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『スキャンダラスな貴族たち(文芸・小説)』の電子書籍一覧

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  • 「助けてくださってありがとうございます」ジェシカは言った。「スタンドン伯爵だ」低く落ち着いた声になぜか安心感を覚え、彼女は堰を切ったように話しはじめた。馬車を降りたとたん連れ去られ、娼館に監禁されたこと。伯爵が部屋に匿ってくれなかったら、競りにかけられていたこと……。「それなら、わたしのところに来るしかないな」ジェシカは伯爵に心を許しそうになった自分を恥じた。貴族という人種は賭事に耽り、性的に堕落しきっているものなのに。笑みを浮かべた伯爵の唇は罪深いほど官能的で、愚かだとわかっていても、その広い胸に抱かれたいと夢想してしまう。仕事を得ようとロンドンに来たはずが、とんだ事態になってしまった。
  • ベルはとびきり魅力的な愛人を探していた。もうすぐ亡夫の喪が明ける。これからは新しい人生を楽しもう――貞淑な妻は卒業して。そのためにこの家を購入したのだ。こんなふうにロマンチックな愛の詩を読むのも悪くない。と、部屋の外で物音がした。誰かが階段でつまずいたような音も。つづいてドアが勢いよく開いた。揺らめく蝋燭の炎に照らし出されたのは、脚が長く肩幅の広い緋色の軍服姿の男性だった。「きみは、ぼくが無事帰還を果たしたことを祝う贈り物かな?」男性はろれつの回らない口調で嬉しそうに言い、部屋に入ってきた。ベルはじりじりと後ろに下がった……。◆突如現れたあまりにもセクシーな男性。ベルは彼に大胆な提案を持ちかけます。〈スキャンダラスな貴族たち〉の二話目となる本作のヒロインは、前作ヒーロー、ジャックの妹ベルです。
  • ジャックは政府の依頼を受け諜報活動や特殊任務にあたっている。本名、セバスチャン卿レイヴンハースト。公爵家の次男だ。今回の指令は、フランスの隣国モブールの妃エヴァを救い出すこと。大公亡きあと、エヴァの身辺では不可解な事故が相次いでいるという。城の胸壁を伝い下り、窓からエヴァの部屋に忍び込んだジャックはそのあまりの美しさに、息をのんだ……。   不遇な結婚生活のすえ、城に軟禁されたエヴァの目の前に突如男が現れた。「妃殿下」彼は優雅にお辞儀をし、エヴァをじっと見つめた。こんなふうに、誰かに賞賛のまなざしで見つめられるのは久しぶりだ。エヴァは鼓動が速まるのを感じた。

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