■2026年排出量取引制度義務化へ。脱炭素と経済成長の両立を目指す制度をいかに設計するか。理論と実証の両面から日本型カーボンプライシングの最適解を探る研究の集成。
■炭素リーケージは起きたのか?「二重の配当」は成立するか?市場メカニズムを活用し、CO2削減を進めつつ、経済活性化と構造変化をいかに実現するかを探る。
日本でもグリーントランスフォーメーション(GX)政策のもと、ようやく本格的なカーボンプライシングが導入されようとしている。しかし、これまでの道のりは平坦ではなかった。環境経済学が環境省や経済産業省の審議会・検討会でのカーボンプライシングの議論にどう関与してきたか。(中略)環境経済学は、カーボンプライシングの必要性や有効性、炭素リーケージ、経済影響といった産業界からの懸念に対し、一定の研究成果を上げてきた。そして、環境経済学を含めた関連分野の様々な研究が、総体として政策議論の前進に貢献できたのではないだろうか。今後のカーボンプライシングの制度設計に求められる環境経済学の役割を展望する。(本書第1章より抜粋)
<目次>
序章 カーボンプライシングの概要
第1章 カーボンプライシング導入の経緯と環境経済学の役割
第2章 東京・埼玉ETSの事後検証
―削減効果と炭素リーケージ
第3章 カーボンプライシングは日本産業に何をもたらすか
―産業連関分析を用いた短期影響評価
第4章 炭素税とFIT賦課金が産業・家計に与える影響
―産業連関分析による定量的評価
第5章 国際競争力と炭素リーケージに配慮した排出量取引制度
―無償配分方式(OBA)と国境炭素調整
第6章 炭素税の二重の配当
―成長に資するカーボンプライシング
第7章 東京ETSとイノベーションの可能性
―オフィスビルの省エネルギー
第8章 GX-ETSの制度概要とフェーズIIの展望