銭形平次捕物控の第１話
将軍家光は雑司ヶ谷での鷹狩りの際に毒矢で狙われた。その下手人もいまだ捕らえられぬうちに、上様は再度のお鷹野のご意向。南町奉行筆頭与力の笹野新三郎と銭形平次は、曲者の襲撃を未然に防ぐため知恵を競い合う…。

文藝春秋オール読物号昭和６年４月号に発表された銭形平次シリーズの第１話。読者の圧倒的な支持を得て、銭形平次捕物控は以後25年間にわたって様々な雑誌、新聞に掲載され、長編、中編を含む383編からなる空前のスケールの捕物シリーズとなった。

日本橋の呉服屋、福屋善兵衛の五人の子供のうち三人までが順々に行方不明になった。両国橋で身投げをしようとした老爺を助けたことから銭形平次はこの事件に巻き込まれるが、平次が泊り込んで守った四番目の娘も誘拐され、平次は窮地に立つ…。
文藝春秋オール読物号昭和６年５月号に掲載された銭形平次シリーズの第２作。

人間業では盗めそうもないものを盗み、しかも三日以内には持主に返すという不思議な盗賊が江戸の町を荒らしまわる…。筆頭与力笹野新三郎の命を受け銭形平次は乗り出すが、江戸中の岡っ引が競う中でも事件は続き、平次もさんざん翻弄される。
新仮名使いによる銭形平次捕物全集、総計383編の第３作。ガラッ八は本作品で初登場。

柳橋の側に繋がれた屋形船の中には、銀簪を右の眼に突き立てられた芸妓の死骸が…。一方、小間物屋を調べていた平次の留守中に一人の女客が現れた。銀簪によって殺された事件はその後も続き、南町奉行筆頭与力の笹野新三郎は石原の利助や平次をせきたてる…。
新仮名使いの銭形平次捕物全集、第４話。

花川戸の質両替屋、近江屋治兵衛は仏様のない葬いを出した。ところが、この葬いは一人娘のお雛の幽霊の注文で、身体の代りに小判で三百両棺の中へ入れて、祖先の墓の側に埋めて貰いたい……と言ったという。この話をガラッ八から聞いた平次は、「人をなめた事をしやあがって、ガラッ八、来い」と言って外へ飛び出した…
新仮名表記の銭形平次捕物全集、第５話