[作品について] 愛知敬一が1923(大正12)年に書いたマイケル・ファラデーの伝記である。 マイケル・ファラデー(1791年9月22日生、1867年8月25日没)は19世紀に活躍したイギリスの科学者だ。化学や電磁気学の実験で数多くの物質や現象を発見し、現代に続く科学技術文明の基礎を築いた。たとえば、ベンゼンやイソブテン、いろいろな電気分解、そして現代の身の回りのほとんど総ての電気製品の動作原理の中枢である電磁気誘導などが、ファラデーの発見である。 また数々の優れた先見的な概念を提唱した。「場」の概念は、マックスウェルの電磁気学で定式化され、アインシュタインの相対性理論へと続く。電気力と磁力の統一を成し遂げ、さらに重力の統合を目指し、これは成し遂げられなかったが、現代に続く「大統一場理論」のそもそもの問題提起をしたのもファラデーである。 さらに、『ロウソクの科学』という本でも有名なように科学思想の啓蒙にも大きな貢献を残した。その生い立ちや生き方のユニークさからも、きわめて興味深い大科学者である。 愛知敬一(1880年生、1923年没)は東北大学の創設者の一人、物理学の教授で、アインシュタインが訪日したときには通訳を務めている。(松本吉彦)[文字遣い種別]新字新仮名
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