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『日本文学、P+D BOOKS(文芸・小説)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全63件

  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    芹沢光治良
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    デビュー作「ブルジョア」を含む初期作品集。

     父が天理教に入信し、叔父夫婦に育てられた芹沢光治良。帝国大学卒業後、農商務省に入省したが、経済の研究を志してパリに留学するもそこで結核に感染し、フランス、スイスで療養生活を経験する。そんな体験から書かれたデビュー作品集である。
     雑誌「改造」の懸賞創作で1等に入選した「ブルジョア」は、結核患者が集まる町を舞台に、病に侵された夫と妻、多国籍の入院患者らの懊悩を描いた作品。
    「結核患者」「昼寝している夫」「椅子を探す」は、杉夫妻を主人公に、結核に倒れた夫が心身ともに復活していく様子を描写し、「橋の手前」「風迹」は、共産主義に対する市井の人々のとらえ方を描出している。
  • 578(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    梅崎春生
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    戦争を冷徹な目で見つめた梅崎春生の出世作。

    「ねえ、死ぬのね。どうやって死ぬの。よう。教えてよ。どんな死に方をするの」
     米軍上陸が迫るなか、桜島の海軍通信基地に異動になった村上兵曹は、一夜をともにした女性に、そう詰められる。しかし、どういう死に方をすればいいのか、そのときになってみなければわからない。ただ、死が目前に迫っていることをひしひしと感じるだけだった。
     生きることへの執着と諦観、どうせなら美しく死にたいという願望と、それはかなわないだろうという無力感……。背反する思いを抱えたまま散歩に出た村上に、グラマンの銃弾が降り注ぐ――。
     出世作「桜島」に、戦地で自死同然に亡くなった弟の足跡を、双子の兄たちがたどっていく芸術選奨作「狂い凧」を併録。
  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    石川達三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    関係者のエゴイズムが交錯する傑作心理劇。

    ――今日私が申し述べました真相は、あるいは大部分が嘘であるかも知れません。嘘であるという証明も本当であるという証明も出来ないのであります。……有るものはただ外部的資料に過ぎない。私の行為、私の言葉に過ぎない。私の心にある真実は推察されるだけであります。――
     自殺幇助の疑いで裁判にかけられている雑誌編集長・神坂四郎。神坂が横領の事実を糊塗するために、梅原千代が持つダイヤを我が物にしようとし、心中を装ったとされているが、証言台に立った被告の妻、同僚女性、被告の飲み仲間らは微妙に食い違う証言をする。
     被告のさまざまな顔が明らかになると同時に、証人のエゴイズムも露わになっていく表題作のほか、戦争で人生が変わってしまった二人の女性を描く「風雪」、常識や時代にとらわれず勝手気ままに過ごしているように見えた友人の本当の想いを綴る「自由詩人」という傑作短篇2篇を収録。
  • 578(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    日野啓三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    一特派員がたどり着いたベトナム戦争の真実。

     すでにAPの記者たちが打った電報のカスを、まるで残飯を恵んでもらうような調子で拝読させてもらう自分の姿が、私には全然気に入らなかった。(中略)心の中で固く決心した――彼らの世話になんかなるものか、おれはおれの情報源と判断で対等に仕事をしてみせる。(本文より)

     新聞記者として戦地に赴任した著者は、特約を結んでいるアメリカの通信社からの情報や、ベトナム政府の公式発表、米軍のブリーフィングなどを鵜呑みにするのではなく、自分の足で開拓したニュースソースや自身の臭覚などを頼りに、ベトナム戦争の“真実”に迫ろうとする。
     のちに芥川賞を受賞する作者の、原点ともいえる作品。
  • 1,155(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    梅崎春生
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    待望の合本版!!

    クルマに跳ね飛ばされたらしい、ちょっと変わった青年・松平陣太郎を自宅に連れ帰った浅利圭介。失業中で妻から尻を叩かれっぱなしの圭介は、目撃したナンバープレートを手掛かりに一発逆転を狙っていた。しかし、ボーっとしていると思われた陣太郎が意外としたたかで、徳川家の末裔を名乗り、賠償金を巡る工作の主導権を握りはじめる。
    加害者として浮上したのは、公衆浴場の主人と流行作家の2名。そこに浴場同士の争いや作家の美人秘書、浴場主人の愛人らが絡んできて……。
    渥美清主演で映画化もされたユーモア小説の上下合本版。
  • 2,255(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    小島信夫
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    待望の合本版!!

    “第三の新人”を代表する作家・小島信夫が、文芸誌「群像」に1968年10月から1981年3月まで、全150回に亘って連載した“執念の大作”全6 巻の合本版。
    夫婦の愛、男女の愛、人間の愛のカオスを複層的、かつエネルギッシュに描き、伝統的な小説の手法を根底から粉砕した文学世界が展開される。現在と過去が交錯しながら織りなされるように展開していく「姦通」をテーマにした異色の愛憎世界!第38回日本芸術院賞、第35回野間文芸賞を受賞。
  • 963(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    曽野綾子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    待望の合本版!!

    舞台は三浦半島の小さな産婦人科医院。主人公の医師・野辺地貞春のもとには、不妊治療や出産、中絶と、さまざまな苦悩と不安を抱えた人がやってくる。“仮性半陰陽の男性”と診断された女性、やっと懐妊した子がダウン症と診断された夫婦、眼球なく生まれた赤児、そしてその静かな死――。
    主人公が日々直面する数々の患者の実態を描いて、人間誕生の意味とその神秘に鋭く斬り込んだ衝撃の問題作の上下合本版。
  • 1,040(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    石川達三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    待望の合本版!!

    ――財部は一種の硬骨漢であった。最後の思い出に、大臣と官房長官を向こうに廻して、断固として竹田建設を叩き落としてやろうという意慾が、彼の心のなかで静かに疼いていた――
    総理大臣の金策のため、巨大ダム建設に絡んで政界、財界、官界を巻き込んだ大掛かりな不正が画策されていた。成否の鍵を握る〈電力建設〉の総裁・財部は、汚職に手を貸すことを断固として拒否するが……。
    1960年代に起きた九頭竜川汚職事件を題材として、芥川賞作家・石川達三が鋭い視点で描いた話題作の上下合本版。
  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    外村繁
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    蝦夷に商圏を広げようとする近江商人の物語。

    「東の地の適する産物を、西に運び、西の地に適する産物を、東に運びますれば、それぞれの地に最も適する産業が発達致します理でございまして……ところが、この蝦夷の地と申しますは……この広大な土地が殆ど白紙のままに残されているのでございます。」
     近江商人の家に生まれた藤村与右衛門、孝兵衛の兄弟が、江戸末期、経済が混乱するなかで未来を切り拓いていく物語。
     地図に魅せられ、旅をするのが大好きな与右衛門を差し置いて、浪人の新之助らとともに蝦夷に向かった孝兵衛。アイヌの人々から歓待を受けたり、巨大なアメリカの黒船と遭遇したりしながら、商売のタネを見出そうとするが――。
     芥川賞候補作『草筏』に次ぐ、「商店もの」三部作の第2弾。
  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    三浦朱門
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    武蔵野を題材にさまざまな明と暗を描く。

    「おい、日清戦争の前の年まで、今の東京都下は神奈川県だったのを知っているか。……都下という言い方、いかにも東京白人の発想だ。植民地扱いじゃないか」
    関東大震災後に郊外に移ってきたサラリーマンの子・太田久雄は、武蔵野にルーツを持つ中学時代の友人たちからそう指摘される。彼らは自らを「武蔵野インディアン」と称し、地に足がついておらず「紙とインクの世界しか知らない」都会の“白人”とは一線を画する存在だというのだ――。
     武蔵野を題材に、都会と地方、戦前と戦後、保守と革新といった、さまざまなコントラストを見事に描出した珠玉作。
  • 616(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    柏原兵三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    幻のデビュー作を含む留学時代までの半生記。

    「兎の結末」は、中学二年生の〈僕〉と高校受験を控えた兄が、兎の飼育をめぐって社会の現実に直面したり、自分の才能を生かす道は何かと煩悶したりする青春小説。著者が高校一年生のときに書いた短篇小説がベースになっており、いわば芥川賞作家・柏原兵三の“幻のデビュー作”でもある。
     これに、著者の自伝的作品としては最も幼い時代を描いた「幼年時代」、西ドイツに留学した経験から書かれた「バラトン湖」「カールスパートにて」を加えて刊行された『兎の結末』と、大学院時代の奇妙な留守番生活を綴った『独身者の憂鬱』を一冊にまとめた、ファン必読の作品集。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    中上健次
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    人気絶頂で引退宣言の背景に中上健次が迫る。

    「春美は普通の子と違います」
     浪曲が好きだった北村春美の母は、春美の才能を信じて“うなり”を教え込み、それによくこたえた春美は全国規模のコンクールで優勝。翌年、都はるみとしてデビューすると、「アンコ椿は恋の花」「涙の連絡船」「好きになった人」と毎年のようにヒットを飛ばし、当代随一の歌手に上り詰めた。
     ところが、それから20年後、都はるみは「普通のおばさんになりたい」と突然、芸能界からの引退を宣言。その背景には何があったのか――。
     都はるみ本人はもちろん、市川昭介ら関係者への丹念な取材をもとに中上健次が綴った、渾身のノンフィクション小説。
  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    中上健次
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    世間を震撼させた猟奇事件に中上健次が迫る。

     海と山に囲まれた熊野の寒村。そこでひときわ広い土地を所有する池田家の長男・達男は、小さいころから悪行が絶えず、猿の肉を食べたり、神事に使う魚を獲るなどやりたい放題。それでも面と向かって文句を言う者は誰もいなかった。
     そんななか、何者かがハマチの養殖場に重油を流して地元に大損害を与える事件が発生。次いでぼや騒ぎまで起きた。だれもが達男の仕業だと考えたが――。
     実際に起きた「熊野一族7人殺害事件」をもとに、中上健次が映画シナリオを書き下ろした話題作と、のちに雑誌連載されたノベライズ版を収録。
  • 616(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    日野啓三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    事故で記憶をなくした男の“再生”物語。

    ――見えないはずの物が見え、覚えているはずのことが消えて何が悪い? おれの記憶の中心には穴がある。それが〈現実〉というもので、掛け値なしの現実は何と異常で気味悪く透明なものだろう。――
     月面基地での作業中に事故に遭った〈男〉。帰還したものの強い逆行性健忘症になってしまい、さまざまなことが思い出せない。
    しかし、中国人看護師との会話や、放浪していたところをかくまってくれた老婆、ホームレスの老人との出会いによって徐々に記憶を取り戻していく。はたして、〈男〉にとって光とは、闇とはなんだったのか――。
     近未来を舞台に、物質文明や人間の陰陽を見事に描出した傑作長編。第47回読売文学賞受賞作。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    大庭みな子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    米国最北端の町で繰り広げられる人間ドラマ。

    ――彼等はみんなその祖先に流れ者の血を持っているので、流れ者に対して寛容であり、理解もあった。――
     命からがらの逃避行でロシアから逃れ、中国、そしてアメリカ最北端へと流れ着いたマリヤ。マリアの飼う4頭のシベリア犬に飼い猫を殺されたにもかかわらず、友人づきあいをする日本人アヤ。そのアヤは、前夫との子を連れ日本に一時帰国するが、元夫とはやはり心を通わせることができず、親子ともどもさみしい思いを抱いてアメリカに戻る。
     アヤとも知り合いのカルロスはスペイン、中米から自作のヨットで漂着し、そのまま居着いてしまった印刷屋の主人。ある日フェリーでやってきた東洋系の女性と知り合うが、彼女もまた、韓国系の母親と日本人の父親を持つ“漂流者”の一人だった――。
     第14回女流文学賞を受賞した名作長編。
  • 616(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    辻井喬
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    母の不遇な半生と実業家一家の愛憎を描く。

     柴山芳三が事業に失敗して困窮しているとき、管財人として現れ、救いの手を差しのべた小田村大介は、じつは芳三が没落するきっかけを作った人物だった。
     豪腕の実業家であり、気鋭の政治家でもあった小田村は、あるとき芳三の娘・月子を強引にさらい、自分のものにしてしまう。月子は一男一女をもうけ、愛人として空しい日々を送っていたが、短歌に生きる希望を見いだし、小田村の死後もたくましく生きていこうとするのだった――。
     作者の父・堤康次郎をモデルとした『父の肖像』と対をなす作品で、歌人でもあった作者の母・青山操とそのきょうだい、そして作者自身と思われる人物が登場する自伝的長編。
  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    外村繁
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    商家の主人とその義子、弟らとの葛藤を描く。

    「晋! お前のお父つあんやぞ。お前のお父つあんが、美代に子産ませよつたんやぞ。」
     あまり家業に熱心ではない近江商人の主人・藤村治右衛門と、正反対な性格の弟・真吾、そして、治右衛門の義子・晋。真吾が密かに心を寄せ、晋の母親がわりを務めていた女子衆の一人・美代が、治右衛門の子を死産し精神を病んでしまう。やがて真吾に結婚話が持ち上がったとき、断固として首を縦に振らない裏には、美代の一件によるわだかまりがあった――。
     商家に生まれた著者が、その体験から描く「商店もの」3部作の第1作にして、第1回芥川賞の候補にもなった名作。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    阿部知二
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    映画化もされた戦前のベストセラー作品。

    「私にとっては、霧島家の貧寒で乱雑な空気だけが身を置くべき場所となっていた。泥水の中でなければ落ちついて棲むことのできないある種の魚たちのように……」
     大学生の〈私〉は、学校にも学友ともなじめず、下宿していた叔父一家ともしっくりいかずに、貸間と貼り紙のあった霧島家の6畳間を借りることになった。
     ところがその主人・嘉門は自分勝手な暴れ者で、幼いふたりの子を抱えたクリスチャンの妻・まつ子を泣かせてばかり。しかし〈私〉はなぜか嘉門を嫌いになれず――。
     原節子出演で映画化もされたベストセラー作品。
     旧制高校の同窓会を通じて、戦後の現実をシニカルに描いた「アルト・ハイデルベルヒ」を併録。
  • シリーズ2冊
    539616(税込)
    著:
    梅崎春生
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    金の亡者たちの滑稽な争いを描いた傑作。

     クルマに跳ね飛ばされたらしい、ちょっと変わった青年・松平陣太郎を自宅に連れ帰った浅利圭介。失業中で妻から尻を叩かれっぱなしの圭介は、目撃したナンバープレートを手掛かりに一発逆転を狙っていた。しかし、ボーっとしていると思われた陣太郎が意外としたたかで、徳川家の末裔を名乗り、賠償金を巡る工作の主導権を握りはじめる。
     加害者として浮上したのは、公衆浴場の主人と流行作家の2名。そこに浴場同士の争いや作家の美人秘書、浴場主人の愛人らが絡んできて……。
     渥美清主演で映画化もされたユーモア小説の前編。
  • シリーズ2冊
    501539(税込)
    著:
    石川達三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    実際に起きた疑獄事件に、社会派作家が迫る。

    財部は一種の硬骨漢であった。最後の思い出に、大臣と官房長官を向こうに廻して、断固として竹田建設を叩き落としてやろうという意慾が、彼の心のなかで静かに疼いていた……。
     総理大臣の金策のため、巨大ダム建設に絡んで政界、財界、官界を巻き込んだ大掛かりな不正が画策されていた。成否の鍵を握る〈電力建設〉の総裁・財部は、汚職に手を貸すことを断固として拒否するが……。
     1960年代に起きた九頭竜川汚職事件を題材として、芥川賞作家・石川達三が鋭い視点で描いた話題作の前編。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    芹沢光治良
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    病を機に主人公は人生の針路を大きく変える。

    「歓喜をともなわない仕事をして、どんな仕事ができよう……いつはてるか知れない命のある間、生命を歓喜にもやすような仕事をしたい」
     日本での役所勤めを辞め、パリの大学で社会科学の研究にいそしんでいた〈私〉。指導教官にも恵まれ、帰国するまでに学位を取得できるはずだった。ところが、結核に感染していることがわかり、療養生活を送ることに。気分を萎えさせる言動を繰り返す妻、一進一退を繰り返す病状に、〈私〉は重大な決心をする……。
    「離愁」「故国」と続く三部作の第一作。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    中村真一郎
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    喪われた時を取り戻そうとする二人の男たち。

    太平洋戦争を示唆したと思われる「戦慄すべき時期」「精神の衝撃」のために、青年期の記憶をほとんど失ってしまった主人公の〈私〉。そして、定年間際の銀行マンで、流されゆく人生に疑問を抱いてしまった〈私〉の学生時代の友人〈K〉。
    50代になったふたりが、30数年前に輝くようなひと夏を過ごした高原の避暑地を再び訪れ、青春時代の記憶を辿って歩く。短くとも濃密な旅を終えたふたりに宿った思いとは――。
    『夏』『秋』『冬』と続く4部作の第1作目にして著者の代表作。作家・加賀乙彦氏の解説を再録。
  • シリーズ6冊
    501655(税込)
    著:
    小島信夫
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    姦通をテーマに“愛のカオス”を描いた大作。

    “第三の新人”を代表する作家・小島信夫が、文芸誌「群像」に1968年10月から1981年3月まで、全150回に亘って連載した“執念の大作”ともいえる全6巻の序章。

    第1巻には第1~22話までを収録。幻想のごとき脆い夫婦関係を描いた名作『抱擁家族』から17年を経て、主人公は三輪俊介から前田永造と変貌したが、本作でも「姦通」をテーマに据えている。

    夫婦の愛、男女の愛、人間の愛のカオスを複層的、かつエネルギッシュに描き、伝統的な小説の手法を根底から粉砕した文学世界が展開される。第38回日本芸術院賞、第35回野間文芸賞を受賞。
  • 578(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    芹沢光治良
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    運命に翻弄される占領下の日本人たち。

    1945年8月、広島と長崎に原爆が投下され、その直後に迎えた敗戦。GHQ占領下の卑屈な統治時代を、市井の人たちがどのように生き抜いたのか、ある海軍中将一家の目線で描く。

    未亡人となり家財総てを失った中将夫人、米軍人に求婚される長女、原爆被害で恋人と離ればなれになってしまった長男、その長男を想いながらも米兵に身をゆだねてしまう恋人……。

    戦勝国・アメリカを呪いながら、その助けなしには生きていけない日本人の哀切と、それでも新時代に向けて歩みを始める強さを、心の奥底を揺さぶる独特な筆致で綴った秀作。
  • 424(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    佐藤春夫
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    台南を舞台にした表題作等、珠玉の短編5編。

    明治、大正、昭和の3つの時代にわたって、詩歌や小説、文芸評論など幅広い分野で足跡を残した佐藤春夫の、珠玉の小説アンソロジー。
    表題の『女誡扇綺譚』は、日本時代の台南を舞台に、鄙びた町の姿や、没落豪族の娘の霊との出会いを描いた作品で、作者自ら「五指に入るであろう」と評した幻想的な傑作。
    改稿を重ねた渾身の一作『田園の憂鬱』は、田舎に移り住んだものの周囲と溶け込めず、次第に病んでいく文学志望の青年を描く。
    他に処女作品『西班牙犬の家』のほか、『のんしゃらん記録』『美しき町』を収録。
    『大正幻影』で佐藤春夫を掘り下げた評論家の川本三郎氏が解説。
  • 578(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    大庭みな子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    新五千円札「津田梅子」の傑作評伝。

    日本の女子教育の近代化に生涯を捧げ、新五千円札の肖像画にも選定された津田梅子。
    ある日、梅子が創設した津田塾大学(女子英学塾)の倉庫から、おびただしい数の手紙が発見される。それは梅子と、留学先の里親アデリン・ランマンとの往復書簡の束であった。
    完全にアメリカナイズされた梅子と日本文化とのギャップ、開明的な政治家・伊藤博文一家との交流、女子教育にかける熱意などが生々しく記された手紙の真意を、同じく津田塾大学出身の著者が自らの渡米経験も踏まえて読み解いていく。
    第42回読売文学賞(評論・伝記賞)を受賞した傑作評伝。
  • 団塊世代のバイブルだった著者の未完作品撰。

    「白く塗りたる墓」は、1960年代の高度成長期における公害汚染や原子力発電所の安全などの社会問題をベースに、報道機関の公器性や良心を問うた意欲作。

    TVカメラの持つ同時性から一躍花形産業となったTV報道の視座をフィルターにして、現実と報道との葛藤に苦悩するテレビマンの狂気と孤独もドラマティックに描いている。

    もう1作は、ニヒリストの医者の堕落と病院に関わる人間の業を描いた「もう一つの絆」。共に第1部までの未完作であるが、著者の新境地ともいえる作品で、現代に連なる荒廃を予見している秀作である。
  • 616(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    高橋たか子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    鬼気迫る“自殺者と自殺幇助者”の心理葛藤。

    噴煙吹き上げる春まだ浅い三原山に、女子大生がふたり登っていった。だが、その後、夜更けに下山してきたのは、ひとりだけ――。

    遡ること1ヶ月前、同様の光景があり、ひとり下山した女子大生は同人物だった。自殺願望の若い女性ふたりに、三原山まで同行して、底知れぬ火口に向かって投身させた自殺幇助者の京大生・鳥居哲代。

    生きていることに倦んだ高学歴の女学生たちの心理を精緻に描き、自殺者と自殺幇助者の軌跡をミステリー風に仕立てた悽絶な魂のドラマ。高橋たか子の初期長編代表作で第4回泉鏡花賞を受賞。
  • 616(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    石川達三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    “中年の危機”の男を描く「男性研究の書」。

    1955年から56年にかけて読売新聞に連載され、大反響の下、流行語にもなった「四十八歳の抵抗」。

    55歳が停年の時代に、真面目一筋に勤めてきた48歳の保険会社次長、西村耕太郎は恵まれた家庭を持ち、傍目には幸せそうな日々を送っているが、実のところはなにやら満たされない。

    その心中を見透かしたように社内の島田からヌード撮影会に誘われる。そして一度も恋愛をしてないという焦燥から、耕太郎はバーの娘で19歳のユカリを口説いて熱海の旅館に出かけるのだが――。

    社会的な地位があり体裁を繕って生きてはいるが、まだ燃え上がる激情も秘かに抱えた“ミドルエイジ・クライシス”を描いた普遍的な「男性研究の書」である。
  • シリーズ2冊
    616(税込)
    著:
    曽野綾子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    産婦人科の日常を描き“生命の尊厳”を問う。

    舞台は三浦半島の小さな産婦人科医院。主人公の医師・野辺地貞春の下では、不妊治療や出産、中絶と、さまざまに行き交う人々の喜びや苦悩が日々交錯している。なかでも中絶手術は、戦後、患者が公に語ることなく行われてきた大規模な医療であった。

    綿密な現場取材に基づき淡々と描かれるそれぞれのケーススタディは圧倒的なリアルさで、小説という概念を超える。産婦人科医は生命の誕生に立ち会い、そして同時に中絶という形で一つの命を消し去るという、他の医療には見られない光景が映し出される。生命の尊厳を鋭く問うた“衝撃の問題作”の上巻。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    野坂昭如
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    多彩な野坂ワールド!オリジナル編集短編集。

    徹底的に現実を拒否し、次々に湧き上がるおぞましき妄想を、世紀の美女・モンローに仮託して謳い上げた作家自身の“私小説”である表題作「マリリン・モンロー・ノー・リターン」。

    ほかに老いと介護をテーマとした「死の器」、大学落研の青春を描いた「ああ軟派全落連」、原発建設がもたらす悲劇を描いた「乱離骨灰鬼胎草」、怪奇幻想小説「砂絵呪縛後日怪談」等々、遠国の美女への願望、女たちの執念、反逆的なヒューマニズムや現実逃避をテーマとして、多面性に富んだ作家・野坂昭如ワールドが味わえるP+D BOOKSオリジナル編集版。
  • 655(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    大佛次郎
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    元海軍将校が目にした戦後日本の悪しき荒廃。

    海軍兵学校出身のエリート将校・守屋恭吾は、公金に手をつけ引責辞職後、祖国には戻るまいと賭博の眼力を養いつつ、欧州各地を放浪していた。やがて、ある事情から“帰郷”することになった守屋は、大きく変貌した戦後の日本に落胆と義憤を感じる。

    戦争という過去の記憶から逃れようとするあまり日本の伝統や誇りまでも失ってしまった国民たち。――戦前と戦後の日本人は何が変わったのか?

    大佛次郎が当時の日本人へ自戒のメッセージを込めた記念碑的名作で1948年毎日新聞に連載され後に映画化、欧米でも高く評価された。
  • 424(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    日野啓三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    妖しい洋館が舞台のロマネスクな人間模様。

    大都会・東京の真ん中に静かに佇む洋館に心惹かれた「私」は、得体の知れない不動産屋に誘われるままにその館を訪ねることになる。

    そこには幻想的な少女・霧子や近寄りがたい老主が住んでいた。身を固く包んで口さえ開こうとしない霧子に、私の興味は膨らんでいく。

    主である霧子の祖父の依頼で、彼女の家庭教師として洋館に同居することになる私……。そこで、この一家の住人たちは数奇な運命に翻弄され始めるのだった。

    「ある夕陽」で芥川賞を受賞した日野啓三が幻想的作風で新境地を開き、泉鏡花賞に輝いたロマネスク小説の傑作。
  • 693(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    古山高麗雄
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    兵士の日常を描いた芥川賞受賞の戦争文学。

    第2次大戦後、戦犯容疑でサイゴン刑務所に抑留された日本兵の鬱屈した日々をユーモア交えて描いた第63回芥川賞受賞作「プレオー8の夜明け」。

    他に筆者処女作「墓地で」から、晩年の名品「セミの追憶」(第21回川端康成文学賞作品)まで、戦争の記憶をつむぐ短編16作を収録。

    戦後すでに70年を超え、戦下の記憶は風化するにまかされる。30年にわたる筆者の貴重な営みを通じ、名もなき兵士たちは、何を考え死んでゆき、生き残った者たちは何を思うのか――今改めてその意味を問いかける、珠玉の“戦争文学短編集”。
  • 424(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    赤瀬川隼
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    永遠の野球少年の胸に染み入る直木賞短篇集。

    思春期の頃、年齢の近い叔母に密かに寄せた熱い恋心。亡くして初めて知った父の意外な一面。トレードに出されたベテラン・プロ野球選手とリストラ進行中の会社に勤める中堅社員という、岐路に立たされた男2人の友情。輝かしい成績を残しながらも突如プロ球界を去った名投手の秘密……。

    野球をモチーフに、野球少年なら誰しもが通過するホロ苦い挫折、郷愁などをさわやかに描いた短篇集(野球描写がない作品を1編収録)。胸に染み入る第113回直木賞受賞作。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    高橋和巳
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    戦後、突然の凶行に走った男の“心の曠野”。

    かつて理想に燃え、幻の帝国「満洲国」建設に青春を賭けた主人公の青木隆造――。

    敗戦後は福祉事業団兼愛園の園長となり混血児収容、保護教育を自己の責務として全うするのだったが、その内面には果てない曠野が拡がっていた。

    その業績が表彰された時、彼は突如崩壊し、凶行に走る。自己の内部にわだかまる「見極めがたい曠野のイメージ」と「喪った時間の痛み」とが「隠微な軋み音」を響かせ解かれてゆく。

    全共闘世代に多大な影響を与え早世した作家・高橋和巳が、日本民族の夢想と悲劇をえぐり出した、晩年の問題作が甦る。
  • 578(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    石坂洋次郎
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    主題歌と共に色あせない青春小説の金字塔。

    戦後まもない1947年に新聞小説として連載され人気沸騰。その後、いちやく大ベストセラーとなった青春小説の代名詞ともいえる作品。

    元々、高校教師であった筆者・石坂洋次郎が、東北地方の私立女子高校を舞台に、戦前の暗くじめじめした封建性を打破し、民主的な社会の実現を目指す人々の姿を爽やかに描きあげ、新風を巻き起こした。

    幾度も映画化され、作品発表から70年余を経た現在でもまったく色あせない瑞々しい傑作である。
  • 578(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    大庭みな子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    乾いた筆致で描くある主婦の“孤独と倦怠”。

    異国に暮らす由梨は、夫と自分双方の浮気相手が集うホームパーティーに参加する気になれず、ひとりで外出してしまう。

    遊園地の民芸館で知り合ったアメリカ男に誘われ、海辺のドライブについて行き、そこで男は、赤いネオンが点滅している宿「三匹の蟹」へ行こうと誘うのだった。

    果てしない存在の孤独感、そして愛の倦怠が引き起こす生の崩壊を乾いた筆致で描き出した「三匹の蟹」は第59回芥川賞を受賞。「三匹の蟹」以前に執筆された日本人女性留学者の青春への決別を描いた連作「構図のない絵」、「虹と浮橋」も併録。
  • 462(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    曽野綾子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    戦犯として処刑された弟の“生と死の意味”。

    第2次大戦後まもなく、現地住民虐殺の戦犯としてシンガポールで処刑された水島団。

    それから30年の時を経て、兄の水島譲は弟が辿った死までの道のりを追体験してみようと、旅に出る。タイ・バンコクからマレー半島を列車と車で南下し、一路シンガポールへ。

    かつて虐殺があった事件現場や団が刑死したチャンギ刑務所、そして墓地と、弟ゆかりの地を訪ねていくうち、事件の意外な真相が明らかになる。戦争を題材に、人間の生と死の意味を問う意欲作。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    佐藤愛子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    実母の女優人生を愛惜を込めて描いた力作。

    時は大正二年――当時まだ珍しかった聚楽館の養成所女優となるも、周囲からは色眼鏡で見られ、鳴かず飛ばずの日々が続いていた横田シナ(後の女優・三笠万里子)。

    だが、作家・佐藤紅禄との運命的出会いによって、シナの運命は大きく舵を切っていく。

    草創期の関西新劇界を舞台に、紅禄との恋愛や葛藤、修羅場の中を生き抜いたシナの激動の生涯を、実の娘である著者が愛情豊かに描いた感動作。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    岡本かの子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    波乱万丈な“女の生涯”を耽美に描いた巨編。

    素封家ながらも実は貧民窟に出自を持つ男と、その妾の間に生まれ落ちた美しい娘・蝶子。

    第一部では蝶子が女体育教師・安宅と園芸手・葛岡という男との三角関係に巻き込まれる展開を中心に、そこから逃れる目的で選んだ裕福な青年・池上との奇妙な同居生活が描かれる。

    第二部では乞食に落ちぶれた蝶子が市井の人々を観察しながら自らの半生を振り返る流浪の月日を描く。芸術家・岡本太郎の母親であり、歌人としても名高い岡本かの子の耽美妖艶な大巨編。
  • 693(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    柏原兵三
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    「少年時代」の原点となった疎開文学の傑作。

    太平洋戦争末期、東京から富山の漁村に疎開した小学5年生の杉村潔。その潔に対して屈折した感情をいだく地元の少年、竹下進。進は潔に表面上は友好的に接しながらも、裏で陰湿な悪事を繰り返し、潔はそれに戸惑う。

    都会からの疎開児への地元っ子の愛憎を中心に、戦争の影にゆれる海辺の村で繰り広げられる人間模様を描いた自伝的作品。

    のちに「少年時代」として漫画化、映画化もされた。特別に映画「少年時代」の脚本を手掛けた山田太一氏の解説(1989年執筆)も併録。
  • 462(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    高橋和巳
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    全共闘世代のバイブルだった高橋和巳の長編。

    博物館に勤める青年・時枝正和は機動隊と学生の衝突で、一人の学生が橋から転落する様を偶然目撃する。

    煩雑な人間社会から逃れるように古美術世界に沈潜していた時枝だったが、この出来事により、閉ざしてきた外界に対する怒りと悲しみが再び覚醒する。事故死と報道された学生の死――だが、時枝は死んだ学生のガールフレンドに会い、事件の深層に迫ろうとするのだった。

    全共闘世代に多大な影響を与え、早世した作家・高橋和巳が、その晩年、理想と現実に引き裂かれる内面の荒野を描き、未完のまま絶筆した長編小説の復刻。
  • 424(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    三浦朱門
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    短編出世作と不倫の性を描いた代表長編小説。

    「冥府山水図」は己の絵の完成に生涯を賭した老画家の鬼気迫る執念と、到達点のない芸術の魔性を巧みに描き、“芥川の再来”とまで評された著者出世作の短篇。

    東京山の手を舞台にした、広大な敷地に住む明治生まれの老父母、大正生まれの長男夫妻、昭和生まれの次男夫妻と、世代の異なる一族が繰り広げる赤裸々な人間模様を描いた「箱庭」は、一見平和で裕福に見える裏側に蠢く、性の衝動や空疎な関係性を生々しく描いた長篇意欲作。
  • 655(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    曽野綾子
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    高度成長期の“家族の崩壊”を描いた問題作。

    異常に潔癖な息子を持つ一家と、駆け落ちに走る高校生の娘を持つ別の一家。物質的には満たされた高度成長期において、一見、幸福そうに見える双方の家庭には外部からは窺い知れぬ深い闇があった。

    裕福で社会的地位の高いふたつの家族の「内と外」をモチーフに、富裕層が、断絶のうちにじわじわと崩壊していく様を痛烈な筆致で描ききり、1973年当時、大きな反響を呼んだ。後にテレビドラマ化もされた作品で、時代の嚆矢ともなった問題作。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    辻邦生
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    帆船という“劇場”で巻き起こる人間ドラマ。

    海を愛する若者が生の歓びを求め、ブリガンティン型帆船<大いなる(グローセル・)眞晝(ミッタ-タ)>号に乗り込んで船出をする。

    「無一物主義」という哲学思想をもつベルナールを船長に、フランソワ、ターナー、ケイン、女性のファビアン、そして日本人の私など11人のクルーは、ヨーロッパから日本を経由して、一路、太平洋へと航海を続ける。

    やがて、南太平洋に入ると、荒れ狂う颶風(ぐふう)圏に突入していく中、嵐のさなかに恐るべき事件が起きてしまう。帆船の船内は、さながら芝居の劇場のように複雑な人間関係が入り組んで、それは悲劇への序章にふさわしい舞台だった。

    辻作品らしい“詩とロマンの薫り”に満ち溢れた長編小説。
  • 886(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    立原正秋
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    待望の上・下巻合本版!!

    古都鎌倉に美しく燃え上がる宿命的な愛。

    夫は、なぜ失踪したのか? 理由なき別れに苦しみ、無為不安の日をおくる里子は、40代の会社社長で、骨董の目利きでもある男、坂西と出会う。妻子を捨てた夫と、年上の女との情事が日々うつろなものに変っていくのとは対照的に、二人の愛は古都鎌倉の四季の移ろいの中で、激しく美しく燃え上がった……。
    日経新聞に連載され話題を呼んだ長編小説。男女の宿命的な愛を鮮烈に映すとともに鎌倉や京都を舞台に、和服や自然を通して日本の四季が美しく描写されており、作品の魅力に彩りを添えている。
  • 886(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    小川国夫
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    待望の上・下巻合本版!!

    現実と幻想の間を彷徨する若き小説家の懊悩。

    「僕が故郷に漠然と期待したのは避難港だった。ところが、それどころではなかった」――。

    東京から郷里の静岡県藤枝市に居を移した三十手前の小説家・及川晃一の日常的思索を描いた著者の自伝的小説の前編。

    1994年、発刊時の単行本の帯には[自分はすでに難破船か、骸骨か。それでもなお試練の故郷で文学者が探し求める自我の新しい船出。現実と想像のあわいに明晰な幻視者・小川国夫が眼をそそぐ]とある。

    日本人とは、市民とは、そして小説家とは何かを考え続けた、「内向の世代」の作家・小川国夫の深い懊悩が滲む秀作。朝日新聞に連載され、第5回伊藤整文学賞を受賞。
  • 886(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    中上健次
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    待望の上・下巻合本版!!

    中上健次、もう一つの遺作も初の電子化!

    「路地」の解体時期に父親(浜村瀧造の朋輩・ヨシ兄)殺しに手を染め、「路地」から逃れた鉄男は、やはり夫・セキグチジュンを殺した女・セキグチマリと出会う。女は鉄男にそれまでと異なった衣装を着せ、ジュンと名付け、ジュンという<物語>を背負わせる。
    マリが精神病院の患者同士として知り合った友人で、富豪の“太った女”水島エリは、鉄男を教祖とあがめる新興宗教に加わろうとし、道すがら出会った暴走族の首領の若者も、これまた鉄男の教祖としての雰囲気に惹かれていく。
    そして、鉄男、マリ、エリ、暴走族の若者とその妹は、南の地・シンガポールへと向かうのだった……。
    中上作品の中でも最もエンターテイメント色の濃い作品で、雑誌「SPA!」に連載中に未完のまま絶筆した。
  • 578(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    吉行淳之介
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    軽妙洒脱に綴った、晩年の短文随筆集。

    安岡章太郎、結城昌治、立原正秋、村松友視、森茉莉、澁澤龍彦、色川武大、柴田錬三郎ら作家や知人との交流、子供の頃の邂逅、愛用の粋な小道具、酒や甘味、美人論、身体の不調など還暦前後の身辺を腹蔵なく語っている。

    《いささか変った書名をつけてみたが、同じ題名の随筆が、この本の中にある。「ややや」と驚く短い話ばかりを集めてみたものだが、いま読み返してみると、そういう要素を含んだ話がこの本の大部分といえそうだ。》あとがきより。

    昭和57年から平成3年までの短文随筆を所収。
  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    色川武大
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    色川武大が自らに棲む「阿佐田哲也」に迫る。

    「奴とは、ばくち打ちであり、ばくち打ちの奥に至らんと五十年もすごしてきたような、顔をしている人物である」--。色川武大は[阿佐田哲也]を、冒頭でこう評している。

    阿佐田哲也なるばくち打ちは『麻雀放浪記』を書き、麻雀新撰組などを結成して世間を煙に巻いた。色川武大名義では『離婚』で直木賞を受賞した作家が、虚にして実、実にして虚の[阿佐田哲也]の素顔に迫った異色作。
  • 385(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    吉行淳之介
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    吉行文学の真骨頂、繊細な男の心模様を描く。

    戦後の混沌とした時代、男は安定を求めて大会社のサラリーマンとなった。

    だが、人員整理でクビとなり退職金を受け取った日、ヌードモデル志望の少女と出会う。丸顔に濃い化粧、大きな頭でアンバランスな躰の彼女にやがて愛憐の情が湧きはじめる――。

    空虚感を纏いながらこの時代を生きていく男と雑誌編集者の友人との交流、戦禍に散った友人への回顧など、卓越した心理描写で綴られた珠玉の作。

    他に「水族館にて」「白い神経毬」「人形を焼く」の短編3作品を収録。
  • 655(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    立原正秋
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    直木賞受賞作含む、立原正秋の代表的短編集。

     日本と朝鮮の血を引く家系に生まれた兄弟が、戦争という得体の知れないものに翻弄されながらも、自分たちの存在を確かめようと、“血”とは何かを追求した「剣ケ崎」。
     金貸業者を踏み倒す事を仕事にしている奇妙な男にひかれて、その不可解な魅力と付き合っているうちに、自らも破滅してゆく中年の教師を描いた「白い罌粟」。
     没落寸前の旧家・壬生家。その終焉を闇夜に輝く篝火に象徴させ、従弟との愛を“死”で締め括った人妻を描いた「薪能」。
    義弟との束の間の愛に燃えた若妻を描く「流鏑馬」、麻薬窟に出入りし、女と薬に溺れる男を描く「薔薇屋敷」。
     直木賞受賞作、芥川賞候補作など立原正秋の代表短編5編を納めている。
  • 693(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    辻邦生
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    北欧で消息を絶った日本人女性の精神的彷徨。

    織物工芸に打ち込んでいた支倉冬子は、一枚のタピスリに吸い寄せられ、魅惑されてしまう。ついにはヨーロッパに留学する決意までした冬子。だが、冬子は、ある夏の日、その地方の名家ギュルンデンクローネ男爵の末娘エルスと孤島にヨットで出かけたまま消息を絶ってしまう。
    冬子が残した手記をベースに、生と死、または愛の不安を深く掘り下げた小説となっている。絶対的な孤独の中、日本と西欧、過去と現在を彷徨しながら、冬子はどのように再生していくのか……。
    辻邦生が自著『生きて愛するために』で語った「死というくらい虚無のなかに、<地上の生>は、明るく舞台のように、ぽっかり浮かんでいる」という彼の死生観とともに、西欧的骨法によって本格小説を日本に結実させんとした、辻文学初期傑作の一つである。巻末に「創作ノート抄」を併録。
  • 539(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    北杜夫
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    北杜夫 珠玉の初期作品をカップリング。

     病弱な少年の病気への密かな親しみや、発熱によって開かれる想像力の世界を描く「病気についての童話」。

     牧神がまどろみから目覚め、パンの笛とアポロン の竪琴による音楽勝負に挑む、詩的世界を描く「牧神の午後」。

     精神を病んでいく主人公がある日知った、『狂詩』という言葉の意味と、心理の変換を描く「狂詩」。

     少年の無垢な純真性喪失を瑞々しく描く「少年」。

     北杜夫初期の繊細な世界が、7篇の小編を通じて拡がっていく珠玉のカップリング集。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    辻邦生
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    女流画家を通じ、“魂の内奥”の旅を描く。

     異例の才能を持ちながら埋もれていった亡命ロシア人女流作家マリア・ヴァシレウスカヤ(マーシャ)の内的彷徨を描く辻邦生の処女長編作。

     少女期に出会った魅惑的な少女アンドレとの痛みを伴った甘美な愛を失い、結婚に破れ、つねに芸術の空しさを苦汁のようになめながら、生の意味、芸術の意味を模索し続けた、寡作の画家マーシャの短い生涯を、彼女が遺した日記や手紙から辿る伝記風スタイルを用い、清冽な筆致で描いた作品

     敬虔で慎み深く、絵の才能を持て余すマーシャと、身体が弱いために生に焦がれる無鉄砲なお嬢さまアンドレ、孤独を抱えるふたりの交流がとても丁寧に描写されている。第4回近代文学賞受賞作。
  • 462(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    吉行淳之介
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    青春=戦時下だった吉行の半自伝的小説。

     昭和19年8月――、僕に召集令状が届いた。その後の入営は意外な顛末を迎えるが、戦時下という抑圧された時代、生と死が表裏一体となった不安を内包し、鬱屈した日々を重ねていく。まさしく「焔の中」の青春であった。
     狂おしいほどの閉塞感の中にあっても、10代から20代の青年らしい友人との、他愛のない会話、性への欲望、反面、母への慕情など巧緻な筆致で描かれる。また、戦争とは一線を引いたかのような、主人公の透徹した眼差しと、確固たる自尊心は一貫しており、吉行自身のメンタリティが垣間見える、意欲作である。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    中上健次
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    中上健次、未完の遺作が初単行本化&電子化!

    1個3億円のエメラルド3個を携え、ブラジルから来日したオリエントの康の遺児タケオは、新宿で「中本」の一統である“毒味男”や、オリュウノオバの甥っ子である“九階の怪人”と出会う。

    “毒味男”の一味は、最初に地上げ屋の斎藤順一郎を焼き殺したが、彼らの周囲をGメンが嗅ぎ回り始めので、一味は共に紀州・新宮へ舞い戻る。そして、次の標的に土地の実力者・佐倉(この時、130歳近い年齢だが)を選ぶのだが……。

    新たな抗争の予感を湛える長編。「千年の愉楽」の続編ともいえる未完作。「週刊ポスト」にて連載中に絶筆した。
  • 501(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    色川武大
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    戦後最後の「無頼派」色川武大の傑作短篇集。

    元海軍司令官の父の末弟で、受験に何度も失敗し自らの人生を決めあぐねた若き叔父・御年。悲しい結末を迎えた彼の書き残した父宛の手紙で構成した「遠景」をはじめ、夢の手法をまじえて綴った「復活」ほか、生家をめぐる人々をモチーフとした作品を中心に、ギャンブル仲間であった一人の男の意外な出世と悲惨な転落を追った「虫喰仙次」など、短編7篇を収録。戦後最後の無頼派作家の描く、はぐれ者たちの生と死。
  • 693(税込) 2024/5/2(木)23:59まで
    著:
    中上健次
    レーベル: P+D BOOKS
    出版社: 小学館

    中上健次が故郷紀州に描く“母の物語”。

     「秋幸もの三部作」よりも以前の時代を描く、秋幸の母・フサの波乱の半生を描いた物語。
     海光る3月。私生児としての生い立ちに昏い痛みを覚えながらも、美しく利発な娘に成長したフサは、十五になった春、生まれ育った南紀の町をあとにした。
     若々しい肉体の目覚めとともに恋を知り、子を孕み、母となって宿命の地に根をおろすフサ。しかし、貧しくも幸福な日々は、夫・勝一郎の死によって突然に断ち切られた。
     子供を抱え、戦時下を生き延びる過酷な暮らしの中で、後に賭博師の龍造と子を為し、秋幸と名付ける。しかし龍造が賭博で刑務所に入っている間、他の二人の女を孕ませていたことを知り、フサは秋幸には龍造を父と呼ばせぬと宣言する……。
     中上健次が実母をモデルに、その波瀾の半生を雄大な物語へと昇華させた傑作長編。

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