ぼくは、ぼくがすきだった

真夜中の図書館をめぐる冒険についての小説です。その図書館には、特別な閲覧室があり、その閲覧室は植物園に面していて……。

「あれはたしか、真夜中の美術館だった、
　ぼくはひとり、誰もいない夜の屋外階段を上っていって、そこは壁と壁に挟まれた狭い空間だったので、ぼくに気のつく人は誰もいなくて、階段の途中には、流星と云うプレートのついた彫刻があって、そこは美術館だったから、そのこと自体、自然なことだった」
　ではじまる、幻想の世界。ある時は、鑑賞者。ある時は、館長。ぼくはいったい何者なのか。幻想的な実験小説をお楽しみください。

巻頭の「自由文学宣言」と煙草に関する短編「幻煙術」を収めています。電子書籍の時代に、自由に文学を放流することをちいさく宣言しています。

AIロボット開発者とぬいぐるみ作家、母の戦争体験が織り成す三重奏。忘れられゆく戦争体験を聞き取ったエゴドキュメントがストーリーに並走する。主人公は、人形とは、コミュニケーションとは、自我とは、と人間を追求してゆく。戦争体験を未来に語り継ぐ、令和から次世代へ贈る物語です。

田舎から東京へ出てきて、ひとり絵画教室を開きながら奮闘する美大卒業生の碧美ちゃん。しかし、生徒の城之崎さんがひょんなことから変身してしまい、その介護に当たることに。こころ温まる介護を経て、城之崎さんは回復してゆく。と同時にそれは碧美ちゃんのこころの回復でもあった。都会で傷ついたこころの再生の物語です。