ダッチェス家の3つ子の姉妹は、先日亡くなった父の遺産を相続した。ところが、その遺産は“花婿基金”と名づけられ、夫にふさわしい男性をさがすためだけにしか使えないという。まだ結婚に興味はないが、愛娘の将来を案ずる父の遺志には背けない。3姉妹は花婿探しの名目で、イタリアのリヴィエラを訪れることにした。お守りであるパルマ・ブルボン家末裔の証のペンダントを身につけ、美しいリヴィエラの海へクルーズに出かけたところ、さっそくマックスという男性が長女のグリアに声をかけてきた。魅力的な彼に、いつもは慎重なグリアも胸のときめきを隠せないが、彼はいぶかしげな目をして、胸のペンダントを見つめており――。

ダッチェス家の3つ子姉妹の末っ子オリヴィアは、モナコで有名F1レーサーからデートに誘われたが、すげなく断った。なぜなら、彼女が恋をしたのはレーサーの兄リュックだったから。派手な弟と違い、リュックは名声や女性に無頓着で、どこか孤独な陰があるところに惹かれたのだった。だがリュックは、オリヴィアが弟をもてあそんでいると思っている。彼は私を悪女だと軽蔑しているかもしれないわ……だったら、それを逆手にとろう。オリヴィアは、いちかばちかの賭に出ることに決めた。リュックの心の殻を破り、彼の嫉妬をかき立ててみたい。■R・ウインターズの名作ミニシリーズ〈愛の遺産〉2話目をお届けします。遺された“花婿基金”で旅する3姉妹。明るい末っ子のオリヴィアが目を留めたのは寡黙なイタリア人男性リュックでしたが、その恋は前途多難。驚きの結末まで、いっきに読ませます。

とうとう独りぼっちになってしまった……。3つ子の姉と妹が結婚し、パイパーは取り残された気分だった。寂しさをなんとか仕事でまぎらわせていたある日、オフィスに突然の来訪者が現れた。旅先で出会ったスペインの名門一族の御曹司ニックだ。美しい黒髪と鋭い瞳が圧倒的な魅力を放っている。あのとき私の愛の告白を冷たく拒絶しておきながら、今さらいったいなんの用があるというの？茫然としているパイパーに、ニックは唐突に言った。「親が決めた政略結婚を阻止するため、僕の花嫁になってほしい」■8月よりお贈りしてきた3部作〈愛の遺産〉も、今回が最終話です。姉と妹は真実の愛を見つけたのに、自分だけ振られてしまったパイパー。孤独のあまり医者にかかるほど落ち込んでいた彼女に突きつけられた“見せかけの花嫁”という役回り――はたして、結末は？