桐島くんを二人で共有しよ? 加速する歪な三角関係が堕ちる先は……。
「ねえ、私たちで桐島くんを共有するの、ダメかな……?」
俺は今、橘さんと付き合いながら、早坂さんとも付き合っている。
共有のルール。それは互いに抜け駆けしないこと。「一番目」になれない方が傷つくなら、それは優しい関係とすら言えるだろう。
たとえそれが、歪で、甘美な延命措置に過ぎないとしても。
だけど……。
二番目でよかったはずなのに。
それでも一番目になりたくて。
互いにエスカレートする好意と行為。
その果てに、俺らの関係はやがて軋みを上げ始め……。
もがいて、すがりついて、大事だった何かを摩耗させながら。
どこまでも深みに堕ちていく。
(C)Joyo Nishi 2022
726円〜748円(税込)
「私も桐島くんのこと、二番目に好き」
俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。
それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。
だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。
そのはずだったのに――
「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」
お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。
もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。
俺と早坂さんは、互いに一番好きな人がいながら「二番目」同士で付き合っている。そして本命だったはずの橘さんまでが「二番目」となったとき、危険で不純で不健全なこの恋は、もう、落としどころを見つけられない。
「ねえ、私たちで桐島くんを共有するの、ダメかな……?」
俺は今、橘さんと付き合いながら、早坂さんとも付き合っている。
共有のルール。それは互いに抜け駆けしないこと。「一番目」になれない方が傷つくなら、それは優しい関係とすら言えるだろう。
たとえそれが、歪で、甘美な延命措置に過ぎないとしても。
だけど……。
二番目でよかったはずなのに。
それでも一番目になりたくて。
互いにエスカレートする好意と行為。
その果てに、俺らの関係はやがて軋みを上げ始め……。
もがいて、すがりついて、大事だった何かを摩耗させながら。
どこまでも深みに堕ちていく。
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