[作品について]日本三大怪談のひとつとして有名な「番町皿屋敷」を、数多く歌舞伎化もされている、旗本の水野十郎左衛門が幡隨院長兵衞(幡隨長兵衞)を殺害した事件と組み合わせ、大胆な新解釈で小説化した作品。屋敷の所在は江戸の番町とされているものの、江戸に伝わる皿屋敷伝説とは異なり、お菊が皿を割るのは、滋賀県の彦根に伝わる皿屋敷伝説のように、男の愛を試すためということになっている。怨霊譚ではなく、女に自分の心を疑われたことを許せず、愛するお菊を斬ってしまう青山播磨という男の破滅的な性格を、岡本綺堂独自の美学で描きあげることに重点が置かれている。皿がすべて割られれば家が滅ぶという、物語中の伝説が、悲劇的な播磨の最期に妖しい彩りを添えている。(Hiroshi_O) 「皿屋敷」[文字遣い種別]新字新仮名