「来い! 翼、お前を連れて行く――――!」。「緋龍」より翼を救ったことで、逆にその支配を受けてしまった遼に対し、翼は監禁されながらも、彼への愛ゆえに、それを受け入れる。しかし二つの「蒼龍」の遺伝子の共鳴は「緋龍」を荒れ狂わせる。その毒牙が母親の春香や、翼の恩人であるレスリーに向けられるに至り翼は苦悩の末、遼との別れを決意するが……。二人の奏でる運命の音色は今、最終楽章へ!
各528円 (税込)
もう二度と弾かない。レッスンの帰り、おれはケースごとヴァイオリンをゴミ箱に捨てるつもりだった。才能なんてないし武之内グループの跡取り息子として特別視されるのにもウンザリだった。そんな時、ヤツは現れた。桜野遼、12歳のくせに倍もありそうな高校生たちをしきってた。ヤツは闇の中で輝きすぎて眩しかった。1996春FUKUOKA――それはあまりにも唐突な出逢いだった。
バン! 生まれて初めて聞いた本物の銃声。右肩に銃弾を受けたおれは、燃えるような痛みに意識を失った。それから意識を取り戻すまでの三日間、遼はつきっきりで看病してくれたらしい。遼は目覚めたおれに真実を話しだす。――かあさんは実の母親ではなく、春香という人がおれたちの母親だと……。驚愕するおれだったが、そんなことはこれから起こるすべてへの前奏曲(プレリュード)に過ぎなかった。
――いいぜ。連れてってやるよ、翼。この世の、果てまで――遼のその声は、どんな甘い誘惑より濃密に体の奥まで響いてきた。武之内グループの後継者、宝生学院高校の生徒会長の立場を捨てて、乗り込んだコンテナ船。船内で名器ガルネリ・デル・ジュネスを奏でるおれたち。その調べは甘くせつなかった。遼と友だちにはなれない。そして、兄弟にもなれない。――もう自分に嘘はつけなかった。
――おれと行こう、遼。もういちどやり直そう。おれと遼とお母さんとで――香港から逃れた上海で、おれたちは束の間の甘く哀しい夢を見たんだ。日本へ帰れば、きっとぜんぶ上手くいく。それが崩壊への道だとも気がつきもしないで……。――知ってしまえば後戻りは出来なくなるぜ――遼の言葉どおり、奴らは黙って見逃してはくれなかった。そう、「蒼龍」の秘密を知ってしまった以上……。
付与コインの内訳
244コイン
会員ランク(今月ランクなし)
1%
初回50%コイン還元 会員登録から30日以内の初回購入に限り、合計金額(税抜)から50%コイン還元適用
複数商品の購入で付与コイン数に変動があります。
会員ランクの付与率は購入処理完了時の会員ランクに基づきます。
そのため、現在表示中の付与率から変わる場合があります。
【クーポンの利用について】
クーポン適用後の金額(税抜)に対し初回50%コイン還元分のコインが付与されます。
詳しくは決済ページにてご確認ください。