバーサル社の資料室から発掘された最終稿は、チャンドラー自らが「私が書いた映画脚本の中でも最高のひとつ」と自讃する。知られざる傑作!
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「シカゴ・ブルース」に続くエド・ハンター・シリーズ第2弾。エドとアム伯父の二人が身を寄せるサーカスで、身元不明の「こびと」の死体が見つかる。ついでチンパンジーの溺死体が見つかり、さらにダンスに才のある少年が死体となっているのが発見される。この3つの死の関係はなにか。旅興業を続ける中で、エドは踊り子に振り回されながら、事件の解明に奮闘する。
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鎌倉から南北朝にかけての激動の時代に書かれて「隠遁者の書」と称されるこの2書は、時代を越えて日本人の、あるいは日本文化の底流をなす思想をかたちづくっている。「徒然草」はその風刺性においてすぐれ、「方丈記」はその仏の道への徹底ぶりによって、現代のわれわれにも訴えかけるものがある。「つれづれなるままに~」「ゆく河の流れは絶えずして~」は、随想録の規範といってもよい。
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ジャンは、バリケードが陥落する寸前、負傷したマリウスを背負い、下水道を通って脱出した。しかし下水道の出口で、テナルディエを追って来たジャヴェールに見つかった。だがジャヴェールは、彼の内部の何ものかの命令によって、ジャンを許さざるをえなくなり、いっほう、官憲としての義務への背馳にも責められてセーヌの早瀬に身を投げる。ジャンはコゼッ卜に六万フランの持参金をつけてやり、彼女とマリウスとは結婚した。うしろ暗い過去をもつジャンは自分が徒刑囚であり官憲に追われていることをマリウスに告白するが、何も知らないマリウスはコゼットをジャンから遠ざけた。ジャンは、ただ一人で暮らし、孤独のあまり衰弱していった。死の直前、すべてを知ったマリウスは、コゼッ卜とともに恩人のところへ行き、許しを請うた。ジャン・ヴァルジャンは、若い夫婦の愛を祝福しながら、天を仰いで永遠の眠りについたのであった。
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物語はここから横道にそれ、ナポレオンとワーテルローの戦いの詳細が展開される。その後、物語は元にもどる。ジャンは終身刑の判決を受け、トゥーロンの徒刑場へ送られたが、通算5度目となる脱獄を図って成功する。1823年のクリスマス・イヴの夜、ファンティーヌとの約束を果たすべくモンフェルメイユにやって来たジャンは、村はずれの泉でコゼットに出会う。8歳のコゼットはテナルディエ夫妻の営む宿屋で働かされ、虐待されていた。ジャンはテナルディエの要求どおりの大金を払い、コゼットの身許を引き受ける。ジャンはコゼットを連れてパリへ逃亡するが、そこにもジャヴェールの手が迫る。逃げ込んだ先は、フォーシュルヴァン爺さんが働く修道院だった。ふたりは修道院で暮らし始める。コゼットはジャンを父として慕い、ジャン自身もコゼットを娘として、まごころからの愛を注ぎ続ける。
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フォーシュルヴァンの没後、パリのプリュメ通りにある邸宅に落ち着いたジャンとコゼットは、散歩で若者マリユスに出逢う。彼は共和派の秘密結社「ABC(ア・ベ・セ)の友」に所属する貧乏な学生だ。コゼットを預かっていたテナルディエは、ワーテルローの戦場で盗みを働いていたとき、求めずして一人の大佐を救ったが、その息子がマリウスで、王党派でナポレオンぎらいの祖父の家を離れ、アパルトマンで苦学していた。コゼットとマリウスのあいだに芽ばえた恋は、ジャンを悩ませた。マリウスを刑事と思い込んだジャンは、コゼッ卜とともにふたたび隠れ家を去る。コゼッ卜を見失ったマリウスは絶望してしまう。だが時の暴動に参加したマリウスはバリケードに入り、偶然に知ったコゼッ卜の居所へ遺書を送る。それを見たジャンはバリケードへ行くが、そこで密偵として縛られているジャヴェールを見いだし、彼を解き放ってやる。
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ある日、2隻の宇宙船が南太平洋上に墜落した。片方に乗っていたのは捜査官であり、もう片方には、《彼が》追跡する犯罪者が乗っていた。だが、どちらも人間ではなく、高度な知性と感覚をもった、ゼリー状の半液体生物、いわばウイルスのような存在だった。彼らは宿主なしには生きられない生物だった。地球上での困難な追跡劇が始まる。生涯、「異生物」を追究したハードSF作家ハル・クレメントの名作。彼は1920年生まれでハーバード大で天文学を専攻、ボストン大で教育学の修士号をとった。物理の教師を勤めるかたわら、余暇にSFを書いた。
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高速に回転しているため、赤道付近は3Gの重力なのに、北極と南極では700Gになっている大惑星メスクリン。その極地付近で行方不明になった無人ロケットを探すため、地球人はメスクリン人と共同で探査をおこなう。液化メタンの海とアンモニアの雪におおわれた環境のなかで暮らすメスクリン人は体長40センチ、36本足のムカデのような異星人だが、なぜか人類とコミュニケーションを保つことができる。だが、メスクリン人には、どんな思惑があったのか。ハル・クレメントは「異生物」テーマ専門の作家で、本作は異生物テーマのハードSFの傑作だ。
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南北戦争時代に、サーカスから逃げてきた12歳のベン少年は、ライラックの木の下にあるモス未亡人とバブとベティ姉妹の家にかくまわれる。隣家にはシリア嬢とその弟である病弱なソーニが越してきて、やがて互いに親しくなり、交際がはじまる。さまざまな小さな事件が相継いで起き、それらを解決していくなかで、ベンはいつの間にか大きく成長していく。オールコットの作品は、「若草物語」「八人のいとこ」「花ひらくローズ」が弊社電子書籍で楽しめる。
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エド・ハンター・シリーズ第3弾。首尾よく伯父の勤める探偵社に就職したエドは、女性実業家の依頼で、彼女の親代わりだった老発明家に会い彼の発明について訊くことになった。だが、惑星からの送信という発明家のおかしな話にぶつかり、帰途の路上でのどを噛み切られている死体に遭遇する。しかも、死体は忽然と消え失せる。これに終わらず、惑星からの送信を受けた男も、助手もろとも死をとげる。これらはみな「狼男」の仕業なのか。巻頭から真相の究明まで読者を飽きさせない鬼才の手腕。
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「イタリアの薄明」に続くロレンスの旅行記。サルデーニャは、コルシカ島のすぐ南にある四国くらいの島だが、地理的要因もあって、古代から現代まで、その歴史は実にさまざまな影響を受けた。だが、その文化の根幹をなすものは、やはり独自なものといえる。ロレンスの訪れた二十世紀初頭のサルデーニャは、一般にヨーロッパの辺境と見なされていた。彼はその南部の、最も辺境の色濃い山地を選び、移動のおもな手段を鉄道にして旅をした。目指したのは名所でも旧跡でもなく探検でもなく、土地の人々との小さな出会いであった。愉快なエピソードに満ち、それが最もよく反映された魅力あふれる旅行記が本書である。
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ヴェルヌの「驚異の旅」は1863年の「気球旅行」でスタートし、「地底」「月世界」と続いたが、本書は67年刊で、「グラント船長」や「海底二万リーグ」より前であった。本書の訳者は「これほど面白い作品がどうして邦訳されていないのか」と述べる。冒頭から、帆船フォワード号を取り巻く謎で、読者の心を掴む。その行先は分からず、船長は姿を現わさず何者であるかも分からない。同号は船長からの秘密の指令によって北極へ向かう。ついに姿を現わした船長は北極征服熱一色に染め上げられた誇り高きイギリス人であった。この人物は単一の情熱に支配され、目標に向かって邁進する。極北の酷寒、乗務員の反乱、未踏の地の不確実性との戦いに、冒険心と知識欲に駆られたハテラスの勇気と決意は微塵ともしない。推理小説と冒険小説が渾然一体となった傑作。
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井原西鶴の処女作であり、当時のベストセラーになった出世作。好色一代男とは、色道の探求に生涯を賭けて悔いなき男という意味だ。その主人公である一代男こと世之介は、巨万の富を擁する上方町人の二世として生まれ、七歳にして恋を知り、六十歳には女護島遠征に船出したまま行方知れずになるが、それまでの五四年間を、一年を一章にする構成で五四章にまとめた好色一代記である。世之介は地方も含めてさまざまな場所に出向き、さまざまな遍歴をするが、主要な舞台は公許の廓(くるわ)で、粋(すい)という「遊興の美学」を描くことが西鶴の意図であった。巻末には西鶴全集の翻訳で知られる暉峻康隆氏による「解説」を収めた。なお「プライム」とは「グリンプス」とは異なり、古典のほぼ全巻の現代語訳を言う。
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「本書はロレンスの最も美しい散文であり、またロレンスの思想を知るためにも最も重要な中身を含んでいる。《山越えの十字架像》はロレンスがいかにキリスト教的な神秘主義者であったかをよく啓示しているし、《紡ぐ女と修道僧》にはロマン主義的な絶対の世界の認識がよく出ている。また《レモン園》では特にその思想が強調されている」(西脇順三郎)。本書の中身はすべて、ロレンスが1921年の9月から翌年の4月まで恋人のフリーダ夫人とガルダ湖畔に滞在した時代に書かれた。ロレンスは『イタリアの薄明』『海とサルデーニャ』『メキシコの朝』『エトルリア遺跡』の4つの紀行を残した。これらをすべて最初に全訳したのが鈴木新一郎氏で、今回の電子書籍版はその復刊となる。
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本書は、アメリカのR・A・ハインラインと並び、1950年代のSF界を席巻したイギリスのアーサー・C・クラークの最初期の長編だ。数億年先の未来、銀河帝国はほろび、かつて宇宙に雄飛した人類は、砂漠同然と化した地球の一角にかじりついて、暮らしていた。そのとき好奇心に駆り立てられた少年アルビンは、町を脱出し、他の知性体を求めて宇宙へ旅立つ。そして「七つの太陽」で出会った純粋知性体によって人類の歴史が明らかにされ、地球はふたたびその生命をとりもどす。宇宙への冒険とそこにある謎を解き明かすクラークの面目躍如の一編。なお、クラークの処女作は短編「太陽系最後の日」(1946)で、弊社刊「往年のSF短編傑作①」に収録されている。
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同じ作者式亭三馬による「浮世風呂」の姉妹編で、江戸滑稽本の代表作の一つ。「浮世風呂」に出る風呂屋の隣にある「浮世床」は江戸庶民の社交クラブともいうべき場所で、そこにあつまるひとびとの生態を精密にして軽妙な会話によってえがきだしている。床の主人鬢(びん)五郎、その女房、下剃りの留吉(とめきち)が店をかまえるなかに、楽隠居、素読の先生、上方者、籠舁き、櫛屋、居候の飛助などが、つぎつぎに顔を出す。てんでに勝手なことを言い、小さな喧嘩が起こるかと思うと談論風発、すぐまた新しい客と入れ替わる。三馬は3編を出す予定だったが果たせず、巻三は瀧亭鯉丈が書いた。本書はその初編部の完訳である。三馬は古本屋を開くなどしたあと、19歳で処女作の黄表紙を発表。34歳で代表作『浮世風呂』を発表した。一方、自家販売の化粧水「江戸の水」を売るなど商才にも長けていた。
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ロレンスの紀行第四弾。1927年、ロレンスはエトルリアの遺跡を経めぐった。画家・作家であり、仏教に興味を抱く研究者でロレンスの大の友人となった米国人アール・ブリュースターが一緒だった。そのときの紀行文がまとめて出版されたのは1932年で、ロレンスの死後だった。以前から興味を持っていたエトルリア各地のの装飾壁画と古代宗教に触発されて、ロレンスの想像力は躍動し、生命への深い信頼と肯定を歌いあげる。
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つましく身を立てていたアン・デイはいつの間にか38になっていたが、願ってもない家政婦という職を得てグリンズミード家に入った。だが一見平和な家庭には思わぬ陰があった。病弱な妻は話のとおりだったが、夫には秘密の愛人があったのだ。典型的な三角関係が引き起こす不気味な雰囲気のなかで、若い家政婦アンは、夫婦間の微妙な空気を感じ、夫人の身を案じるが…アリバイ・トリックの巨匠クロフツが、趣向を変えて、密室トリックを創案した。一つは心理的、もう一つは物理的ともいえるトリックで、この二つが有機的に関連する殺人事件の謎に挑戦する。
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古代ローマ皇帝ネロン(ネロ)を主題とした政治悲劇で、ラシーヌの代表作の一つ。宮廷は悪の殿堂ともいえ、ネロンをはじめとする怪物たちの野心に満ちた闘争と、そのなかにまぎれ込んだ無力な被害者の受難によって、この戯曲は成立する。ネロンの妻アグリピーヌも敗れ去りはするが怪物的である。最後に殺害される若いブリタニキュスは、無能といわれてもおかしくはない。悲劇の主人公は彼であろうが、怪物たちも一人残らず、悲劇をまぬがれない。訳者は三島由紀夫氏による台本化にあたっての援助を多としている。
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ヴェルヌの「驚異の旅」は1863年の「気球旅行」でスタートし、「地底」「月世界」と続いたが、本書は67年刊で、「グラント船長」や「海底二万リーグ」より前であった。本書の訳者は「これほど面白い作品がどうして邦訳されていないのか」と述べる。冒頭から、帆船フォワード号を取り巻く謎で、読者の心を掴む。その行先は分からず、船長は姿を現わさず何者であるかも分からない。同号は船長からの秘密の指令によって北極へ向かう。ついに姿を現わした船長は北極征服熱一色に染め上げられた誇り高きイギリス人であった。この人物は単一の情熱に支配され、目標に向かって邁進する。極北の酷寒、乗務員の反乱、未踏の地の不確実性との戦いに、冒険心と知識欲に駆られたハテラスの勇気と決意は微塵ともしない。推理小説と冒険小説が渾然一体となった傑作。
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ラルフは良家の令嬢マグダと婚約したばかりだが、気がかりなことがあった。恋仲になり別荘まで買ってやった娼婦ローズの存在だ。ローズが結婚の障害になることを心配した彼は、関係を穏便に清算するため、弁護士カーチスに頼んでブーローニュの別荘に出かけた。だが、ローズはベッドの上で、動脈に達するほどの傷を負って死んでいた。しかも部屋には4種類の凶器になりうるものが存在していた! いったいどういうことが起こったのか。奇怪な事件の謎にいどむ探偵バンコランが、持ち前のウィットとユーモアを見せて活躍する最後の長編。
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副題にあるとおり、本作品では、明治、大正期の傑出した日本の短編小説二十三編を発表された順に選んだ。最初の二葉亭四迷の「あいびき」が明治二十一年(一八八八)、最後の芥川龍之介の「玄鶴山房」が昭和二年(一九二七)だから、この間三十九年である。四迷、漱石、鴎外、露伴、一葉、独歩、鏡花、藤村、荷風、潤一郎、直哉、菊池寛、有島武郎、佐藤春夫、横光利一、梶井基次郎、葉山嘉樹まで、十八人の作家を選んでいる。巻末には編者による簡単な解題がある。
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SFのアンソロジーは各種あるが、本アンソロジーで「往年の」とうたっているのは一般にSFの黄金時代といわれる一九三〇年代後半から五〇年代末くらいを指している。ハミルトン、ヴォークト、アシモフ、ハインライン、ラインスターに始まり、ブラッドベリ、スタージョン、シマック、アーサー・C・クラーク、ベスター、マシスン、アンダースン、ディックという流れである。六〇年代初めにはいわゆるニューウェーブ時代が始まる。本巻収録作は、「フェッセンデンの宇宙(ハミルトン)」「犬の散歩も引受けます(ハインライン)」「死都(ラインスター)」「遥かなるケンタウルス(ヴォークト)」「AL七六号失踪す(アシモフ)」「時を超えて(ハインライン)」「太陽系最後の日(アーサー・C・クラーク)」「闘技場(フレドリック・ブラウン)」ほか12編である。
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チェッリーニはフィレンツェ生まれの彫金師、金と銀と大理石とブロンズに鑿(のみ)を揮うことが本業だった。当時はルネサンスの後期にあたり、動乱の時期でもあったが、権謀渦巻くなかにあってみずからの野心に忠実にしたがってよくその目的を実現した希代の人物だった。そうした彼が、鑿を言葉に換えて、自我像の彫刻として仕上げたのがこの自伝である。自伝と称するものは数多くあるが、この「自伝」ほど面白い作品はまたとないといわれ、この書が十八世紀になって初めて公刊されたとき、ゲーテは感激の余りその翻訳を思い立ち、ルソーは彼の「告白」を書くべく暗示されたという。本書は上下二巻より成り、上巻は出生よりサンタンジェロ防衛戦におよぶ。金細工やデッサンの徒弟、遍歴、ローマ定住に及び、この町では天才を認められ、交友と礼讃者も多く、最も得意の時期である。下巻はフランスのパリと故郷フィレンツェを中心として、当時芸術家が本来の面目とするところの大型の彫像を専らとし、大家をもって自他ともに許した。だが、ライバルの執念深い妨害、法王やメディチ家との駆け引き、戦争や地下牢への投獄に苦しんだ時期でもあった。
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この作品はエラリー・クイーンがみずから編纂した最初の短編集で、一九三四年に刊行された。すでに「国名シリーズ」も区切りがつき、4編連作の「ドルリー・レーン悲劇シリーズ」も終わり、圧倒的な人気を博していた時期の発表で、それまでに書いていた短編の中から自信をもってまとめた11編の作品からなる。クイーンは深い造詣を生かして一九五〇年に「クイーンズ・クォラム」というタイトルで推理短編集106点を選んだが、そのうちの90番目に本短編集を収めている。つまり、それほどの自信作というわけである。
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チェッリーニはフィレンツェ生まれの彫金師、金と銀と大理石とブロンズに鑿(のみ)を揮うことが本業だった。当時はルネサンスの後期にあたり、動乱の時期でもあったが、権謀渦巻くなかにあってみずからの野心に忠実にしたがってよくその目的を実現した希代の人物だった。そうした彼が、鑿を言葉に換えて、自我像の彫刻として仕上げたのがこの自伝である。自伝と称するものは数多くあるが、この「自伝」ほど面白い作品はまたとないといわれ、この書が十八世紀になって初めて公刊されたとき、ゲーテは感激の余りその翻訳を思い立ち、ルソーは彼の「告白」を書くべく暗示されたという。本書は上下二巻より成り、上巻は出生よりサンタンジェロ防衛戦におよぶ。金細工やデッサンの徒弟、遍歴、ローマ定住に及び、この町では天才を認められ、交友と礼讃者も多く、最も得意の時期である。下巻はフランスのパリと故郷フィレンツェを中心として、当時芸術家が本来の面目とするところの大型の彫像を専らとし、大家をもって自他ともに許した。だが、ライバルの執念深い妨害、法王やメディチ家との駆け引き、戦争や地下牢への投獄に苦しんだ時期でもあった。
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パリは売笑婦に似ている。遠くから見ると、男の魂をとろかすようであり、彼女を両腕に抱きしめるまで待ちきれぬほどだ。しかも、五分後には空虚感を味わい、自己嫌悪をおぼえる。だまされた思いだ。ぼくはポケットに金を持ってパリへ戻った――ぼくが汽車へ乗りこもうとしたとき、コリンズがポケットへ押しこんでくれたのである。これだけあれば、部屋代を払い、すくなくとも一週間は、うまい食事をまかなうのに十分だ。これだけの大金は、ここ何年かのあいだ一どきに握ったことがなかった。ぼくは、まるで新しい生活が眼の前に開けたかのように、昂然たる思いを味わった。…パリでの奔放な放浪生活と、その間の回想と思弁とが脈絡もなく展開される「プロットなき小説」!
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「冒険」が人気を博したのを受けて一九四〇年に刊行された短編集で、ここには9点の作品が収められている。なかでも最高の傑作は巻頭の「神の灯」という中編で、もとはディテクティブ・マガジンに一九三五年に発表され、そのあと本短編集に収められた。最後の4編は野球、競馬、ボクシング、フットボールと、スポーツがからむ殺人事件を扱っていて興味をそそる。
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薬局の店員ジェームズ・タラントは野心家で、胃の薬をめぐる詐欺じみた行為によって、希代の成功者に成りあがった。だがことは思惑どおりには運ばず、行く手には死が待ち受けていた。犯人とみられる女性はあっけなく逮補され、いまや絞首刑の寸前にあった。だが、フレンチ警部は捜査の結果に不満だった。事実の連鎖に疑問があり、肝心のところが腑に落ちなかった。難事件であった。作者クロフツは本作で初めて法廷論争を展開する
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SF短編傑作集第2巻には以下の作品を収めた。短編というより中編と言うべき「時の門(ハインライン)」のほか、「考える葦(ラインスター)」「睡魔(ブラッドベリ)」「対象(ブラッドベリ)」「雪鳴と薔薇(スタージョン)」「トラブル・パイル(カットナー)」「前哨戦(シマック)」「親しき友へ(ヴォークト)」「エラー(アーサー・C・クラーク)」「接触汚染(キャサリン・マクレイン)」の10編である。
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英仏海峡航路の汽船がドーバー海峡をフランスに向かう途中、漂流する一隻のヨットを見かけて停船した。調べてみるとヨットには、ふたりの男の死体と多量の血痕があった。ヨットは、その日倒産したモクスン証券会社の社長の船であり、死体は社長と副社長だった。会社の金庫からは百五十万ポンドの現金が紛失していることも、重役らが行方知れずになっていることも判明した。犯人は広い海のまん中で、こつぜんと姿を消していた。フレンチ警部の捜査は、次から次へと行き詰まり、事件は迷宮入りかと思われたが……。
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SF短編傑作集第3巻には以下の作品を収めた。「もののかたち(ブラッドベリ)}「いつの日か還る(ロジャー・ディー)」「祈り(ベスター)」「観光案内(タッカー)」「モンスター誕生(マティスン)」「サリイはわが恋人(アシモフ)」「操作規則(シェクリー)」「くたばれ スネイクス!(アンダースン&ディクスン)」「過去へ来た男(アンダースン)」「探検隊はおれたちだ(フィリップ・K・ディック)」の10編である。
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文弥は芝片門前(かたもんぜん)に住む貧しい按摩。三歳のとき姉が石の上にとりおとしたのがもとで、両眼失明した。父の小兵衛は悪事三昧、家にも寄りつかない。老母おりくや姉の賃仕事と若い文弥の腕では、妹おいちと四人の暮らしがせいぜいで、座頭(ざとう)の官位を取るに必要な百五十両という大金など思いもよらない。――自分の過失ゆえと日ごろ心を痛めていたおきくは、ついにだまって吉原へ身売りし、百両の金をととのえる。あとの五十両は京都の師匠が貸してくれるだろう。――文弥は姉の真心に泣き、ひとり都へ上る。いっぽう、伊丹屋十兵衛は恩ある主君のため何としても百両を返さねばならない事情があって、旧知をたよって、はるばる京都へ行ったが、その人はもうこの世になかった。思案にくれてむなしく帰る道すがら……東海道を下る十兵衛と、上る文弥は、駿(すん)州鞠子(まりこ)の旅籠(はたご)で運命の糸に導かれるように出会う。黙阿弥「世話物」の傑作。
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鎌倉極楽寺の僧清心は、女郎十六夜となじむが、女犯の罪に問われて追放される。そして、廓をぬけ出してきた十六夜と会い、自分の子を宿したと聞いて入水心中をはかる。が、十六夜は、俳諧師白蓮(はくれん)の白魚船に救われる。いっぽう清心は、漁師の息子のため死にきれない。と、おりから聞こえる遊山舟のさんざめき。自殺の決心がにぶった清心は、通りかかった寺小姓を、十六夜の弟とは知らず、金ゆえに殺してしまう。そしてたちまち悪心に変じ、名も「鬼薊清吉(おにあざみせいきち)」となって悪事を重ねる。「今日十六夜が身を投げたも、またこの若衆の金を取り、殺したことを知ったのは、お月様とおればかり、人間わずか五十年……これから夜盗家尻《やとうやじり》切り、人の物はわが物と、栄耀栄華をするのが徳、こいつあめったに死なれぬわえ」当時の実説を詩情をこめて劇化した幕末白浪物の傑作。
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「四十歳になって、突然私は女たちを理解したいという欲求に駆られた。そのときまで、私は小説のなかで女を、男の登場人物の単なる相手役にすぎないような扱い方をしていた。しかし、実のところ、私は一種類の女しか知らなかったのだ。急に、他の女たちとも出会いたいと思った……デニーズと出会ってから、私は以前とおなじ目線で女と愛をもはや見られなくなった」これはシムノンの告白で、デニーズとは彼がニューヨークで出会った女であり、本作はその時を綴った自伝的小説と見られている。
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アリバイ破りの名手ロンドン警視庁のフレンチ警部は、丹念に緻密に足を使う捜査で有名で「足の探偵」の異名をもつ。彼はクロフツの多くの重厚な長編で活躍するが、気の利いた多くの短編でもその片鱗をみせる。ここにまとめた2巻によってその全容が判明する。本巻には「床板上の殺人」「上げ潮」「自署」「シャンピニオン・パイ」以下21編を収めた。
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