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『実用、講談社学術文庫』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全916件

  • 1,463(税込)
    訳者:
    大貫隆
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    1世紀の地中海世界に誕生し、「古代キリスト教最大の異端思想」ともいわれる「グノーシス主義」が生み出した神話の主要な断章を紹介する。1945年にエジプトで発見されて宗教界にセンセーションを起こしたグノーシス主義の基本文献「ナグ・ハマディ文書」のエッセンスとともに、その影響の強いマンダ教、マニ教の教典の主要部分を抜粋し編成。1999年および2011年に岩波書店より刊行された同名書籍の文庫化。(講談社学術文庫)
  • 中世キリスト教最大の異端運動、カタリ派とは何か。その起源からアルビジョア十字軍による制圧までをドラマチックに描く。
    「異端」とは、キリスト教の内部にあって、教会が確定した教義とは異なる解釈を立てる者たちである。カトリック教会は、ユダヤ教やイスラム教など「異教」に対しては緊張をはらみながらも時に寛容さを見せたが、「我らこそが真のキリスト教徒である」と信じて疑わない異端者に対しては、徹底的な刑罰と弾圧を加えた。
    12-13世紀には大小さまざまな異端運動が存在したが、なかでも、東方のマニ教を思わせる「善悪二神論」を唱え、教会制度を拒み、ローマを指して「娼婦の家」「悪魔の神殿」と謗る「カタリ派」は大きな脅威だった。とくに南フランスに広がったカタリ派を「アルビジョア派」と呼ぶが、ローマ法王インノケンティウス3世は、それに討伐軍「アルビジョア十字軍」を差し向ける。
    当時の南仏は、パリを中心とした北部の人々を「フランス人」と呼び、みずからは「フランス人」とは考えない独自の社会だった。しかし、20年におよぶ陰惨な戦いは、フランス国王の征服戦争として終結し、異端の終焉とともに南仏社会を変質させていく。
    巻末解説を図師宣忠氏(甲南大学教授)が執筆。
    〔原本:『世界のドキュメント(4)異端者の群れ』(新人物往来社刊、1969年)の改訂新版『異端者の群れ―カタリ派とアルビジョア十字軍』(八坂書房刊、2008年)〕

    目次
    はしがき
    序章 聖ベルナールの怒り
    1 呪いの町
    2 信仰の掟
    3 異端の運動
    4 カタリの発現
    第一章 南フランスの風雲
    1 南部の国々
    2 吟遊詩人
    3 豊かなる南ガリア
    4 軽い土と重い土
    5 不完全封建制
    第二章 異端カタリ派
    1 バルカンの遠き祖たち
    2 異端の書
    3 善き神と悪しき神
    4 絶望の戒律
    5 異端者の群れ
    6 完徳者と帰依者
    第三章 アルビジョア十字軍
    1 アルビジョア派
    2 ローヌ河畔の惨劇
    3 ベジエの虐殺
    4 カルカッソンヌの攻囲
    5 征服者シモン・ド・モンフォール
    第四章 百合の紋章
    1 フランス人との戦い
    2 ミュレの合戦
    3 王旗の登場
    4 異端審問
    後日譚
    あとがき
    解説(図師宣忠)
    人名索引
    関連略年表
  • 499(税込) 2026/4/9(木)23:59まで
    著:
    吉田光邦
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    関孝和、貝原益軒、渋川春海、杉田玄白、平賀源内……。伝記を通して、江戸に花開いた科学や技術の発展の軌跡を紹介する。科学者小伝付き!(解説:池内了氏)

    『解体新書』、『蘭学事始』で知られる杉田玄白が生まれたときは大変な難産でした。看護の人たちは母親に気をとられ、生まれたばかりの赤ん坊のことは忘れてしまいました。死産だろうと思われ、とり合わせの布に包んで横に置いたままにされたのです。しかし、ようやく落ち着き、赤ん坊を見ると元気で生きていました。その後の玄白は元気に育ちます。17,8歳のころ、医官である父に医業を学びたいと申し出ると、幕府の医師である西玄哲に入門することになりました。西玄哲は通訳の家の出身で、ポルトガルやオランダの医術を覚え医師となった人物でした。玄白はこの頃から西洋医術の優秀さに触れることとなったのです。――西洋医術の導入、日本人のための暦、エレキテル、鉄砲の大量生産……など。著名な杉田玄白や渋川春海から砲術家の坂本天山まで、江戸時代を代表する科学者たちの幼少時や師事した先生とのエピソード残した業績をコンパクトに紹介する伝記集です。科学者たちの生涯を通し、江戸時代の科学や技術の発展の過程を生き生きと描き出します。29人の科学者小伝付き。解説は池内了氏。
    (原本:吉田光邦『江戸の科学者たち』、社会思想社(現代教養文庫)、1969年)

    本書の内容

    関流をめぐる人びと
    ――関孝和たちと会田安明――

    本草から大和本草へ
    ――貝原益軒――

    本草から博物学へ
    ――稲生若水・小野蘭山――

    日本暦の誕生
    ――渋川春海――

    町人天文学者たち
    ――麻田剛立の一門――

    測地事業の推進者
    ――伊能忠敬――

    幸福な蘭学の始祖
    ――杉田玄白――

    異端の科学者
    ――平賀源内――

    電気学の正統
    ――橋本宗吉――

    最初の自然哲学者
    ――三浦梅園――

    自然哲学の展開者
    ――帆足万里――

    通訳から科学者へ
    ――本木良永・志筑忠雄・馬場貞由――

    桂川家の人びと
    ――名門の学者たち――

    宇田川家の人びと
    ――家学を守った人たち――

    悲劇の科学者たち
    ――シーボルトとその門下――

    職人と発明家
    ――国友藤兵衛――

    哲学的な砲術家
    ――坂本天山――

    農業技術の変革者
    ――宮崎安貞・大蔵永常――

    科学者小伝
    参考文献とあとがき
    解説(池内了氏)
    索引
  • 499(税込) 2026/4/9(木)23:59まで
    著:
    永田久
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    一週間は7日、一年が12ヵ月、なんで?
    年・月・日から曜日や干支をはじき出す計算式とは?
    一週間が5日の暦、どんなの?
    英語で1~6月は「神」、7,8月は歴史上の人物、9月から12月は数字、なぜ?
    十二支のイメージはどこから?
    「必ず仏滅になる日」がある?
    「史上いちばん短かった年」は?
    占星術の成り立ちはどこから?
    「〇座の生まれ」って、つまりどういうこと?
    ――答えは本書で。
    (原本:『暦と占いの科学』新潮選書、1982年刊)
  • 聖人の遺体や遺骨・遺灰、聖人が身にまとったものや触れたものは「宝石や黄金より価値がある」とされ、芳香や光を放ち、腐敗しないと信じられた。死人を蘇らせ、病気や怪我を治し、現世の罪を清めて天国に導く力を持つとされた聖遺物。教会はその聖性と効験を、聖堂の装飾、祭壇画や黄金のシュライン(聖遺物容器)などさまざまな造形で民衆に訴えかける。救済と奇跡を求めたキリスト教社会の熱狂と芸術への昇華の過程を辿る。
  • 「俗なるもの」の否定に「聖なるもの」は顕現し、「聖なるもの」の力によって「俗なるもの」は「聖化」される──。世俗を捨て、「精神の至福」をもとめる宗教実践・ヨーガ。身体のエネルギーセンター・チャクラ、調気法、坐法、マンダラを前に瞑想する観想法など、仏教学の泰斗が自らの体験をとおして具体的にその哲学をときあかす、必読のヨーガ入門。
  • 疫病が世界を一体化した。鎖国は一七世紀の世界的流行だった。歴史上には各地にいくつもの<ルネサンス>があった――。モノとヒトの組み合わせから世界史の同時性を探り、歴史学の内外で唱えられる新視角を紹介・検証する小論集。西欧の歴史を普遍のモデルとせず、多様性と日常性に着目しながら、現代の激動を解読する「歴史への感受性」を磨く。(講談社学術文庫)
  • 西欧や中国など特定の地域に偏った歴史では、人類史の筋は見えてこない。日本の歴史も世界の動きに取り込み、普遍的な視点でとらえようと試みることで、教科書や全集ではつかむことのできなかった世界史の全体像が浮かび上がる。生産力発展の過程と生存・自由・平等を求める人々の努力で形作られた人類史を辿り、現代世界の課題を見つめ直す好著。(講談社学術文庫)
  • 1,496(税込)
    著:
    福沢諭吉
    監修:
    伊藤正雄
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず。近代日本を代表する思想家が説く、国民の精神革命。自由平等・独立自尊の理念を掲げ、西洋的「実学」を奨励する不朽の書に、より多くの読者が親しむことを企図し、本書は流麗な文語調の原文に長年の研究成果を結実させた丁寧な語釈・解説を付した。国際社会の中の日本、日本人のあり方を考えるうえで、いまなお重要な指針を示す現代人必読の一冊である。(講談社学術文庫)
  • 499(税込) 2026/4/9(木)23:59まで
    著:
    高山宏
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    今まで何の関係もないと思われていた2つのものが、1つであることを知ることこそ、魔術・マニエリスムの真諦である。そして、これこそが究極の「快」である。光学、辞典、哲学、テーブル、博物学、造園術、見世物、文字、貨幣、絵画、王立協会……。英国近代史を俯瞰し、歴史の裏に隠された知の水脈を、まるで名探偵ホームズのように解明する「脱領域の文化学」の試みである。(講談社学術文庫)
  • 1,430(税込)
    2026/4/15 (水) 配信予定

    本書は、「最後のローマ人」と評されるアニキウス・マンリウス・セウェリヌス・ボエティウス(475/77頃-526年頃)が生涯の最期に残した著作である。
    ローマ貴族の家に生まれ、アテナイに留学したあと故郷で研究・執筆を行ったボエティウスは、プラトンやアリストテレスの著作をラテン語訳したほか、神学者としては三位一体論を扱う著作を書き、音楽の理論書である『音楽教程』(講談社学術文庫)を、数学の理論書である『算術教程』をものして、四学科(幾何学、算術、天文学、音楽)の基本的な体系を中世に伝えた。
    プラトンの『国家』で語られる「哲人政治」を理想としたボエティウスは、政治家としても東ゴート王国のテオドリック王のもとで宰相の地位にまで昇り、510年には西ローマ帝国の執政官となる。しかし、コンスタンティノープルとローマ教会の首位権をめぐる抗争、東ローマ帝国と東ゴート王国の対立に巻き込まれ、叛逆罪の嫌疑をかけられてパヴィアに投獄、処刑された。本書は、獄中で処刑直前に書かれたものにほかならない。
    散文と韻文が交互に配され、人格化された「哲学」との対話形式を採った本書は、中世には聖書に次いで読まれた著作として知られる。研鑽を積んできたギリシア哲学を土台としつつ、自身の悲痛な体験を背景に抱えながら、理性によって俗情を克服し、徳と善の中で生きる境地を示した本書は、古代哲学の倫理学的な美しさを今に伝える古典である。
    本書の日本語訳は、これまで4種類を数える。その中で最も古いものが、スピノザの翻訳で知られる畠中尚志(1899-1980年)による1938年のものである。「旧字体・旧かな遣い」のままになっていたこの名訳を、「新字体・新かな遣い」にして、お届けしたい。今日の読者にとって読みやすくなる工夫を施すとともに、『畠中尚志全文集』(講談社学術文庫)で熱意あふれる解説を執筆した國分功一郎氏が再び解説を担当した本書は、最新の校訂・研究に基づく他の訳書が存在する中でも、唯一無二の価値を持ち続けるだろう。

    [本書の内容]
    第一部
    第二部
    第三部
    第四部
    第五部
    ボエティウス――生涯・業蹟・文献
    解 説(國分功一郎)
  • 1,430(税込)
    2026/4/15 (水) 配信予定
    著:
    竹村牧男
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    海外でもっともよく知られる日本の思想家は、いかに生き、何をどのように考えたか。
    対立と混迷が深まる時代だから、
    いまこそ世界には「大拙」が必要だ!

    世界にもっとも知られた日本人思想家は、いかに生き何をどのように考えたか。
    青年期からの西田幾多郎との濃密な交流をひとつの軸として、その霊性に満ちた生涯をたどりながら、東西を統合する新たな文明創造を期した思想の核心を読み解く。
    大拙の孫弟子でもある著者が、もっとも重要なポイントにしぼって平易に語る、現代人のための決定的解説書。

    [本書より]
    禅体験に基づく「超個の個」の宗教哲学は、キリスト教の伝統的な神を失った欧米の思想界に、今後ますます大きな影響を与えていくであろうと思っております。
    実際、大拙は、禅ないし仏教等に現われた「東洋的な見方」を、主客二元分裂以後しか見ていない西洋の人々に、何とかして伝えようとしたのでした。その伝道活動が欧米の世界に大きな影響を与えたことは、まぎれもない事実です。その意義は、人類の地球規模の思想史の中の画期的な出来事として、正当に評価されるべきでしょう。

    [本書の内容]
    第1章 大拙の生涯と西田幾多郎との出会い
    第2章 自由への気概──禅に基づく自由論
    第3章 釈宗演老師への参禅──アメリカ渡航まで
    第4章 衆生無辺誓願度の覚り──大拙と西田 日米間の交流
    第5章 浄土教への接近──学習院から大谷大学へ
    第6章 戦争への悲嘆──大拙と西田の憂国の思い
    第7章 日本的霊性について──絶対無条件の大悲に包まれて
    第8章 日本禅宗史への視点──盤珪禅への敬慕
    第9章 大拙の禅思想 I ──「即非の論理」と「超個の個」
    第10章 大拙の禅思想 II ─ただはたらいてやまない境涯
    第11章 東洋と西洋──二元分裂以後と以前
    第12章 日本の復興を願って──華厳思想に基づく民主的社会の提言

    *本書は、2023年にNHK出版より刊行された、NHKラジオ「宗教の時間」通年講座ガイドブック『鈴木大拙 願行に生きる その生涯と西田幾多郎との交遊(上・下)』を合本し、増補改訂したものです。
  • 本書は、20世紀を代表するドイツのユダヤ系思想家であり、フランクフルト学派の中心人物テオドール・ヴィーゼングルント・アドルノ(1903-69)の波乱に満ちた生涯と、その不屈の思想を丁寧にたどる決定版ガイドです。
    フランクフルト・アム・マインに生まれ、哲学、社会学、心理学、音楽学を貪欲に学んだ早熟の天才アドルノは、わずか21歳で哲学博士号を取得。コーネリウスのゼミで終生の友人ホルクハイマーと出会い、戦後にフランクフルト「社会研究所」の所長に就任します。ここに集った研究者たちとともに形成されたのが、後に「フランクフルト学派」と呼ばれる思想潮流です。
    ナチス政権下で教授資格を剥奪されたアドルノは、イギリスを経て1938年にアメリカへ亡命します。1949年に帰国した後、ホルクハイマーと共に社会研究所を再建、亡くなるまでその活動を続けました。
    近代合理性の闇を暴き、西欧文明の自己批判を徹底したアドルノ。アメリカの大衆文化批判、反ユダヤ主義への応答、そして「新しい主体」や芸術と哲学の連帯を模索する彼の思想は、現実とのすさまじい緊張関係の中から生み出されるもので、安易な解釈を許しません。
    本書では、音楽への情熱、クラカウアーやベンヤミンとの友情、ホルクハイマーとの共同作業など、その思想を育んだ生涯をたどり、主要著作『啓蒙の弁証法』『否定弁証法』『美の理論』の読解を通して、危機の時代に生きた知の巨人の核心に迫ります。アドルノ研究の泰斗による、最良の概説書です。

    [本書の内容]
    まえがき
    プロローグ 肯定的なアドルノを求めて
    第一章 音楽の揺りかご
    第二章 星々の友情
    第三章 否定弁証法のオリジン
    第四章 亡命のオデュッセウス
    第五章 理性の原史をたずねて――『啓蒙の弁証法』の射程
    第六章 新たな「唯物論」へ――『否定弁証法』と「客観の優位」
    第七章 『美の理論』の告げるもの
    エピローグ パウル・ツェランとアドルノ
    主要著作ダイジェスト
    キーワード解説
    読書案内
    あとがき
    学術文庫版あとがき
    アドルノ略年譜

    *本書の原本は、1996年に「現代思想の冒険者たち」第15巻として小社から刊行されました。
  • イスラームは天文学を必要とし、天文学はイスラームなくして発展し得なかった。

    論証と幾何学により天文現象をモデル化しようとした古代ギリシアの試みは、2世紀エジプト・アレクサンドリアのプトレマイオスに受け継がれ、その主著『アルマゲスト』において、天動説による宇宙モデルはひとつの完成を見た。

    しかし、その後のローマ帝国において人々が必要としたのは、天文学という知的探求そのものではなく、占星術とホロスコープであり、星々の位置を定める手段のみであった。ギリシア科学やプトレマイオスによる幾何天文学を展開・発展させる者がヨーロッパ世界において現れるのは、コペルニクスの登場まで待たねばならなかった。

    だが、地動説を打ち立て天文学のみならず科学を大きく転回させたコペルニクスは、明らかにプトレマイオスの天文学を受け継いでいた。7世紀には断絶を迎えていたはずの幾何天文学は、16世紀のコペルニクスまで、いかにしてたどり着いたのだろうか。

    実は『天球回転論』では、サービト・イブン・クッラ、バッターニー、ザルカーリー、イブン・ルシュド、ビトルージーらイスラーム世界の学者への言及がされている。コペルニクスは、イスラーム地域の天文学者たちの成果を、参照すべき先人の業績とみなしていたのである。

    イスラーム世界、とりわけアッバース朝では、それまでのペルシアの伝統を受け継ぎ、翻訳事業を振興し、占星術を重視した。他方で、異教徒との議論において自らの教義の正当性を揺るがぬものとするため、世界の仕組みについての合理的な説明を厳密に組み立てる「論証」が求められた。そうした要請のもとイスラームの学者たちは、古代ギリシアやインドの知的達成に学び、その中でプトレマイオスは再発見されたのである。さらに彼らは、天体モデルの整合性を追究し、観測結果に基づいてプトレマイオス天文学の修正を目指し、より厳密な幾何天文学を構築しようとした。その集大成を、地動説という形で成し遂げたのがコペルニクスだったのである。

    コペルニクスの登場が近代天文学、ひいては近代科学の始まりであるとするならば、イスラームによる天文学研究は、近代科学の礎となる重要な活動であったと言える。
    本書は、イスラーム世界において天体への考察が科学として磨き上げられていった歴史を、簡明かつ鮮やかに描き出すものである。

    *本書の原本は、2010年に岩波科学ライブラリーより刊行されました。
  • 2,530(税込)
    著:
    網野善彦
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    鎌倉時代後期、13世紀後半の日本には「飛礫(つぶて)」や「博奕(ばくち)」に象徴される、底知れぬ力が渦巻いていた。
    その源となった「未開」と「文明」、「農業」と「非農業」の対立は、幕府では御家人と御内人、朝廷では持明院統と大覚寺統の政治的対立として、また宗教においては日蓮と叡尊・忍性の対立、さらには荘園支配をめぐる対立として、社会のさまざまな局面にあらわれる。蒙古襲来は、せめぎあいの緊張が高まる日本に訪れた危機だった。
    未曾有の外寇によって対立の均衡が崩れた時、後戻りのできない大転換が始まる。それは単に鎌倉幕府の滅亡にとどまらない、近世・近代の日本社会の在り方にもつながる日本社会の大変動だった――。
    戦後歴史学を代表する歴史学者、網野善彦が遺した唯一の時代史にして無二の全体史。【解説:清水克行】

    「未開」と「文明」、「農業」と「非農業」が激突する十三世紀後半の日本。蒙古襲来によってその均衡が崩れたとき、決して後戻りのできない大転換が始まる――。網野史学唯一の時代史にして無二の全体史。


    遍歴する職人や商人、海民など非農業民に光をあてることで、これまでにない中世日本の姿を描き出した網野善彦(1928-2004年)。鎌倉時代後期の法制・経済・宗教・文学の総体に過不足なく言及された本書は「網野によって書かれた唯一の時代史叙述であるだけでなく、網野史学にもとづいた貴重な「全体史」の試み」である(清水克行氏「解説」より)。
    『中世荘園の様相』に続く二冊目の単著となる本書は、前著で描かれた若狭国太良荘をはじめとする荘園の百姓や支配者たちをめぐる悲喜こもごもはもちろん、非農業民である職人の活動や「悪党」に接近する後醍醐天皇、あるいは活発な中世の海上交通、「弘安徳政」など、その後の仕事に結実するエッセンスが凝縮されている。網野史学を彩る個々の魅力的なテーマが通史叙述のなかで立体的に組み上げられ、大きく転換していく時代のうねりがダイナミックに立ち上がる。
    圧倒的スケールで繰り広げられる空前絶後、唯一無二の時代史。(原本:小学館、二〇〇一年)

     【本書の内容】
    まえがき〔小学館ライブラリー版〕
    飛礫・博変・道祖神――はじめに
    二つの世界、二つの政治
    「蒼い狼」の子孫
    文永の役
    建治元年―日本
    弘安の「徳政」と安達泰盛
    百姓と「職人」
    訴人雲霞のごとし
    転換する社会
    鎌倉幕府の倒壊
    一三世紀後半の日本
    参考文献
    解 説(清水克行)
    年 表
  • 17世紀にガリレオやニュートンによって近代科学が成立するが、18世紀になると自然哲学の勢いは衰え、代わって博物学が時代を代表する学問となった。ヨーロッパでは王侯貴族から市民までが博物学に熱狂し、珍奇な動植物や鉱物を収集・分類することが流行する。こうした情熱の背景には「神の創造した自然を理解することが神を理解することになる」というキリスト教的信念があった。
    本書は、この博物学の黄金期を、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネ(1707―1778)を中心に描く。リンネは「分類学の父」と呼ばれ、生物を「属名+種小名」の二語で表す二名法を確立し、現代の学名体系の基礎を築いた人物である。彼の代表作『自然の体系』や『植物の種』は、生物を階層的に整理する画期的な試みであり、後世のダーウィンにも影響を与えた。
    世界のすべてを知り尽くしたい――万物を収集、分類、記述しようとする欲望は、どこから出てきたのか、鎖国日本を含む全世界をめざしたリンネの弟子たちは何を行ったのか。
    18世紀の知的熱狂と探究心、そして自然を体系化しようとした人類の壮大な試みを、リンネを軸にコンパクトにまとめた一冊。博物学の意義とその文化的背景を理解するための格好の入門書。

    [本書の内容]
    プロローグ 博物学の時代
    第1章 すべての植物を分類しつくす
    第2章 植物はどのようにとらえられてきたか
    第3章 学名の誕生
    第4章 最高の学問としての博物学
    第5章 世界を分類しつくしたい――リンネとその野望
    第6章 地球の裏側までも――リンネと使徒たち
    第7章 リンネ博物学の遺産
    エピローグ リンネからダーウィンへ
  • 宇多・醍醐・村上、三代の天皇は何を書きのこしたか。
    摂関政治への転換期に起こった政治的事象から、愛猫の消息まで、
    “天皇自身の筆による日記"を読む!

    貴族社会においては政事・儀式の慣例を示すものとして重んじられ続け、
    歴史・文学研究では第一級資料となる『宇多天皇御記』『醍醐天皇御記』『村上天皇御記』。
    古記録学の最新知見に基づき、断片的な逸文を博捜し、喪われた本文を可能な限り復元・現代語訳。
    後の世に「延喜・天暦の治」と称えられる醍醐・村上による「親政」の実態、藤原氏による摂関政治の形成過程、そして天皇の日常の姿……平安の歴史が時代の空気とともに蘇る。

    [本書の内容]
    はじめに
    凡例
    「宇多天皇御記」:仁和三(887)~寛平九(897)年 *年月日不詳を含む
    「醍醐天皇御記」:寛平九(897)~延長七(929)年 *同
    「村上天皇御記」:天慶九(946)~康保四(967)年 *同
    用語解説
    人物注
    略年表
    関係地図
    平安宮内裏図
    方位・時刻

    *本書は当シリーズのための訳し下ろしです
  • フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)は、1889年初頭に狂気の闇に沈み、健全な精神活動をなしえないまま生涯を送った。本書は、その直前にあたる1887年11月に出版された哲学者としての最晩年の著作である。
    本書の主題は、表題にあるとおり「道徳(Moral)」である。これは日本語では「価値観」とも言い換えることができる。では、なぜニーチェは価値観を問題視したのか。言うまでもなく、それはその価値観が自明視できなくなっていたからであり、そのままでは通用しなくなっていたからである。
    従来の価値観が通用しなくなっているにもかかわらず、それが依然としてニーチェ自身を含む人々の考え方や生き方を制約し、生きる意味を規定してしまっている、という矛盾した現実。それこそがニーチェを突き動かし続けた思想的動因にほかならなかった。それゆえ、新たな価値観を模索し、あらゆる基本的価値の転換を果たすことが最も重要な思想的課題である、というのがニーチェの時代診断である。
    ニーチェにとって、従来の価値観とはヨーロッパを支配してきたキリスト教的道徳の伝統の中で普遍的なものとされてきたものだったが、それは歴史的現象として発生し、揺れ動いてきたものでしかない。それゆえ、この主題は「系譜学」という手法で取り組む必要がある。――本書は、初めてその認識に立った者による探究の開始を告げるものであり、だからこそニーチェは刊行2ヵ月後にあたる1888年1月、友人オーヴァーベックに宛てて次のように書いた。
    「本書を構成する三論考は、それぞれ個別的な第一動因を表現しています。〔…〕多様きわまりない要因すべてを最終的に勘案し、とりまとめて、道徳をある種、清算することも同様です。そういうことをするには、われわれはまだわたしの哲学の「前奏」段階にいます」。
    つまり、本書は、たとえ重要な成果をもたらしているとしても、まだほんの入り口にすぎず、この課題はここから続行される必要がある、とニーチェは考えていた。それゆえ、従来は『道徳の系譜』と訳されることが多かった本書の表題Zur Genealogie der Moralは、「道徳」という主題を「系譜学」という手法で扱う企てのマニフェスト、という意味で『道徳の系譜学に向けて』と訳さなければならない。
    長年にわたってニーチェを主要な研究対象としてきた大家が満を持して送り出す決定版新訳、ついに完成。

    [本書の内容]
    序 論
    第一論考 「善良と邪悪」、「優良と劣悪」
    第二論考 「負い目」、「やましい良心」および関連事項
    第三論考 禁欲主義的諸理想は何を意味するか

    訳者解説 試行としての鳥瞰
    訳者あとがき――タイトル頁裏の「付言」について
  • 1,650(税込)
    著:
    吉田禎吾
    解説:
    真島一郎
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    聖にして穢、善にして悪、神にして魔!
    人類普遍の「魔の構造」を明かす、文化人類学の到達点。

    聖なるものはなぜ呪われたものでもあるのか。清純な白と無気味な白・左の神秘・双子の習俗、魔女・憑きもの・不思議な来訪者……日本・バリ・アフリカの民俗をたずね、文化/自然・男/女・昼/夜など、二元的カテゴリー間の均衡を攪乱する「どちらつかずの中間領域」に魔性の発生を見いだす。文化人類学の大家による画期の書!

    [目次]
    序章 妖怪と両義性
    ■第一部 自然の認識――原初的分類
    第一章 清純な白と無気味な白
    第二章 左の神秘
    第三章 方位の意味
    ■第二部 水・双子・音
    第一章 さかさ水
    第二章 双子の習俗
    ■第三部 魔性の構造
    第一章 魔女、死霊のイメージ
    第二章 女性の魔力
    第三章 不思議な動物 1
    第四章 不思議な動物 2
    第五章 不思議な動物 3
    第六章 不思議な来訪者

    あとがき
    みすずライブラリー版あとがき
    解説 聖の迷宮 真島一郎
    索引

    (*本書の原本は1976年に研究社出版より刊行されました。学術文庫化に際しては、1998年刊行のみすず書房版を底本としています。)
  • 1,320(税込)
    著:
    中村元
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    稀代の仏教学者が追究した仏道の根本概念 その出発点にして到達点
    他者へのあたたかな共感がここにある

    友愛の念「慈」、哀憐の情「悲」。生きとし生けるものの苦しみを自らのものとする仏の心、そして呻きや苦しみを知る者のみが持つあらゆる人々への共感、慈悲。仏教の根本、あるいは仏そのものとされる最重要概念を精緻に分析、釈迦の思惟を探究し、仏教精神の社会的実践の出発点を提示する。仏教の真髄と現代的意義を鮮やかに描いた、仏教学不朽の書。

    慈悲の実践はひとが自他不二の方向に向って行為的に動くことのうちに存する。それは個々の場合に自己をすてて他人を生かすことであるといってもよいであろう。(中略)それは個別的な場合に即して実現さるべきものであるが、しかも時間的・空間的限定を超えた永遠の意義をもって来る。それは宗教に基礎づけられた倫理的実践であるということができるであろう。かかる実践は、けだし容易ならぬものであり、凡夫の望み得べくもないことであるかもしれない。しかしいかにたどたどしくとも、光りを求めて微々たる歩みを進めることは、人生に真のよろこびをもたらすものとなるであろう。――<「結語」より>

    ※本書の原本は、1956年に平楽寺書店より刊行されました。
  • 道長が「この世をば我が世とぞ思う……」と口ずさんでから約70年。道長の玄孫にあたり、のちに右大臣に昇る藤原宗忠は宮廷での日々を綴り始めた。宗忠が職を辞するまで、52年にわたり書き続けられた『中右記』は、華やかな宮廷生活はもちろんのこと、「武者の世」へと大きく時代が動いていく院政期社会の実像を伝えてくれる。貴族の旅行や交通事情、京で起こったさまざまな犯罪、落馬を恐れる貴族と牛車に四苦八苦する武士たち――宗忠は時に家族との死別に涙して仏事に奔走し、息子たちの栄達を願って心を砕く一方、自らを妨げた者、助けてくれた者の一覧を記すような面も日記のなかで見せている。
    膨大な日記の海から、著者ならではの視線で重要な記述をすくいあげ、およそ900年前を生きた多様な階層の人々の暮らしをあざやかによみがえらせる、不朽の院政期社会史。

    院政期の第一級史料である『中右記』は実にさまざまなことを語ってくれる。従一位、右大臣にまで昇りつめた宗忠の日々の苦労や悲喜こもごもはもちろん、熊野詣や伊勢への具体的な旅程と旅先ならではの交流、当時の警察・裁判機構の長官である検非違使別当として記した京の犯罪とその取り締まりの実態、それをめぐる人間模様、強訴を繰り返す悪僧たちの躍動、京の民衆が熱狂した田楽、そして警備などを通じて静かに存在感を増していく武士たちの姿……。
    宗忠が生きた時代は、白河院による院政が始まり、「武者の世」の足音が聞こえはじめた、激動の予感に満ちた時代である。摂関家を中心とする藤原一門の栄華には翳りがさし、宗忠の日記には王朝貴族の秩序が崩れていくことへの悲憤や嘆きもにじむ。同時に武門の随兵・郎等のあり方からは、院政時代特有の武士像もうかがえる。
    膨大な日記のなかから宝物のような手がかりをすくいあげ、同時代の日記や史料をも駆使して、900年前を生きた人々の体温や息遣いまで感じられるほどに、当時の世界が描き出される。(原本:そしえて、1979年)

    【本書の内容】
    はしがき 
    一 立身の道
    二 熊野・伊勢への旅
    三 検非違使の記録
    四 院政期諸階層の生態
    五 宮廷貴族の晩年
    藤原宗忠関係年譜
    解 説 髙橋昌明
  • 1,210(税込)
    著:
    高田修
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    古代初期から紀元後2世紀前半まで、決して創られなかった「仏の像」。形象化タブーの時代から何を転機に、いつ、どこで、どのように「仏像」が生まれたのか? 考古学、美術史、仏教思想、仏教史上、重要なテーマでありながら長らく明かされなかった疑問に、圧倒的多数の仏像図版を掲げて、仏教学の泰斗が正面から対峙する!

    見どころ)
    70点を超える仏像図版。
    構図、テーマ、表情、髪型や衣のひだまでに至る
    細やかな考察から、仏像誕生の系図を眺める、はるかなる宗教の旅――。

    やっぱ人型を模した偶像にグッときてしまうのは人間の性。
                         ――みうらじゅん

    本書の原本は、1987年10月に岩波新書より刊行されました。


    目次

    序 ガンダーラかマトゥラーか
    一 伝承のなかの仏像
    二 仏像の起源を求めて

    第1章 仏像のない時代
    一 仏教美術のはじまり
    二 仏陀なき仏伝図
    三 仏教徒は何を拝んでいたか
    四 なぜ仏像がなかったのか

    第2章 ガンダーラ美術と仏像
    一 ギリシア・ローマからガンダーラへ
    二 仏像のガンダーラ起源説

    第3章 ガンダーラ仏の誕生
    一 ガンダーラの仏教文化
    二 仏伝図と仏像
    三 単独仏像の出現
    四 西北インドの仏教情勢

    第4章 マトゥラー美術と仏像
    一 古いまちマトゥラー
    二 マトゥラー起源説

    第5章 マトゥラー仏の成立
    一 初期のマトゥラー仏
    二 マトゥラー仏の出現
    三 初期仏のインド的成立
    四 「菩薩」という名の仏像

    クロノロジー
    参考文献
    あとがき
    解題 「仏像ファンとして」 ーーみうらじゅん
    索引
  • 本書は、古代ローマの建築家マルクス・ウィトルーウィウス・ポッリオーによる著作であり、現存する最古の建築書として知られる。
    ローマ初代皇帝アウグストゥス(在位前27-後14年)の時代に活動したウィトルーウィウスは、『建築書(De architectura libri decem)』(『建築について』または『建築十書』とも)の著者であること以外、その出自や生涯は何も知られていない。本書は、建築に関する包括的な著作であると同時に、当時の技術を幅広く記録した百科事典的なものでもある。その内容は、以下のようになっている。

    第一書 建築の原理
    第二書 建築の歴史と材料
    第三書 イオーニア式神殿
    第四書 コリント式神殿とドーリア式神殿
    第五書 劇場とその音響、および浴場
    第六書 町の家屋と田園の家屋
    第七書 内部装飾
    第八書 給水
    第九書 時計
    第一〇書 機械技術と軍事技術

    このように、本書は古代ギリシア・ローマの建築(建築家の教育、材料、構法、建築の計画法など)のみならず、当時の都市計画、天文学、気象学、土木、軍事技術、絵画、音楽、演劇の実態を後世に伝える、きわめて貴重な史料にほかならない。ローマ時代にも引用されたが、中世になると修道院を中心に研究され、カール大帝の時代にはローマ帝国再建のための技術的な手引きとされたことが知られる。続くルネサンス期には、人文主義の重要な文献として研究され、アルベルティをはじめ多くの注釈書や訳書が出現したほか、レオナルド・ダ・ヴィンチは第三書で示される、神殿建築は人体と同様に調和したものであるべき、という記述に依拠して1485-90年頃に《ウィトルーウィウス的人体図》を描いた。
    西洋建築に関する古典中の古典として流通してきた本書の唯一の日本語訳を、初めて文庫版としてお届けする。

    [本書の内容]
    第一書
    第二書
    第三書
    第四書
    第五書
    第六書
    第七書
    第八書
    第九書
    第一〇書

    文献一覧
    訳者あとがき

    解 説(田路貴浩)

    建築用語索引
  • 幽閉・排除すべき狂気から治療・ケアすべき精神疾患へ――近代の精神医学はここからはじまった。

    近代精神医学の祖とされるフィリップ・ピネル(1745-1826年)。自由・平等・博愛といった啓蒙精神と人類愛が高まる革命期のフランスで、精神疾患に罹患した友人の治療に関わったことを機に精神医学に関心を覚えたピネルは、ビセートル病院とサルペトリエール病院の医長を歴任し、監護人ピュサンとともに「狂人」と呼ばれ鎖に繋がれていた精神病者を解放し、人道的な治療を始めた人物として知られる。その狂気の分類・治療実践と狂人の解放神話はヘーゲルやミシェル・フーコーにも取り上げられ、医学のみならず哲学分野にも大きな影響を与えた。
    ピネルの思索と実践を記録した本書は、精神医療の改革と近代化をうたった最初期の重要文献のひとつである。同じタイトルながら内容がかなり異なる第二版が存在することが知られている本書。さまざまな「精神病」の疾病分類を体系的に行おうとする第二版とは異なり、初版である本書では、マニー(躁病、気分障害、統合失調症、妄想、パーソナリティ障害などを含む概念)の疾病分類がなされ、それまでの瀉血や薬物、水療法など身体を対象とした療法ではなく、「心」にアプローチする「心的療法(モラル・トリートメント)」が提唱される。この療法は食事や労働などの生活習慣、社交、そして感情への配慮をもとにしたもので、「ケア実践」の源泉といえる。ピネルが臨床経験を重視し実践家に学びながら、新しい治療法を確立しようとした苦難の軌跡である。
    巻末には、ピネルの略伝、著書刊行年の謎、鎖からの解放神話の真相、ピネル研究史などを丁寧に論じた訳者による「あとがきに代えて」「講談社学術文庫版あとがき」、さらにフーコーを軸に本書の意義を明らかにする精神医学研究の気鋭・上尾真道による詳細な「解説」を付した。
    ピネル没後200年にあたる2026年、近代精神医学の誕生を告げる記念碑的著作を文庫として刊行する。

    *本書の原本は、1990年に中央洋書出版部から刊行されました。

    (主な内容・目次)
    マニー論 本書の全体的構成
    第一章 周期性もしくは間歇性マニー
    第二章 精神病者の心的療法
    第三章 精神病者の頭蓋の形態的欠陥についての解剖学的研究
    第四章 精神病の明確な種類の分類
    第五章 精神病者の救済院で確立されるべき院内規律と監護
    第六章 精神病者の医学的療法の諸原則
    あとがきに代えて
    講談社学術文庫版あとがき
    解説 精神医療とモラル フーコーと読むピネル『精神病に関する医学=哲学論』(上尾真道)
     (上尾真道)
  • 「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたのか? 昭和天皇「不訴追」の背景は? 無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明――アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する!


    第一人者による東京裁判研究の金字塔!
    「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたか

    「天皇不訴追」決定の真実、無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明──アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する!

    「A級戦犯」28人はいかにして選ばれたのか。天皇不訴追の決定プロセスの真実とは。釈放されていく「大物」たち、免責された毒ガス・細菌戦。冷戦が本格化してゆく中で、無視された証言・証拠……アメリカに残されていた膨大な尋問調書を丹念に読み解き、語られざる歴史の実相と当事者達の人間ドラマを描き出す。東京裁判はこうして始められた!
  • 1,760(税込)
    著:
    森田慶一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    本書は、建築家・建築研究者である森田慶一(1895-1983年)が、自身の建築理論を包括的に論じたものです。
    東京帝国大学工学部で建築を学んだ著者は、京都帝国大学で教鞭を執るようになり、1934年から36年にはフランス、ギリシアに留学して、古典建築を学びました。教育活動に加え、建築家としては、京都帝国大学楽友会館(1924年)、京都大学基礎物理学研究所湯川記念館(1952年)などの設計で知られる著者は、博士論文の主題でもあった古代ローマの建築家ウィトルーウィウスの『建築書』の研究を続け、唯一となる日本語訳を刊行しています(講談社学術文庫より近刊予定)。
    京都大学退官後に東海大学教授を務めた著者は、古典建築の研究に裏打ちされた思想を理論化し、多くの学者を育てた日本の建築学・建築理論の創始者にほかなりません。
    本書は、東海大学での講義を基にした「建築論概説」、「建築論の特殊問題」、「西洋建築思潮史」の三編に、ポール・ヴァレリーの建築論的な対話篇である『エウパリノス』(1923年)の日本語訳を加えて構成されています。物体性、効用性、芸術性、超越性を軸にした総論である「概説」から始まり、様式、法則、造形をめぐる各論である「特殊問題」を扱った上で、古代ギリシアからロマン主義に至る歴史を一望する「建築思潮史」に至る構成は、講義ならではの明快さも相俟って、類を見ない建築論概説となっています。末尾に配置されたヴァレリーの『エウパリノス』は、他の訳書も知られている作品ですが、建築家であるからこそ可能な妙味をもつ貴重な訳業だと言えるでしょう。
    著者が生涯を賭して研究したウィトルーウィウスの訳書とともに、その主著をも合わせて学術文庫に収録されることで、この大家の仕事が長きにわたって受け継がれることを願っています。

    [本書の内容]
    建築論概説
     序 章
     一 物体性の問題
     二 効用性の問題
     三 芸術性の問題
     四 超越性の問題
     五 建築の各存在様態相互間の相関
     むすび
    建築論の特殊問題
     一 様式の問題
     二 法則と自由
     三 建築造形における表現の諸相
    西洋建築思潮史
     一 古代ギリシアの建築思想
     二 ウィトルーウィウスの建築論
     三 中世の建築観
     四 ルネサンスの建築思想
     五 近世フランスの建築思想
     六 古典主義とロマン主義
    ポール・ヴァレリー「エウパリノスまたは建築家」
    解 説(田路貴浩)
  • 香りで読みとく『源氏物語』──薫物から源氏香まで、平安王朝の雅びへと誘う一冊

    平安の宮廷に漂う、ほのかな香の余韻。仏教の隆盛とともに渡来した薫香は、平安初期には宮廷や貴族の邸宅へと浸透し、王朝文化の一端として定着していきました。『源氏物語』が生まれたのは、まさにその文化がもっとも成熟した平安中期。文字、絵画、音楽、建築、造園といった芸術が形式美の極みに達し、「雅び」という美意識が時代を彩っていた頃です。
    香りは、そうした「雅び」を構成する、もっともとらえ難く、それゆえもっとも重要な要素のひとつでした。衣にたきしめる「衣香」、紙にうつす香り、室内にただよわせる「空薫物」、仏前にそなえる「名香」など、香りは日常の中に息づき、身分や教養、個性を表現する手段でもありました。後年、こうした香りの文化は、香道において「源氏香」に結実していきます。

    『源氏物語』において、香りは登場人物の心の揺らぎや人間関係の機微を伝える鍵として巧みに用いられています――
    ふと漂う香りから光源氏の訪れを察し、動揺する藤壺。
    落ちぶれてもなお、稀有な香木の香りをまとう末摘花の高貴さ。
    薫君の移り香を中君がまとっていることに気づき、ふたりの関係を疑う匂宮。
    護摩の芥子の香りから、自らが生霊となっていたことを悟る六条御息所。
    「光る君」の二つの面をそれぞれ継承した「匂宮」と「薫君」のまとう香りの違い。

    本書は、香りの描写から『源氏物語』の奥深い世界を繙いていきます。『源氏の恋文』『新訳源氏物語』全四巻など源氏関連の著作を多数執筆し、香道研究に従事して『香道蘭之園』の校訂・解題も手がけた著者による、珠玉の一冊。(解題:毬矢まりえ、森山恵)

    [本書の内容]
    序にかえて――源氏物語と薫香

    源氏の世界と香り
    薫香への道程
    六種の薫物
    たきもの拾遺
    匂宮と薫君
    「源氏香」について

    朝日選書版あとがき
    『薫集類抄』(群書類従版)より
    参考文献一覧
    解題 毬矢まりえ、森山恵

    本書の初版は、1986年に求龍堂から出版されました。文庫化にあたっては、1992年に朝日選書として朝日新聞出版より刊行されたものを底本としました。
  • 幕末の志士・高杉晋作は、上海への旅でその見聞を世界に広げ、改革の意志に覚醒した。24歳の感性でつづられた貴重な渡航日記、初めての文庫版。高杉晋作研究の第一人者、一坂太郎氏による現代語訳と訳注・解説に加えて、晋作の略伝も収録。
    文久2年(1862)、長州藩士・高杉晋作は、幕府の上海使節団に加わるよう藩主から命じられ、およそ2カ月間、上海に滞在する。そこで晋作が見たものは、西洋列強に侵食された清国の惨状と、欧米の露骨なアジア戦略だった。清国人はことごとく外国人にこき使われ、イギリス人やフランス人が街を歩けば、みな道を譲る。孔子廟は折からの太平天国の乱を鎮圧するイギリス軍の陣営として外国兵に蹂躙されていた。晋作は、気脈を通じた上海城の衛兵・陳汝欽との筆談などを通して、外国に内政干渉の隙を与える内乱の恐ろしさとともに、洋式軍隊の威力を痛感。このままでは日本も中国の轍を踏むとの危機感を抱く。この思いが帰国後の晋作を突き動かし、奇兵隊結成など尊攘運動の原動力になっていく。
    「航海日録」「上海淹留日録」「内情探索録」「外情探索録」「長崎淹留雑録」などからなる「遊清五録」のほか、桂小五郎らに長州産物の海外輸出を提案する「長崎互市の策」、上海渡航の簡潔な報告「形勢略記」などを併録。『高杉晋作の「革命日記」』(朝日新聞出版、2010年)所収の「遊清五録」をもとに、大幅に改訂・加筆して文庫化。

    目次

    〈解説〉『遊清五録』について

    遊清五録
    遊清五録序/航海日録/上海淹留日録/続航海日録/内情探索録/外情探索録/外情探索録・巻の二/長崎淹留雑録

    長崎互市の策
    測量記
    独断にて蒸気船オランダ国へ注文つかまつり候一条
    形勢略記

    〈付録〉
    『遊清五録』を追って
    高杉晋作の生涯
    あとがき――『遊清五録』と私
  • この生は生きるに値するか。
    世界は人間にとって意味ある生を保証するか。

    美と崇高、あるいは世界の目的論的理解をめぐる『判断力批判』の考察は、生の目的、および世界の存在の意味をめぐる真率なる思考に貫かれている。テクストの隠されたモチーフをも跡づけつつ碩学がよみがえらせる、鮮烈なる「カント」!

    [目次]
    まえがき
    第1章 美とは目的なき合目的性である――自然は惜しみなく美を与える
    第2章 美しいものは倫理の象徴である――美への賛嘆は宗教性をふくんでいる
    第3章 哲学の領域とその区分について――自然と自由あるいは道徳法則
    第4章 反省的判断力と第三批判の課題――美と自然と目的とをつなぐもの
    第5章 崇高とは無限のあらわれである――隠れた神は自然のなかで顕現する
    第6章 演繹の問題と経験を超えるもの――趣味判断の演繹と趣味のアンチノミー
    第7章 芸術とは「天才」の技術である――芸術と自然をつなぐものはなにか
    第8章 音楽とは一箇の「災厄」である――芸術の区分と、第三批判の人間学的側面
    第9章 「自然の目的」と「自然目的」――自然の外的合目的性と内的合目的性
    第10章 目的論的判断力のアンチノミー――反省的判断力の機能と限界について
    第11章 「究極的目的」と倫理的世界像――世界はなぜこのように存在するのか
    第12章 美と目的と、倫理とのはざまで――自然神学の断念と反復をめぐって
    あとがきにかえて――文献案内をかねつつ

    (*本書の原本は2017年に講談社より刊行されたものです。)
  • 病いに苦しむことと手を差しのべることは、同じ出来事の二つの現れである――。

    パーキンソン病・統合失調症・小児・末期ガン・緩和ケア……〈ケア〉という営みは、病む人の苦しみに引き寄せられ、ときに痛みや辛さの表情に押し戻され、それでもその傍らにとどまり続ける態度のなかにすでに現れはじめている。看護学生と新人看護師の経験と語りを「鏡」として探る、来たるべき「ケア共同社会」への道しるべ。

    [目次]
    序 〈病い〉は患者のなかに閉じられているのか
    ■一 身体に耳をすます――看護学生の経験から
    第1章 動かぬ身体との対話
    第2章 押し戻す〈病い〉/引き寄せる〈病い〉
    第3章 「患者の立場に立つ」ということ
    第4章 〈病い〉の経験が更新されるとき
    ■二 二人でひとつの〈病い〉をつくる――新人看護師の経験から
    第5章 看護がよくわからない
    第6章 協働する身体
    第7章 「気がかり」が促す実践
    第8章 他者の痛みを感じとる――病名告知と〈病い〉経験
    終章  〈ケア〉を捉えなおす
    注および引用文献
    あとがき
    学術文庫版へのあとがき ケア共同社会への里程標

    (*原本:『交流する身体――〈ケア〉を捉えなおす』NHKブックス、2007年)
  • 「日本的」世界は、こうして生まれることになった。

    大陸の統一帝国出現は、倭と呼ばれる小国を政治変革へと突き動かす。
    彼らは緊迫する東アジアを生き抜くべく、律令という先進的統治システムを必死に学び、土着的な氏族制社会の上に接合させた。
    「日本的」な国制と文化は、なぜ、いかにして生まれたのかを深く問い、大化の改新からの二五〇年の骨格を鮮やかに描き出す、
    不朽の歴史像。
    解説:大隅清陽

    【本書より】
    大宝律令は、当時の日本の社会から隔絶した高度な統治技術をふくんでいた……支配層による統治技術の「先取り」は……早熟的な国家を生みだした……律令国家には、中国的な律令制と、大和王権に由来する氏族制とが重層しており、あえて図式化すれば、律令国家は「律令制」と「氏族制」の二重構造としてとらえることができる……

    【解説より】
    本書において吉田は、概説書ならではの試みや冒険も随所でおこなっている。それは主に、日本の古代国家と近代の国民国家や天皇制との関係を問うもので、端的に言えば「日本とは何か」「天皇とは何か」という二つの問いに集約される。

    【本書の内容】
    はじめに
    宮中のクーデター
    新しい国制の模索
    亡国の危機
    内乱の勝者
    律令国家の構想
    平城京の建設
    大仏開眼
    天平びとの愛と死
    ゆれ動く天皇観
    平安京へ
    古典的な国制と文化
    おわりに
    参考文献
    解説 「日本」への果敢なる問い(大隅清陽)
    年表
    索引

    *本書の原本は『大系日本の歴史』第3巻として1988年2月に小学館より刊行され、1992年に小学館ライブラ
    リーに収められました。今回の文庫化にあたり、副題「倭から日本へ」を新たに付しました。
  • 日本史上、約700年にわたって権力の座にあった「武士」とは、いかなる存在だろうか。1970年代以降の中世史や社会史の研究の進展によって、「武士像」は大きく書きかえられてきた。王朝国家の中央「軍事貴族」として登場してきた武士は、必ずしも古代王朝の「貴族」と対立する存在ではないという。そうした武士の「闘う存在」としての側面だけではなく、「色恋模様」から、武士の本質と武家社会の裏面史に迫る異色作。
    中世社会においては、「恋」は「権力」に直結する問題だった。その成就、ひいては婚姻関係、感情のもつれなどが、権力の失墜あるいは強化をもたらし、以後の家格にも影響を与えたのである。
    多情多恨の女房歌人・和泉式部の最後の男性、藤原保昌。秀歌の褒美に鳥羽院の女房・菖蒲御前を賜った源頼政。分不相応の恋の切なさを断ち切って出家した佐藤憲清あらため西行。将軍源頼家に恋女房を横取りされて激昂した御家人・安達景盛。夫唱婦随の「権力の夢」に破れた北条時政と牧の方の陰謀事件。近世の歌舞伎の題材にもなった婆娑羅大名・高師直の無軌道な邪恋。『吾妻鏡』『太平記』などに語られる逸話の数々は虚実ともどもだが、まさに「恋は歴史を紡ぐリンケージとして作用した」ことを示している。
    『恋する武士 闘う貴族』(山川出版社、2015年)の第1部を原本として文庫化。

    目次
    はしがき
    第一章 王朝武士の色とりどり
    1 王朝武者の恋の系譜
    2 内乱期、武士の恋模様
    第二章 鎌倉武士の懸想
    1 懸想の顛末
    2 色々の執心
    第三章 動乱期南北朝と修羅の恋
    1 「偕老の契り」と修羅の諸相
    2 武将たちの恋の深淵
    学術文庫版のあとがき
  • 1762年に入学したケーニヒスベルク大学で神学と哲学を学び、私講師を務めていたカントの薫陶を受けたヨハン・ゴットフリート・ヘルダー(1744-1803年)は、同じ時期にヨハン・ゲオルク・ハーマンと出会い、私淑したことが知られる。その後、1769年にフランスに渡り、ハンブルク、ダルムシュタットを経て、シュトラスブルク(ストラスブール)に到着したヘルダーは、ゲーテとの決定的な邂逅を経験した。大きな影響を与えたゲーテとともに、ヘルダーは「疾風怒濤(シュトルム・ウント・ドランク)」運動を推進するとともに、プロイセン王立ベルリン学術アカデミー(ベルリン・アカデミー)の懸賞課題に応えて執筆した『言語起源論』を1772年に公刊して、その名を轟かせる。
    1776年にゲーテの尽力でヴァイマールの宗務管区総監督・主任牧師に迎えられたヘルダーは、主著『人類歴史哲学考』(1784-91年)を執筆・公刊したが、旧師カントから厳しい批判を浴びた。1799年に公刊された本書は、その表題が示しているとおり、カントの『純粋理性批判』(初版1781年、第2版1787年)に対する「批判」──「批判の批判」としての「超批判(メタクリティーク)」である。
    各章は『純粋理性批判』のテクストを引用し、それに批判的なコメントを加えたあと独自の考察を展開する、という構成になっている。その主張は「思惟し、意志し、理解し、感覚し、理性を訓練し、欲求するのは、同一の魂である」(一元論テーゼ)、「人間の魂は、言葉とともに思惟する」(理性即言語テーゼ)の二つに要約できる。これらのテーゼを、ヘルダーはスラングを多用した独特な文体で、時には嘲笑を交えながら展開した。
    本書は、程なく勃興するドイツ観念論の先駆をなしている。そうした重要な役割を演じた著作の本邦初訳を、ここに文庫版でお届けする。

    [本書の内容]
    第一部 悟性と経験
    序 文
    1 題名と序論
    2 いわゆる超越論的感性論の超批判
    3 いわゆる超越論的分析論の超批判
    4 純粋悟性概念の図式論
    5 純粋悟性のすべての原則の体系の超批判
    6 観念論と実在論について
    7 あらゆる現象の隣および背後にある物自体について
    付 録 経験的悟性使用を超越論的悟性使用と混同することによる反省概念の多義性について

    第二部 理性と言語
    8 超越論的弁証論の超批判
    9 純粋理性の誤謬推理について
    10 純粋理性の二律背反について
    11 純粋理性の理想について
    12 理性の統制的使用について
    13 純粋理性を訓練することについて
    14 純粋理性の規準について
    15 純粋理性の誤った批判
    付 録 純粋理性の批判的学部についての最新情報
  • 1,100(税込)
    著:
    高橋巖
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    魂の深奥にふれる学び──神秘学が導く、高次の自己への旅

    神秘学は、哲学・芸術・科学・政治など、人類文化の根幹に深く関わってきた知の体系です。本書はその神秘学の基本的な考え方と歴史的展開を、古代ギリシア哲学から現代に至るまで、わかりやすく解説します。神秘学は、単なる知識の提供ではなく、思考と感情を喚起することで「目に見えない世界」への認識を深めます。それは別の世界への逃避ではなく、日常の中に眠る「高次の人間」を目覚めさせ、生き方が変わらざるをえないような学びです。
    ゾロアスター教以来の西洋のグノーシス的二元論と、儒教・仏教・道教・シャマニズムなど東洋の一元論的世界観を対比し、影響関係をたどることで見えてくる、神秘学の普遍性と多様性。シュタイナー研究の第一人者が、シュタイナーの思想を縦糸として古今東西の神秘学をたどり、魂を探る旅への扉をひらきます。(解説:若松英輔)


    [本書の内容]
    I 神秘学とは
    1 神秘学の原風景
    2 古代の秘儀参入
    3 古代東方
    4 魂の遍歴者たち
    5 アカシャ
    6 一元論
    7 後天開闢
    8 ガイア

    II 美学としての神秘学
    9 美学者シュタイナー
    10真・善・美
    11アストラル・ヴィジョン
    12フォルク
    13恨の美
    14南溟の果て

    あとがき
    解 説 若松英輔

    *本書の原本は、2000年にちくまプリマーブックスとして筑摩書房から刊行されました。
  • 1,650(税込)
    著:
    伊達宗行
    解説:
    上野健爾
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    暗算は得意なのに、なぜ日本人に理数嫌いが多いのか。その原因には、歴史的・構造的な要因があるのではないか?
    物理学の泰斗がそんな素朴な疑問から、古来、人間の文化・文明に欠かせない「数の知識」と日本人社会とのかかわりを、たどってみるとーー。
    12進法を使って土木建築を行ったといわれる縄文時代、ピタゴラスの定理で平城京を作り、飛鳥時代に日本初の元嘉暦を生む。奈良時代には正確な計測が不可欠な班田収授の法を採用するも、平安時代には「金勘定はいやしい仕事」と一気に理数離れが起こるーー。江戸時代の寺子屋と算術教育、日本初のサイエンス・和算の誕生、明治時代の算術から算数への大変換、そして戦後の数教育まで、5000年超の通史を豊富なエピソードで活写。理数科は単なる技術を支える手段ではない。数理に対する関心と尊敬心が高まる、ユニークな数学読本!/解説:上野健爾(京都大学名誉教授 四日市大学関孝和数学研究所長)

    筆者の言葉)
    「歴史家は数学に興味を持たない人が多く、科学史家はそれぞれの専門を守っている。理系に身を置いてはいるが、数学や歴史学に素人の筆者が本誌を書くに至ったのは、こんな事情であまり知られていない数の日本史に、現代人に強く訴えるものがあると感じたからである。
    (中略) 社会の専門化によって閉塞感に悩んでいる現代知識人にとって、日本文化の意外な再発見と解放感をもたらすだろう」
  • 中世アジアの海の世界を鮮烈に描いた書籍の決定版!
    苛烈な略奪を繰り返し諸国を悩ませた前期倭寇。その結果生まれた倭人居留地「三浦(さんぽ)」は、朝鮮に巣食う「腫瘍(しゅよう)」とまで呼ばれ、後期倭寇は、アジアに進出してきたヨーロッパ勢力をも巻き込み、銀をめぐる密貿易で世界史に躍り出る……。彼ら倭寇・倭人は日本のものとは明らかに異なる「倭服」に身をつつみ「倭語」を操る、国籍や民族を超えた集団だった。14世紀から16世紀にかけて東アジアの海を舞台に、国家や民族集団からドロップアウトし、しばしば暴力をともないながら、自由に、どこまでもしたたかに生きた人々を描き出す。

    「倭人は帯方の東南、大海の中に在り」。邪馬台国の史料としてよく知られる『魏志倭人伝』。ここからおよそ1200年後の朝鮮王朝の記録に、再び「倭人」は現れる――
    14世紀後半、女性や子供にも容赦ない前期倭寇の略奪が『朝鮮王朝実録』に恐怖の記録として生々しく克明に記された。倭寇に苦しむ朝鮮王朝がとった懐柔策によって15世紀に誕生したのが、倭人居留地の三浦である。エネルギッシュで、自由奔放で、論理を越えた倭人がひしめく三浦は、猫のひたいほどの場所でありながら、周辺の朝鮮社会に巨大な経済的影響をあたえ、やがてソウルの政財界まで巻きこんだスキャンダルを引き起こしていく――。
    三浦を中心に、倭寇王の後継者として豊臣秀吉が登場するに至る中世東アジアの海域世界を描いた『中世倭人伝』。文庫化にあたって、原本には入れられなかったソウルの倭人たち、江南沿海域を中心とする後期倭寇の猖獗、石見銀山の爆発的増産によって世界を駆け巡った日本銀、さらに16世紀ヨーロッパの古地図に描かれた、銀と海賊に特徴づけられる日本像などの論考を増補し、倭人たちが躍動する海の世界を大きく広げた決定版登場!(原本:岩波書店、1993年)

     【本書の内容】
    学術文庫版はしがき
    I 中世倭人伝
    「魏志倭人伝」によるプロローグ
    一 国境をまたぐ地域
    二 「三浦」──異国のなかの中世
    三 密貿易の構造
    中華の崩壊によるエピローグ
    文献案内
    あとがき
    『中世倭人伝』韓国語版刊行によせて

    II 倭人群像
    一 三浦の鎮城と関限――薺浦を中心に
    二 倭人たちのソウル
    三 三浦の乱時のソウル倭館
    四 石見銀山と倭人ネットワーク
    五 海賊、銀山、ザビエル――ヨーロッパ製古地図を読む
    六 琉球王国と「倭寇」
    七 中世日朝貿易における経典の輸入
    学術文庫版あとがき
  • 近代神経学の創始者ジャン=マルタン・シャルコー(1825-93年)は、パリ大学で学び、パリ医科大学の病理解剖学の教授を務めたあと、1882年にはサルペトリエール病院の神経病学の教授となった。同病院での膨大な臨床経験を通して神経学を確立したシャルコーの理論は、『火曜講義』と呼ばれる公開講義を通して知られるようになる。ヒステリー患者のパフォーマンスも行われたこの講義の様子は、アンドレ・ブルイエ(1857-1914年)の絵画(1886年)に描かれている。
    カタレプシー、嗜眠、夢中遊行という三つの状態をたどる「大ヒステリー=大催眠理論」を打ち出したシャルコーは、精神病理の領域に催眠術を導入したことで知られ、その理論はジークムント・フロイトやピエール・ジャネのほか、ジョセフ・バビンスキー、ピエール・マリーらに影響を与えた。
    本書の前半では、金曜日に行われていた『神経病学講義』を基にシャルコーの理論を概観し、さらにその生涯の事績を跡づけていく。その上で、後半では、医学を超えて思想や文学の領域にも見られるシャルコーの残響を見ることで、著者が「シャルコー的問題」と呼ぶものの広がりを示す。
    「神経病学のナポレオン」あるいは「科学界の帝王」と呼ばれたこの知の巨人は、『神経病学講義』や『火曜講義』の全訳が存在しないこともあって、日本ではよく知られているとは言いがたい。生誕200年を迎える2025年、すでに定評を得た概説書である本書を、全面的な改訂を施した決定版として、ここに刊行する。

    [本書の内容]
    第一章 すべてはシャルコーからはじまる
    第二章 男性ヒステリーとは?――『神経病学講義』より
    第三章 シャルコー神経病学の骨格
    第四章 大ヒステリー=大催眠理論の影響――フロイト、ジャネ、トゥーレット
    第五章 シャルコーとサルペトリエール学派
    第六章 『沙禄可博士 神経病臨床講義』――『火曜講義』日本語版の成立と三浦謹之助
    第七章 シャルコーの死とその後
    第八章 シャルコーと一九世紀末文化――ゴッホのパリ時代と『ルーゴン・マッカール叢書』
    終 章 ヒステリーの身体と図像的記憶

    文献一覧
    あとがき
    学術文庫版あとがき
  • 今日に至るまで絶大な影響を及ぼし、議論を引き起こし続けているフランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(1925-95年)は、デイヴィッド・ヒュームやアンリ・ベルクソンなどを対象とした哲学史研究から学問的経歴を開始し、主著『差異と反復』(1968年)、そして『意味の論理学』(1969年)を公刊して、その地位を確かなものとした。
    飛躍を求めたドゥルーズは、精神科医フェリックス・ガタリ(1930-92年)との「二人で書く」企てに挑戦し、物議を醸した『アンチ・オイディプス』(1972年)、『千のプラトー』(1980年)を送り出す。さらに晩年には映画論や芸術論に取り組み、その全容は公刊が始まった講義録を通して、より明らかになりつつある。
    こうした多彩な相貌を見せるドゥルーズの「哲学」全体を貫く「原理」はあるのか? あるとすれば、それはどのようなものだったのか? 「20世紀最後の哲学者」の方法と対象を精緻に分析し、その核心と実践的意義に迫った本書は、広く評価され、多くの読者を得てきた。生誕100年、没後30年を迎える2025年、改訂を施し、新稿を加えた決定版として、講談社学術文庫に登場する。

    [本書の内容]
    第I章 自由間接話法的ヴィジョン――方 法
     1 自由間接話法
     2 哲学研究の課題
     3 哲学の課題
    第II章 超越論的経験論――原 理
     1 超越論哲学と経験論哲学
     2 無人島
     3 出来事
     4 超越論的な原理
     5 超越論的な原理の発生
    第III章 思考と主体性――実 践
     1 思考の強制
     2 思考の習得と方法
     3 物質に付け加わる主体性
    第IV章 構造から機械へ――転 回
     1 ガタリとの出会い
     2 構造と機械
     3 構造と構造主義
     4 セリー、ファルス、原抑圧
     5 『アンチ・オイディプス』と分裂分析
    第V章 欲望と権力――政 治
     1 ミシェル・フーコーの歴史研究
     2 『監獄の誕生』における二つの編成
     3 権力と二つの編成
     4 一元論と二元論
     5 欲望と権力
     6 欲望のアレンジメントと権力装置

    文献一覧

    研究ノート
    I 自然主義について
    II 総合的方法
    III 法/制度/契約
    IV 個の心と衆の心
    V 国家と考古学

    追加された研究ノート
    I スピノザにおける個体の概念と微分法
    II 類似的他者の概念
    III ドゥルーズの政治的発言
    IV 絵画とアナロジー
    V 目と手、ビジュアルとマニュアル、エジプトとギリシア
  • ◇この男は、列島を「ひとつの社会」にしようと企てた◇

    低い家格から前代未聞の大出世を果たした男は、それまで幕藩体制が規定してきた列島の社会のあり方を一新しようと試みた。
    税制改革、通貨一元化、蝦夷地の大規模開発……彼が企てた改革は未完に終わったが、その後の歴史展開に確かな足跡を残すものであった。
    戦前は「日本史三大悪人」の汚名を着せられた田沼意次の評価を一転させた、記念碑的論考。

    【本書より】
    田沼意次の時代は、日本の改革と保守とが激闘した、江戸時代では最も面白い時代である。

    【本書の内容】
    はじめに
    プロローグ──郡上一揆と田沼意次の登場 
    第一章 田沼意次の虚像と実像
    1 田沼意次の履歴 
    2 つくられた悪評 
    第二章 吉宗の退陣と意次の登場
    1 吉宗退陣と家重継嗣 
    2 左近将監の罷免 
    3 将軍の座を逃した松平定信 
    4 田沼意次の登場 
    5 幕府の権力構造と田沼意次の位置 
    第三章 田沼意次の政策
    1 暗殺で阻止しようとした田沼の政策 
    2 流通税の導入
    3 通貨の一元化政策
    4 蝦夷地の調査とその開発政策 
    5 印旛沼の干拓とその挫折
    第四章 田沼時代の社会
    1 文人たちの時代 
    2 天災と災害の時代 
    エピローグ──「遺書」を通してみた意次の人柄 
    おわりに 
    解説
  • 1,320(税込)
    著:
    小西甚一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    文藝作品の内なる表現理念=「雅・俗」の交錯によって時代を区分したところに本書の不滅の独創がある。健康で溌溂とした「俗」を本性とする古代文藝、端正・繊細な「雅」を重んずる中世、また古代とは別種の新奇な「俗」を本質とする近代。加えて著者は、日本文学を「世界」の場に引き出し、比較文学の視点からも全体的理解に努める。長く盛名のみ高く入手困難だった「幻の名著」の待望の復刊。(解説=ドナルド・キーン)
  • 1,540(税込)
    著:
    横山紘一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    「どうすれば現実の苦しみから解放されるのか」
    「自己や宇宙の根底にある真理とは何か」
    ──こうした根源的な問いに向き合い、仏教徒たちの深い思索と実践の積み重ねから生まれた深遠な理論体系、唯識思想。

    唯識は、紀元前3世紀ごろのインドで始まり、後に玄奘三蔵によって中国へと伝えられた、大乗仏教の根幹をなす思想のひとつです。この教えでは、五感(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる)と意識に加え、深層心理にあたる末那識・阿頼耶識を含めた「八識」によって世界が生み出されていると考えます。唯識では、私たちが認識するあらゆる現象は、心=識が生み出した観念にすぎません。心の外に実体としての存在はないにもかかわらず、心はそれをあるかのように思い込む。そして、そこから苦しみが生まれるのです。哲学であると同時に宗教でもある唯識思想は、実践的な修行(ヨーガ)を通じて自己を変革し、身体的にも精神的にも煩悩から解き放たれた自由の境地、すなわち真理へと至る道筋を示すものです。
    本書は、「唯識無境」「阿頼耶識」「末那識」「転依」といった主要概念を軸にして、大乗仏教随一の理論である唯識思想の本質を丁寧に解き明かした著者渾身の書です。唯識の第一人者・高橋晃一氏の解説付き。


    [本書の内容]
    はじめに
    第一章 識一元論――唯識無鏡
    1 唯識の意味
    2 唯識無鏡の論証
    3 認識の構造
    第二章 自己の根源体――阿頼耶識
    1 阿頼耶識の発見
    2 阿頼耶識の機能
    第三章 自我意識の形成――末那識
    1 末那識について
    2 末那識の成立史
    第四章 真理の完成――転依
    1 自己変革
    2 真理の論理的解明
    解 説(高橋晃一)
  • 「一夜で十人と愛を交わすべし」――

    性愛とは〈道(タオ)〉であり、男性および女性の原理の均衡こそ生命力の源である――。性のマニュアル、後宮への務めから、纏足の風習、妓女との付き合い方まで。儒教・道教・仏教がせめぎ合うなかで出来しためくるめくエピソードを渉猟しつつ、先史より貫く中国文化不変の根幹を抉り出す。鬼才による中国性愛史研究「最初の完成」の書!
    カラー口絵つき。
    解説は『古代中国の24時間』の柿沼陽平氏。

    【目次】
    序文
    ■第一部 封建王国――殷・周時代 前一五〇〇年~前二二二年 性と社会についての中国人の基本的な考え方
    第一章 創始期と西周王朝――前一五〇〇年頃~前七七一年頃
    第二章 東周王朝――前七七〇年~前二二二年
    ■第二部 帝国伸長期――秦・漢・六朝時代 前二二一年~後五八九年 性と儒・道・仏三教
    第三章 秦と前漢王朝――前二二一年~後二四年
    第四章 後漢王朝――二五年~二二〇年
    第五章 三国と六朝――二二一年~五九〇年
    ■第三部 帝国の最盛期――隋・唐・宋時代 五九〇年~一二七九年 性の手引書、その盛行と衰勢
    第六章 隋王朝――五九〇年~六一八年
    第七章 唐王朝――六一八年~九〇七年
    第八章 五代と宋王朝――九〇八年~一二七九年
    ■第四部 モンゴル支配と明の再興――元・明時代 一二八〇年~一六四四年 文学・芸術のなかの性
    第九章 モンゴルもしくは元王朝――一二七九年~一三六七年
    第十章 明王朝――一三六八~一六四四年
    ■補遺 インドおよび中国の性的神秘主義
    原注
    図版一覧
    ファン・フーリック学術関係主要著作目録一覧
    訳者あとがき
    解説 中国性愛史研究の先駆者 柿沼陽平

    【本書の主なトピック】
    [周]女性は寝所の偉大な導師、性の秘密の護持者である
    [前漢]儒教の厳格な教義の裏で、諸侯も皇帝も性のモラル崩壊!
    [後漢]挿絵入り「性の手引書」が教える"究極の技法"
    [六朝]妻妾を満足させられなければ、家長の信望失墜・地位喪失
    [唐]家での肉体的愛から逃れ、娼妓とのプラトニックな交際へ
    [元]「性愛画を秘蔵」-10点、「女性の面前で猥談」-20点……家長の「道徳成績計算表」
    [明]性が抑圧されず、すこやかな歓楽だった最後の時代

    (*本書の原本は1998年にせりか書房より刊行されたものです。)
  • 1,540(税込)
    著:
    椹木野衣
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    1970年大阪万博は、敗戦直後「爆心地」を目の当たりにした男の構想を起点とした。
    文明の過剰と滅亡というそのビジョンを覆い隠すように謳われたスローガン「人類の進歩と調和」が響く中、メタボリズムやネオ・ダダといった前衛運動のひとつの極限として「万博芸術」が花開く──
    資料と証言を積み重ね、日本で反復される万博の意味を鋭く問う。

    【本文より】
    技術革新に多くを負ったメディア・アートや、単純な国際性が即、芸術上での前進と取り違えられてしまう安易な進歩主義がまかりとおってしまうことの背景には、われわれが大阪万博における「未来」の問題を、正面から批評して来なかったことに原因がありはしないか。じっさい、大阪万博で芸術家たちが果たした役割がなんであったのかと問うことは、事実上、封印されているといっても過言ではない──そしてそのさまは、なにかに似てはいないだろうか。
    (本書第二章「一九七〇年、大阪・千里丘陵」より、一部省略)

    【本書の主な内容】
    第一章 「爆心地」の建築──浅田孝と〈環境)の起源
    戦争と「こどもの国」/焼け跡から「環境」へ、「環境」から未来へ/原爆時代と建築/「列島改造」と「日本沈没」
    第二章 一九七〇年、大阪・千里丘陵
    人類の進歩と調和/「未来」の矛盾、「世界」の矛盾/未来と夢の廃墟/フジタと太郎
    第三章 「実験」から「環境」へ──万博芸術の時代
    空間から環境へ──エンバイラメントの会/実験工房からインターメディアへ/巨大なトータル・シアター
    第四章 ネオ・ダダとメタボリズム──暗さと明るさの反転
    奇矯な明るさ/前衛の突然変異/ふたりの境界人──粟津潔と磯崎新
    第五章 戦争・万博・ハルマゲドン
    廃墟となった未来都市──電気的迷宮/紀元二六〇〇年の万国博覧会/ハルマゲドン・チルドレン
    第六章 そこにはいつも「石」があった
    月からの石と投げられた石/穴を掘る──《位相─大地》/石を置く──石子順造と李禹煥/石を売る──『無能の人』/石の時代──環境と芸術
    第七章 ダダカンと“目玉の男”
    一九七〇年四月二十七日へのタイムスリップ/ダダイスト糸井貫二/「震災」というダダイスム/都市を駆け抜ける裸体 
    第八章 万博と戦争
    映画人・甘粕正彦/バーチャル・シティとしての満洲国=大阪万博/「環境」の起源/『環境開発論』と『日本列島改造論』/曲がりくねったら、それは芸術だ 


    核アトムの時代──「あとがき」にかえて
    グラウンドゼロ──学術文庫版「あとがき」にかえて
    主要参考文献

    *本書の原本は、2005年2月に美術出版社より刊行されました。
  • 1,430(税込)
    著:
    景山春樹
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    その山のふもとに生まれ育ち、少年のころから、あらゆる小路を幾度となく歩いては、様々な風景を目にしてきた、著者にとっての母なる山・比叡山。
    歴史を学んだのち、再び同じ路をたずね、峠を越え、川を渡りながら、仏教美術学者はあることに気づく。自然の山、川、その位置を度外視して、決して歴史は考えることができないのだとーー。
    天台法華宗の根本道場にして、学山として数多くの高僧を輩出した比叡山。
    その3塔16谷の霊谷を案内しつつ、歴史地理というユニークな観点から、1200余年にわたる叡山の宗教と歴史をひもとく!

    本書は『比叡山 日本仏教の原型とその展開』 (角川選書 1975年9月刊)を底本とし、文庫化にあたり、ベストセラー『京都ぎらい』の著者であり、国際日本文化研究センター所長・教授の井上章一による解説を加えました。

    目次
    1 地文と人文のあやなす位置
    2 霊峰比叡へはいる路
    3 山上の霊所をめぐる路
    4 最澄と比叡山
    5 入唐求法の旅
    6 天台法華宗の開立
    7 比叡山寺の規模と構成・
    8 教学と法儀
    9 回峰修験
    10 一山大衆
    11 僧兵強訴の歴史
    12 山門派と寺門派のあらそい
    13 巨大な経済をささえた山門領
    14 東塔
    15 西塔
    16 横川
    17 門跡寺院の出現
    18 日吉山王社
    19 門前町坂本
    20 近江路の主要な末山
    21 信長の焼き打ちとその再興
    比叡山歴史年表
    比叡山の道しるべ
    あとがき
    解説   井上章一(国際日本文化研究センター所長)
  • 1939年9月1日早朝、ドイツ軍が宣戦布告なくポーランドへ侵攻。ここに第二次世界大戦の幕が上がった。
    第一次世界大戦の惨禍を経て、パリ不戦条約や国際連盟の設立により平和を誓ったはずだった世界が、未
    曾有の大戦へと突き進んでしまったのはなぜか。ファシズムの台頭、植民地主義帝国の衰退、アメリカ自
    由主義の伸長、資本主義と共産主義の対立……列強各国の緊迫した外交とイデオロギーの衝突が、世界を
    ふたたび戦火に巻き込んでいく。その果てに待っていたのは、ホロコーストや原爆投下といった人類史上
    最悪の惨劇であった。
    ローズヴェルト、チャーチル、スターリン、ヒトラー、ムッソリーニ、ド・ゴール、ティトー――歴史を動
    かした指導者たちは、あの時代に何を思い、いかなる決断を下したのか。日中戦争を起点とし、太平洋戦
    争へと突き進んだ日本は、どのような運命を辿ることになったのか。名著『第一次世界大戦』(講談社学
    術文庫)の著者が鮮やかに描く、「戦後秩序の原点」となった大戦争の全貌。

    [本書の内容]
    序 章
     悲劇の発端
     大戦の様相

    I 「彼らの最も輝かしいとき」
     ついにダウニング街一〇番地
     フランス休戦の賦
     野望、海峡に散る
    静かな幕間

    II 大戦における一九四一年
     迫りくる独ソ戦
     スターリン、沈黙を破る
     宣戦の詔書

    III  雪原のかなた、砂漠の果て
     第二戦線を、いま
     偶然とみえるダルランの存在
     カサブランカの集いを経て

    IV 去りゆく者と、よみがえる者と
     最初の三首脳会談まで
     みずからを解放したパリ
     クリミアの短い蜜月

    V すべてが語り尽くされる頃
     死のさまざまな影
     米英ソ大同盟の最後の歩み

    あとがき
    参考文献
    解説 戦後を戦前、戦中にしないために(池上 彰)
    略年表

    *本書の初版は1986年に社会思想社より現代教養文庫として刊行された。文庫化にあたっては『歴史・人間・運命 山上正太郎歴史叙述集2』(2000年、文元社)所収版を底本とした。
  • 三次元の立体を二次元の平面のうちに表現する遠近法。プラトンはこの遠近法を嫌ったという――しかし古代ギリシアでは遠近法はいまだ成立していなかったとしたら? なぜ、このような奇妙な事態が出来したのか。そして光学に対する偉大な哲学者の沈黙は、後世にどのような影響を与えたのか。遠近法は歴史的産物であると喝破する著者が、古代ギリシアから近代に至るまで、美術はもちろん数学、哲学、文学をも織り込みながら紡ぎあげた、視覚をめぐる空前絶後の思想絵巻。

    遠近法は、世界を表現する方法として身近な手法であり、時にこれが唯一の正しい世界の眺望であるかのような神話的性格さえ帯びている。しかし著者によれば、遠近法は西欧における自然に対する見方の、歴史的な積み重ねの結果に過ぎない。
    プラトンは、対象を描く際に、見かけにあわせて実際とはかけ離れた比率にすることを「虚像術」と呼んで退けた。古代ギリシアには存在しないはずの遠近法を、プラトンはなぜ批判しえたのか。そしてプラトンの光学に対する沈黙は何を意味し、それはどのような影響を与えたのか――。
    これらの問いは、人間はどうして、常に何かを通して世界を見ようとするのか。実物を見ていても、しかしこれも「何かを通して」だと考えるのは何故か、という根源的な問いにつながっていく。
    ミケランジェロとダヴィンチの緊張関係、デカルト、パスカル、ライプニッツに遠近法が与えた三者三様の影響、さらにニーチェの価値の相対主義に至るまで、遠近法を軸に、古代ギリシア演劇の背景画から、絵画や彫刻、数学・幾何学、その応用としての光学、哲学・思想、文学作品や文芸理論をも巻き込みながら絢爛豪華な思想絵巻が織り上げられる。早逝が惜しまれる碩学の記念碑的著作。(原本:新書館、1999年)

    【本書の内容】
    まえがき
    序 章 遠近法の神話
    第一章 ミーメーシス
     1 詩人追放と画人追放
     2 陰影画と背景画
     3 背景画は遠近法の導入か?
    第二章 測定術
     1 洞窟の光学
     2 不文の教説?
     3 視覚の空間・思考の空間
    第三章 ミーメーシスからファンタシアーへ
     1 場所・透明体・気息 00
     2 芸術的専制と専制的芸術 00
     3 もう一つの世界劇場論 00
    終 章 隠喩としての遠近法
    あとがき
    解 説(山内志朗)
  • 1945年にGHQが接収、1958年まで延べ4000人以上の戦犯者が収容された、巣鴨プリズン。東京裁判でA級戦犯とされた25人、絞首刑になった7人よりも圧倒的多数のBC級戦犯たちが、死と隣り合わせに過ごし、死刑宣告を受け、処刑場に向かう場所に一人の教誨師(きょうかいし)が着任した。日本人として唯一処刑に立ち会い、死刑囚との対話し、助命嘆願や戦犯死刑執行停止活動に奔走した「巣鴨の父」が、受刑者の声と生活を克明に綴った、生と死のドキュメント。1953年初版、幻の名著、復刊。
    【電子特典有り】

    「解説より」
    A級戦犯の処刑で一区切りではない。
    国家の命令で戦場に立ち、ときに上官の身代わりにまでさせられ、
    忘れ去られたBC級戦犯の不条理な人生。
    私たちは、どれほど思いやることができたのか。
    戦後80年。真の「検証」を実現するために
    本書は第一級かつ、最重要史料であると、私は信じている。――山折哲雄(宗教学者・評論家)

    目次

    巣鴨の教誨師となるまで
    「死の喜び」よりも「生の喜び」を
    処刑の立ち会い
    刑場への道
    拘引記――28時間の記録
    罪業感と戦争観
    最後の晩餐
    死刑囚の面会
    死刑囚と仏教
    追補
    図表・地図
    学術文庫版解説  山折哲雄

    【電子書籍版収録】
    遺言集――戦犯者18人が綴った日記と、辞世のことば

    「死の近きを観念した人生は、一般の人生とは何が違うのか。それは希望が皆無ということです」
    死ぬ意義、後悔、死への恐怖,…巣鴨プリズンのほか香港、インドネシア、シンガポールなどで絞殺・銃殺された18人は、死を目前に何を思ったのか。極限の心情を綴った稀少な文書160ページを、電子版には特別収録。

    1953年7月31日 大日本雄弁会講談社より初版刊行。2011年7月、講談社エディトリアルより改装刊行。
  • 1,430(税込)
    著:
    福田千鶴
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    「主従」とは闘争である。

    時代小説や歴史ドラマなどでおなじみの、「家中のトラブルが幕府に露見して改易される」といった筋書きだか、実際にはそうした事例はほぼなかった。
    有力大名家に勃発した鍋島騒動、黒田騒動、対馬の柳川一件、伊達騒動……いずれも改易とはなっていない。
    子細にその経過をみてみると、幕府が騒動に積極的に介入したというよりは、むしろ大名・家中の側から幕府に積極的に訴訟し、自ら幕府の介入を招いているような節がある。
    では、大名や家臣たちはどうしてこのような危ない橋を渡ろうとしたのだろうか?

    本書は、御家騒動を引き起こす当事者たちの行動の原理がいかなるものであったのかを探り、「忠臣が身命をなげうって悪臣を排除し、騒動の禍根を未然に絶って御家の危機を救う」勧善懲悪ストーリーとは一味違うリアリティを、幕藩制という時代相のなかから具体的に解き明かす試みである。

    "大名家のスキャンダル"を歴史学の眼で徹底検証する、スリリングな歴史研究!

    【本書より】
    元禄以降の十八世紀には、主従不和や家中騒動が「公儀」に対する罪過である、という固定観念ができあがっているが、それ以前に生じた騒動に対してはそうした「色めがね」(固定観念)をはずして見直してみるべきではないか。家中騒動が「公儀」に対する罪過ではなかったからこそ、大名や従臣たちは将軍・幕府に騒動の調停を強く求めることができたのではないか、という逆の視点から騒動をみていくことが必要なのである。
    そのためには、当時に作成された一次的な史料に基づいて騒動全体を見直すという作業が必要となるのはいうまでもない。

    【本書の内容】
    第一章 近世武士の主従観念と「御家」
    第二章 主君を廃立する従臣たち
    第三章 従臣を排除する主君たち
    第四章 主君を選り好みする従臣たち
    第五章 御家騒動の伝統化
    補章 「御家騒動」のなかの女性たち

    *本書の原本は、2005年に中公新書より刊行されました。
  • 80年前、空からの爆撃で、日本の都市は焼き尽くされた。この無差別空襲は、全国都道府県のすべてにおよび、終戦の日まで続けられ、その死傷者数はいまだ確定されていない。
    本書は、戦史研究家・平塚柾緒氏が主宰する太平洋戦争研究会による全国各地への取材・調査と、アメリカ国防総省などから入手した膨大な写真をもとに、北海道から沖縄まで、日本本土への米軍の空襲の実態を解き明かす。
    日本への米軍機の空爆は、昭和17年4月の「ドゥーリットル空襲」に始まる。その後、「超空の要塞」B29の投入によって昭和19年から本格化する日本本土への空襲は、おもに軍需工場を標的にした「精密攻撃」、昭和20年3月の東京大空襲を皮切りに5月まで続いた大都市への焼夷弾による無差別爆撃、さらに5月以降の全国中小都市への焼夷弾爆撃へとエスカレートし、広島・長崎への原子爆弾の投下にいたった。
    その間に日本本土へ出撃したB29機はのべ3万3041機。連合国軍機が投下した爆弾は約16万トン。この「爆撃の嵐」にさらされた日本国民の体験とはいかなるものだったのか。日本列島をカバーするデータと、250点あまりの貴重写真から、あらためて考えていきたい。〔原本:2015年、洋泉社刊『日本空襲の全貌』〕

    目次
    はじめに――八〇年前、米軍の無差別攻撃で日本の都市は焼かれた
    第一章 B29の開発と本土攻撃の開始
    第二章 狙われた日本の軍事産業
    第三章 東京大空襲への道:ルメイの無差別攻撃
    第四章 炎につつまれた五大都市:名古屋・大阪・神戸・横浜・川崎
    第五章 地方都市への拡大
    第六章 アメリカの原爆投下作戦
    〔特別ルポ〕原爆誕生の地・トリニティサイトをゆく
  • 1,760(税込)
    著:
    井之口章次
    解説:
    廣田龍平
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    「靴の紐が切れるとよくないことが起こる」本当の理由、ご存知ですか? 
    予兆、卜占、禁忌、呪術、妖怪、憑物……全国各地で採集された俗信、すなわち「超人間的な力の存在を信じ、それに対処する知識や技術」を体系的に整理。”非科学的で取るに足らぬもの”から日本文化の基層を明らかにする、民俗学の精華!
    (解説:廣田龍平)

    [本書で扱う主な俗信ーーその由来とは?]
    ○烏が屋根で啼くと死人が出る
    ○膝を絶えず小刻みに動かすと貧乏になる
    ○婚礼に雨が降ると縁起がよい
    ○一富士、二鷹、三茄子、四葬式、五火事
    ○厄年に生まれた子は捨子にする
    ○ものもらいは七軒の家から米をもらって食べるとよい
    ○手振水をかけられた人は死ぬ
    ○丙午(ひのえうま)の年は出生数激減(次回は2026年!)
    ……

    [目次]
    はしがき
    第一章 俗信概論
    一 俗信の概念
    二 予兆
    三 卜占
    四 禁忌
    五 呪術
    第二章 信仰と俗信
    第三章 厄年および年祝い
    一 はじめに
    二 従来の諸説
    三 厄年行事の要素
    四 贈答の意義
    五 厄年行事の意味
    六 信仰と俗信
    七 厄年受容の基盤
    八 結び
    第四章 呪的な食べ物ーー味噌の魅力
    一 食習研究と味噌
    二 葬式と味噌
    三 家移りと味噌
    四 味噌つき日の吉凶
    五 味噌煮の日
    六 持ち寄るもの
    七 せち味噌
    八 山の神と味噌
    九 味噌長者
    十 呪的な食べ物
    第五章 妖怪の地域性
    第六章 妖怪と信仰
    第七章 死と俗信
    一 生と死との境
    二 忌の飯
    三 死の忌
    四 種々のまじない
    参考文献
    解説 俗信の概念と発生について 廣田龍平
    索引

    (*本書の原本は、1975年に弘文堂から刊行されました。)
  • 1,430(税込)
    著:
    梶山雄一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    幼いころに父を亡くした著者は、あるとき、幾晩か続けて大きな蜘蛛が風呂場の天井にいることに気づいた。母にそれをいうと「お父さんかもしれないから、いたずらしてはいけない」と言われてびっくりした、という。かつては、死んだ血縁の者が、場合によっては他の動物になっている、ということを多くの人が信じていたのである。
    こうした「業報輪廻」の考えは、仏教思想の中心というよりも、ジャイナ教やヒンドゥー教など東洋の宗教全体の大きな前提になっているという。そして、キリスト教などの一神教がダーウィニズムの挑戦を受けて思想的な見直しを迫られているように、輪廻思想と仏教も、進化論やバイオテクノロジーなどとの対決を迫られている。アレキサンダーの東征や、匈奴の強大化などがもたらした紀元前後の数百年間の仏教の危機の時代を、「阿弥陀仏」という新たな信仰によって乗り切ったように、新たな神話を創生していく必要があるというのだ。
    さらに、スーパーマンとしての観世音菩薩、イエスとブッダの説話の類似性、親鸞の仏陀観の変化など、仏教社会の倫理と道徳を支えてきた「輪廻の思想」をめぐる講演と随筆を集成。〔原本:1989年、人文書院刊〕

    目次

    輪廻の思想――インド・中国・日本

    仏塔信仰と大乗仏教
    菩薩の平和思想
    ブッダとイエス

    本願力ということ
    親鸞の仏陀観
    親鸞における信心の深化

    マングース物語 
    人と猿と神
    仏教における非神話化
    不老長寿 
    脳死・堕胎・中有
    王舎城の温泉
    チベットの牧象図
    言語同断
    蚕と蜘蛛――追悼 抱石庵 久松真一先生
    お盆の思い出
    海外の三人の師
    無相さんと私
    武生の雪
    木村無相『念佛詩抄』
    山頭火と私
  • 花のみやこか、懐かしきふるさとか――。日本列島の文化の歴史は、海の外からやってきた最新の情報があつまる都会への憧れと、生まれ育った郷土への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良、京都、のちには江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発という二重の交錯を見据え、そこに織りなされる綾を丹念に描き出した唯一無二の列島文化史。
    夷なる日本が華なる中国に劣らないと主張した京都生まれの伊藤仁斎と、関東出身で田舎固有の文化に価値を見出し江戸学芸を京から自立させた荻生徂徠。日本文化や日本的なるものの一貫性を否定した内藤湖南と「国史」の範囲に苦悩した黒板勝美。日本文化が基底のところで一体のものであることを前提にしたことで「郷土を捨象した」と批判された、民俗学の父・柳田国男が敬意をいだいていたのは、田舎に「いにしえのみやび」を見出した本居宣長だった。
    古代の青銅鏡が示す畿内王権や記紀神話にはじまり現代にいたるまで時代を縦横無尽に扱いながら、独自の視点で日本文化の形を照らし出す。(原本:平凡社、1991年)

    【本書の内容】
    はじめに
    第一章 都市の論理――先進・後進論の背景
    第二章 反都市文明――「地方」主張の論理と背理
    第三章 国家という単位――単一の「国」と「くに」の複合
    第四章 民衆知と文字文化――ひとつの試み
    あとがき
    解 説(長﨑健吾)
  • 本書は、ドイツの哲学者エトムント・フッサール(1859-1938年)が日本の総合雑誌『改造』のために執筆した連続論文とそれに関連する草稿を集成したものです。
    1900/01年の『論理学研究』で注目されたフッサールは、独自の超越論的な哲学を追究し、『イデーンI』(1913年)によって「現象学」を確立しました。3年後にフライブルク大学の正教授に就任し、その地位を確かなものとしたフッサールは、しかし1910年代後半から20年代の大部分をほぼ何も出版せずに過ごしました。
    まさにその時期にあたる1922年8月、改造社のベルリン駐在員がフッサールに宛てて書いた手紙が残されています。そこには「あなたに自己紹介なしにお手紙をお送りすることについて、お詫び申し上げます。しかし、私が今こう述べれば、あなたはおそらくそれを理解してくださるでしょう。私は日本の東京の雑誌『改造』(Reconstruction)の代表者としてベルリンに在住しており、私たちの『改造』のために、あなたにご論考を寄せていただくことを心より望んでいる、と」と書かれていました。この依頼に応えて1922年秋から翌23年初頭にかけて執筆されたのが、本書に収められた5篇の論文です。
    その地位を確かなものとした哲学者がなぜ日本の雑誌に寄稿することを決めたのか――本当の理由は分かっていません。フッサールはのちに改造社に4篇の論文を送付したと述べていますが、『改造』に掲載された論文は3篇である上、5篇目の論文も残されています。
    このように謎に包まれた5篇の連続論文で、フッサールは社会倫理学に属する内容を扱い、「ヨーロッパ文化の革新」を掲げました。これは、のちの『ヨーロッパ諸科学の危機と超越論的現象学』(1936年)を予告するものです。『改造』論文全5篇を、11本の草稿、および内容上の関連が深い公開講演「フィヒテの人間の理想」を合わせて集成した本書は、哲学者が晩年の思索に向かう過程を示す貴重な記録であるとともに、危機の時代における「革新」という今日につながる主題を追求した重要な作品であることは間違いありません。

    [本書の内容]
    〔第一論文〕革 新――その問題と方法
    〔第二論文〕本質研究の方法
    〔第三論文〕個人倫理学の問題としての革新
    〔第四論文〕革新と学問
    〔第五論文〕人間集団の発展における文化の形式的諸類型
    附論I~XI
    フィヒテの人間の理想[三つの講演]
    訳者解説
  • 21世紀の経済大国・IT大国として存在感が高まっているインドは、18世紀半ばから20世紀半ばまでの200年間、植民地としてイギリスに支配されてきた。
    このイギリス支配の基礎を築いたのが、イギリス東インド会社である。しかし、その存在があまりに大きいために全体像はつかみにくく、特に日本では、その規模と活動範囲がずっと小さいオランダ東インド会社に比べても、イギリス東インド会社についての研究や著作は非常に少ない。しかし著者は、現在のインドの経済成長と今後の可能性を見るとき、東インド会社にさかのぼるイギリスのインド支配の歴史と遺産を見直すことが必要だという。
    1600年にエリザベス1世がロンドンの商人に特許を与えたことに始まるイギリス東インド会社は、商社として発足しながら独自の軍隊を持ち、領土の支配者に変身していった。1858年に実質上消滅したときには、すでに商業的な機能さえもたない完全な植民地統治機関になっていたのである。
    オランダやフランスとの貿易競争、会社経営と企業統治の実態、会社の軍隊と国王軍・インド政府軍の関係、さらに巨大な官僚制を支えた社員採用と社員教育や、歴代総督のプロフィールまでを通観する。
    巻末に東京大学名誉教授で『東インド会社とアジアの海』の著者、羽田正氏が解説を執筆。〔原本:2009年 中央公論新社刊〕

    目次
    はじめに
    第一章 商社の時代
    一 イギリス軍インド会社とは何者か
    二 オランダ、ポルトガルとの競争
    三 アウトサイダーの挑戦
    四 統一東インド会社の誕生
    第二章 商社から領土の支配者へ
    一 フランスの挑戦
    二 ベンガルでの領土獲得
    三 社員の不正蓄財
    第三章 ベンガルの支配者から全インドの支配者
    一 会社経営における商業原則の後退
    二 会社と政府によるインドの共同統治
    三 企業統治の変遷
    第四章 インド貿易の自由化
    一 会社を牛耳った「海運族」
    二 私貿易人
    第五章 会社の軍隊
    一 会社軍と国王軍
    二 会社軍
    三 会社軍の部隊編制
    四 二つの英軍の統合の試み
    五 会社軍将校の勝利
    六 インドの大反乱後も傭兵頼みのインド政府軍
    第六章 インドの高級官僚―ジェントルマンリー・ルーラー
    一 社員の採用と行政官教育
    二 東インド会社一家
    三 公開試験の時代へ
    四 ICSはインドにおける超エリート
    第七章 三億人の支配者インド総督
    一 その起源
    二 ベンガル総督
    三 会社の時代の総督│クライヴからカニングまで
    結びにかえて
    あとがき
    イギリス東インド会社関連年表
    解説(羽田正)
  • 明治時代を代表する歌舞伎俳優にして、九代目市川團十郎とともに「團菊」と称された五代目菊五郎。『弁天小僧』『髪結新三』『忠臣蔵』『千本桜』『茨木』『土蜘』『戻橋』――数々の名演を残すも、実は彼の本当の魅力は、実際の事件や流行の風俗をいち早く仕組んでつくり、明治の観客を熱狂させた、キワモノ歌舞伎にあった――!

    正統派歌舞伎から離れたがゆえに、論評の少ない、明治キワモノ歌舞伎と名優・五代目菊五郎の、濃厚な評伝を圧倒的な資料と共に記述。「読んで楽しい研究書という離れ業を演じて見事と言える」と、演劇評論家の大笹吉雄が絶賛した、2009年サントリー学芸賞受賞作の文庫化。

    本書は『明治キワモノ歌舞伎 空飛ぶ五代目菊五郎』(2009年刊 白水社)を改題したものですひと言ひと言

    目次
    はじめに―― 人悦ばせの菊五郎

    第一章 散切り頭と神経病
    どれが女か男やら『富士額男女繁山(ふじびたいつくばのしげやま)』
    幽霊より人が怖い『木間星箱根鹿笛(このまのほしはこねのしかぶえ)』

    第二章 明治の闇には悪女がいる
    高橋お伝は妖怪か『綴合於伝仮名書(とじあわせおでんのかなぶみ)』
    居場所のない女『月梅薫朧夜(つきとうめかおるおぼろよ)』

    第三章 見世物は世界をひらく
    サーカスがやってきた! 『鳴響茶利音曲馬(なりひびくちゃりねのきょくば)』
    見上げる人たち『風船乗評判高閣(ふうせんのりうわさのたかどの)』

    第四章 軍服を着た菊五郎
    風呂屋の亭主と上野の宮様『皐月晴上野朝風(さつきばれうえののあさかぜ)』
    日清戦争で負けたのは誰だったか『海陸連勝日章旗(かいりくれんしょうあさひのみはた)』

    結び――たんすのひきだし
    参考文献
    あとがき
    学術文庫版あとがき
  • 人類はいかにして「神」を創り、「世界」を描いたのか?

    比較神話学・言語学の巨星、時に構造主義やレヴィ=ストロースの先駆ともされるジョルジュ・デュメジルが、自身の「三区分イデオロギー」――印欧語族(インド・イラン人、古代イタリア人、ゲルマン人……)は世界を「聖性/戦闘性/豊饒性」の三要素からなるものとしてとらえ、かつそれぞれの機能に対応する神々を奉じていた――のエッセンスをまとめた、コンパクトかつダイナミックな神話学入門!

    神話に現れる「秘密の「3」」とは?

    [目次]
    序文
    第一章 社会的・宇宙的な三機能
    第二章 三区分神学
    第三章 神学、神話、叙事詩における種々の機能
    研究史と文献案内

    訳者解説 ジョルジュ・デュメジルと印欧語族研究
    訳者文献案内

    (*本書の原本は1987年に国文社より刊行されたものです。)
  • 合戦だけが戦いではない。
    列島に統一権力なき時代、地域国家の主権者として割拠した戦国大名たちは、軍事同盟や国境再編、自治勢力「国衆」との関係構築の成否に自らの存立を懸けた。それはまさに外交と呼ぶべき営為であった。交渉者「取次」が奮闘し文書が飛び交う、「現場のリアル」を描き出す、戦国史研究の精華!

    【本書より】
    なぜ、武田信玄と北条氏康は、直接面会して和睦交渉を行わなかったのであろうか。これは、現在の外交儀礼と比較するとよくわかる。現代においても、外交交渉というものは、外交官が事前に予備交渉を行い、大筋の話をまとめたうえで、外務大臣や国家元首が対談し、協議事項に合意をするという手順を踏むのが一般的であろう。これは戦国時代においても変わりはない。
     この時の武田・北条両国は、敵対関係にあった。したがって、いきなりトップである戦国大名同士が交渉することには慎重にならざるをえなかった。そこでまずは、大名の家臣同士が交渉の細部を詰め、それを踏まえて大名が直接書状をやりとりする、という手順を踏んだのである。
     こうした外交交渉を担当する家臣は、史料用語で「取次(とりつぎ)」「奏者(そうじゃ)」「申次(もうしつぎ)」などと呼ばれる。いずれも交渉内容を大名に取り次ぐ、執奏する、申し次ぐ人物という意味である。ただし、このうち「奏者」「申次」という言葉は、目下から目上への言上内容を披ひ露ろうする役割を担う側近家臣を指す用語で、対等な戦国大名同士の外交を担当する家臣を呼ぶには相ふ さわ 応しくない。このなかでは、「取次」という言葉が一番上下関係を表すニュアンスが少ない。そこで筆者は、戦国大名の外交担当者を、単に「取次」ないし「外交取次」と呼んでいる。この取次という存在が、いってみれば戦国大名の「外交官」の任を果たしたのである。

    【主な内容】
    序章 戦国大名という「地域国家」
    第一章 外交の作法
    第二章 外交による国境再編
    第三章 外交書状の作られ方
    第四章 取次という外交官
    第五章 戦国大名の使者
    第六章 外交の交渉ルート
    第七章 独断で動く取次
    第八章 取次に与えられた恩賞
    終章 戦国大名外交の行く末
    補注
    補論一 武田・徳川同盟の成立と決裂
    補論二 外交から考える本能寺の変
    補論三 取次の失態が招いた小田原合戦
    主要参考文献 
    あとがき 
    学術文庫版あとがき 
    索引
  • テロリズム、インテリジェンス、サイバーセキュリティ等は、遠い世界のことと思いがちですが、こうした問題は意外にも私たちの日常生活とも密接に結びついています。20世紀の冷戦構造があった時代には、世界情勢の中心は米ソを軸とした二極の対立でしたが、ソ連崩壊後の世界では、民族・宗教・思想の対立が複雑化・混沌とし、テロや紛争が各地で絶え間なく起こっています。
    社会の諸課題が複雑化して既存の知識や分析枠組みが通用しにくくなる中、ガバナンス的思考は今後更に重要になるでしょう。こうした領域の一端に触れることによって、ガバナンス的な思考センスを身につけるためにも有効な一冊です。
    さて、インテリジェンスとは何を指すのでしょうか?
    「インテリジェンスとは、『政策決定者が国家安全保障上の問題に関して判断を行うために政策決定者に提供される、情報から分析・加工された知識のプロダクト、あるいはそうしたプロダクトを生産するプロセス』のことを言う」。
    この定義にしたがって、本書では、情報分析の素材となる情報の収集方法、情報の加工の方法、またその過程における有効な方法と陥りやすい誤りなど、実践的な知識を提供しています。
    そして、CIAやモサド、MI6や公安などインテリジェンス機関の活動の一端についての紹介やコラムで実際の事件を扱います。インテリジェンス機関と犯罪捜査機関との相違点もあきらかにされます。
    得られた情報に、分析という加工を経たプロダクトの優劣の考え方、また、ミラー・イメージング、クロス・チェックといったプロダクト生成時の問題や改善法などについても述べられます。
    インテリジェンス入門として、情報収集と情報加工の教科書として、格好の入門書です。

    [原本]
    『インテリジェンスの基礎理論 第二版』立花書房
    学術文庫に収録するにあたり、全面的に改訂した。

    【目次より】
    学術文庫版はしがき
    第一章 インテリジェンスとは何か 定義、機能、特徴
    第一章の補論
    第二章 インテリジェンス・プロセス
    第三章 インテリジェンス・コミュニティ ― 日米の組織
    第四章 インフォメーションの収集
    第五章 インフォメーションの分析
    第六章 その他のインテリジェンス機能
    第七章 インテリジェンスの課題 伝統的な課題から新たな課題へ
    第八章 インテリジェンス組織に対する民主的統制
    【巻末資料】
    解説 佐藤優
  • 1,540(税込)
    著:
    中村明
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    世界の見方が変わる文章術!
    「ねっとりとした春」「唇は美しい蛭(ひる)の輪のように滑らか」「現実から立ち登る朦朧(もうろう)たる可能性の煙」……作家たちが発見し、創作した選りすぐりの比喩表現を、「感覚」「自然」「文化・社会」「顔」「体」「心」の項目別に整理。イメージ豊かな日本語を味読しつつ、ワンランク上の文章を書くための必携事典。――すぐれた比喩は、新しいものの見方の開拓である!

    【目次】
    比喩に関する二、三の覚書ーー序に代えて
    第一章 感覚の表現ーー視覚/聴覚/嗅覚/味覚/触覚
    第二章 自然の表現
    第三章 文化・社会の表現
    第四章 顔の表現
    第五章 体の表現
    第六章 心の表現
    あとがき
    学術文庫版へのあとがき
    出典作家索引
    主要イメージ索引

    【本書の主な内容】
    ■感覚
    [光と影]夜そのものに蒔絵をしたような綾
    [痛痒]自分の頭が三角になる
    ■自然
    [風景]富士山はどてら姿の大親分
    [草木]夢のしたたりのように咲き迸(ほとばし)る花
    ■文化・社会
    [言語]言葉は瞬間の虹
    [社会]賑やかな街区は飴の中の砂糖のよう
    ■顔
    [目]プルーンの種のような我が子の眼
    [頬]片頬に刃のような冷笑
    ■体
    [尻]西瓜が破れたような創口(きずぐち)
    [肌]膚(はだえ)は春の曙の雪
    ■心
    [恋情]一筋の暗渠のような愛
    [厭悪]未練が線香の煙のように糸を曳く

    [*本書の原本は『比喩表現の世界ーー日本語のイメージを読む』(筑摩選書、2013年)です。]
  • ジークムント・フロイト(1856-1939年)とアンリ・ベルクソン(1859-1941年)。ウィーンとパリで同じ時代を生きた二人は、同じ知のネットワークに属していたばかりか、同じ対象に関心を抱き、独自の思索を展開した末、対極から同じ領域に迫ろうとした。しかし、彼らには直接の交流はおろか、著作での言及も皆無に等しい。この謎めいた事実は何を意味するのか──本書は、この問いに挑み、二人の知の巨人を隔てる深淵に肉薄する。
    著者は言う。「精神医学にせよ、哲学にせよ、およそ学問的な企てが総じて追求しているのは、人間の幸福だと言っていいだろう。つまり、幸福を否定してくる不幸事の調査研究も含めて、人生の幸不幸の研究こそが、いっさいの学問の根本の任務なのである」(第V章)。この「幸不幸」という問題に決着をつけるために、著者は「フロイトとベルクソン」という問いに到達した。だが、その問いは著者が生み出したものではなく、「この二人の「無意識の発見者」から発せられていると強く実感される」ものだった。
    本書は人間と切り離せないこの問題に向き合うすべての人への贈り物である。

    [本書の内容]
    プロローグ
    小林秀雄の声を聴いたこと/直覚された二人の関係

    第I章 生
    同時代人/誕生の頃/修学時代/無意識・心の基体の発見/ユングという体験/ミンコフスキーの精神病理学/晩年/再び、直覚された二人の関係に焦点を合わせる

    第II章 夢
    記憶の円錐体について/ベルクソンの「夢」の講演/『夢解釈』の裏側の世界/冥界への歩み、果てしなく/快原理のもろさ/刺激保護膜の無機物的性質/快原理の/夢の「彼岸・前史」/涅槃原理のほうへ/無意識から、無意識へ/ベルクソンという覚醒

    第III章 抑 圧
    ベルクソンの思索と「抑圧」メカニズム/抑圧されたものとエスについて/生命のダブル・バインド/円錐体という意味過剰の渦動/「一ツの脳髄」から「感想」の破綻(終焉)へ/現実原理/快原理と円錐体、エロース/死の欲動とエス/シュレーバー語のダブル・バインド/円錐体の時間とエスの時間/無機物(フロイト)と物質(ベルクソン)と

    第IV章 自 我
    自我制作を企てるか否か/ベルクソンの精神病観/フロイトの自我(概念)制作の必然について/フロイトの企ての特質/中断された投射メカニズム研究/投射から企てへ/オイフェミスムス/アナクロニスムに発する投射のメカニズム/記憶の円錐体と投射メカニズム

    第V章 進 化
    ベルクソンと進化/死後の霊魂の不滅について/トルストイの『イワン・イリッチの死』を再読する/『イワン・イリッチの死』と正宗白鳥/弛緩の至福/フロイトと退化/反復

    エピローグ――エスが企てる

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