特集 今、何が問題か
われわれは絶え間なく「問題」について語っている。
少し考えてみても東日本大震災からの復興、原子力とエネルギー、
雇用や財政、TPP参加の是非といった具合に、
およそ「問題」には事欠くことがない。
だが、一〇年、二〇年はもちろん
一年もするとすっかり忘れ去られてしまった「問題」も数多い。
「今」という時の重みは小さくなり、
「問題」も大量に生産され大量に消費されている。
『アステイオン』は創刊以来の四半世紀、本質的な「問題」を正面から語り、
時代の大きな流れの中で「今」を問う試みを続けてきた。
この基本的な姿勢にはいささかの変更もないが、
新しい編集体制で臨んだ本号の特集では、
各編集委員が「今、何が問題か」について自問することで、
われわれの知的姿勢を改めて明らかにしておきたい。
あえて時間的にも地域的にも限定を設けず、
それぞれ専門を異にする編集委員が「今」と「問題」を自由に語った論考から、
何が見えてくるだろうか。
現代の諸問題を「鋭く感じ、柔らかく考える」本誌の挑戦に対する
読者諸氏のかわらぬご支援を期待しつつ、
リニューアル後の最初の特集をお届けしたい。
特集「中華の深化、中華の拡散」
「一つの中国」はなお実現せず、「中国の夢」はなお「夢」のまま。内にいだく「夢」の正体は何なのか。外からみた「夢」の実体は何なのか。長い「中華」の歴史で、現在はいかなる地点にあるのか。中国を囲繞する世界から、「中華」がいかに見えるのかをあらためて探ってみることで、東アジアの現在を考える。
■特集■
岡本隆司(京都府立大学文学部教授)/森万佑子(東京女子大学現代教養学部准教授)/野嶋剛(ジャーナリスト、大東文化大学社会学部教授)/倉田徹(立教大学法学部教授)/石田徹(島根県立大学 国際関係学部准教授)/ティネッロ・マルコ(神奈川大学国際日本学部准教授)/小林亮介(九州大学 比較社会文化研究院准教授)/熊倉潤(法政大学法学部准教授)/牧野元紀(昭和女子大学 人間文化学部准教授)/小長谷有紀(国立民族学博物館 人類文明誌研究部客員教授)/田所昌幸(国際大学特任教授)
■論考■
相良祥之(アジア・パシフィック・イニシアティブ主任研究員)
他
1,047円〜1,100円(税込)
特集「可能性としての未来――100年後の日本」
100年前の1920年(大正9年)、ジャーナリスト三宅雪嶺は主宰する雑誌『日本及日本人』で「百年後の日本」を特集した。島崎藤村、宮崎滔天、菊池寛、室生犀星、山川菊栄ほか、学者、教育者、政治家、文学者、ジャーナリスト、官僚、軍人、労働運動家、宗教関係者など300人を超す人々が原稿を寄せ、100年後の日本について論じた。
『日本及日本人』から100年後の今、本特集で改めて100年後を予測することで、現在を生きる我々が未来を創る活力の糧としたい。
特集:世界を覆う「まだら状の秩序」
現在の世界秩序を何と呼べばいいのだろうか? 自由主義とイスラーム主義といったイデオロギーによる断裂の線は、地理的な境界を持たず、中東でもアフリカでも、欧米の国々でも、社会の内側に走っている。個々人も、慣れ親しんだ自由を享受せずにはいられないにもかかわらず、他方で強い指導者に難問を委ね、即断即決の強権発動で解決してもらおうという心性に、知らずのうちに侵食されている。ここに「まだら」な状態が生じてくる。グローバルな条件が可能にする、グローバルな危機の震源は、「まだら」な世界地図のひとつひとつの斑点のように、世界各地に、究極的にはわれわれ一人ひとりの内側に点在している。「まだら状の秩序」を凝視する作業によって変化の片鱗を見出そうとしていたわれわれの営為は、今後どのように見えてくるのか。
責任編集:池内恵(東京大学先端科学技術研究センター教授)
特集 新しい「アメリカの世紀」?
「アメリカの世紀」とは、単にアメリカが超大国としての地位を占める状態が続くことを指すのではなく、アメリカの社会文化的な魅力に世界の人々が惹きつけられる状態が続くことも指していた。自由で開放的な社会、個人の多様性や努力を重んじその成果を率直に評価する文化、ときにお節介と嫌われつつ正しいと信じることを国内でも世界でも実現させようとする情熱は、アメリカの経済力や軍事力と並んで、あるいはそれ以上に「アメリカの世紀」を支えてきた。
現代の日本を生きる私たちもまた「アメリカの世紀」に育ち、生きてきた。しかし近年、激しく深刻な党派対立、格差とその固定化、内向きな自国第一主義の台頭など「アメリカの世紀」を支えてきた諸要因は、急激に変化しつつある。「アメリカの世紀」がどのような要素から成り立ち、今後どうなっていくのか。
責任編集:待鳥聡史(京都大学大学院法学研究科教授)
特集:再び「今、何が問題か」
2012年5月発行の『アステイオン』76号では、
「今、何が問題か」を特集テーマに、新たに発足した
編集委員会のメンバー全員が論考を寄せた。
「今」とはいつなのか、「問題」とは何を意味するのかに
ついての了解も共有せずに、各自がそれぞれの問題意識を
のびのびと語ることで、アステイオンの新体制を担う
委員を読者に紹介する意味もあった。
ほぼ10年たった今。編集委員会を再編成したのを
機会に、再び「今、何が問題か」を新旧の編集委員の
全員が語ることにした。これによって新委員を読者に
紹介するとともに、改めて「今」を問いたい。
【特集】アカデミック・ジャーナリズム
かつて自在に相互乗り入れができたアカデミズムとジャーナリズムは、それぞれの発展とともに分化し、分断を深めてきた。両者を仲立ちしつつ刷新する「アカデミック・ジャーナリズム」を、激変する情報社会環境の中でいかに維持・発展させてゆくか。
<特集>東 浩紀/大治朋子 /下山 進 /渡辺一史 /小川さやか/武田 徹 /芹沢一也/山本昭宏/大内悟史/小林佑基/鈴木英生/田所昌幸/開沼 博
<論考>手塚宏之/大塚 淳 /佐藤卓己
<写真で読む研究レポート>榎本泰子 /伊藤亜紗
<連載>張 競/五百旗頭 真
付与コインの内訳
485コイン
会員ランク(今月ランクなし)
1%
初回50%コイン還元 会員登録から30日以内の初回購入に限り、合計金額(税抜)から50%コイン還元適用
複数商品の購入で付与コイン数に変動があります。
会員ランクの付与率は購入処理完了時の会員ランクに基づきます。
そのため、現在表示中の付与率から変わる場合があります。
【クーポンの利用について】
クーポン適用後の金額(税抜)に対し初回50%コイン還元分のコインが付与されます。
詳しくは決済ページにてご確認ください。