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『中公新書、1円~(新書)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全1319件

  • 非日常的な空間である聖地―。観光地として名高い聖地には、信仰心とは無縁の人々が数多く足を運んでいる。さらに近年では、宗教と直接関係のない場も聖地と呼ばれ、関心を集めている。人は何を求めて、そこへ向かうのか?それは、どのような意味を持つのか?サンティアゴ巡礼や四国遍路、B級観光地、パワースポット、アニメの舞台など、多様な事例から21世紀の新たな宗教観や信仰のあり方が見えてくる。
  • 5世紀以前、複数の王族集団から適格者が即位していた大王。だが6世紀初頭、北陸からヤマト王権の有力豪族の招聘によって、王権との血縁が不確かな継体天皇が即位する。彼はどのような背景を持ち、なぜ即位できたのか。あるいは新王朝だったのか――。
     王位継承後、朝鮮半島の新羅、九州の国造磐井など敵対勢力と向き合い、反乱を収め権威を確立していく。血統重視の世襲による天皇家を創った「始祖王」継体天皇と、6世紀の倭の実態を描く。
  • 陰湿、粗暴、狂信的……と語られてきた大日本帝国陸軍。
    しかし実際には、建軍当初から、国際的視野を持つ開明的な将校などは多く存在していた。一九四五年の解体までの七十余年で、何が変化したのか――。
    本書は、日露戦争勝利の栄光、大正デモクラシーと軍縮、激しい派閥抗争、急速な政治化の果ての破滅まで、軍と社会が影響を与え合った軌跡を描く。
    陸軍という組織を通し、日本の政軍関係を照らす、もう一つの近現代史。


    目次
    はしがき
    第1章 栄光からの転落
    第2章 第一次世界大戦の衝撃
    第3章 ポスト大戦型陸軍への挑戦
    第4章 「大正陸軍」の隘路
    第5章 「昭和陸軍」への変貌
    第6章 陸軍派閥抗争
    第7章 政治干渉の時代
    第8章 日中戦争から対米開戦へ
    終 章 歴史と誤り
    あとがき
    主要参考文献
    関連年表
  • 結婚のあり方が大きく揺らいでいる。離婚・再婚、選択的夫婦別姓、共同親権、同性婚、パートナーシップ、事実婚、生殖補助医療、養子縁組……。リベラル派と保守派に分断され、個々の論点についてすれ違う議論がなされがちななか、本書では共同性、性愛関係、親子関係の3点で議論を整理し、一貫した視点から本質とこれからを見通す。結婚をめぐる自由化がもたらす「しんどさ」も指摘する。本質を知りたい人のための羅針盤。

    はじめに――議論の見通しをよくするために

    1章 結婚のない社会?
    結婚には歴史的にどういう意味があったのか
    母子関係と父子関係
    結婚制度は消滅するのか
    父親のいる社会、いない社会
    母系社会における結婚
    結婚のない社会は設計可能か

    2章 結婚はどう変わってきたのか
    結婚の意味を探求してみよう
    愛かお金か
    生殖から性愛へ
    家長の力が強かった時代
    家族が会社組織のようだった時代
    結婚は社会に埋め込まれていた
    性別と性愛をめぐる言語表現
    家族から「仕事成分」が抜け出した時代
    結婚観の変化と同性婚
    結婚を問い直す哲学的な考察

    3章 「結婚の法」からみえる結婚の遷り変わり
    自由婚はほんとうに自由か
    国や支配者が結婚に介入する理由
    現代の秩序維持と人口コントロール
    法規制は何のためにあるのか
    事実婚以上、法律婚未満
    結婚の入口要件
    婚姻期間中の要件(共同性)
    結婚の出口要件(離婚)
    有責離婚から無責離婚へ
    「内部化」する現代の結婚
    同性婚は結婚の法をどう変えたか
    結婚と性愛関係の結びつきは強いのか
    事実婚と法律婚

    4章 同性婚、パートナーシップ、事実婚
    結婚とシビルユニオン
    分業する核家族
    近代的な結婚の意義
    保護対象とされた女性と子ども
    選択肢としての結婚へ
    結婚のベネフィットは何か
    相続における法律婚と事実婚の差
    政府の方針や民間企業の都合
    なぜ性愛関係に基づいた結婚をするのか
    シビルユニオンの登場
    PACSと性愛関係
    シビルユニオンの特徴
    三つの共同性の違い
    制度と実態のギャップ

    5章 結婚と親子関係
    結婚の争点は親子関係にもある
    結婚と父子関係の確立
    DNA鑑定はどのような影響を及ぼすか
    生殖補助技術と親子関係の複雑化
    親の複数性をもたらすパターン
    代理懐胎をめぐる課題
    養子縁組とブレンドファミリー
    さまざまな「親子関係」の内実
    「親性」を構成する要素とは
    一律判断から個別配慮の時代へ
    同性婚における親子関係
    同性カップルが子を持つ事例
    親子関係の制度がめざすところ

    6章 乗りこえられるべき課題としての結婚
    オプション化する結婚
    共同性のコスト
    自由という不自由
    倫理的問題と行政・司法コスト
    保守的な価値観
    差別問題の難しさ
    厄介な固定観念
    選択肢が多いがゆえの悩み
    リベラルと保守の対立を再考する
    同じ方向を向いて議論をするために

    7章 残された論点
    前近代の結婚
    前期近代の結婚
    後期近代の結婚
    非性愛的共同性はなぜ稀なのか
    同類婚の謎
    成人親子関係と結婚
    姓の問題(選択的夫婦別姓)
    複婚の可能性
    共同性を広く持てる社会とは
  • 1945年頃から1990年頃にかけて、アメリカ中心の西側陣営とソ連中心の東側陣営が対立した「冷戦」。その影響は21世紀の今日にも色濃く残っている。本書は米ソ超大国やヨーロッパの対立のみならず日本を含む東アジアの展開にも力点を置いた通史である。上巻では、1945年に第二次世界大戦が終わり、大国の協調が崩壊して冷戦が始まる経緯から、朝鮮戦争、脱植民地化の進展、さらに62年のキューバ・ミサイル危機までを描く。
  • 日本国憲法の枠組みの中にある戦後日本政治。自民党と社会党のイデオロギー対立は1960年の安保改定問題で頂点を迎える。以降、自民党は経済成長に専心し、一党支配を盤石にした。80年代末以降は「改革」が争点となるも、民主党政権を経て、第二次安倍政権以降は再び巨大与党と中小野党が防衛問題を主な争点として対峙している。本書は憲法をめぐる対立に着目して戦後政治をたどり、日本政治の現在地を見極める。
  • 1853年にペリーが来航し、日本は開国へと向かう。明治維新後、条約改正や日清・日露戦争、第一次世界大戦を経て、世界の大国となった。だが1930年代以降、満州事変、日中戦争、太平洋戦争に突入し、悲惨な敗戦に終わる。日本は世界とどう関わってきたのか。破局の道を回避する術はなかったのか。国際秩序との関係を軸に、幕末の開国から太平洋戦争まで、日本外交の歩みをたどる。近年の研究をふまえた最新の通史。
  • 1993年に細川政権が発足し、日本政治は政界再編の時代に突入した。非自民勢力の結集は新進党で一度挫折するが、二度の合流で伸長した民主党は2009年に政権交代を果たす。しかし政権崩壊後、民主党は四分五裂し、「第三極」も低迷。自公政権のもと「一強多弱」に陥った。大同団結しなければ選挙に勝てず、政党が拡大すれば路線対立が激化する――。ジレンマを乗り越え、「政権交代可能な日本政治」実現の道を示す。
  • やがて訪れる死や衰弱は、誰にも避けられない。自分や親しい人が苦境に立たされたとき、私たちは「独りでは生きていけない」と痛感する。ケアとは、そうした人間の弱さを前提とした上で、生を肯定し、支える営みである。本書は、ケアを受ける人や医療従事者、ソーシャルワーカーへの聞き取りを通じて、より良いケアのあり方を模索。介護や地域活動に通底する「当事者主体の支援」を探り、コロナ後の課題についても論じる。
  • 「中国は唯一の競争相手」――バイデン米大統領がこう明言するように、近年、米中の角逐は激しさを増している。貿易戦争、科学技術開発競争、香港・台湾問題……。米国の対中姿勢は関与・支援から対立へとなぜ一変したのか。両国のリーダーが誰になろうとも、今後も対立が続き、緊張緩和はないのか。国交回復から現在まで、五〇年にわたる米中関係をたどり、分断が進む世界のなかで、日本のとるべき針路を考える。
  • 第2次世界大戦後のベビーブームを背景に、若者文化が花開いた1960年代。中心にはビートルズが存在し、彼らの音楽・言動は世界に大きな衝撃を与えた。他方、サッチャー流の新自由主義も実はこの時代に胚胎した。今なお影響を与え続ける若者文化と新自由主義の象徴は、なぜイギリスで生まれたか――。本書は、ファッション、アートなどの百花繚乱、激動の社会とその反動を紹介し、1960s Britainの全貌を描く。
  • フランスを主戦場として英仏王家が攻防を繰り広げた百年戦争(一三三七~一四五三)。イングランドの大陸領をめぐる積年の対立に、フランス王位継承権争いが絡んで勃発した。当初イングランドが優勢だったが、ジャンヌ・ダルクによるオルレアン解放後、フランスが巻き返して勝利する。戦乱を経て、英仏双方で国民意識はどのように生まれたか。ヨーロッパ中世に終止符を打った戦争の全貌を描き、その歴史的意義を解明する。
  • オスマン帝国は1299年頃、イスラム世界の辺境であるアナトリア北西部に誕生した。アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸に跨がる広大な版図を築いた帝国は、イスラムの盟主として君臨する。その後、多民族・多宗教の共生を実現させ、1922年まで命脈を保った。王朝の黎明から、玉座を巡る王子達の争い、ヨーロッパへの進撃、近代化の苦闘など、滅亡までの600年の軌跡を描き、空前の大帝国の内幕に迫る。
  • さまざまな「価値」がぶつかり合う、現代の自由社会。その結果、数々の難問が私たちの前に立ちはだかっている。金融危機、中央銀行のあり方、格差と貧困、知的独占の功罪、自由と平等のバランス、そして人間にとって正義とは、幸福とは――。本書は、経済学の基本的な論理を解説しながら、問題の本質に迫る。鍵を握るのは「制度」の役割である。デモクラシーのもとにおける経済学の可能性と限界を問い直す試み。
  • 自民党は結党以来38年間にわたり政権を担い、2度「下野」したが、2012年に政権に復帰。一強状態にある。その間、自民党は大きな変貌を遂げた。本書は、関係者へのインタビューや数量的なデータなどを駆使し、派閥、総裁選挙、ポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織、個人後援会、理念といった多様な視角から、包括的に分析。政権復帰後の自民党の特異な強さと脆さを徹底的に明らかにする。
  • 1892年にアメリカで発明されたトラクターは、直接土を耕す苦役から人類を解放し、穀物の大量生産を可能にした。文明のシンボルともなったトラクターは、アメリカでは量産によって、ソ連・ナチ・ドイツ、中国では国策によって広まり、世界中に普及する。だが、化学肥料の使用、土地の圧縮、多額のローンなど新たな問題を生み出す。本書は、一つの農業用の“機械”が、人類に何をもたらしたのか、日本での特異な発展にも触れながら、農民、国家、社会を通して描く。
    ●目次
    まえがき
    第1章 誕 生――二〇世紀初頭、革新主義時代のなかで
       1 トラクターとは何か
       2 蒸気機関の限界、内燃機関の画期
       3 夜明け――J・フローリッチの発明

    第2章 トラクター王国アメリカ――量産体制の確立
       1 巨人フォードの進出――シェア77%の獲得
       2 専業メーカーの逆襲――機能性と安定性の進化
       3 農民たちの憧れと憎悪――馬への未練


    第3章 革命と戦争の牽引――ソ独英での展開
       1 レーニンの空想、スターリンの実行
       2 「鉄の馬」の革命――ソ連の農民たちの敵意
       3 フォルクストラクター――ナチス・ドイツの構想
       4 二つの世界大戦下のトラクター

    第4章 冷戦時代の飛躍と限界――各国の諸相
       1 市場の飽和と巨大化――斜陽のアメリカ
       2 東側諸国での浸透――ソ連、ポーランド、東独、ヴェトナム
       3 「鉄牛」の革命――新中国での展開
       4 開発のなかのトラクター――イタリア、ガーナ、イラン

    第5章 日本のトラクター――後進国から先進国へ
       1 黎 明――私営農場での導入、国産化の要請
       2 満洲国の「春の夢」
       3 歩行型開発の悪戦苦闘――藤井康弘と米原清男
       4 機械化・反機械化論争
       5 日本企業の席巻――クボタ、ヤンマー、イセキ、三菱農機
    終 章 機械が変えた歴史の土壌
  • 物理学者で、独自の発想で知られる著者が、理科系の研究者・技術者・学生のために、論文・レポート・説明書・仕事の手紙の書き方、学会講演のコツを具体的にコーチする。盛りこむべき内容をどう取捨し、それをどう組み立てるかが勝負だ、と著者は説く。文のうまさに主眼を置いた従来の文章読本とは一線を劃し、ひたすら「明快・簡潔な表現」を追求したこの本は、文科系の人たちにも新鮮な刺激を与え、「本当に役に立った」と絶賛された。2016年には紙の書籍がついに100万部を突破した、不朽の文章入門。
  • 一九世紀ヨーロッパを代表する政治家、ビスマルクの業績は華々しい。一八七一年のドイツ帝国創建、三度にわたるドイツ統一戦争での勝利、欧州に同盟システムを構築した外交手腕、普通選挙や社会保険制度の導入――。しかし彼の評価は「英霊」から「ヒトラーの先駆者」まで揺れ動いてきた。「鉄血宰相」「誠実なる仲買人」「白色革命家」など数多の異名に彩られるドイツ帝国宰相、その等身大の姿と政治外交術の真髄に迫る。
  • 人は出会い、つながる。会社や友人関係、地域社会も、個人と個人が結びつきネットワークを作ることで成り立っている。それでは私たちはどのように他人とつながっているだろうか。私たちのネットワークの上では何が起こっているだろうか。本書は、スモールワールドやスケールフリーといった最新のネットワーク科学を、毎日の生活に活かそうと提言する。
  • 独特の官僚内閣制のもと、政治家が大胆な指導力を発揮できず、大統領制の導入さえ主張されてきた戦後日本政治。しかし一九九〇年代以降の一連の改革は、首相に対してアメリカ大統領以上の権能を与えるなど、日本国憲法が意図した議院内閣制に変えた。本書は、国会、内閣、首相、政治家、官僚制、政党など議院内閣制の基盤を通し、その歴史的・国際的比較から、日本という国家の統治システムを明らかにするものである。
  • 中世においては西ヨーロッパの人々を恐怖に陥れたバイキングとして、現在では高度な福祉を実現させた国家として世に名高い北欧の国々。その歴史は平坦ではなく、隣接する強国ロシアとドイツを交えた度重なる戦争や民族独立運動、緊迫した国際情勢の中での苦難に満ちた中立外交などからなる。本書はデンマーク、スウェーデンを中軸に、両国から分離・独立したノールウェー、フィンランド、アイスランド北欧五カ国の通史である。
  • 「目の綺麗な人だな」「あの人は怖そうだから」。
    私たちは、人の見た目の違いを美で判断する生き物である。
    顔つき、しゃべり方、匂い、肌の色、肥満・痩せ、障害。

    本書では人の身体をめぐる美的判断を探究し、いかに美しさ・醜さが歴史的に創られてきたかの軌跡を追う。
    そこから人が心に抱くエロス、愛の真価を突きとめる。
    違いをうまく扱う知恵を手に入れ、ルッキズムや多様性の限界をこえる。
    心に美をまとうための美学入門。


    【目 次】
    はじめに
    違いについての学問  バラバラになる社会  身体を介して他者に出会う  本書の構成

    第1章 美学、「私の中の他者」との出会い
    下位の認識能力  眼を閉じ、耳をふさぐデカルト  ライプニッツによる認識の分類  識別できるが説明できない  日常は「渾然」「曖昧」だらけ  過去の経験と「傾き」  私の中の他者  より良く/善く感じるための学問  ソマティック・マーカー仮説将来のシナリオの評価  生物学的次元と社会的次元のからまりあい

    第2章 感性、このやっかいであなどれないもの
    無関心性(没関心性)  関心まみれの出会い  身体の評価=人物の評価?  サイズ、形、動き、色、匂い、服装  口笛でヴィヴァルディ   自分の身体にくつろげない  感性の保守性  鏡としての感性  法律の限界  権利ではなく魅力で  ふくらはぎに見惚れる  感性の逸脱  差別化と他者化  自然化される趣味

    第3章 醜による他者化
    科学と哲学  ルネサンスの豊満な女神  「人種」の創造  ホッテントット・ヴィーナス  見世物小屋=他者化の装置  プロテスタント的禁欲主義  「健康リスク」と「私らしさ」のあいだ歴史のレンズを通して見ている  醜とは何か

    第4章 美による差別化
    遅れてやってきた運動  彼らとは違う「私たち」  トニ・モリスン『青い眼がほしい』  醜さのマント  ディックとジェーン「二重のまなざし」に殺されないために  アフリコブラの輝き 象徴としてのアフロヘア  画面を埋め尽くす文字  黒人の美学日本語の「美学」のニュアンス

    第5章 逸脱する感性
    規範的感性と逸脱的感性  再認=既知への取り込み  知覚=未知の発見  個別性との出会い  知覚は自由に展開していく  対象に降伏(surrender)  慣習にあらがう能動性  見方が市民権を得るまで 山の「醜さ」  つるつるでゆがみのない球  天文学の衝撃無秩序で複雑で無限の世界  崇高さの発見  グランド・ツアー  日誌や手紙のライブ感  正義のプロセス/エロス的プロセス

    第6章 エロスから愛への進化
    きよしさんの指隠し撮影  「感染」の倫理性  スタイルとは何か  自然にはスタイルはない  表出ではなくパターン  選択なぜこのやり方なのか?  基準のゆらぎをうけとめる  愛への進化  アイデンティティ・ポリティクスを降りる

    おわりに
    参考文献
  • 教育の不平等をめぐっては多くの研究・議論が行われてきた。だが、今なお解決には程遠い。その理由は、日本人の認識枠組みにあり、意味が曖昧なまま外来の流行語・翻訳語を使うため、議論がすれ違うのだと著者は説く。「大衆、機会均等の語義は原語と訳語でどう違うのか」「階級より階層、不平等より格差の語が使われる理由」など、鍵概念を手がかりに日本社会の思考の習性を探る。日英で教鞭を執る著者の比較知識社会学。

    まえがき 教育論議は饒舌なのに、なぜ問題は解決しないのか
    1章 「教育格差」論議の比較知識社会学
    1 問題の所在
    不平等に対する日本の向き合い方/実態把握の進展/政治や行政、私たちの認識を問う
    2 「知識」は社会的に構成される
    知識社会学とは何か/教育の現場や政策関係者の「常識」
    3 比較知識社会学の試み
    日本語は翻訳語でできている/「濾過の過程の見落とし」/輸入学問としての社会科学
    4 「大衆教育社会」という経験
    「大衆教育社会」とは何か/戦後日本の言説小史/「大衆」「能力主義」「格差」……/本書が取り組む課題

    2章 「大衆」――生まれた時代と現代
    1 大衆の発明
    「大衆」の比較知識社会学/「大衆」という言葉を発明した男/工業化・都市化と普通選挙法/一向に明瞭でない正体/新奇性ゆえの流行
    2 西洋における「大衆」概念
    オルテガの大衆論/英国のmassの歴史/総力戦体制下における「国民化」
    3 戦後日本の「大衆」「大衆社会」
    1950年代の論争/西部邁の「高度大衆社会」論/大衆にまつわるネガティブさ/2章のまとめ

    3章 「大衆化」――曖昧にされたエリートvs.マス
    1 大衆教育とは何か?――戦前という前史
    8割を占めた小卒者への教育/戦前教育学の重鎮の認識
    2 強制的均質化と大衆教育
    山之内靖の総力戦体制論/野口悠紀雄の1940年体制論/戦時の教育改革を率いた阿部重孝
    3 「階級」の欠落
    高校教育の大衆化/教育社会学の泰斗が見た60年代/トロウの発展段階論/第一人者による意訳/階級とmass higher education/曖昧化の作用/3章のまとめ

    4章 「機会均等」――原語 “opportunity” との決定的違い
    1 開かれた機会(opportunity)の信仰 
    教育を重視したブレア政権/「第三の道」とは何か
    2 アメリカにおけるopportunity
    19世紀のアメリカン・ドリーム/アメリカ公教育の思想基盤/コモンスクールの思想
    3 日本語の(教育)機会の均等
    「機会」とは何か/均等と平等の違い/日本の消極性・形式主義/戦後の機会均等/高校教育と高等教育の「機会均等」/トロウ論文が示すopportunity概念
    4 「試験」が教育と成功を媒介する
    立身出世の日米比較/試験という媒介項/4章のまとめ

    5章 「格差」と「不平等」――「階級」でなく「階層」を使う功罪
    1 メリトクラシー理解の日英比較
    メリット=知能+努力の謎/階級社会とIQ/頑迷な誤謬/11歳の試験イレブン・プラス
    2 日本における能力主義と知能、努力
    努力主義をめぐって/知能検査への不信感/努力と適性(知能・素質)/能力主義の日本的理解の特徴
    3「階級」の消長
    戦前の階級意識と階級概念/「階級」という言葉の消去/戦後日本のマルクス主義/絶対移動と相対移動/「一億総中流社会」の階級意識/ギデンズとサヴィジによる階級概念
    4 学校化された能力主義
    ヤングのブレア批判/大衆‐努力の意味連関/非認知的能力ブームの落とし穴/サンデルが提示した尊厳の問題/5章のまとめ

    6章 「大衆教育社会」という経験
    1 「大衆教育」から教育の「大衆化」へ
    教育と平等をめぐって/教育の量的拡大と「大衆化」 /高度成長期と擬似的な動員/国庫負担制度が果たした役割/「一億総中流社会」イメージの形成
    2 格差社会と教育改革の語られ方
    小泉政権と新自由主義改革の時代/「頑張れば誰でも」の強調/メリトクラシーの大衆化と「公平さ」の誤認/詰め込みから個性重視へ/融通無碍な曖昧さ
    3 曖昧さの入れ子構造
    なぜ有効な手立てが打てないのか/日本語の概念、原語の概念/隠れた曖昧さ/ブルデューの文化資本概念と日本/日英で異なる社会への訴求力/言葉の力を鍛えなおす
  • 電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。
    1968年に創設されたノーベル経済学賞。
    当初は計量経済学や一般均衡理論の構築など、手法確立への基礎理論への貢献に授与されることが多かった。
    70年代には新自由主義を標榜するシカゴ学派が席巻。
    その後はゲーム理論や行動経済学、さらには貧困問題や気候変動など幅広い実証分野に授与されるようになった。
    サミュエルソンからフリードマン、ナッシュ、スティグリッツ、アセモグルまで、44人で現代経済学の潮流を一望。


    □ ■ □ 目次 □ ■ □
    前書き
    序章 経済学の神々の黄昏――スミスからケインズまで
    第1章 ノーベル経済学賞の誕生――フリッシュ、サミュエルソン
    第2章 ミクロ経済学の新展開――ヒックス、アロー、ナッシュ
    第3章 マクロ経済学の新展開――ソロー、ルーカス、プレスコット
    第4章 計量経済学の説明する力――クライン、ヘックマン、シムズ
    第5章 シカゴ学派の反ケインズ革命――フリードマン、スティグラー、ベッカー
    第6章 金融経済学の功罪――トービン、マーコヴィッツ、ショールズ
    第7章 国際経済学の巨星たち――オリーン、マンデル、クルーグマン
    第8章 情報経済学の説明する力――アカロフ、スティグリッツ、ティロール
    第9章 市場と組織の経済学のはざま――コース、ウィリアムソン、ハート
    第10章 社会経済学が見据える射程――ミュルダール、ハイエク、セン
    第11章 歴史と政治の経済学との交差点――ノース、シェリング、ディートン
    第12章 市場を設計する経済学――スミス、ヴィックレー、ロス
    第13章 行動経済学の下克上――サイモン、カーネマン、セイラー
    第14章 21世紀のミクロ経済学――インベンス、デュフロ、ゴールディン
    第15章 21世紀のマクロ経済学――ノードハウス、バーナンキ、アセモグル
    第16章 ノーベル経済学賞の忘れもの――ハロッド、森嶋通夫
  • かつて社会にとって最も神聖な儀式であった「処刑」は、12~13世紀を境に、〝名誉をもたない〟刑吏の仕事に変っていった。
    職業としての刑吏が出現し、彼らは民衆から蔑視され、日常生活でも厳しい差別をうけた。
    都市の成立とツンフトの結成、それにともなう新しい人間関係の展開、その中で刑罰観はどう変化したのか。
    刑罰観の変遷と刑吏差別の根源を追究する中で、庶民生活の実態を明らかにし、民衆意識の深層に迫る。
  • 戦後最年少52歳で首相に就任、8年8ヵ月の史上最長政権を誇った安倍晋三。祖父に岸信介を持つサラブレットは、自民党最右派として憲法改正を掲げたが一次政権では挫折する。
     しかし政権復帰後、「アベノミクス」など経済政策により支持を獲得、6度の国政選挙に連勝し「安倍一強」体制を築く。彼の威光はG7でも際立ち、トランプ米大統領への対応など国際的評価も高かった。だが、安保法制など敵と味方を峻別する政治姿勢や、森友・加計学園、桜を見る会など権力の私物化への批判が付きまとった。
     本書は波乱と毀誉褒貶に満ちた安倍の生涯を辿り、彼の政治を総括する。
  • 紀元前2600年のインダス文明を起源とするインド。社会、文化の礎が築かれたのはヴェーダ時代からグプタ朝の間だった。中世にはイスラーム勢力が入り、多数の王朝が乱立し分裂する。16世紀から300年にわたり支配したのはムガル帝国だった。イギリス統治期を経て、ついに1947年に独立。20世紀末からの成長は目覚ましく、世界に存在感を示す。本書は「21世紀の超大国」の、5000年に及ぶ長く複雑な軌跡を描く。

    ■目 次■

    まえがき 

    序 章 長い歴史と複雑な社会

    第1章 インダス文明から始まるインド史
    1 ハラッパー、モヘンジョ・ダロ遺跡の発見
    2 未解明のインダス文明
    3 インダス文明の衰退

    第2章 古代文明の展開
    1 ヴェーダ時代
    2 仏教・ジャイナ教の成立と発展 
    3 古代統一王朝の成立 
    4 クシャーナ朝と南インドの諸王朝 
    5 グプタ朝―ヒンドゥー教と古典文化の隆盛 
    コラム アレクサンドロス東征がマウリヤ朝を生み出したのか
    コラム 文化遺産のアジャンターとエローラ 

    第3章 中世インド世界 イスラームとの遭遇
    1 イスラーム勢力の進出 
    2 南インドの攻防 バフマニー朝対ヴィジャヤナガル王国 
    コラム 世界遺産クトゥブ・ミナール 

    第4章 ムガル帝国の成立と展開
    1 初代バーブル帝 ムガル帝国の始祖 
    2 第三代アクバル帝 実質的な帝国建設者 
    3 ムガル朝の全盛から衰退へ 
    4 反ムガル・在地勢力の台頭 
    5 ムガル帝国の遺産 

    第5章 英国のインド支配 インドの近代
    1 インド航路の開拓と欧州列強のインド進出 
    2 英国による植民地化と在地勢力の征服 
    3 一八五七年反乱 
    4 英領インドの誕生 

    第6章 独立運動の展開
    1 社会改革から始まった独立運動 
    2 インド国民会議派の誕生 
    3 第一次世界大戦期以降の独立運動とガンディーの登場 
    4 可視範囲に入り始めた独立 
    5 大英帝国の落日と第二次世界大戦 
    6 第二次世界大戦終結から英国の撤退へ 

    第7章 独立インド 理念から現実へ
    1 憲法の制定 世界で最長の憲法 
    2 ネルー時代 独立~一九六四年 
    3 インディラ・ガンディーの時代 一九六〇年代中頃~八〇年代
    4 一九八〇年代 激動の一〇年 
    5 九〇年代の枠組み変更 
    コラム ガンディーの現代史的意味 

    第8章 日本とインド
    1 憧れの国インド 
    2 明治時代から第二次世界大戦まで 
    3 第二次世界大戦後の日印関係 両国間のズレと低迷した関係 
    4 九〇年代に始まった日印パートナー関係 
    5 これからの日印関係 
    コラム インパール作戦

    終 章 21世紀のインド
    1 インドの政治経済状況 
    2 国際社会におけるインド 

    あとがき 
    主要参考文献
    関連年表
  • 電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。
    歴史は史料によって創られる。
    東京大学史料編纂所は、古代から明治維新期にいたるまでの膨大な史料を日本中から収集して研究する、国内最高峰の歴史研究機関だ。

    本書は、その史料編纂所に所属する「史料読みのプロ」42名が、それぞれの専門分野から選りすぐりの逸話を集めて綴ったアンソロジーである。
    古代から幕末まで、歴史上の偉人も名もなき市井の人々も、悩みや喜びとともに生きたその姿が、ここによみがえる。
  • 電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。
    奈良時代から明治維新期までの古文書や記録などを収集し、史料集を編纂・刊行する東京大学史料編纂所。近年はデジタル技術を駆使した史料の撮影・公開等の新たな試みも続く。
    本書は、史料読みのプロたちに加え、史料修理・複製ほかに携わる専門スタッフも寄稿。「名執権・北条泰時の横顔」「織田信長自筆書状の復元影写」「江戸時代の米の先物取引」などなど、多彩な逸話を綴る。奥深い歴史の世界へ読者をいざなう一冊。

    ■目次

    はじめに

    Ⅰ あの人物の意外な一面

    藤原頼通と古代・中世(黒須友里江)
    北条泰時の二日酔い(西田友広)
    名執権・北条泰時の横顔(木下竜馬)
    嘉吉の乱後の朝廷を支えた公家たち(林遼)
    若き北条早雲の改称(岡本真)
    寿桂尼の嫁入り(末柄豊)
    細川忠興、石田三成の陰謀を語る(林晃弘)
    徳川家康の伏見城修築(及川亘)
    幕府海軍の藩士と蔵書(水上たかね)

    Ⅱ おしゃべりなモノたち

    黄金の漆をさがして(稲田奈津子)
    中世の「おみやげ」(小瀬玄士)
    円覚寺の自鳴する鐘(川本慎自)
    能登名産ナマコの小桶(藤原重雄)
    醍醐の松茸は誰が採る?(高橋慎一朗)
    近江妙蓮と柳原紀光の古典籍受容(芝﨑有里子)
    江戸時代の米の先物取引(山本一夫)
    爆発する江戸(菊地智博)

    Ⅲ 世情の風景さまざま

    奈良時代の付き人(古田一史)
    長谷寺と川原寺(村上孟謙)
    最後の遣明船(須田牧子)
    分国法にみる盗品の取戻し(前川祐一郎)
    摂関家当主の一喜一憂(松澤克行)
    門跡の相続事情(石津裕之)
    老中へ賄賂を贈る(荒木裕行)
    それぞれの密貿易(大東敬典)
    幕末の情報探索にみる「奇兵隊」(小野将)
    維新期朝廷の奥と表(箱石大)

    Ⅳ 文字に秘められた謎

    天皇に秘薬をすすめたのは誰?(小塩慶)
    記録と説話とのあいだ(海上貴彦)
    この手紙はいつのもの?(堀川康史)
    『兼見卿記』が二つある?(遠藤珠紀)
    近代写本の中に隠れた中世史料(畑山周平)
    天正少年遣欧使節とエヴォラ版書簡集(岡美穂子)
    元和九年の将軍上洛行程と『徳川実紀』(小宮木代良)
    絵文字入りの手紙を読む(尾上陽介)
    「東大寺開田図」と模写・写真(新井重行)

    Ⅴ 史料に向き合う

    複製史料を見つめ直す(井上聡)
    帝銀事件と史料編纂所(金子拓)
    金石文調査が拓く地域の歴史(菊地大樹)
    「攪乱」された東大寺文書を編む工夫(遠藤基郎)
    織田信長自筆書状の復元影写(宮﨑肇)
    歴史史料を創る(村岡ゆかり)
    下張り文書の魅力(山口悟史)
    プラチナプリントと複製(桑田恵里)

    Ⅵ 未来に広がる日本史学

    コンピュータが開く史料の扉(中村覚)
    日本史からのグローカル化(小風綾乃)
    研究データ基盤とベイズ統計学(山田太造)
    歴史に伴走する写真(谷昭佳)
    史料写真を撮る(高山さやか)
    古文書の紙を科学で読み解く(渋谷綾子)
    紙の漉き方からわかること(髙島晶彦)
    海に出来た山、海を渡った津波(杉森玲子)

    編集後記
    執筆者一覧
  • 「人口1億人目標」「東京一極集中の是正」「コロナショックで人の流れは変わった」――人口減少と地域問題にはびこる通説・俗説や、問題含みの地方創生政策を著名エコノミストが覆す。人口が減ってもウェルビーイングを損なわないための処方箋として、スマート・シュリンク(賢く縮む戦略)を提唱。行動経済学やマーケットデザイン等の理論、豊富な経年データにもとづき、多くの地域で応用できる「共有型」モデルを打ち出す。

    はじめに 人口・地域問題を経済学で解決する

    第1章 人口変化の姿とコロナショック

    1日本の人口構造の変化
    「確かな未来」の「確かな変化」の「確かな課題」/日本全体の人口構造の変化/外国人の流入をどう考えるか
    2人口オーナスがもたらす諸課題
    人口オーナスとは何か/ますます高まる度合い/人手不足、社会保障などの諸課題
    3コロナで厳しさを増す人口の姿
    コロナショック後の人口動態/衰える結婚・出産意欲、低下する希望出生率

    第2章 地域から見た人口構造の変化

    1地域間の人口移動を考える
    社会増減の重要性/地域間人口移動の姿
    2地域の人口展望
    将来人口の姿/前回の人口推計との比較/「率」で見た高齢化、「数」で見た高齢化/老いる都市の課題
    3二つの悪循環
    人口オーナスによる悪循環/人口規模を介した悪循環

    第3章 地方創生政策の検証
     
    1戦後の地域政策の流れと地方創生
    全国総合開発計画の歩みと変質/薄れる国土計画への関心/難しかった東京一極集中是正/小泉構造改革は何を目指していたのか/消滅自治体論の登場/消滅自治体論の四つの問題点
    2人口1億人目標について考える
    地方創生と人口1億人目標/人口1億人とはどういうことか/人口1億人目標に意味はあるのか/2・07の達成は不可能
    3「地方創生1・0」の批判的検討
    地方創生の手順/少子化対策と地方創生のデカップリング

    第4章 東京一極集中は是正すべきか

    1一極集中という診断は正しいか
    多層的集中という診断/「足による投票」という考え方/人はなぜ集まるのか/政策目標としての東京一極集中是正
    2一極集中の是正は少子化対策になるのか
    東京一極集中と少子化対策/東京都の出生率は見かけほど低くない
    /注目すべき東京のマッチング機能/簡単な数量的チェック
    3コロナ危機は変化をもたらしたのか
    流出超に転じた東京都の人口/東京圏外への人口移動につながる3ステップ/コロナショックとテレワークの普及/対面型への回帰/もう一度東京一極集中是正を考える

    第5章 地域政策のイノベーション

    1求められる地域政策とは
    国主導型からの脱却/「規範型」から「共感型」のプロセスへ/分散から集中へ/ソーシャル・キャピタルで伸びる地域を伸ばす/逆方向だった地域政策
    2共有型の地域活性化方策
    地域政策の二つのタイプ/劇場型と共有型の四つの違い/経済学から生まれた共有型の政策/行動経済学が実証したバイアス/ナッジという智恵/フューチャー・デザインと住民参加/岩手県矢巾町の例/マーケットデザイン
    3スマート・シュリンクの時代へ
    スマート・シュリンクの考え方/人口が減っても経済が縮むとは限らない/人口減少と地域経済
    4スマート・シュリンクの実践
    岡山県美咲町の例/政府が進める地域のスマート・シュリンク/自由な人の移動を通じて/自由な人の移動は、地域問題の解決に資する/地方部のアンコンシャス・バイアス
  • 日本には現在もなお、無尽蔵と言える古文書が未発見・未調査のまま眠っている。
    戦後の混乱期に、漁村文書を収集・整理し、資料館設立を夢見る壮大な計画があった。
    全国から大量の文書が借用されたものの、しかし、事業は打ち切りとなってしまう。
    後始末を託された著者は、四〇年の歳月をかけ、調査・返却を果たすが、その過程で、自らの民衆観・歴史観に大きな変更を迫られる。
    戦後歴史学を牽引した泰斗による史学史の貴重な一齣。

    1999年刊行の名著を改版。

    目次


    まえがき
    第一章 挫折した壮大な夢
    第二章 朝鮮半島の近さと遠さ――対馬
    第三章 海夫と湖の世界――霞ケ浦・北浦
    第四章 海の領主――二神家と二神島
    第五章 奥能登と時国家の調査
    第六章 奥能登と時国家から学び得たこと
    第七章 阪神大震災で消えた小山家文書――紀州
    第八章 陸前への旅――気仙沼・唐桑
    第九章 阿部善雄氏の足跡
    第十章 佐渡と若狭の海村文書
    第十一章 禍が転じて福に――備中真鍋島
    第十二章 返却の旅の終わり――出雲・徳島・中央水産研究所
    あとがき
  • 『維摩経』は一世紀末に著された初期大乗仏典である。釈尊の入滅から約五百年後、仏教界が保守化、権威主義化した。その反省から生まれたのが大乗仏教運動であり維摩経である。聖徳太子が注釈書を記すなど日本でも重視されてきた。本書は二〇世紀末に発見されたサンスクリット写本を著者自ら翻訳・精読。仏典に書かれた戯曲的な記述の意味、在家主義、男女平等について、空・不二・中道の思想などを平易に解説する。

    ■目 次■

    はしがき
     
    Ⅰ 『維摩経』の基礎知識

    1 主人公、ヴィマラキールティについて 
    2 商業都市ヴァイシャーリーについて 
    3 アームラパーリーとその園林 
    4 題号の意味 
    5 『維摩経』と『法華経』に至るインド仏教史の概略 

    Ⅱ サンスクリット写本と諸翻訳間の異同

    1 漢訳の七訳三存四欠 
    2 古訳・旧訳・新訳の比較 
    3 サンスクリット写本の発見とその出版 
    4 『維摩経』貝葉写本の校訂と現代語訳 

    Ⅲ 『維摩経』各章の思想

    1 第一幕=アームラパーリーの園林にて 
    第一章 ブッダの国土の浄化(仏国品第一)
    第二章 考えも及ばない巧みなる方便(方便品第二)
    第三章 声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=前半(弟子品第三)
    第三章 声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=後半(菩薩品第四)

    2 第二幕=ヴィマラキールティの邸宅にて 
    第四章 病気の慰問(文殊師利問疾品第五) 
    第五章〝不可思議〞という解脱の顕現(不思議品第六) 
    第六章 天女(観衆生品第七)
    第七章 如来の家系(仏道品第八) 
    第八章 不二の法門に入ること(入不二法門品第九) 
    第九章 化作された菩薩による食べ物の請来(香積仏品第十)
     
    3 第三幕=再びアームラパーリーの園林にて 
    第十章 「尽きることと尽きないこと」という法の施し(菩薩行品第十一)
    第十一章 〝不動であるもの〞という如来との会見(見阿閦仏品第十二)
    第十二章 結論と付嘱=前半(法供養品第十三) 
    第十二章 結論と付嘱=後半(嘱累品第十四)

    Ⅳ 『維摩経』の人間主義

    1 大乗仏教における在家の復権 
    2 「空」による現実肯定の思想 
    3 「空」の思想と政治活動 
    4 自立した女性像を描く 
    5 言葉の限界性と必然性 
    6 マイトレーヤ菩薩への皮肉 

    Ⅴ 『維摩経』と『法華経』が現代に問いかけるもの

    1 自在に社会貢献する菩薩を待望 
    2 AIの台頭と仏教の役割 

    あとがき 
    参考文献
  • そもそも政治とは何か、体系は見えにくい。
    選挙で投票しなかったら不都合はあるのか。
    政治家は誰の意見を重視するのか。
    政党は何のために存在しているのか。
    経済や生活にどんな影響を及ぼすのか。
    政治は有権者を幸せにしているのか。

    本書では、選挙、政治家、政党、有権者、メディア、民主主義などの基本概念をつなぎ合わせ、最新の政治学の理論と動向を紹介。
    データをもとに、現在の民主政治の全体像を描き出す。


    【目次】

    まえがき

    序 章 選 挙――なぜ大切なのか
    政治とは何か  有権者と政治家  政治家をコントロールする  三つの例――景気対策、選択的夫婦別姓制度、汚職  本書の目的  選挙とは何か――三つの条件  選挙の機能①――選抜機能  選挙の機能②――賞罰機能  有権者、政党、政府  選挙の追加的機能――多数派の尊重と暴力の抑止

    第1章 政治家――誰が選ばれるのか
    私たちは政治家の何を見ているか  好みと属性  政治家の出馬  選挙に勝つ見込み、出馬のコスト  属性の特徴――資産、学歴、年齢、性別、世襲  経済的地位や性別がもたらす影響  政治家の能力  能力と属性のトレードオフ  利己的動機と利他的動機  まとめ

    第2章 政 党――なぜ存在するのか
    別の主役  政党=好みが近い仲間とのチーム  好みの近さはなぜ重要か  政策パッケージと選抜機能  政党の業績と賞罰機能  景気に関する業績  政党誕生の歴史  イギリスの二大政党  政党とイデオロギー  左派と右派、リベラルと保守  社会文化をめぐるイデオロギー  イギリスの政党のイデオロギー立場  日本の政党のイデオロギー立場  極右政党とポピュリズム  まとめ

    第3章 有権者――政治に何を求め、どう選ぶのか
    理想的な有権者  忙しい有権者  有権者のイデオロギー立場  イデオロギー立場と政策選好  有権者の立場の形成  選抜の基準――争点投票  直観的な判断ルール  賞罰の基準としての経済状況  経済成長と与党得票率  投票①――ベネフィットとコスト  投票②――教育水準、年齢  まとめ

    第4章 メディア――欠かせない存在なのか
    情報を有権者に届ける  メディアからの情報  報道機関は偏向しているか  メディアの機能①――学習  メディアの機能②――説得  誘発とフレーミング  デジタルメディアの影響  SNSの効用  誰が情報に接触するのか  選択的接触、エコーチェンバー、フィルターバブル  メディアと民主主義  まとめ

    第5章 選挙制度――競争のあり方は変わるのか
    選抜機能と賞罰機能は両立するか  政党の数が多い場合  政党が二つの場合  選挙制度の特徴――比例代表制と多数代表制  機械的効果と心理的効果  各制度の目標の違い  選挙制度と政党数  民意と議会の関係  選挙制度と業績投票  二つの制度のメリットを活かす  選好と質のトレードオフ  中選挙区制の弊害  まとめ

    第6章 民主主義――誰の意見が通るのか
    前章までのまとめ  多数派と中位投票者  政党のイデオロギー立場や動員  民意の実現①――政策の中身  民意の実現②―― 与党のイデオロギー  民意の実現③――参政権  民意の実現④ ――民主主義の導入  ロビンフッド・パラドックス  なぜ経済的不平等は拡大するのか――献金、ロビー活動、バイアス  くじ引き民主主義、ロトクラシー  まとめ

    終 章 政治は私たちのものなのか
    楽観的でいいのか  少数派の横暴  分断を生み出すアイデンティティ政治をこえて  民主主義を生きる

    あとがき
    参考文献
    索 引
  • 植民地時代の対日協力者で「売国奴」とされた親日派。
     独立後の韓国は「反民族行為処罰法」を制定し多数検挙するが、反日闘士だった初代大統領・李承晩は事実上廃案にする。国家機能維持のためには親日派の協力が必要であり実利を取ったのだ。そのため戦後も政治や軍の中枢を親日派は占め続けた。
     だが民主化後、親日派への批判が始まる。21世紀以降は、政治がその清算を強く求め、「日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法」を制定、民間でも『親日人名辞典』アプリが配信されるなど、子孫を含めた糾弾が続く。しかし、その内実は現代政治に強く影響され、「政治カード」として大きく変質している。
     一見すると明確な利益が見出せない問題に、なぜ韓国は1945年の「解放」から80年にわたって莫大な労力を割いてきたのだろうか。親日派から描く韓国近現代史。
  • 難解な中国古典の含蓄深い精神を現代に伝える名手の著者が、青年時代より敬愛し、研究しつづけてきた司馬遷の名著『史記』の精髄を展開し、その歴史観に近代的な照明をあたえて解釈をほどこす。

    古代中国の群像は、宮刑の屈辱に堪えてまで歴史家としての使命に徹した司馬遷によって不朽となった。
    竹簡百三十巻の大著を書いた人、書かれた人の精神は、新鮮な感動を伴って再現される。
    文字を大きく読みやすくして改版。
  • サバンナを歩き、極地の海に潜り、大空を飛んで渡る野生動物たち。
    彼らは、どのように食べ、逃げ、眠り、子を育てるのか? 

    本書は、生き物に超小型センサーやカメラを装着するバイオロギングという手法で謎に迫る。
    「ヒヒは多数決で行き先を決める」「アザラシは一晩に四千回も狩りをする」などの発見から、厳しい環境を生き抜く進化のメカニズムが明らかに。
    そこから見えてくる、ヒトの身体や行動に潜む進化的な意味も探る。
    はじめに――バイオロギングが明かす野生動物の非凡な日常
    第一章 サメは横に傾いて泳ぐ――怠ける
    野生動物は働き者か?/カモがネギを背負ってやってきた/機器回収の天国と地獄/体を横倒しにして泳ぐサメ/第三の胸びれ仮説/薄気味悪い北極海の主/体育会系サメ実験/常識外れのスローライフ/ハチドリは鳥界の変わり者/異様なエネルギー節約術/鳥の編隊飛行は本当に楽か/トキは渦の性質を知っている/アフリカゾウしか知らぬ悩み/コアラの直面する大問題/木に抱き付く二つの理由/直立二足歩行は楽なのか/狩猟採集民のエネルギー収支/ヒトのヒトらしい生き方/ランニングに潜む壮大な皮肉
    第二章 アザラシは一晩に四〇〇〇回狩りをする――食べる
    給食大好き人間の末路/淡水湖のアザラシは何を食べるか/エタノールと百万本のバラ/捕獲と機器回収ははらはらの連続/アザラシの狩りは超高頻度/右利き、左利きのある魚/ファストフードは天から降ってくる/ナガスクジラという口の妖怪/クジラはなぜ大きいか/バイソンの呑気にも意味がある/おとぎ話のような科学的発見/都市を生き抜く奥義を身に付けた鳥/うまいものはなぜうまい?/舌という検問所/子どもが野菜を嫌う理由/体が欲する甘みと塩味/酸味とうまみの意味するところ/なぜ麻婆豆腐はうまいのか
    第三章 鳥は飛びながらまどろむ――眠る
    Z氏の謎/眠ることは生きること/片目を開けてまどろむ鳥/オットセイが海面で横臥する理由/鳥は飛びながら眠るのか/男はつらいよ/鳥が見せる二つの寝相の謎/くちばしの意外な機能/アザラシの「ふらふら潜水」/潜りながら眠るという妙技/すべての動物は眠るのか/クラゲの睡眠を調べる/旅先で寝付けぬ理由/月の満ち欠けとヒトの睡眠/一か月周期の不思議なリズム/体内でゆらめく残り火
    第四章 閉経というミステリー――産む、育てる
    どろんと消えたアザラシ母子/超特急の子育て作戦/卵を無駄死にさせるペンギン/マカロニペンギンが教えてくれること/「托卵」という化かし合戦/進化の軍拡競争/氷の消えた南極/海氷消失はペンギンにとって吉か凶か/温暖化が天の恩恵!?/親鳥は太り、雛はすくすくと育つ/極地の動物がくれた教訓/コウモリの母は心配性/外の世界へ飛び立つ日/孤立した池に魚がいるのはなぜ?/鳥の糞からの復活劇/魚は統計を知っている/閉経という巨大な謎/おばあちゃんの生物的役割/シャチやゾウの祖母は孫を世話するか/波平とフネに第四子が産まれたら/ハクジラ類が教えてくれる閉経の進化/五〇歳の閉経、八〇歳の寿命の意味
    第五章 ヒヒのあっぱれな民主政治――群れる
    キャンプ地を襲う静寂の悪魔/集団行動という進化の産物/群れの行先は誰が決める?/ヒヒの民主主義/ハトの群れにリーダーはいるか/渡り鳥の先輩と後輩/ツルの社会教育/海鳥の群れが情報交換!?/ウの情報センター/魚の群れが成立する仕組み/ヒトに友達がいるという謎/世界中の狩猟採集民を調べてわかったこと/他人同士を結び付けるもの/物語の力
    おわりに――生物進化という永遠の謎
  • 戦後、日米政府間で誰にも知られず交わされた密約。
    政府首脳だけが把握し、日米安保のかげで、両国間の構造に深く組み込まれてきた。
    ①米兵の裁判権放棄、②日本への核持ち込み、③基地からの米軍の自由な出撃、④沖縄への核持ち込みという四つの密約の正体とは何か。
    なぜ密約が生まれ、日本に何をもたらしたか。
    米国側の史料・新事実を踏まえ、裏交渉の全容を解明。
    ヴェールを剥ぎとり、対米依存の真相に光を当てる。


    【目次】
    まえがき
    序 章 なぜ密約が交わされてきたのか
    「表」の条約・「裏」の密約  密約とは何か  なぜ密約は問題になるのか  本書の目的と方法  本書の構成
    第1章 なぜ米兵を裁けないのか――刑事裁判権放棄密約の実態
    1 刑事裁判権の原理
    旗国法原理  領域主権論  NATO軍地位協定
    2 日米行政協定の改定
    日米の主張  交渉開始  解決の糸口  津田陳述
    3 密約の成立
    津田陳述の密約性  オランダ方式・ドイツ方式  密約の実務
    4 密約の検証
    津田陳述の非公表性  統計データによる起訴率  オランダ・ドイツの裁判権放棄事例  刑事裁判権放棄の透明性の確保

    第2章 日本への核持ち込み――一九六〇年核持ち込み密約
    1 米国の核政策・日本の非核政策 
    米国の核保有数の急増  アイゼンハワー政権のニュールック政策  NCND政策  重光・アリソン口頭了解
    2 安保改定の舞台裏
    岸首相の訪米(1957年6月)  藤山外相の訪米(1958年9月)  米国の核戦略  フォーミュラ案
    3 秘密交渉の内幕
    岸・ハーター交換公文  フォーミュラをめぐる日米交渉  藤山外相の口頭了解  秘密了解をめぐる攻防  日本側の譲歩  「討議の記録」
    4 対米依存構造
    密約調査と外務省報告書  「東郷メモ」  非核二・五原則  核持ち込み密約

    第3章 米軍が自由に出撃するために――一九六〇年朝鮮議事録
    1 国連軍と日本
    「国連軍」の創設  「吉田・アチソン交換公文」  国連軍と戦闘作戦行動
    2 国連軍と事前協議制度
    「吉田・アチソン交換公文」の効力  日本案の内容  日本案への反応  統合参謀本部(JCS)の意見  朝鮮半島有事における例外規定
    3 密約締結の真相
    朝鮮半島有事の検討と米側の要請  日本側の対応  「好意的考慮案」  表向きと裏の取り決めの二重構造
    4 朝鮮議事録
    吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文  朝鮮議事録  朝鮮議事録への署名  「事前協議なき出撃」  事前協議制度の形骸化


    第4章 沖縄返還と基地の自由使用――朝鮮議事録の行方
    1 沖縄返還への道のり
    「潜在主権」  ブルースカイ政策  ハルペリンとスナイダー  密使・若泉敬  佐藤・ジョンソン会談(1967年11月)
    2 沖縄返還の対処方針
    「核抜き・本土並み」  ニクソン政権下のNSC  NSSM5号  NSDM13号
    3 作戦使用と事前協議
    愛知・ロジャーズ会談(1969年6月)  共同声明抜粋案と総理の一方的発言案  米側共同声明案  韓国・台湾・ベトナム
    4 共同声明・総理の一方的発言
    安保条約の原則  韓国条項  台湾条項  ベトナム条項  朝鮮議事録の存続

    第5章 沖縄への核持ち込み――一九六九年沖縄核持ち込み密約
    1 沖縄返還交渉と核問題
    日米の立場  第二次日本案  苦悩する佐藤首相  「会談録」  日本側最終打合せ
    2 密使・若泉敬の再起用 
    政治的ホットライン  佐藤首相の曖昧な返答  繊維問題  スタンズ・ペーパー  ホイーラー・ペーパー
    3 核抜き交渉 
    佐藤首相案と若泉案  手続きに関する申し合わせ(シナリオ)  「核抜き」合意
    4 核と繊維 
    合意議事録草案  草案の確定  合意議事録への署名  難航する繊維問題  軍部の説得

    終 章 密約が交わされる構造と深層
    密約の特徴  密約の残した影響  密約が明らかにした課題  
    密約の教訓  日米密約の根源

    あとがき / 密約資料 / 参考資料
    日米密約史 関連年表
  • 英語はイギリスやアメリカ、カナダといった母語圏だけでなく、アジア、アフリカ、カリブなど世界各地で公用語となっている。その形は一様ではなく、発音や綴り、語彙、文法が地域ごとに異なる。本書では、世界各地で使用されているさまざまな英語や、その多様性の背景にある歴史について詳細に描く。さらに、グローバル化する世界の中で共通語(リンガ・フランカ)として話されている英語のあるべき今後の姿も記す。

    【目次】

    まえがき
    第1章 複数形の英語――世界に広がる多様な英語変種
    第2章 ブリテン諸島――英語の形成と浸透
     Ⅰイングランド Ⅱウェールズ Ⅲスコットランド Ⅳアイルランド
    第3章 北米――新大陸での定着と拡大
     Ⅰアメリカ合衆国 Ⅱカナダ
    第4章 オセアニア――南半球へと広がるフロンティア
     Ⅰオーストラリア Ⅱニュージーランド
    第5章 アジア――多文化を結ぶ第二言語
     Ⅰ南アジア Ⅱ東南アジア
    第6章 カリブ海地域とアフリカ――クレオールと共通語のダイナミズム
     Ⅰカリブ海地域 Ⅱアフリカ
    第7章 世界の英語の繋がり――変種を超えた共通性
     Ⅰ綴りと発音 Ⅱ語彙 Ⅲ文法
    終章 英語の未来――分裂か収斂か?
     Ⅰリンガ・フランカとしての英語 ⅡEnglishesかEnglishか? Ⅲどのような英語を学習・教育すべきか?
    あとがき
    文献案内/図版出典/世界英語対照年表/用語解説
    人名・作品名・事項索引/語句索引
  • 「お値打ちセール20%OFF!」
    日本語では漢字・ひらがな・カタカナ、それにローマ字まで同じ文に共存しているが、これほど複雑な文字体系は世界に類を見ない。
    漢字からひらがなやカタカナが生まれたが、それらは独自に発展してきた。
    やがて藤原定家がひらがな文に漢字を所々に混ぜ、仏教説話で漢字カタカナ交じり文が生まれた。
    今ではひらがな文が圧倒的に優勢となった。
    文字が生んだ多様で高度な文化社会の変遷を辿る。

    ■□■目次■□■

    はじめに
    第一章 漢文と漢字
     第一節 無文字社会からの離脱
      五世紀の『宋書』「倭国伝」/五世紀日本の文字資料/倭王武(雄略天皇)/文字による支配権力の誇示/仏教と倭人の読み書き能力の向上
     第二節 律令国家と公文書行政
      文字依存社会への急激な移行/戸籍と計帳による住民の掌握/はじめての日本語記載/難波宮跡万葉仮名木簡/ウタを記載する

    第二章 漢字を使った日本語転記
     第一節 和歌と宣命――日本語を記すということ
      和歌資料の重要性/国家的要請から生まれた宣命
     第二節 祝詞と宣命の先後関係
      祝詞の古さについて/律令宣命の新しさ
     第三節 万葉仮名の森からの解放
      万葉集儀礼歌の行く末/万葉仮名の森を抜ける

    第三章 ひらがなのあゆみ
     第一節 ひらがな文と文芸
      ひらがなの成立/平安時代の古写本の体裁/古今和歌集
     第二節 藤原定家の表記改革
      読めなくなった王朝文芸/定家による歌文の表記改革/古典文芸の表記の変遷
     第三節 平安末期の日本語の歴史的変化
      古代語の音変化/古代語の文法変化
     第四節 定家本『土佐日記』の漢字使用
     『土佐日記』の特異性/定家写本の新たな資料価値
     第五節 貫之自筆本と定家本の和歌の漢字使用の違い
      定家本に注目しよう/読書習慣の変化
     第六節 和漢混淆文に吸収されたひらがな文
      和漢混淆文とは何か/文芸ジャンル「和漢混淆文」の成立

    第四章 近世ひらがな文の展開
     第一節 戦国時代分国法の文体
      中世東国の公文書/伊達家「塵芥集」の文体
     第二節 江戸時代の出版文化と書き言葉
      十七世紀の識字層の拡大/契沖の上代研究と歴史的仮名遣い/仮名遣いを呼び込んだ江戸時代のひらがな文
     第三節 明治普通文と言文一致運動の葛藤
      近代国家にふさわしい文体とは何か/東京語の成立
     第四節 言文一致体の矛盾
      近代社会を揺るがせた仮名遣い改定問題/政治問題化した仮名遣い

    第五章 カタカナのあゆみ
     第一節 漢文訓読とカタカナ
      平安時代を拓いたひらがなとカタカナ/カタカナの起源
     第二節 カタカナの成立とカタカナ文
      漢文訓読の開始/漢字に付着したカタカナ/王朝文語で書かれたカタカナ交じり文/漢字カタカナ交じり文出現の理由/漢字カタカナ交じり文の資源としての漢文訓読語/説話文学のカタカナ交じり文
     第三節 室町時代のカタカナ交じり文
      口語体の漢字カタカナ交じり文/近世古典注釈のカタカナ口語文

    第六章 実用的カタカナ文の展開
     第一節 近世の実用的カタカナ文――明治普通文への資源的準備
      漢字カタカナ交じり文の性格/知的実用文としての展開/近代公文書書式への準備
     第二節 明治政府の公文書書式――明治普通文
      五箇条の御誓文/カタカナ交じりの公文書
     第三節 カタカナ・ひらがな・漢字・ローマ字の共存――大量消費社会と自然科学
      同じ文脈での異種文字の共存/ひらがな文の拡大/ワープロ等の書き言葉への影響

    終章 日本語の書き言葉の不思議
      日本語の無文字体質/ひらがなの消極性/漢字の補助字体としてのカタカナ/カタカナ文成立の契機/明治普通文の有用性/言文一致運動/仮名遣い改定問題/知的文体におけるひらがな文の優位性/慎ましい文字・ひらがなの勝利
  • 日本の障害者福祉は長年、施設をつくって障害者を収容することに主眼を置いてきた。
    近年、「施設から地域へ」を合言葉にグループホーム等の開設に力点が置かれるようになったが、重度知的障害者の移行は容易ではなく、不適切な施設で虐待に遭う事態なども起きている。
    本当に必要な居場所とはどんな場所なのか、どうすれば創れるのか。
    自宅でも職場でもない「サードプレイス」に着目し、著者自身が実際に作る試みも紹介。

    はじめに

    序章 居場所がない障害者たち

       第1部 障害者福祉の概要

    第1章 障害者であること
     第1節 障害者の定義
     第2節 社会のなかの障害者たち
     第3節 生活の実際

    第2章 障害者福祉の思想
     第1節 基本的人権
     第2節 ノーマライゼーション理念
     第3節 自立生活運動
     第4節 人権モデル

    第3章 支援施策のあゆみ
     第1節 歴史
     第2節 ケアのあり方
     第3節 一人ひとりに寄り添う支援

       第2部 障害者の居場所の創出

    第4章 居場所をつくる活動
     第1節 なぜ「居場所」が必要なのか
     第2節 住まいの場の充実
     第3節 当事者の活動
     第4節 共に生きる

    第5章 障害者グループホームの可能性
     第1節 自宅以外の住まいの場
     第2節 障害者グループホームについて
     第3節 資産活用としての家

    第6章 福祉型サードプレイスをつくる
     第1節 家づくりを始める
     第2節 家の生活空間をつくる――建築士との打ち合わせ
     第3節 家を建てはじめる、完成、その後

    終章 誰もが居場所を持てる社会へ

    おわりに
  • フランス大統領を2期務め、欧州統合の礎を築いたフランソワ・ミッテラン(1916~96)。
    社会党初の大統領として、東西ドイツ統一や冷戦終結など国際政治の激動期を導いた。一方、青年期にはナチスに協力的なヴィシー政府で働いた過去や、大統領期に新自由主義的な政策を実施したことから、権謀術数を駆使した「政治屋」と揶揄する声も多い。
    毀誉褒貶ある足跡から、戦争と革命の20世紀とフランス現代史を辿る。

    ■目次■

    まえがき

    第1章 フランスの地方に生まれて――「王か法王になる」

    第2章 世界大戦との出会い――「フランスを中から目覚めさせる」

    第3章 政界のホープ――「野心は統治者になることに尽きる」

    第4章 大統領への道――「革命とは決別のことである」

    第5章 社会主義から欧州統合へ―― 「私はヨーロッパ建設と社会正義の間で迷っている」

    第6章 ドイツ統一とポスト冷戦時代の始まり――「自らの手でヨーロッパを作り出す」

    終 章 フランスの歴史と政治――ミッテランが遺したもの

    あとがき
    写真出典
    主要参考文献
    ミッテラン略年表
  • 出入国管理政策の変遷を論じることは、日本社会がどのように外国人を生み出し、処遇してきたのかを描くことにほかならない。
    本書は、入管体制の成立、法的地位の変化、「多文化共生」の展開、強化される管理と監視、人種差別や労働力の受け入れなど多岐にわたる論点や課題を扱い、80年の軌跡を確認する。

    はじめに

    序 章 本書の対象

    第1章 入管体制の成立―1945~52年
    1 アジア・太平洋戦争の終焉と引き揚げ
    2 移動と「外国人」の管理
    3 非正規の移動とその管理
    4 日本の再独立と「外国人」問題の発生
    5 まとめ

    第2章 「黒船」に至るまで―1952~81年
    1 分断国家と朝鮮人の法的地位―1952~65年
    2 台湾人・中国人の法的地位―1952~72年
    3 入管解体闘争とベトナム反戦運動―1970年代
    4 「黒船」とその余波
    5 まとめ

    第3章 「1990年体制」の成立と展開
    1 旧植民地出身者の「在日」化
    2 2つの「問題」
    3 「1990年体制」
    4 「多文化共生」の展開と課題
    5 まとめ

    第4章 強化される管理と監視―2000年代
    1 「テロとの戦い」と監視技術の向上
    2 「不法滞在者」の排除
    3 「望ましい外国人」の模索 
    4 新しい在留管理制度の成立
    5 まとめ

    第5章 人種差別と出入国管理政策―2010年代
    1 「日本型排外主義」と対抗運動
    2 「日本型排外主義」と出入国管理政策
    3 国籍法と出入国管理
    4 重国籍者をめぐる社会と制度
    5 まとめ

    第6章 労働力の受け入れ―2020年代
    1 人口減少と外国人労働力への依存
    2 技能実習制度の転換
    3 非正規滞在者と収容・送還
    4 まとめ

    終 章 これからの選択
    1 新型コロナと入国規制
    2 入管政策の今後

    あとがき
    主要参考文献
    入管法などの変遷
    入管法の改廃(1997~2024年)
  • 人口増、鉱物資源など潜在力への注目から、各国が関与を強めるアフリカ。覇権が揺らぐ米国、歴史問題を抱える旧宗主国、進出する中露、地政学的な緊張関係にある中東など、複雑に絡む利害を繙く。アフリカは独立から現在まで、食料難、環境問題、強権化などを抱えつつも、国際情勢の変動にしたたかに対処してきた。その独自の行動原理を読み解く。地域大国エジプトvs.エチオピア、崩壊国家ソマリア、「優等生」ボツワナなどを一望。
    第1章 希望と絶望の交錯する経済大陸
    1 人口増加と経済市場の拡大
    2 人の移動と食料問題

    第2章 国家と政治体制の変容をとらえる視座
    1 脱植民地化から冷戦崩壊後まで
    2 「外向」という分析概念
    3 アフリカにおける民主主義体制?


    第3章 旧宗主国からの再離脱――サヘル地域、西アフリカをめぐる国際関係
    1 「アフリカ+1サミット」開催の動き
    2 アフリカへの関与を深める中国
    3 サヘル・アフリカとロシア
    4 旧宗主国の「撤退」と第二の「脱植民地化」
    5 揺らぐアメリカの関与

    第4章 「アフリカの角」をめぐる地政学―― 中東諸国と米中の思惑
    1 エリトリア独立とソマリア問題
    2 中東諸国の関与
    3 不安定化するアフリカの角

    第5章 南部アフリカの政治変容――「優等生」ボツワナの変化を読み解く
    1 南部アフリカの地域的特徴
    2 民主主義と権威主義の間で揺れるボツワナ
    3 二つの選挙と民主主義

    第6章 日本とアフリカ――TICADは何をめざしてきたか
    1 トップドナーの地位から「ODA冬の時代」へ
    2 平和構築と自衛隊派遣
    3 New TICADへの転換
  • ヨーロッパ文明揺籃の地である古代ギリシャの輝きは、神話の世界そのままに、人類史の栄光として今も憧憬の的であり続けている。
    一方で現在のギリシャは、経済危機にあえぐバルカンの一小国であり、EUの劣等生だ。
    オスマン帝国からの独立後、ギリシャ国民は、偉大すぎる過去に囚われると同時に、列強の思惑に翻弄されてきた。
    この“辺境の地”の数奇な歴史を掘り起こすことで、彼の国の今が浮かび上がる。
  • 人間は、つねに疑念を抱く生き物である。
    錯覚や幻覚、虚偽(フェイク)や真実(トゥルース)、善や悪、陰謀論とどう付き合い、向き合うか。
    ヒントは古来、思想家たちが探究してきた懐疑=判断保留の哲学にある。
    古代ギリシアで興った懐疑論は、ルネサンス期に再発見され、近代にデカルトやヒュームらが展開し、ウィトゲンシュタイン以降、新しく花を開く。

    2500年の軌跡から人間の思考の落とし穴を知り、心の平安にいたる手引書。
  • 森有礼、西村茂樹、西周、加藤弘之、中村正直、福澤諭吉ら錚々たる顔触れが集った知的結社・明六社。本書は、彼らの議論を通して、明治の思想を描き出す。政体、宗教、社会などに関するビジョンや論点を照らし、その内実を照らす試み。

    目 次

    はしがき

    序 章 明治六年の東京物語
    土佐の少年、備中の中年女性/論争の海へ/活動のはじまり/「啓蒙」というレッテル

    第1章 「ふたり」をつくる/「みんな」をつくる――森有礼と西村茂樹
    公私での苦難/後の華麗なキャリア/「哲学的な論争者」という可能性/「妻妾論」への誤解/森の論点/理想の夫婦という秩序/妾と養子/家と血筋をめぐって/「妻妾論」の実践とその帰結/藩の人/「賊」と「民」/「転換説」/「政府与人民異利害論」――「民権」と漸進主義という二つの焦点/「不平の気」と議会制――明治の保守主義の先駆者/「一身にして二生」/「道徳会」の構想/「なかま」としての社会へ

    コラム①歴史と革命―― 箕作「兄弟」
    血縁なき二人/麟祥と翻訳/秋坪と教育

    第2章 「国のかたち」をつくる、「国」を開く――西周と津田真道
    升子の不安/西周の鬱屈/「大君のモナルキ」と「改革之機」/学者職分論論争/応用哲学のこころみ/情実・秘密・愛敵/料理と国学/歴史意識と国家論――「日本国総制度」と徳川合衆国/公議所での活躍/「文明」と欲望を捉える/自由貿易という論点/それぞれの議論のスタイルと政策論/それぞれの死

    コラム②統計と国家――杉亨二
    苦学からの立身出世/統治と為政者への関心/歴史とデータ

    第3章 「宗教」をめぐって――加藤弘之と中村正直
    近代日本初のアンチ・フェミニスト?/学者貴族としてのプライド/蕃書調所・開成所/国権論と国富論/民選議員論争/国家と宗教「米国政教」/女子師範学校での一光景/江戸のメリトクラシー/『西国立志編』/『自由之理』/政治と道徳/論争好きの加藤、争わない中村

    コラム③紙幣と市場――神田孝平
    明六社「通信員」・神田孝平/金融財政政策と議会論/陸奥宗光と異なる歩み

    第4章 演説する/翻訳する 福澤諭吉と阪谷素
    暗殺の季節/『自伝』の沈黙と「大君のモナルキ」/手段としての明六社/営業戦略としての論争/議論への不信/久坂玄瑞との思い出/旅と漢詩/「孔孟の道」の延長線/欲望と気力/儒者から見た政治/会議・公論/演説・翻訳/「自由」のエネルギー/その後

    終 章 「社会」とは何か
    「概括力」/竹越三叉とコペル君のまなざし/明治八年の停刊/勝海舟と福澤諭吉の対面/「交際」という理念

    後書き
    研究案内
    参考文献
    略年表
  • 1952年に25歳で英国の王位に即いたエリザベス女王。カナダ、オーストラリアなど15ヵ国の元首でもあった。70年間という史上最長の在位期間中、政治に関与し続け、また数多くの事件に遭遇する。W・チャーチルら15人の首相が仕え、「政治的な経験を長く保てる唯一の政治家」と評された。本書はイギリス現代史を辿りながら、幾多の試練を乗り越え、96年に及んだ生涯を描く。コロナ禍や新国王の戴冠式を増補した決定版。

    【目次】

    第Ⅰ章 リリベットの世界大戦――王位継承への道

    第Ⅱ章 老大国の若き女王――二五歳での即位

    第Ⅲ章 コモンウェルスの女王陛下――一九七〇~八〇年代

    第Ⅳ章 王室の危機を乗り越えて――ダイアナの死と在位五〇周年

    第Ⅴ章 連合王国の象徴として――二一世紀の新しい王室

    補 章 「大王」の死――コロナ、在位七〇周年、そして崩御

    おわりに
    あとがき/増補版へのあとがき
    主要参考文献
    主要図版出典一覧
    エリザベス女王関連年譜
  • 電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。
    小田原城を本拠に雄飛した戦国大名北条氏。今川・武田・上杉ら有力大名とは、激しい攻防を繰り広げる一方、婚姻や養子縁組で同盟関係を結んだ。
    一族の結束を誇り、民政重視の巧みな領国統治で名高い。伊豆・相模・武蔵・下総を版図に収め、北関東の一部をも勢力圏とする。
    だが、豊臣政権と鋭く対立、小田原合戦で敗れてあえなく滅亡した。
    初代宗瑞(早雲)から氏綱・氏康・氏政・氏直まで、宗家五代一〇〇年の歩みをたどる。

    ■目次

    はじめに

    序 章 歴代の身辺・履歴

    第一章 将軍近臣からの転身
         ――初代当主・宗瑞とその時代

    1 京都から駿河へ
    2 伊豆・相模の平定
    3 「武にして禅にゆく人」

    第二章 「相州太守」から関東管領へ
         ――二代当主・氏綱とその時代

    1 武蔵の併合
    2 伝統的権威への対応
    3 領域支配制度の整備

    第三章 最盛期の現出
         ――三代当主・氏康とその時代

    1 関東管領職をめぐる戦い
    2 公方-管領体制の再編
    3 民政の推進
    4 「小田原衆所領役帳」の作成

    第四章 当主と隠居の二頭制
         ――四代当主・氏政とその時代(一)

    1 新たな強敵への対応
    2 当主としての自立
    3 越相同盟

    第五章 「関東八州」の領国化
         ――四代当主・氏政とその時代(二)

    1 甲相同盟下の戦局
    2 織田政権への編入
    3 新たな公権化への道

    第六章 中央政権との交渉
         ――五代当主・氏直とその時代(一)

    1 織田政権下での動き
    2 北条・徳川同盟の成立
    3 豊臣政権への対応

    第七章 小田原合戦
         ――五代当主・氏直とその時代(二)

    1 戦闘準備
    2 小田原開城
    3 豊臣家臣としての再生

    終 章 「典型的」と評された戦国大名の実像

    あとがき
    主要参考文献
  • 東西冷戦下、第三勢力台頭の機運を背景に激化した植民地独立闘争、アルジェリア戦争(1954~62年)。
    フランスは兵力を増派して鎮圧を図るも成功せず、巨額の戦費による財政難、国内政治の行き詰まりで第四共和制が崩壊した。ドゴール政権は難局を打開すべく、強硬路線を転換し、ついに独立を承認する。
    約8年に及んだ戦争はフランスと国際社会に何をもたらしたのか。今日の移民問題にも密接に関わる歴史的事件を見直す。



    ■本書の目次

    まえがき

    序章 戦争前史

    オスマン帝国以前/オスマン帝国の支配/フランス占領の開始/アラブ民族主義との結合/カビリーの蜂起/アルジェリアでの同化政策/第一次世界大戦の影響/両大戦間期とENAの登場/第二次世界大戦

    第一章 独立戦争の開始

    「赤い万聖節」/アッバースの反応とFLNへの接近/独立運動の国際化の始まり/バンドン会議とアジア・アフリカの連帯/ナセルの登場とマグレブの参加/バンドン会議の短期的影響/強硬路線とヨーロッパ統合構想との交錯/アルジェリア強硬路線への回帰/ドゥフェール海外領土相と植民地の将来

    第二章 アラブ諸国の参戦とドゴール復帰

    スエズ危機・戦争とアルジェリア問題の連関/スエズ危機・戦争のインパクトとその背景/危機から戦争へ/ハンガリー動乱と「二重の危機」/英仏連合・FTA構想の興亡/スンマム会議からアルジェの戦いへ/拷問、検閲、監獄、収容所/モレ政権崩壊とアルジェの戦いの終結/マグレブの国境紛争/サキエト事件と英米の調停/ドゴールの召喚/アルジェでのコロンによるクーデター/ドゴールの首相就任

    第三章 戦場の拡大と膠着

    戦場の本国への拡張/FLNによる本土でのテロ攻撃/ドゴール外交の始動/GPRAの成立/ドゴールのアフリカ政策の展開/コンスタンティーヌ・プランの発表/「勇者の平和」提案/ドゴールの大統領就任演説/EECの救済とアルジェリアの包摂/シャル計画の開始

    第四章 自決の承認から停戦交渉の模索へ

    ドゴールの「自決演説」/自決演説の意味/ムランでの休戦交渉の「失敗」/知識人たちのアルジェリア/国連での反植民地主義の高まり/OASの台頭

    第五章 エヴィアン交渉

    外交舞台/主要な争点/軍事面での争点/外交交渉での取引/交渉妥結の構造的要因/アラブの連帯、ヨーロッパの連帯/国連の圧力

    第六章 和平協定の締結

    エヴィアン協定における「独立」/脱植民地化の波の中で/脱植民地化の流れへの影響/フランス外交への影響/フランス外交戦略の変化/中東政策の変化/停戦からアルジェリア独立へ/ドゴール暗殺未遂事件/憲法採択とベンベッラ政権の発足

    終章 アルジェリア戦争は何を遺したのか

    休戦交渉以前/休戦交渉以後/独立後のフランス-アルジェリア関係/第三世界の雄との「対決」/ミッテランの登場と「ユダヤ例外主義」/「危機の一〇年」/シラクによる戦争の承認/記憶をめぐる闘いの終焉?/惨劇を繰り返さないために

    あとがき

    参考文献
  • 大学をはじめ学校の運動部出身で特有の価値観・行動様式を持つ体育会系。
     厳格な上下関係、規範意識の高さなどを特徴とし、爽やか、暴力的、勉学が苦手、就活に有利など様々に語られてきた。
     本書はその起源から、先輩・後輩関係の分析調査、スポーツ推薦入試の軌跡と現状、就職後のキャリア形成の困難まで、彼らを多角的に描く。
     近年、話題となる不祥事の歴史も追い、日本社会で500万人以上とも言われる日本独自の体育会系の実態を描く。
  • 日本人の著者が綴った、広義のキリスト教入門は数多く、ベストセラーやロングセラーも散見される。
    他方、日本人のクリスチャンの数は一向に増えない……。

    本書は、これまで多く出されてきた書籍をたどることで、この国の文化的背景、読者が何を求めてきたのかといった受容の変化などを掘り下げて論じる。
    賀川豊彦、片山哲、矢内原忠雄、南原繁、山本七平、小室直樹、曽野綾子、三浦綾子、『ふしぎなキリスト教』、人気のYouTubeチャンネルなどは、何を語ろうとしてきたのか――。


    目 次
    はじめに 

    序 章 内村鑑三の戦いと予言――読むキリスト教の始まり
    1 十字架の戦士――内村鑑三の無教会主義
    2 ファン以上信者未満の読者たち
    3 キリスト教を阻む不思議な力

    第1章 この宗教文学がすごい!――煩悶青年たちの爆発的ベストセラー
    1 反逆のベストセラー作家ができるまで――江原小弥太の彷徨
    2 キリスト教を突き抜けた男
    3 幽霊屋敷の聖者――賀川豊彦『死線を越えて』
    4 メディアスターの悲劇

    第2章 生まれ変わる聖書と日本人――占領期のキリスト教ブーム
    1 推しの神の子――黒崎幸吉『聖書の読み方』
    2 クリスチャン総理の挫折――片山哲の青い鳥
    3 言論ギャングの逆襲と困惑――野依秀市vs.亀谷凌雲
    4 皇室御用達のキリスト教――ヴァイニング夫人と光の子

    第3章 聖書はファンタジーなのか――学知と信仰のシーソーゲーム
    1 東大総長たちの戦中戦後――南原繁と矢内原忠雄
    2 赤い牧師の逆回心――赤岩栄『キリスト教脱出記』
    3 信と不信の共存――椎名麟三『私の聖書物語』
    4 売れっ子作家たちの契約論――山本七平と小室直樹

    第4章 暁の星の司祭二人――カトリック知識人の登場
    1 正邪の番人――聖人への道
    2 真なる教会の守護者――岩下壮一
    3 聖女を見た外科医――戸塚文卿

    第5章 日本人は神を愛せるか――裁きの神と赦しの神の相剋
    1 あの方に捧げた日本国――志村辰弥と秋田の貴婦人
    2 語られなかった弱虫たちへ――遠藤周作と母なる神
    3 メイド・イン・ジャパンの救世主――井上洋治の南無アッバ

    第6章 善き神はなぜ残酷な世界を創ったのか――苦難への彼女たちの応答
    1 女と男と男の聖愛――三浦綾子の絶望と再生
    2 奇跡は本当に起きたのか――曽野綾子の諦めと回生
    3 受け入れるしかないこの世界――渡辺和子の孤独と覚醒

    終 章 キリスト教入門のゆくえ
    1 入門書の四類型
    2 ハイブリッド化の進展
    3 紙上の教会は永遠に

    おわりに
    主要参考文献
  • 世界で先行していた物価の高騰=インフレーションが、日本でも2022年春から始まった。
    それまでの慢性デフレから一転したのはなぜか――。
    物価研究の第一人者がその謎を解く。

    物価高騰は私たちの生活を圧迫するが、同時に賃上げを達成すれば、市場は価格メカニズムを取り戻し、日本の経済は好循環で回り始める。
    どうすれば賃金を上げられるのか? 
    政策金利は、財政はどうなるのか? 
    直撃するインフレの実態に迫る。


    ■目 次■

    序 章 新たな時代の始まり

    第1章 賃金・物価・金利の正常化
    1 本章の論点  
    2 慢性デフレとは何だったのか  
    3 賃金・物価・金利の変化  
    コラム:日銀はなぜ2%のインフレを目指すのか  

    第2章 インフレは日本経済をどう変えるのか
    1 本章の論点  
    2 価格メカニズムの正常化  
    3 実質為替レートの正常化  
    4 政府債務の正常化  

    第3章 インフレと日銀
    1 本章の論点  
    2 インフレは一過性か  
    3 物価予測のミスを闇に葬った日銀とエコノミストたち  
    4 「基調的インフレ」とは何か  
    5 植田日銀の利上げは機会主義的  
    6 利下げでトランプ関税に備えよ  
    7 国際的な「同期」が高インフレをもたらす可能性  
     コラム:日銀の追加利上げは「全く理解できない」  

    第4章 インフレと賃上げ
    1  本章の論点  
    2 安いニッポンに賃上げと値上げの自粛は必要ない
    3 最低賃金の引き上げはなぜ必要なのか  
    4 実質賃金改善のために労使は何をすべきか  
    5 「自然」実質賃金という考え方  
    6 トランプ関税を負担するのはいったい誰なのか  
     コラム:賃上げを社会に定着させる方法
     
    第5章 インフレと財政
    1 本章の論点  
    2 賃金と物価を上げるための財政支出をためらってはいけない 
    3 インフレ率2%経済への移行で得られるインフレ税収  
    4 消費税減税で潤うのは買い手ではなく売り手なのか?  
     コラム:高市政権の「積極財政」の可能性とリスク  

    第6章 インフレの変動要因
    1 本章の論点  
    2 令和の米騒動の原因は需要か供給か  
    3 黒田日銀総裁が語った70万字  
    4 パンデミックで迷走した物価統計  
    5 消費者が「見た」価格と「買った」価格はどう違うのか  

    あとがき  
    図表出所一覧  
    初出一覧  
    参考文献
  • 2人に1人はがんに罹り、その75%が65歳以上の高齢者である。今では6割の人々が治癒するが、それでも患者は時として「身体と心の弱者」になってしまう。本書は、がん発生のメカニズムから健康管理、正しい診断と最善の治療、退院後の注意点まで、最新の医学を解説。さらに、高齢がん患者と家族の心をケアするために何ができるか、がんと向き合うための心構えをどう持つか、1万人以上の患者・家族の証言をもとに説く。

    □■□目次□■□

    はじめに

    第1章 高齢がん患者の特徴
     1 超高齢社会の訪れ
     2 高齢者の定義
     3 高齢がん患者の治療
     4 高齢がん患者に対する配慮
     5 高齢がん患者の心
     6 高齢がん患者の療養生活

    第2章 がんという病気
     1 がんの本態
     2 がんの特性――浸潤と転移
     3 がんの分類
     4 遺伝性がん
     5 小児がんとAYA世代のがん、希少がん

    第3章 健康管理とがん対策
     1 がんとの闘い全経過
     2 がんの予防――ゲノムを守る
     3 がん検診と特定健診
     4 日常診療

    第4章 がんと心
     1 心を支える闘い
     2 深刻な事態に直面したときの心の動き
     3 がん治療を受ける患者の心
     4 「がんの社会学」研究
     5 苦痛・悩み・負担を聞き取る
     6 生きる意味――「生き甲斐」と「生かされ甲斐」
     7 現代の死生観

    第5章 治療の準備
     1 病院の選択
     2 医療スタッフとのつきあい方
     3 確定診断への道すじ
     4 治療方針の決定
     5 インフォームド・コンセント(説明と同意)
     6 治療法の選択に迷ったとき
     7 セカンドオピニオン(第二の意見)
     8 患者支援団体・患者会

    第6章 治療の実践
     1 集学的治療と標準治療
     2 がんの手術療法
     3 がんの放射線療法
     4 がんの薬物療法
     5 がん薬物療法による副作用――臓器障害
     6 がん薬物療法による副作用――全身症状
     7 苦痛を和らげる治療・ケア

    第7章 初期治療後の診療と暮らし
     1 経過観察期への移行
     2 自分の暮らしを取り戻す

    第8章 進行・再発がんの治療
     1 進行・再発がん
     2 薬物療法
     3 標準治療が困難な場合
     4 症状緩和と終末期の治療・ケア
     5 やるべきこと、やりたいこと、やれること
     6 患者から学んだこと

    第9章 がんと情報
     1 患者・家族のための情報
     2 民間療法・健康食品

    第10章 がんと暮らし
     1 暮らしを守る
     2 家族・周囲との絆
     3 経済的負担
     4 仕事の悩み
     5 行政による医療福祉サービス

    第11章 家族の役割と心構え
     1 身体と心の弱者
     2 家族の心構え
     3 最期の看取り

    おわりに

    文献
  • 新時代の風を一身に浴び、民主的な立憲君主になろうとした昭和天皇。
    しかし、時代はそれを許さなかった――。
    本書は今まであまりふれられることのなかった青年期に至るまでの教育課程に着目し、政治的にどのような思想信念をもっていたかを実証的に探る。
    そしてそれは天皇の実際の振る舞いや政治的判断にいかなる影響を与えたのか――。
    旧版刊行後の約15年で、新たに発見・公開された重要史料や史実を増補。

    はじめに
    昭和天皇の実像とは  あくまで実証的に  思想形成過程に注目

    第一章 思想形成
    一 東宮御学問所
    生い立ち  東宮御学問所に進学  杉浦重剛の倫理学杉浦の天皇観・国家観  白鳥庫吉の歴史  清水澄の法制経済
    二 訪欧旅行
    発端  宮中の職制と元老  外遊の成功
    三 摂政就任「君臨すれども統治せず」  神格化を否定  皇室改革に意欲  研修活動  立作太郎の外交史  清水澄の憲法進講  明治天皇について学ぶ  生物学を趣味とする  アイドルとなる  牧野伸顕の内大臣就任  政治思想の確立

    第二章 天皇となる
    一 田中内閣への不信
    施政方針を明示  直訴頻発の意味  当時の日課  田中義一首相への不信  優諚問題  中国の主権を尊重  即位大礼  剛毅な昭和天皇像の誕生
    二 首相𠮟責事件張作霖爆殺事件  つのる田中首相への不信感  昭和天皇の政党政治観  張作霖事件の進展  𠮟責を決意ついに田中を𠮟責  昭和天皇の発言  田中𠮟責の意味  道徳的な政党政治を追求
    三 ロンドン海軍軍縮条約問題
    浜口を激励  反撥する軍令部  鈴木侍従長の対応 統帥権干犯問題  加藤軍令部長の辞意  右翼の宮中
    側近攻撃  徳治主義の発露  クーデター未遂

    第三章 理想の挫折
    一 満洲事変
    不拡大方針の挫折  最善を尽くしたか  揺らぐ昭和天皇の権威  連盟との対立を心配  犬養内閣の成立桜田門事件  「日支親善は出来得るや」  心労たまる昭和天皇
    二 五・一五事件
    政党政治を見放す  秩父宮との対立  連盟脱退へ 本庄侍従武官長の登場  なお協調外交を追求  軍の政治化に批判的 満洲問題  
    三 天皇機関説事件と二・二六事件
    天皇機関説事件  在郷軍人会パンフレットを批判  孤立した昭和天皇  対中融和を追求  牧野内大臣の引退  二・二六事件勃発  即時鎮圧を決意  陸軍
    への怒り  本庄武官長辞職  近衛首相に期待

    第四章 苦悩の「聖断」
    一 日中戦争
    盧溝橋事件の勃発  対応の誤り  やつれる昭和天皇張鼓峰事件で陸軍と対立  長期化する日中戦争
    二 防共協定強化問題
    念書を書かせる  ノモンハン事件と天津租界封鎖問題板垣陸相に激怒  陸相人事に注文  首相の人選を主導  ドイツの快進撃に幻惑される  第二次近衛内閣の成立  三国同盟を容認
    三 太平洋戦争開戦
    日米交渉に期待  武力行使を強く否定  御前会議で異例の発言  開戦を決断  早期終結を指示  戦況の悪化を懸念  支持を失う東条首相
    四 終戦の「聖断」一撃講和論をとる  早期講和論に転換  ポツダム宣言  一回目の「聖断」  昭和天皇の決断  二度目の「聖断」  「聖断」の意図

    第五章 戦 後
    一 退位問題
    東条に責任を転嫁したか  マッカーサーに責任を認める  免責への動き  世論の動向  「人間宣言」  新憲法の制定  『独白録』の意味  退位論  退位せず  改憲再軍備と政治関与  留位の副産物  戦後巡幸  皇居再建の道のり
    二 講和問題と内奏
    新憲法下の天皇  一九四七年九月の発言  講和問題との関わり  戦後の内奏  内奏継続の意味
    三 「拝聴録」への道
    後半生の主題は戦争責任  世論調査に見る昭和天皇 二度目の訪欧  沖縄への関心  訪米  中国への謝罪  植民地支配への反省  「拝聴録」作成へ  厭世的になる  崩御

    おわりに
    理想実現に尽力  旧憲法と国民に裏切られる  君主としての責任を自覚 戦争責任と向き合う
      
    昭和天皇についての研究史
    参考文献目録
    あとがき
    人名索引
  • 電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。

    広大なユーラシア大陸は中央の乾燥地帯を境に生態環境が二分される。
    日本列島を含む東側では古来、遊牧・農耕・海洋の諸文明が興亡。シルクロードほか陸海の路を介して多彩な物産、また宗教・文化が東西を往来した。
    ソグド商人やペルシア・アラビア商人の活躍、モンゴル帝国の隆盛と解体、明の鄭和の南海遠征、大航海時代の展開から、欧米列強の極東進出、アジア・太平洋戦争まで――。交易をキーワードに壮大な歴史をたどる。

    ■本書の目次

    はじめに

    序 章 風の中の歴史

    1 ユーラシアを吹き抜ける風
    2 新たな歴史観

    第一章 偏西風アジアでの文明の形成
         ――先史時代から紀元四世紀

    1 偏西風アジアの遊牧騎馬文明
    2 偏西風アジアの農耕文明

    第二章 モンスーンアジアでの文明の形成
         ――先史時代から紀元五世紀

    1 モンスーン陸域アジアでの交易
    2 モンスーン海域アジアでの交易

    第三章 広域交易圏の形成
         ――四世紀から八世紀

    1 偏西風アジアでのキャラバン交易
    2 モンスーンアジアにおける港市国家連合

    第四章 一体化する北と南の交易圏
         ――九世紀から一二世紀

    1 北東アジアの新興勢力
    2 モンスーン海域アジアの新興勢力

    第五章 ユーラシア通商圏の形成
         ――一三世紀

    1 新生遊牧帝国の形成
    2 モンゴル帝国とモンスーンアジア

    第六章 通商圏の変調と再編
         ――一四世紀から一六世紀

    1 陸域アジア――カアンを継ぐ者
    2 海域アジア――海禁・朝貢・密貿易

    第七章 信仰、戦争、そして通商
         ――一七世紀から一九世紀前半

    1 偏西風アジア――割拠する諸勢力
    2 モンスーンアジア――新たな参入者

    第八章 欧米列強の極東アジア進出
         ――一九世紀

    1 ロシアの極東進出
    2 イギリスの極東進出
    3 自由貿易と地政学

    終 章 環球の中の日本
         ――二〇世紀

    おわりに

    あとがき
    主要参考文献
  • 中国とイスラーム世界が邂逅した7世紀以降、西方や南方から来華したムスリムは、歴代中国の諸勢力が躍進する原動力となり、各地に豊かな文化を根づかせた。
    彼らは、中華文明とどう向き合い、中国社会をどう変えたのか。

    本書は、唐宋代の交易からモンゴル帝国の統治、鄭和の大航海、清への反乱、辛亥革命と日中戦争、現代新疆の実相までを一望。
    時空を超えた1400年の軌跡を、世界史の視座のもと照らし出す。

    【目次】
    まえがき

    序 章 中国ムスリムの概要
    民族別の人口と居住地  三つの主要な集団  ①漢語を話すムスリム回族を中心に  「回族らしさ」とは何か  回族の宗教信仰  移動と定住  ②新疆のテュルク系ムスリムウイグル族を中心に  ③サラール族・東郷族・保安族

    第1章 外来ムスリムの往来と定住唐代から元代
    1 唐とイスラーム世界の邂逅
    2 沿海部における交易活動
    3 中央アジアのテュルク化とイスラーム化
    4 元朝と色目人 

    第2章 土着化の進行明代
    1 社会的地位の変化 
    2 混血と入信 
    4 鄭和の大航海 

    第3章 苦難と変革清代
    1 政策と制度 
    2 思想の深化 
    3 諸イスラーム集団の形成 
    4 ムスリム反乱 
    5 近代的覚醒と国際関係 

    第4章 民族意識の形成中華民国期
    1 新国家への期待と現実 
    2 馬家軍西北地域の回民軍閥 
    3 ナショナリズムの喚起 
    4 民族と宗教 
    5 ウイグル・アイデンティティの芽生え 

    第5章 社会主義時代を生き抜く中華人民共和国期
    1 宗教の破壊と再生 
    2 中国共産党と新疆ムスリム社会 
    3 国際化する新疆問題 
    4 政治宣伝と文化変容 

    終 章 中国ムスリム史が伝えるもの

    あとがき 
    参考文献
    イスラームが動かした中国史 関連年表
  • 国や地域別の幸福度ランキングが、しばしば注目を集める。だが、そもそも幸せの基準は文化によって異なる事実を文化心理学が実証した。一例として幸福感は、欧米では個人的な達成感、日本では対人関係と関連する。本書は国際比較を通し、日本社会における幸せの特徴を探る。また、個人の一時的な感情にとどまらず、地域コミュニティ、職場、学校などの現場における持続的な幸福(ウェルビーイング)についても考える。

    目 次

    第1章 文化心理学とは何か
    文化とは何か/文化心理学とは/「当たり前」を疑う/心理学における認知革命/人類学の知見/比較するということ/文化的自己観/選択をめぐる文化差/文化的自己観と自己認識/認知と文化/分析的思考と包括的思考/文化学習が起こるプロセス/教育やメディアが与える影響

    第2章 幸福の国際比較
    幸せの統計学/幸福というあいまいな概念を測定する方法/ヘドニアとユーダイモニア/幸福の国際比較/平均値の比較、ランクづけの問題点/幸福の意味の歴史的変遷/獲得的幸福と協調的幸福/「幸せすぎると怖い」?/幸福を長続きさせる戦略

    第3章 対人関係、集団意識、自己
    スモールワールド現象とは何か/個人を超えた集団レベルの資源/結束型と橋渡し型/つながりが多ければ多いほど良いのか?/友達とはどのような存在か/友達を選ぶ国・アメリカ/人付き合いの日米比較/評価懸念と同調圧力/言葉遣いは自己意識にどう影響するか/どんなサポートが幸福感を高めるか/他者理解にひそむ文化差

    第4章 主観的なウェルビーイングをどう測定するか
    そもそもウェルビーイングとは/経済指標中心の限界/幸福・生活満足・生活の質/協調的幸福/主観的ウェルビーイングをどう用いるか/比較文化的視点から見た課題/測定テクノロジーの進化/国際的な調査・政策枠組みに見る指標/国内の政府機関の調査/指標活用の展望/場のウェルビーイングを動的に把握する時代へ

    第5章 幸福をはぐくむ地域コミュニティ
    個人の幸福と制度の関係/場のウェルビーイングとは何か/地域コミュニティのウェルビーイング/場所の影響か、個人の影響か/集合活動と相互調整/地域の社会関係資本/地域の幸福感を測定するプロジェクト/自殺率の高い町、低い町/愛着感から開放性へ/幸福、信頼、向社会性の循環/社会的ネットワークの分析から見えること/アートの島が住民にもたらしたもの

    第6章 働く人が幸福な職場とは職場のウェルビーイング/企業の組織風土の4類型/職場の協調性の効果/「保険」としての協調性/2階建てモデルで日本社会を読み解く/組織の設計/日本で求められるリーダーシップ像とは/雇用の流動性が社員に与える影響/採用文化の日本的な特徴/なぜ日本の職場は関係性づくりに消極的なのか/自然とつながりが生まれる「場」をつくるには

    第7章 教育現場のウェルビーイング
    ウェルビーイングは新たなキーワードなのか/これまでの活動に新たな意味づけを/多様なルートをつくり出す/PISAによる国際比較/第4期教育振興基本計画がめざすもの/全国学力・学習状況調査の結果から/教員のウェルビーイング/ハブとしての社会教育主事

    第8章 これからの時代のウェルビーイング
    価値観はどのように生まれ、受け継がれるのか/グローバル化による価値観の変化/日本は個人主義化しているのか/日米それぞれの個人主義観/ひきこもりが増えた理由/自己肯定感の低さは何をもたらすか/「場の正義」から脱出する/「裸の王様」に見る多元的無知/どのように主体性をはぐくむか/開かれた協調性を
  • 一九二〇年代から三〇年代、大阪市は「大大阪」と呼ばれ、人口で東京を抜き、日本最大の都市として存在感を際立たせていた。しかし、大大阪は、中央の東京に対抗することで、むしろ独自性を喪失していく――。本書は、大衆社会におけるラジオ、吉本興業、職業野球、宝塚歌劇など多様な切り口を通じて、その軌跡を追う。「大阪らしさ」の源流を描き出しながら、現在まで続く日本社会の均質性の問題を照らす試み。

    目次

    まえがき

    序 章 大大阪が隔てる二つの世界

    第1章 大阪放送局始末記――「既得権益打破」が生んだもの
    1 放送の主導権を奪え!――新旧実業家たちの攻防
    2 大電買収事件――大阪放送局の前哨戦
    3 日本放送協会へ――そして官僚支配だけが残った

    第2章 ラジオが夢見た国民文化――均質な言語空間の創造
    1 声の中央集権化
    2 BKが夢見た「完璧なコミュニケーション」

    第3章 吉本は「大阪的」か?――「大衆」の発見と「大阪」の没落
    1 吉本と「大衆」の出会い
    2 漫才は「大阪人」のためにあらず
    3 漫才のメディア論

    第4章 職業野球とタカラヅカ――見世物としての近代
    1 阪急文化圏とはいかなる場所か?
    2 職業野球の源流――西洋文化と武士道のキメラ
    3 見世物か? 教育か?――職業野球と宝塚歌劇の共通性

    終 章 文化的であること、放置すること

    あとがき
    主要参考文
  • 一八九〇年四月、紀行文作家として来日したラフカディオ・ハーンは、松江中学へ英語教師として赴任し、そこに理想の異郷を見出した。しかし、その後、熊本で近代化の実態に触れて、彼の美しき日本像は崩壊する。本書は、他のお雇い外国人と異なり、帰るべき故郷を持たない彼が、神戸、東京と移り住むうちに、日本批判へ転ずることなく、次第に国家・民族意識を超越し、垣根のない文化の本質を目ざしてゆく様子を描く評伝である。
  • 1979年にホメイニ―師を中心とした革命で発足したイラン・イスラーム共和国。シーア派の理論に基づいた体制を敷き、中東でも反アメリカ、反イスラエルの急先鋒として存在感を示す。国際的に孤立しようとも核開発を進めて独自の道を歩むが、ここに至るには東西冷戦や中東での覇権争いなど複雑な歴史があった。本書は革命以後の軌跡を政治・経済・社会の側面から迫る。混迷する国際情勢の中、イランはどこへ向かうのか。

    ■目 次■

    はじめに

    序 章 近代国家建設と東西冷戦構造
    1 パフラヴィー朝の成立と近代国家への道
    2 モハンマド=レザー・シャーの専制政治と白色革命
    3 反王政運動と王の国外退去
      コラム① 在外イラン人学生の運動

    第1章 ホメイニー体制と革命勢力の角逐
    1 ホメイニー師の帰還と革命の達成
    2 バーザルガーン暫定政府と憲法制定
    3 イスラーム共和国体制と大統領選挙
      コラム② 反西洋とファストフード

    第2章 イラン・イラク戦争とイスラーム共和体制
    1 押しつけられた戦争と「法学者の統治」
    2 広がる戦火と「コントラ事件」
    3 戦争の終結と新たな体制の模索 
      コラム③ 亡命者とテヘランゼルス

    第3章 ハーメネイー体制と政治的自由
    1 新体制と戦後復興 ラフサンジャーニー政権(一九八九~九七)
    2 体制の変容と政治的自由 ハータミー政権(一九九七~二〇〇五)
    3 体制の問い直しと宗教実践の多義性
      コラム④ レスリングとサッカー

    第4章 新保守派の台頭と「緑の運動」
    1 国際関係の緊張とアフマディーネジャード政権(二〇〇五~一三)
    2 国際的孤立と「緑の運動」
    3 市民生活の変容と核開発問題
      コラム⑤ 科学者と頭脳流出

    第5章 防衛戦略と核問題
    1 革命防衛隊の社会への浸透
    2 革命防衛隊とロウハーニー政権(二〇一三~二一)
    3 核問題の解決と中東情勢の変化
      コラム⑥ 日本とイランの国交一〇〇年

    終 章 暗雲垂れ込めるイスラーム共和体制の未来
    1 ライースィー政権(二〇二一~二四年)への期待と終焉
    2 急変する国際情勢とペゼシュキヤーン政権の発足
    3 イスラーム共和体制の未来

    あとがき
    主要参考文献
    関連年表

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