タリム国の裕福なタグ家の末っ子タルボは、大人たちから子供扱いされ自由に遊びまわっていた。しかし幼なじみで貧しい家のキロが、自分より頼りにされているのを羨ましく思うのだった。そしてタルボは、将来自分の家に居場所が無いことに気付き、人間の価値に疑問を持ち始めた。ある日ラ・ムーの噂をきいたタルボは鳥人になる修業をしたいと思い立ち、家を飛び出し王宮のある町へ行く。タルボは町で知り合った老人の紹介により、下働きとしてネプトの船団に乗り込むことができた。いよいよラ・ムーを目指す旅が始まったのだ。同時にタルボの周辺には邪悪な影がつきまとい始めていた。何年か後タルボは、ラ・ムーの地を踏むことができるのだろうか。今、少年の夢を乗せて、船は荒海に向かって出港していった。
418円〜506円(税込)
聖地“ラ・ムー”は、大都市としての機能をそなえはじめ、ますます発展の様子を見せていた。だが、ここに、ひとつの問題がおこってきた。ラ・ムーの名家である、ピロロ家とトマピ家が、次第に反目しあうようになったのだ。そして人々は、それぞれの勢力下に入り庇護を求めるようになっていった。いままでひとつにまとまっていた人々の心が、ふたつに分裂しはじめたのだ。すでに、仲間同士の争いの心配さえあった。ラ・ムーは、大きな試練の時を迎えたのだ。
悪さの限りを尽くしていた少年トマも、心を入れかえたのか、いまでは立派な青年に成長していた。だが、黒いツルで編んだカゴを目にした日から、彼の心に再び魔の声が囁きかけるようになった。ある時、黒い声はラ・ムーの東山聖地にいる、聖ヨハムにあうことをすすめた……。邪悪な心に突き動かされるトマの行く末は――。悪の権化・有尾人(バルバル)は、再び活動をはじめるのか――。
互いに協調し合ってきた貴族と平民の亀裂が確実に進行していた。一方、王宮の内部では王位継承者をめぐって、さまざまな思惑が渦巻いていた。東山(カジマ)の介入などによってようやく決まった新しい王の下、牧畜の普及、交易の振興などによりラ・ムーは一挙に第二次開拓時代へ突入していった。そんな中、王の妻の出産が迫っていた。やがて生まれたのは、男子の“聖なる双生児”だった。
生後8か月になった双生児の王子、ドワタとドワワのうち兄のドワタが姿を消した――。 西都(サリサホリ)の事件を重くみた東山(カジマ)の聖宮殿(イムキーラ)から至急、ルカとコマが派遣された。事件追求の折、宰相であるペルデが自殺を遂げ、誘拐犯の首謀トマとの熾烈な戦いを繰り広げたのだった。そんな中、東山よりラ・ムーで最初の殺人者であるイカロが釈放され、翼をもった飛舟(キマダ)に乗り姿を晦ましたのだった……。
アムの王、カインは進歩的な性格を持っていた。王位につく以前から異国の文化に関心が強く、バラム家を中心とする自主交易を実現させていた。さらに、デギル騒動では双児の一子を失い、今も国外のどこかで生きているのではないかという疑いを捨て切れないでいた。そんな中、アレフロン寺の管長ルカがマテロ国(ヒロ)のカゲルという少年を連れてきた。王は少年に、バラム家(スト)の交易(クカイ)の隊列(ペルハラ)に加わって世界を見聞し、東山(カジマ)に諸国の知識をもたらすよう指示した。やがて、大船に約80人の念力(キマ)あるユレキたちと旅立った。アムと異国との交流が始まったのだった……。
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